私が摂食障害になったとき

私の過食症経験 (19歳女性)

私は小学生の時からずっと母の愚痴の聞き役だった。兄もいるのに、母は「男の子に話してもわからない。M美はたよりになる」と、私にばかり同居の祖父母の悪口を長々と聞かせる。本当は聞きたくないけど、母がかわいそうで言えなかった。

それなのに、母に大事にされているのは私じゃなくて兄のほう。兄は勉強もできるし、サッカークラブで活躍している自慢の息子だから。夕飯のメニューだって兄の好物ばかり。鶏の唐揚げやオムライス、肉たっぷりのギョウザとか。

兄はサッカーをやっているから太らないけど、私は太ってきた。なんだか私って母に利用されているだけみたいな感じで、嫌になった。

14歳の時、過食がはじまった。母のグチを聞いた後、思いっきり食べて、全部吐いたら、気分がスッキリした。そのうち、家にある食べ物だけじゃ足りなくなって、食べ物を万引きして補導された。万引きと過食がばれて、母にすごく叱られた。

「お母さんが悪口ばかり聞かせるから、私は太ってストレスたまって、過食や万引きだってお母さんのせいだよ! お兄ちゃんばかり大事にして」って怒鳴って大暴れしてやった。それからは堂々と過食嘔吐して、リストカットもはじめた。

ある日、お酒を飲んで手首を切って、緊急入院になった。病院が合わなくて、脱走を繰り返した後、いくつめかの病院で、ある看護師さんに話ができるようになった。

それまで「どうせ私の話なんか誰も聞いてくれない」と思っていたけど、黙って真剣に聞いてくれる看護師さんのおかげで、過食がだんだん減ってきた。

今は過食しそうになったら、看護師さんや先生に相談するようにしている。

母は病院の家族会に参加していて、私のことを少しは心配してくれているんだなとは思うけど、私にはまだやっぱり母を許せない気持ちが少しある。

相談相手をみつけよう

家族間の問題に巻き込まれた子どもが、悩みを打ち明けたり、相談できる相手を見つけることは大変ですが、保健室の先生や友達など、話せる人を探してみましょう。
誰かに自分の悩みや不満を話すことは怖いことです。
「拒否されたら傷つく」という思いから、何も言えないでしょう。
もしかしたら、言おうとして実際に拒否された経験もあるかもしれません。

でも、学校のカウンセラーや病院で摂食障害の治療にあたっている先生や看護師などの医療スタッフなら、そんな悩みを理解できるかもしれません。
どこかに必ず、話を聞いてくれる人はいます。

できることを少しずつ増やしていこう

病院での治療を受けながら、過食や自傷の衝動を抑えられたら、自分をほめてあげましょう。日々できたことを記録して、回復への励みにしましょう。