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パニック障害・不安障害アルコール依存症

「パニック障害・不安障害」とは

原因不明の死にそうな苦しさ
他人にはわかりにくい不安で悩んでいるなら

突然胸が苦しくなり、鼓動はまさに「早鐘を打つ」状態。冷や汗で背中はぐっしょり。「死んでしまうかも…」そんな不安に襲われながら救急車で病院に運び込まれるけれども、どこを調べてもからだには異常はなく、そのうちに、あれほど苦しかった症状が溶けるように消えている。そんな発作を何度も繰り返し不安はつのるばかりなのに、誰もわかってくれない。
このページに来た方は、そんな思いを経験してきたのではないでしょうか。

パニックは死の危険から生き延びるために
準備されている反応です

火事や地震など、突発的な生命の危機に直面した時、多くの人はパニック状態に陥ります。鼓動が早くなり、血の気がひいて冷静に物事が考えられなくなって、大声で叫びだしたいような気分に襲われます。胃の中のものを吐いてしまうこともあります。じっとしていられなくなり、やみくもに走りだすこともあります。こうした反応はいずれも、敵や災害から逃げるために有利なもので、からだに備わった生き延びるためのプログラムです。
ところが人によって、なんでもない時にパニック状態のような反応が起きることがあります。命の危険がないのに、まるで命が脅かされているような不安や恐怖を感じ、からだにもパニック状態でみられるような症状が起きるのです。これをパニック発作といいます。

どんなに検査しても異常は見つからないとしたら

何もきっかけがない時にこうした症状が起きると、人は皆、心臓や胃や気管支などの病気を考えます。実際、パニック発作は心筋梗塞などの症状によく似ています。そのためはじめは、循環器や呼吸器や消化器を受診することになります。死にそうに思える症状に直面するため、多くは救急車で病院に運ばれます。もちろん、こうした症状を訴える人の多くは本当に心臓や胃などに異常がある人です。ところが、どんなに検査しても内科的な異常がまったく見つからない人も少なくないのです。そういう人は、もしかしたらパニック障害かもしれません。

パニック発作で死ぬことはありません

他に悪いところがないといわれても、生命の危機に直面したような発作が何度も起きれば、「この発作のせいで死んでしまうかもしれない」と心配になってしまうものです。でも、パニック障害の発作で死ぬことはありません。

狼少年ではないのに

パニック障害では基本的にパニック発作を何度も繰り返します。はじめは心配していた家族や友人や職場の人たちも、どこにも異常がないとわかるとだんだん「またか」「気のせいなのに大騒ぎをする」といった顔をするようになります。まるで狼少年の話のようです。本当はとても痛くて苦しくて不安なのに、誰からも理解されないことは、つらいことです。

100人にひとり?

パニック障害は決して珍しい病気ではありません。一生の間にパニック障害になる人は100人に1~2人といわれます。例えれば、新幹線普通車の1車両に少なくとも1人か2人はパニック障害を経験するかもしれないということになります。最近では、もっと多くの人がパニック障害になるという報告もあります。
また、男性よりも女性に発症しやすいということもいわれています。

パニック障害・不安障害のサイン・症状

パニック発作・予期不安・広場恐怖はありますか

パニック障害は、パニック発作から始まります。はじめはパニック発作だけですが、発作を繰り返すうちに、発作のない時に予期不安や広場恐怖といった症状が現れるようになります。また、うつ症状をともなうこともあります。

