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疫学調査及び接触者の管理

I  基本的な考え方
潜伏期間中の患者は感染源とはならないことを十分念頭に置く。
生物テロにより、明らかな天然痘ウイルスの流出が認められた場合、現場における状況の評価及びウイルスの放出の時間などによって、暴露したと考えられる者全員を接触者として扱う。
天然痘ウイルスの流出の状況が明らかではない場合、ウイルス流出の現場は、潜伏期間における患者の行動の分析によって初めて明らかにされる。
潜在的な感染源が、複数の患者の行動分析による共通の暴露歴から同定された場合には、同一感染源と接触があったと考えられる者全員を第一級接触者として扱い、速やかに追跡調査を開始する。
レベルIII(国内患者発生時)においては、接触者として監視されている者以外の、感染源症例との疫学的関連性が認められていない者からも患者が認められることがある。
新規患者を確実に検出するためには、医療機関内での症例検索を行う必要がある。疑わしい疾患の認められる入院患者、最近の説明のつかない死亡者のすべてを「後ろ向き」に検討して、これらが天然痘でないことを確認する必要がある。
天然痘患者の発生している国から入国・帰国した者に関しても、検疫所と連携をとり、自治体において適切な追跡調査を行う必要がある。

II 接触者の分類
 一次接触者
一次接触者とは、感染の可能性のある時期にある天然痘患者又はその汚染物に接触のあった者とする。
なお、感染の可能性のある時期は、発熱等の症状発症の24時間前から最後の痂皮が落屑するまでの間とする。
一次接触者は、感染リスクによって第一級及び第二級の2つに区分する。
接触者の感染リスクは、常に、感染者との接触の距離及び時間を考慮する必要がある。

(1) 第一級接触者(感染リスクが最も高い接触者)
天然痘患者の分泌物の飛沫及びエアロゾール、又はそれらで汚染された物質を介して、感染源への暴露があったと考えられる接触者。
天然痘患者と接触があったと思われる家族、親戚、親友又は親しい同僚などへの追跡調査で同定することができる。

 【例】
a.  世帯内接触者
一般に、感染の可能性のある時期にある天然痘症例と同一住所に居住する者全員、及び感染の可能性のある時期にこの住所で比較的長時間を過ごした訪問者。
【これまでの流行時の記録では、世帯内感染者の二次り患率は50%とされている。】
b.  直接接触者
2メートル以内で天然痘患者と長時間に及ぶ接触のあった者。
仕事及び会食など日常生活における接触のあった者並びに予防接種を受けていない医療関係者及び救急隊員が含まれる。
c.  汚染物質を介した接触のあった者
感染の可能性のある時期にある天然痘症例の衣類又は症例が使用した備品などと直接接触のあった者全員。これらにも仕事及び会食など日常生活における接触があった者並びに予防接種を受けていない医療関係者及び救急隊員が含まれる。
d.  最初のウイルス放出を含む天然痘症例と同じ感染源との接触があったと考えられる者。

(2) 第二級接触者(感染のリスクが低い接触者)
空気を介した接触など感染のリスクの低い接触者。
一時的又は遠隔での接触者は、第二級接触者としては取り扱わない。

 【例】
a.  天然痘患者と部屋を共用した者のうち、第一級接触者に該当しない者
b.  天然痘患者と同じ施設又は公共交通機関(バス、鉄道、地下鉄及び航空機)を利用した者
c.  エアコン設備を有する施設を天然痘患者と共用した者

 二次接触者
第一級接触者と密接な接触のあった者。
一次接触者が症状を発症した場合には、二次接触者への感染の可能性がある。

 【例】
a.  第一級接触者の同居者
b.  監視期間中に第一級接触者の自宅に長時間滞在した者

III  役割分担
自治体天然痘技術派遣チームと保健所の疫学調査班は、患者の疫学調査、接触者の把握調査及び接触者の健康状態の追跡調査を行う。
国から派遣された厚生労働省天然痘技術派遣チームは、診断、検査、疫学調査に関する技術的な助言を行う。
自治体天然痘技術派遣チームの感染症専門医は、接触者として監視されている者が天然痘様の症状を呈した場合に、その者の診察を支援する。

