定例事務次官記者会見概要

(H20.04.24(木)14:04〜14:18 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

今日の事務次官会議は厚生労働省関係の案件はありません。特に報告することはございません。

《質疑》

(記者)

新型インフルエンザ対策を盛り込んだ、感染症法及び、検疫法改正案が先ほど衆議院を通過いたしまして、一部修正だとか、付帯決議とか付いておりますけれども、与野党の合意でスピード採決が、明日図られる見込みとなりましたけれども、これについての受け止めと、まだ厚生労働省関係の法案がたくさん残っておりますけれども、それについての取り組みなどがございましたらお願いいたします。

(次官)

新型インフルエンザを盛り込んだ法案の改正については、現時点では政令対応ということで一応対応できているわけでありますけれども、2年間の期限ということがあって、きちんと法律の中に盛り込まないと的確な対応ができないということで、今国会に法案を提出したわけであります。与野党で精力的に話し合いが行われて、衆議院での審議が急速に進んだというのは、たいへんありがたいと思っております。これはこの問題の重大さ、重要性というものを与野党共に認識しての動きだと思いますので、そういう問題意識を的確に受け止めて、今までも対策について詰めて来たわけでありますが、さらにその充実について政府内、我が省が中心となると思いますけれども、努力をしていきたいと思います。
  法案全般の話でありますが、国会が衆参でねじれ現象があるということがありまして、税制の関係をはじめとして様々な法案が残っているわけであります。厚生労働省関係の法案も、国会全体の審議の中で影響を受けているわけでありますけれども、いずれも、私どもとしては、速やかに審議をしていただいて、国会としての結論を出していただきたい。特に予算関連では大きな法律が出ているわけでありますので、与野党の間で話をしていただいて、審議が進むことを期待しております。

(記者)

狂牛病の牛肉の話なのですけれど、抜き取り検査が1、2%行われていましたけれども、この1、2%で良いという判断の基準はどういうものなのか。

(次官)

BSE関係のことがありまして、輸入についてはいろいろな議論を経てきたわけであります。それで危険部位を取り除いて20ヶ月以内というものが、輸入されるということで、動いているわけであります。
  安全性の確保は三段階あるわけで、一つは輸出する側における基準遵守、これはアメリカ国内のことになりますので、その監督はアメリカ側でやっていただくということになります。それから輸入する際の検疫での業務というのが一つ。すべての輸入物を、全品検査というのは不可能なことですので、輸入する事業者とか、あるいは流通する事業者、製造に関わる事業者がその安全性を、事業者の立場でチェックをする、こういう三つの段階があるわけであります。この三つの段階でそれぞれ力を合わせて、食品の安全を確保するというのが現在の仕組みであります。
  検疫での検査については、4段階のレベルがありまして、それは今までの実績から判断をしていくということになります。輸入実績がないとか、極めて少ないという所については、検査率を高くし、それから輸入実績が多くて、これまでずっと問題がなければ検査率を低くすると。今度のケースは検査率の一番低いレベルの物で、1、2%ということであります。これについては、こういう事態がありましたので、現時点では輸入自粛をしていただいているということでありますし、また当面全体の検査率を高めてですね、安全の確保を見ていこうということであります。

(記者)

1、2%になったのは、国が問題がないというふうに判断したからですか。

(次官)

過去の輸入実績で問題がなかったところは、一番低いものになるわけです。

(記者)

結果的にその網の目を通り抜けてしてまったわけですけれども、今度10%に引き上げて、それで大丈夫だという判断ですか。

(次官)

全数を検査するというのは、相当膨大な予算と、おそらくは確保しきれないくらいの人を確保しないとできないのだと思うのです。そういう意味である程度のパーセントで抽出検査をするというのは、危険度の大きさと出てくる成果との関係で、どこかで判断をしていかなければいけないことだと思います。検査を仮に1割に高めても、発見する確率は高まるわけでありますけれども、100%ということではありませんから、ある程度の確率での危険というのは伴うわけであります。
  したがって、最初に申し上げましたように、三段階のレベルで安全を確保するということになります。一つは輸出業者。アメリカで決められた基準によって安全を確保するというのが一つ。輸出業者には責任があるわけですから、それをしっかりやってもらいたいし、今原因の詳細をアメリカ大使館を通じて確認しておりますが、アメリカ側でもしっかり対応していただきたい。第二の検疫については今のようなことがありましたので、今日の大臣のお話にありましたように、検査率を高めてできるだけのチェックをしたい。それからもう一つは輸入業者、あるいは中で流通させる、あるいは製造に使うそういう各事業者がそれぞれ責任を持っているわけでありますので、その事業者が、事業者としての責任を果たすという、それぞれの段階の関係者の協力で、安全を確保するということであると思います。今回もその三つの大きな分野の安全の確立の仕組みの中で、確認できたわけでありますので、そういうことを、しっかりやって行きたいということであります。