  • パニック発作
    ○予期されないパニック発作を繰り返していますか
    繰り返される「予期しないパニック発作」は、パニック障害の特徴的な症状です。「予期しない発作」とは、状況などに関係なく起きる発作のことをいいます。したがって、寝ている時に発作が起きることもあります。
    パニック発作はパニック障害でなくてもみられます。たとえば閉所恐怖症の人が狭い場所に閉じこめられたりした時にはパニック発作を起こすことがあります。ただしこれは特定の状況に直面した時に起きる反応で、パニック障害でみられる「予期しない発作」ではありません。
  • 予期不安
    ○「また発作が起きるのではないか」という不安をいつも感じていますか
    パニック発作を繰り返すうちに、発作のない時も次の発作を恐れるようになります。「また起きるのではないか」「次はもっと激しい発作ではないか」「今度こそ死んでしまうのでは」「次に発作が起きたら気がおかしくなってしまう」といった不安が消えなくなります。これが「予期不安」で、パニック障害に多く見られる症状です。
    このほかにも、いつ発作が起こるかという不安のあまり、仕事を辞めるなどの行動の変化が起きるようになるのもパニック障害の症状のひとつです。
  • 広場恐怖
    ○そこに行くと発作が起きそうな気がする、苦手な場所はありますか
    発作が起きた時、そこから逃れられないのではないか、助けが得られないのではないか、恥をかくのではないか、と思える苦手な場所ができて、その場所や状況を避けるようになります。これを「広場恐怖」といいます。苦手な場所は広場とは限りません。ひとりでの外出、電車に乗る、美容院にいくなど、人によって恐怖を感じる場所はさまざまです。広場恐怖以外に、外出恐怖、空間恐怖ということもあります。
    広場恐怖が強くなると仕事や日常生活ができなくなり、また引きこもりがちになるので友達との人間関係にも影響が出てきます。ひとりで外出できなくなるので、人に頼っている自分自身を情けなく思う気持ちも強まっていきます。広場恐怖をともなわないパニック障害もありますが、多くの場合広場恐怖がみられます。

パニック障害の治療法

パニック障害の治療には

  • 薬による治療
  • 精神療法的アプローチ

があります。

薬による治療

○治療の目的
薬物による治療の目的には、「パニック発作を起きなくさせる」ことが第一目標で、次いで「予期不安や広場恐怖もできるだけ軽減させる」も目標になります。
○よく使われる薬
一般に、最初に使われる薬はSSRIをはじめとする抗うつ薬と抗不安薬の一種であるベンゾジアゼピン系薬剤です。
○量と回数
これらの薬の効果は人によって違うため、効果を確認しながら増減したり薬を変更したりする必要があります。正しく効果を確認するためには、医師が定めたとおりの量と回数を守って服用してください。
パニック障害は薬物療法が効果を発揮しやすい障害です。「薬に頼らず気持ちだけで治す」というのは得策ではありません。
○不安や疑問は医師に相談
薬を服用することや治療全般に不安や疑問がある場合は、遠慮せずに医師に相談して解決するようにしましょう。

精神療法的アプローチ

パニック障害では、薬物治療に加えて精神療法の併用が重要です。特に、 認知行動療法という治療法は、薬による治療と同じくらいパニック障害に治療効果があることが認められています。

薬が効き始めて発作が起こらなくなってきたら、苦手だった外出などに少しずつ挑戦することも治療の一環になります。
ただ、無理は禁物なので医師やカウンセラーと相談しながら、一歩一歩ゆっくりと前進していくつもりでとりかかってください。

私がパニック障害になったとき

私の経験 34歳、女性 現在は両親と妹との4人暮らし

2年前の夏。夜中に突然目が覚めた。気がつくと胸が焼けるように熱く、息苦しくて「ああ、心筋梗塞だ」と思った。救急車を呼ばなくちゃと思うのだけど、体がうごかない。そのときはひとり暮らしだったので、このまま死んだら、いつ誰が私の死体を発見するのだろうと思って気が遠くなるほど怖かった。

どうにかそのときは痛みが治まったが、4日後に、こんどは昼間、会社でランチ中に苦しくなった。すぐに救急車を呼んでもらい、大騒ぎになったけれど、検査しても異常はみつからなかった。

その後も、胸がどきどきして、いたたまれないような焦った気分に襲われることが毎日のように続いた。強い発作も数回あって、それが怖くて夜などひとりではいられなくて、実家に戻ることにした。

その後も発作が起きるたびに救急車を呼んだりするので、家族にも迷惑をかけている。妹などは、発作のたびに「またか」というような顔をする。「お姉ちゃんは大げさだから」といわれたこともある。結婚前の娘がふたりもいる家で救急車を何度も呼ぶのは世間体が悪い、と両親も思っているようだ。

