表3 広場恐怖の診断基準

A 逃げるに逃げられない(または逃げたら恥をかく)ような場所や状況、またはパニック発作やパニック様症状が予期しないで、または状況に誘発されて起きた時に、助けが得られない場所や状況にいることについての不安。広場恐怖が生じやすい典型的な状況には、家の外に一人でいること、混雑の中にいること、または列に並んでいること、橋の上にいること、バス、汽車、または自動車で移動していることなどがある。
B その状況が回避されている(例:旅行が制限されている)か、またはそうしなくても、パニック発作またはパニック様症状が起こることを非常に強い苦痛または不安を伴いながら耐え忍んでいるか、または同伴者を伴う必要がある。
C その不安または恐怖症性の回避は、以下のようなほかの精神疾患ではうまく説明されない。たとえば、社会恐怖(例:恥ずかしい思いをすることに対する恐怖のために社会的状況のみを避ける)、特定の恐怖症(例:エレベーターのような単一の状況だけを避ける)、強迫性障害(例:汚染に対する強迫観念のある人が、ごみや汚物を避ける)、外傷後ストレス障害(例:強いストレス刺激と関連した刺激を避ける)、または分離不安障害(例:家を離れること、または家族から離れることを避ける)。

高橋三郎、大野 裕、染矢俊幸(訳):DSM-Ⅳ-TR精神疾患の分類と診断の手引き.pp171-174、医学書院、東京、2002より引用・一部改変