私が薬物依存症になったとき

私の経験 (46歳男性・無職)

中学生のとき、先輩からシンナー遊びに誘われて、補導されたことがある。警察で「歯がとける、脳も悪くなって、目も見えなくなる」と言われ、怖くなってやめた。その後も何度か補導されたあと、何とかやめることができた。

覚せい剤を初めて使ったのは28歳。長距離トラックの運転手をしていたとき。覚せい剤の量は徐々に増え、3日連続使用して、3日眠り続けるというパターンができ、貯金はなくなり、妻は子ども2人を置いて出て行った。

子どもとともに実家に移り、覚せい剤を連用していたところ、両親や近所の人、通行人などが自分の子どもを売ろうと相談している声が聞こえてきたので、殴って止めようとしたら、父や弟たちに押さえつけられて縛られ、3日眠って治まった。

運転の仕事を再開するとともに、覚せい剤使用も復活。自分が43歳のとき、長男が同棲するからと出ていき、長女は元妻の家で暮らすといって出ていった。やけになって覚せい剤を連用していたら、不眠になり、空手の型をくりかえす動きがやめられなくなった。息が上がって苦しくてもやめられない。誰かにリモコン操作されているのだ、と怖くなり、110番通報して、警察経由で入院。

その後の記憶はないが、大暴れして病院の職員をはねとばしたため、身体拘束され、点滴や注射での薬物治療が続いたのだという。約1カ月で退院。

断薬を決意したが、運転手時代の友人に偶然あって、また覚せい剤を使用してしまう。入院前の苦しさを思い出し、現在はダルク(社会復帰施設)に入寮して、周囲の力を借りて断薬を続けている。

シンナー吸引が覚せい剤への門戸を開くケースが多い

シンナー乱用をきっかけに暴力団とのかかわりができるケースが多く、覚せい剤を勧められるような交友関係ができます。早い段階で治療をし、そのような交友関係もすべて断つ必要があります。

薬物から離れるために環境や交友関係を変えよう

断薬を続けていても、以前に薬物を手に入れていた場所を通っただけで、薬物への強い欲求にかきたてられることがあります。そうした場所には近づかないこと。薬物使用にかかわる交友関係も清算する必要があります。

同じ病気をもつ人たちと回復をめざす

断薬をめざす人が集まる自助グループや社会復帰施設では、回復者とも出会えるため、めざすべき目標ができ、断薬への意欲が高まります。