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保健所における初期対応

I  届出
天然痘は感染症法上の一類感染症に位置付けられていることから、天然痘患者(疑似症を含む。「医療体制」を参照。)の発生情報は、感染症法に基づき診断した医師から保健所へ届出される。
届出の時点で検査が実施されていない場合は、「検査材料の採取」及び「検査材料の輸送」に基づいて、医療機関から自治体担当者が国立感染症研究所へ検体を輸送する。
患者本人から直接保健所に相談があり、相談内容から天然痘の疑いがあると判断した場合には、患者宅の訪問等により症状の確認等を行う。なお、天然痘の疑いがあるかどうかの判断、訪問等による症状の確認等は、保健所の医師が行う(医療機関への受診勧奨は、接触者の数を増やすことになるので避ける。)。

II  情報の確認
医療機関からの届出は「天然痘発生届出票」による。
電話等による情報の確認が困難である場合は、保健所より職員を派遣し、確認を行う。
既に海外で天然痘患者が発生している場合には、その地域への渡航歴を確認する。
発病日時は、感染日時・場所等の推定や接触者の調査をする上で重要な情報であるため、正確を期する。
収集した情報は、迅速に、自治体感染症担当課を通じ、厚生労働省に報告する。

III  患者の移動禁止
保健所が届出を受理した際には、まず天然痘患者の移動を禁止する。
患者が医療機関にいる場合は、独立した換気システムを持つ個室に収容し接触する者を必要最小限にする。また患者周囲の接触者も疫学調査班が到着するまで付近に待機しているよう説明する。
患者が自宅にいる場合は、外出の自粛を求め、不特定の人との接触を防止する。また、患者宅にいる接触者に対しても待機してもらう。
第一種感染症指定医療機関等に連絡し受け入れ準備を依頼するとともに、患者移送の手配を行う。

IV  疫学調査班等の派遣
現場に到着した後、手袋、使い捨てガウン、マスク、ヘッドカバー、ゴーグル及び靴カバー等適切な防護服を着用する。
患者の自宅を訪問する場合は、近隣に目立たないように配慮し、防護服は、自宅に入った後に、玄関で着用する。
患者から天然痘症例報告用紙(「疫学調査及び接触者の管理」参照)に基づき聞き取り調査をするとともに、症状を確認し、発疹の写真を撮る。
まだ検査が実施されていない場合は、血液、水疱・膿疱内容物、痂皮などの検査用の検体を採取する。
天然痘であることがほぼ確実である場合は、その場で家族等の接触者に対してワクチン接種を実施する。
検査等終了後は、防護服等を脱ぎ、他へ触れないよう注意しながら、所定の容器に収納する。その後、流水、石鹸で入念に手洗いを行う。
患者を移送した場合、汚染が疑われる場所は、汚染除去作業が終了するまで出入り禁止とする。


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