IV  自治体による疫学調査
 患者所在地の自治体は、自治体天然痘技術派遣チーム、保健所の疫学調査班に以下の調査を行うよう指示する。
(1)  患者に関する疫学調査
(2)  接触者の把握及び管理
 自治体は、国に厚生労働省天然痘技術派遣チームの派遣を要請する。
 自治体は、自治体天然痘技術派遣チームの感染症専門医に対し、接触者として監視されている者に対する診察を指示する。
 自治体は、全症例を検出し、また可能な限り迅速に対応策を講じるため、臨床医に対し、天然痘患者が発生し感染の危険性が著しく高まったこと、天然痘の臨床的特徴、症例の定義、疑わしい疾患に対する治療法及び報告手続きについて情報の伝達を行い、症候群別サーベイランスを強化する。
 厚生労働省は、ホームページ、日本医師会、自治体等に対する通知及び説明会等を通じて、臨床医に対し、天然痘の臨床的特徴、症例の定義、疑わしい疾患に対する治療法及び報告手続きに関する情報の伝達を行う。
 自治体は、自治体天然痘技術派遣チームの感染症専門医に対し、自治体に疑いのある症例を報告するための天然痘症例報告用電話番号を含む天然痘症例報告用紙を配布する。

V  天然痘患者に関する疫学調査
 疫学調査班は、天然痘症例報告用紙(様式1)に沿って、
(1)  天然痘患者を特定する情報
(2)  発病月日時(例えば何時より悪寒、発熱あり)
(3)  臨床経過
(4)  検査結果
等を記載する。
 この調査の中で最も緊急を要し以後の防疫活動の重要な参考となるのは発病後の行動である。
 疫学調査班は、天然痘症例活動ワークシート(様式2)に沿って、
(1)  感染の可能性のある時期における行動
(2)  潜伏期における行動
(3)  接触者情報
等を記載し、発病前後の行動(立ち寄った場所、使用した交通機関等)を詳細に記録する。
 この調査により、接触者の同定が可能となり、患者が複数例認められた場合、共通の立ち寄り場所、交通機関の使用などから、感染の危険因子を推定し感染源を同定することも可能になる。

【記載例】生物テロにより天然痘が発生した××国を2週間団体ツアーで観光旅行した例

感染の可能性のある期における行動(訪問先、面会者、旅行などについて日付及び詳細を記載すること)
t-1日:  
症状発症日(t):

 3月10日
1. 夜中1時より悪寒あり朝熱っぽかった。
2. 8時30分頃家を出てA医院受診(どんな服装で、何人位の患者が待合室にいた。大病院では何階の何科等。)。
3. 10時頃一旦帰宅。
4. 10時30分頃会社へ行くためB電鉄を利用し乗車(C行の急行)。
5. 11時D駅下車、タクシ−(社名、何色のタクシ−等)で会社へ(会社で同席した人は別途調査)。
6. 12時頃、会社を出て徒歩でE飲食店に行き食事。
7. 13時頃帰社。
8. 17時30分B電鉄の各駅停車で駅より徒歩で早退帰宅、途中Fさんと道で立ち話15分間。
t+1:
 3月11日
9. 朝より臥床、A医院へ往診依頼。
10. 近所のFさんが見舞に来て自宅で話。
t+2:
 3月12日
11. 朝より臥床、親類のGさんが来たが、玄関で奥さんと話をして帰った。
12. クリ−ニング店に患者のシャツ(10日着用のもの)を出した。
13. 夕方より顔に発疹が出た。
14. 夜は近所のH庵より出前をとって食べた。食器はまだ患家にある。
t+3:  
t+4:  