これまで、心臓などを調べてもらったけれど、異常はみつかっていない。めまいもするので耳鼻科にも行ったけれど、原因はわからない。仕事は続けたいけれど、実家から会社は遠くて、1時間ずっと快速電車に乗っていなくてはならないのはつらい。その間にまたあの発作が起きたらと思うと、怖くて仕事は休みがちになっている。迷惑をかけるので、今とりかかっていたプロジェクトからははずしてもらった。

まわりに迷惑をかけるばかりでひとりでは何もできない自分が情けなくて、自分などいなくなったほうがいいと思っている。

内科的な検査でどこにも異常がみつからない発作

パニック発作は、心筋梗塞などの症状によく似ています。そのため、はじめは循環器科など内科で受診することがほとんどです。
でも、パニック障害の場合は、どんなに検査しても、内科的な異常はみつからないのです。

発作では死にません

パニック障害の発作は、どんなに苦しくても死ぬことはありません。パニック発作が起きたら、「命の危険はないのだ、これは不安のためだ、時間がたてば自然に治る」と自分にいい聞かせてあげましょう。

まわりから理解されにくい

内科や循環器科でどんなに検査しても異常がみつからないと、あなたが発作の時に経験しているつらさはまわりの人からは理解されにくいものです。理解されにくい発作のつらさと不安。もしパニック障害と診断がつけば、それをキーワードとして、まわりの理解も得られやすくなります。まずは専門医(精神科や心療内科)で相談してみましょう。道がひらけるかもしれません。

うつ状態になることもある

ひとりでは外出もできないような状態になると、そんな自分がなさけなくて自己評価がどんどん低くなり、うつ状態になることがしばしばあります。
そういうつらい状況から抜け出すには、できるだけ早く、適切な治療をうけることが第一歩です。

家族や友人がパニック障害になったとき

夫がパニック障害になった経験(夫44歳会社員、妻46歳主婦)

夫は2歳年下だが、そんなことを感じさせることはこれまで一度もなく、いつも私を支えてくれる存在だった。それがこの半年で人が変わったようになってしまった。

半年前に帰宅途中に倒れたとのことで病院に運ばれてからというもの、いつも胸を押さえて「心臓が…」と心配そうにしている。その後もあちこちの病院や医者に通っているが、どこでも異常はないといわれて、「そんなはずはない」といいはっている。

確かに、時々夜中に布団の上でうずくまって苦しそうにしていることもあって、私も心配ではある。だけども、医者が「心配いりません」といっているのに私まで一緒に心配したら、かえって夫の不安をあおるのではと思い、「気にしすぎないように」と励ますようにしている。

不安そうな気弱な夫を見るのもつらいが、夫もそんな自分が許せないようで最近はイライラしているのがわかる。だんだん家が暗くなってきて、私までつらくなってきた。

夫は、仕事も休みがちになっている。聞くと、電車に乗るのが怖いという。「会社の近くまでついてきてくれたら行けそうな気がする」といわれた時には、本当に驚いた。心配して優しく接してきたことで夫が私に依存するようになってしまったのだろうか。もっと距離を置いて接するべきなのだろうか。

パニック障害を理解する

パニック障害の発作は、つらさ・不安が理解されにくいものです。まわりにいる家族や友人たちは、パニック障害がどういうものかを知ることで、患者さんの不安が理解しやすくなります。

発作の時は「大丈夫」と背中を優しくさすってあげましょう

発作では死なない、とわかっていても、パニック障害の患者さんは発作がおこると強い不安にとらわれてしまいます。そばにいる人が「大丈夫」と優しく声をかけて背中をさするなどすることで不安を少しでも軽くするように手をさしのべてあげましょう。

「どこに行くにも一緒」の役割をひとりでこなそうとしないで

広場恐怖があると、ひとりでの外出を避けるようになり、家族などまわりの人が一緒に付き添わないと出かけられなくなることもあります。家族やまわりの人が付き添いをひとりでこなそうとすると、ご自身も疲れてしまいます。たとえ治療が始まっても、患者さんがひとりで外出できるようになるまでは時間がかかることもあります。ひとりですべてをこなそうとしないで、たまには他の家族や友人、カウンセラーなどの協力を得て、息抜きの時間を作り、ストレスをためないようにしてください。

厚生労働省