こころの病気と向きあう

第4回:統合失調症の長男とともに生きる
――家族会を知って――

公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 理事長 川﨑 洋子

「お母さん、毎日お仕事ご苦労様です」――長男が言ってくれる言葉です。今から20年ほど前、「盗聴器がしかけられている!」と電話機、エアコン、テレビなどを分解し、ときには窓の外に人がいると窓ガラスを壊したりした長男の言葉とは信じられません。

発症からの10年間は入院、退院の繰り返しで、5回ほど入院しました。父親との関係性が悪く、家に帰ると状態が悪化することで、主治医から親から離れた生活を勧められました。高校3年のときの発症で、まだ世間を知らない長男が親から離れて生活することは考えられませんでした。そんなときに家族会を知りました。家族会からは多くの情報を得ることができました。勉強会では病気の知識、相談できるところ、社会資源を知ることができ、大きな助けとなりました。

社会資源の住む場として福祉ホームやグループホームがあることを知り、長男に相談すると、「自分も家から離れたほうがいい」ということで、福祉ホームに入ることになりました。その後、今ではグループーホームでの生活が10年になります。この間、多少の状態悪化がありましたが、職員の対応で入院することなく過ごしています。

お風呂に入らない、床屋に行かずいつも髪の毛がモジャモジャで、親が言っても「はい、床屋に行くことを検討します」の返事でしたが、なんとホームの仲間の一言で、毎月床屋に行くようになり、今では1週間に1度入浴しています。どうしても引きこもりがちな生活でしたが、仲間の誘いでホームでの食事会にも出られるようになり、いつもコンビニ弁当で食事をすませていましたので、「良かった!」と親は安堵の気持ちです。

この変化に親の私は驚いています。仲間同士の支えあいは、想像を超えるものでした。親の心配は親なきあとのことですが、仲間や地域の人たちがこの障害のことを理解し、支えあって暮らせるような社会になることを願っています。

 

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