VI  接触者の把握
患者の疫学調査が進むにつれて接触者が明らかになってくる。
疫学調査班が、接触者の健康状態の追跡調査を行うに当たっては、全ての接触者を全く等価値において調査を行うのではなく、第一級接触者、第二級接触者、二次接触者に区分する。
疫学調査班は、接触者をリストアップし、協議の上、第一級接触者、第二級接触者、二次接触者に区分された、段階別の一覧表を作成する。
これはウイルスによる汚染の程度を推定し、防疫上の措置を円滑に行うために区分するものであり、第二級接触者は第一級接触者より発病しにくいと考えてはならない。

【接触者を分類する具体的な処理の例】
(前ページ、生物テロにより天然痘が発生した××国を2週間団体ツアーで観光旅行した例の場合)
a.  旅行同行者は現地での同時感染の可能性もあるので、汚染地を離れて17日間の健康状態の追跡調査を行う。
b.  帰国時、たまたま乗合せた同乗者は、機内に発症者がいない限り対象者とならない。
c.
 帰国後発症までの接触者は対象者としない。
重要
d.
 家族
第一級接触者
e.
 A医院の職員
第一級接触者
f.
 A医院の家族
二次接触者
(診療室への立入り状況による)
g.
 A医院の患者受診時に患者の近くに居合せた他の患者及び付添者
第一級接触者
h.  A医院の天然痘患者初診から、A医院の消毒終了までに受診した上記以外の患者
第二級接触者
(この場合消毒前の最終受診日を必ずチェックする。また患者の付き添い者については、カルテのみからはリストアップできないので追跡調査開始初日に家族の院内出入を必ずチェックする。)
i.  A医院消毒後の受診者は、A医院内職員が発症した後で受診したもの以外は対象者とはならない。
j.
 B電鉄利用者、特に本人の傍にいたことが明らかなもの
第一級接触者
(その他の者、D駅利用者は対象者とはならない)
k.
 タクシ−運転手
第一級接触者
、患者をのせた後の乗客
二次接触者
l.
 会社職員で同室のもの
第一級接触者
離れた部屋にいるもの
第二級接触者又は対象外
m.
 E飲食店従業員と客のうち、店頭で患者と接触したもの
第一級接触者
接触しなかった従業員と患者利用後の客
二次接触者
(店内の構造を考慮する)
n.
 Fさん
第一級接触者
o.
 Gさん
第二級接触者
p.
 クリ−ニング店従業員
第一級接触者
q.
 H庵の出前をした人
第二級接触者

VII  接触者の管理
接触者にワクチン接種を実施した後の天然痘まん延防止の成否のカギを握るものは接触者の健康状態の追跡調査である。
追跡調査は正確な接触者リストを作成してから行うべきである。発生当初は正確なリスト作りは困難であるが、追跡調査の作業は潜伏期から考えても発生直後より開始を要する事例は少ないと考えられるので、発生後2日くらいの間に完全なリストを作成してから実施すべきである。
追跡調査期間は、接触最終日の翌日を第1日として17日間である。
この作業を成功させる第一条件としては対象者に健康状態把握の重要性を理解してもらい、また不安を除去することである。
接触者の管理には、接触者モニタリング用紙(様式3)を用いる。

1 第一級接触者
(1) 管理及び監視(モニタリング)
第一級接触者に対しては速やかに予防接種を行う。ワクチン接種に当たっては、副反応のリスクと天然痘感染のリスクを比較考量する必要がある。
第一級接触者では、最後に感染者と接触のあった日以降17日間は監視下に置かれる必要がある。
監視では、体温を毎日記録し、その結果及び他の全身症状の有無を専用の天然痘接触者電話番号に報告する。
体温計(モニタリング期間後に廃棄処分可能なプラスチック製体温計が望まれる)、体温記録用、体温測定・記録法の解説書、一般的アドバイス及び天然痘接触者電話番号を配付する(別紙1
毎日の連絡のとれなかった第一級接触者に対しては電話又は訪問などで積極的に状況把握を行う。問い合わせ内容は、発熱が最も重要で、これがある場合には、悪寒、頭痛、背部痛、腰痛、四肢痛、出血斑(特に眼球結膜)、咳、鼻汁、咽頭痛と一般状態(調子がよいか悪いか等)についても行う。
発熱又は全身症状が発現した第一級接触者は、自宅に留まり、速やかにあらかじめ指定した連絡先に連絡するように指導する。
医師が診察を行う場合は、自覚症状の詳細と、全身(顔面のみでなく必ず全身)を視診し、発疹の有無を詳細に観察し、また既往のワクチン接種部位の発疹には特に留意する。診察結果は直ちに疫学調査班に報告し、専門医等の派遣を協議する。なお、今回のワクチン接種の結果、善感の有無を直接見て判定しておく。
小児においては発熱、発疹性疾患として、麻疹、水痘が対象者中にみられることもあるので発生地におけるこれら疾患の流行状況を、サーベイランス情報の入手、小児科医より聞いておくことで把握することも重要である。

(2) 活動自粛
接触者に対し活動制限をかける法的権限はないが、免疫力のない者が大多数を占める現在の社会においては、天然痘は重篤な症状が急速に発症し、多くの感染者を出し、社会的な混乱を招くなど、公衆衛生上大きな問題となることは明らかであることから、活動の自粛を要請する必要がある。
活動自粛は、第一級接触者が症状を発症し、感染力を有する時期に行われる。通常、天然痘の潜伏期は7〜17日間であり、感染者は最初の症状の発症24時間前から感染力を有すると考えるべきである。
したがって、自粛期間は感染者と最初に接触のあった日の6日後から最後に接触のあった日の17日後までとする。
この時期には、第一級接触者に対しては以下の活動自粛が要請される。
(1)  通勤・通学の制限
(2)  予防接種未施行者との接触の制限
(3)  地域外への外出の制限
(4)  制限期間以外では、第一級接触者も、健康な場合には通常の活動が許可されるが、海外旅行を禁止する。
(5)  監視(モニタリング)が終了する、又は予防接種の有効性が確認されるまでは、地域に留まるように指導する。

(3) 症状発症時における対応策
前駆症状が認められる第一級接触者は、「天然痘疑い患者」として自宅からの外出禁止とするか、又は入院させる場合は個室等の隔離した環境下におく必要がある。天然痘報告基準を満たした場合には「天然痘患者」として感染症指定医療機関に移送する必要がある。
前駆症状とは、持続性高熱(38℃以上)及び/又は虚脱、重度の頭痛、腰痛等の関節痛、固い全身性の発疹が認められるなどである。

2 第二級接触者
(1) 管理及び監視(モニタリング)
予防接種が不適当とされている場合を除いて、第二級接触者に対しては予防接種を行う必要がある。不適当とされている場合には、副反応のリスクと天然痘感染のリスクを比較考量する必要がある。
ワクチン接種部位の変化は接種3日目より聞いて善感の有無を判定する。何らかの変化を認めた際は直ちに医師に連絡をとる。
第二級接触者に対しては監視を行う必要はない。しかし、詳細な記録を残し、また、これらの接触者には天然痘患者との最後の接触後17日間に発熱又は全身性症状が認められた場合に速やかに連絡するために、あらかじめ指定した連絡先を含むアドバイスシートを配付する(別紙2)。
第二級接触者が報告する内容は以下のとおりとする。
(1)  体温
(2)  全身症状(悪寒、頭痛、背部痛、腰痛、四肢痛、咽頭痛、咳、鼻水と発疹(ニキビ程度のものも)。医師に受診した場合はその診断結果。)
(2) 活動自粛
第二級接触者で、発熱又は全身性症状が認められた場合には自宅にとどまり、速やかにあらかじめ指定した連絡先へ電話をかけるように指示する必要がある。これ以外には活動の自粛を要請する必要はないが、患者との最後の接触後17日間症状が認められないことが確認されるまで、さらに、予防接種の有効性が確認されるまでは海外への渡航の自粛を要請する必要がある。
(3) 症状発症時の対応策
前駆症状が認められた第二級接触者は、「天然痘疑い患者」として自宅からの外出禁止とするか、又は入院させる場合は個室等の隔離した環境下におく必要がある。天然痘報告基準を満たした場合には「天然痘患者」として感染症指定医療機関に移送する必要がある。

 二次接触者
 予防接種が不適当とされている場合を除いて、二次接触者に対しては予防接種を行う必要がある。不適当とされている場合には、副反応のリスクと天然痘感染のリスクを比較考量する必要がある。
 一次接触者に症状が認められ、「天然痘患者」と判断されるまでは、監視(モニタリング)や活動自粛を行う必要はない。
 一次接触者が天然痘にかかったことが確認された場合、二次接触者は第一級接触者に引き上げられ、相応の管理を行う必要がある。
 第一級接触者に引き上げられた場合に、速やかに連絡できるように、二次接触者の連絡先を登録しておく必要がある。
 症状が認められた場合に速やかに連絡するためのあらかじめ指定した連絡先を含むアドバイスシートを配付する(別紙3)。

一時的又は遠隔での接触の場合(感染のリスクはなし)
 天然痘患者との短時間の接触、又は離れた接触でも多くの人が感染を心配することが想定される。しかし、感染のリスクはないと考えるべきである。
 これらの接触者には、通りや店での接触があった者及び十分に通気された大きな場所で短時間天然痘患者と接触のあった者が含まれる。
 これらの接触者においては、追跡調査及び予防接種を行う必要はない。しかし、症例の詳細の公表後には、自ら自認し当局に連絡してくると考えられる。これらについては詳細な記録を作成し、また、安心させるためにアドバイスシートを配付する(別紙4)。
 これらの者に対してワクチン接種を行う必要はない。
 発熱又は全身性症状が認められた場合には、一般市民のために準備された天然痘アドバイス電話番号に電話するように指導する(「広報及び情報提供」も参照。)。

接触者に対する予防接種
 接触者に対する予防接種を行う前に接種が不適当かどうか確認する必要がある。
 天然痘の症状を鑑別できるように、天然痘と紛らわしい基礎疾患の有無を確認する必要がある。
 予防接種に対する絶対的な禁忌は存在しない。不適当とされる症例については、天然痘のリスクと予防接種の副反応のリスクを比較検討する。これについては、専門家との相談によって判断する。

免疫力のない一次接触者
 免疫力のない一次接触者には、予防接種を拒否した者、予防接種の反応の認められない者又は予防接種の実施が遅すぎた者(感染源への最初の接触後5日以降)が含まれる。
 初回予防接種後に反応の認められなかった一次接触者に対しては再接種を行う必要がある。
 免疫力のない一次接触者に対しては以下のとおり、通常以上の監視を行い、活動自粛を要請する必要がある。
(1) 第一級接触者に対しては潜伏期終了まで自宅等に留まるように指示する。
(2) 第二級接触者は、第一級接触者と同様に、監視、二次接触者の同定及び予防接種を行う必要がある。

問い合わせへの対応
当該自治体において、専用電話を設置し、天然痘の症状及び暴露の詳細な情報を提供し、不安に思っている住民に対して適切なアドバイスを行う。
この専用電話を活用することで、住民の不安を取り除くことができ、また、必要な場合には、医療機関の紹介を行うことができる。

データの取り扱い
小規模な流行であっても、膨大な疫学データが蓄積されることが想定される。症例及び接触者の情報を収集、比較及び分析の際に利用可能な様式は、様式1〜3のとおりである。
様式1  天然痘症例報告用紙
様式2  天然痘症例活動ワークシート
様式3  接触者モニタリング用紙
取り扱う情報は極めて重大な個人情報を含んでいる。調査票の管理方法や調査票を閲覧できる者等の取り決めをしておき、データの管理には厳重を期す必要がある。





疫学調査及び接触者の管理フロー

疫学調査及び接触者の管理フローの図



様式1 天然痘症例報告用紙

様式1 天然痘症例報告用紙



様式2 天然痘症例ワークシート

様式2 天然痘症例ワークシート



様式3 接触者モニタリング用紙

様式3 接触者モニタリング用紙


別紙1

第一級接触者に対するアドバイスシート

Q1: なぜ、特別な処置が必要なのですか?
A1: あなたは、天然痘に感染したと思われる患者さんと接触がありました。したがって、あなたを感染から守るための処置をいくつか迅速に行う必要があります。
もし、接触のあった患者さんが天然痘に感染していなかったことが明らかになった場合には、その旨を○○保健所の担当者が連絡します。

Q2: 天然痘の予防接種を受ける必要がありますか?
A2: 速やかに予防接種を行う必要があります。予防接種は、天然痘に感染した患者さんとの接触後4日以内に行うことが最も有効であると考えられています。接触された方に対する予防接種を、患者さんの診断前に行う必要があるのはこのためです。
以下のとおり、予防接種が実施されます。
実施日時: ○月○日 ○○時〜○○時
実施会場: ○○○○

Q3: 予防接種で注意することは?
A3: 予防接種の副反応のリスクが高い人が存在しますので、以下の天然痘接触者電話番号に電話で確認するか、予防接種会場で直接お問い合わせください。医師又は保健師等から説明を受けることができます。予防接種を受けるに当たっては、常に、副反応のリスクと病気のリスクを比較検討する必要があります。

Q4: 他にすることは?
A4: 感染を早期に検出し、専門の医療機関で経過観察又は治療するため、最後に患者さんと接触のあった日以降17日間は、天然痘に類似した症状が出ないかどうか、自分でモニタリングする必要があります。詳しくは、○○保健所の担当者から説明いたします。

Q5: 症状を自分でモニタリングするには?
A5: 体温を毎日同じ時間に計測していただきます。測定した体温を、体温記録用紙に記録し、以下の天然痘接触者電話番号に報告してください。体温が38℃を超える場合(記録用紙の赤いラインより上)、又は、体調がすぐれない場合にも、天然痘接触者専用電話にご連絡ください。

Q6: 普段の生活で気をつけることがありますか?
A6: 38℃以上の熱が認められる場合又は体調がすぐれない場合には、外出を避けてください。また、「制限期間」中には、以下のことを厳守してください。
通勤・通学しないこと
予防接種を行っていない人との接触を避けること
遠くへの外出をしないこと
「制限期間」以外では、健康な場合には、通常の活動を継続して行うことができますが、予防接種の有効性が確認されるまでは、海外旅行及び遠方への国内旅行は控える必要があります。制限期間:天然痘患者と最初に接触のあった日の6日後から最後に接触のあった日の17日後までの期間

天然痘接触者電話番号(24時間):




別紙2

第二級接触者に対するアドバイスシート

Q1: なぜ、特別な処置が必要なのですか?
A1: あなたは、天然痘に感染したと思われる患者さんとの接触がありました。ただ、接触は密接ではないため、感染のリスクは高くないと考えられます。しかし、一応、あなたを感染から守るための処置をいくつか迅速に行う必要があります。もし、接触のあった患者さんが天然痘に感染していなかったことが明らかになった場合には、その旨を○○保健所の担当者が連絡します。

Q2: 天然痘の予防接種を受ける必要がありますか?
A2: 予防接種を行う必要があります。予防接種は、天然痘に感染した患者さんとの接触後4日以内に行うことが最も有効であると考えられています。接触された方に対する予防接種を、患者さんの診断前に行う必要があるのはこのためです。
以下のとおり、予防接種が実施されます。
実施日時: ○月○日 ○○時〜○○時
実施会場: ○○○○

Q3: 予防接種で注意することは?
A3: 予防接種の副反応のリスクが高い人が存在しますので、以下の天然痘接触者電話番号に電話で確認するか、予防接種会場で直接お問い合わせください。
医師又は保健師等から説明を受けることができます。予防接種を受けるに当たっては、常に、副反応のリスクと病気のリスクを比較検討する必要があります。

Q4: 他にすることは?
A4: 感染を早期に検出し、専門の医療機関で経過観察又は治療するため、今後17日間は、38℃以上の熱が認められる、又は、体調がすぐれない場合には速やかに天然痘接触者電話番号に電話してください。

Q5: 普段の生活で気をつけることがありますか?
A5: 38℃以上の熱が認められる、又は、体調がすぐれない場合には、外出を避けてください。
それ以外の場合には、通常の活動を継続して行えますが、最後に患者さんと接触のあった日から17日間症状が認められないことが確認されるまで、さらに、予防接種の有効性が確認されるまでは、海外旅行は控える必要があります。

天然痘接触者電話番号(24時間):




別紙3

二次接触者に対するアドバイスシート

Q1: 特別な処置が必要ですか?
A1: あなたは、天然痘に感染したと思われる患者さんと密接な接触があった人と接触があったと考えられています。この人(第一級接触者といいます。)は、17日間、天然痘が発症しないかをモニタリングされています。この人が症状を発症した場合には、いくつかの処置を受ける必要があります。もし、この人が天然痘に感染していなかったことが明らかになった場合には、その旨を○○保健所の担当者が連絡します。

Q2: 天然痘の予防接種を受ける必要がありますか?
A2: 予防接種が不適当とされている場合を除いて、予防接種を行う必要があります。予防接種は、天然痘に感染した患者さんとの接触後4日以内に行うことが最も有効であると考えられています。接触された方に対する予防接種を、患者さんの診断前に行う必要があるのはこのためです。
以下のとおり、予防接種が実施されます。
実施日時: ○月○日 ○○時〜○○時
実施会場: ○○○○

Q3: 予防接種で注意することは?
A3: 予防接種の副反応のリスクが高い人が存在しますので、以下の天然痘接触者追跡電話番号に電話で確認されるか、予防接種会場で直接お問い合わせください。医師又は保健師等から説明を受けることができます。予防接種を受けるにあたっては、常に、副反応のリスクと病気のリスクを比較検討する必要があります。予防接種を行えなかった場合は、接触した第一級接触者のワクチン接種部位が完治するまでは、その人との接触を避ける必要があります。

Q4: 他にすることは?
A4: 天然痘患者と接触した人に症状が認められるまでは、特に注意することや特別な処置を行う必要はありません。今後17日間において、38℃以上の熱が認められる、又は、体調がすぐれない場合など、何か心配があるときには、天然痘接触者追跡電話番号に電話して相談してください。

Q5: 普段の生活で気をつけることがありますか?
A5: 普段の生活で気をつけることはなく、通常の活動を継続して行えます。ただし、予防接種を受けた場合には、接種後17日間は海外旅行を控える必要があります。

天然痘接触者電話番号(24時間):




別紙4

不安を抱く市民に対するアドバイスシート

Q1: なぜ、特別な処置が必要ないのですか?
A1: 天然痘患者との密接な接触がないため、感染のリスクがほとんどないと考えられるためです。

Q2: 天然痘の予防接種を受けるべきですか?
A2: 予防接種は受ける必要はありません。天然痘ワクチンでは、まれではありますが、致死性のものを含む副反応が認められることがあるため、感染リスクが高い者以外には行わないこととされています。

Q3: 他に何か行えることはありますか?
A3: 特に注意することはありません。今後17日間に、38℃以上の熱が認められる、又は、体調がすぐれない場合など、何か心配があれば、以下の天然痘アドバイス電話番号に電話をかけてください。

Q4: 行動を制限する必要がありますか?
A4: いいえ。通常の生活を継続して構いません。

天然痘アドバイス電話番号(24時間):


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