(記者)

4段階レベルで一番検査が緩い1、2%くらいの検査というのは、去年の12月にできたということを聞いたのですけれども、BSEというリスクが分かっている米国産牛肉で1、2%という、普通の食品と同じレベルということでしたけれども、実績があるとはいえ、他の食品と同じレベルまで緩和するというのは、BSEというリスクが分かっている以上、そこまで緩和するのはどうなのかなと思うのですが。

(次官)

全体の中での合理性の議論だと思います。限りなく予算があり、限りなく人が確保できるのであればそれはいくらでも率が高められる。しかし、限られた予算で限られた人員でやる時は、何を優先にしてやっていかなくてはいけないかというのはあるわけであります。20ヶ月未満の牛肉については、現地の製造も確認して、農林水産省と厚生労働省の職員がアメリカに渡って製造プロセスを確認し、アメリカの農務省での確認も行われながら出てくるわけでありますのでそういう様々な要素を加味して、かつ輸入実績においてずっと問題が無いというのが続いていればこの辺が相対的な意味で合理的なところと判断したわけであります。今回のことがありましたので、この体制については、原因究明が分かるまでは輸入を自粛してもらいますし、全般的な牛肉の輸入について検査率を高めて対応していこうということであります。

(記者)

今回の件を受けて、当面の間、一番緩和していたのを1割程度まで引き上げたということなのですが、この措置を今後どれくらいを目途に続けるのか、あるいは今後、恒久的に1割以下はなくすとか、そういったお考えはないのでしょうか。

(次官)

今回の原因究明がまず第一だと思っております。原因が分かれば、なぜこういうことが起こったのかというのが分かるわけですので、それに応じてどういう対応の仕方がいいのかというのが決められる。まず、今アメリカ大使館を通じて詳細を聞いておりますので、そこが分かった段階で判断をしたいと思います。

(記者)

一昨年の1月に特定危険部位が日本に輸入された、国内に入った時は、全面輸入禁止という措置をとりましたけれども、今回はその措置をとらないのはどうしてなのでしょうか。

(次官)

今回のは、分かっている範囲の情報でいえば、アメリカの方から輸出の証明書という書類がくるわけです。書類の中身と輸出されてきた中身というのが基本的に合っていたわけですが、一つのロットだけ違う箱が一つ混入していたということでありまして、この混入していたのは、アメリカ大使館側の説明によれば、日本ではなくて、別の国に本来輸出されるべきものが混ざったということのようなのですが、この詳細はなお調査中ということであります。2年前の話は、製造段階でおいての日本輸出向けの牛肉についての処理プロセスの規則についての認識が工場側にも十分ではなかったというのがあったわけです。こういうものを日本に出して問題ないのだという認識で箱に詰めていたわけです。そこは、ものの考え方の前提にも認識不足があって、それが原因になったわけでありますが、今回については、その認識が徹底しているわけでありまして、他の所に出す箱が一つ混入していたということであります。ですから、起こった事柄の性質が違うので、原因究明をきちんとして最終的にはその原因究明を見ながらやりたいと思いますが、そういう理由の違いから今回はこういう輸出した事業者からの輸入自粛ということでいいだろうと判断したわけであります。

(記者)

認識が無くて日本に入ってきてしまったのと、認識が有りながらミスで入ってきてしまったというのは、結果としてはリスクはどう違いますか。

(次官)

認識が無くてというのは、こういうものは輸出していいのだと思っているわけです。最初の2年前の話で。これは20ヶ月以下の牛であればどの部位も含めて輸出していいのだということについて、つまり、ルールについての基本認識が無かったわけです。ルールについての基本認識がなければいろんな間違いが起こるわけです。それはきちんとルールが徹底されて間違いがないような仕組みになるところまで厳密に確認する必要がある。今回については、ルールはきちんと認識されていて、箱についても一つ一つの箱にも中身が書いているわけです。そういうものが、つまり、これは本来日本に輸出してはいけないものだというのが分かったのが、たまたま混入した。混入した理由は何かということはきちんと吟味しなければいけないと思います。だけど、そういう意味で、ものの認識については、日本のルールについてはきちんと認識されているわけですので、その前提の認識が不十分だったという事例と今回は違うということです。

(記者)

水際段階ではなくて、その後輸入された後の流通段階で見つかったというのは、初めてだと思うのですが、こうした特定危険部位含めて危険なものというのが消費者の口には入らないのでしょうか。

(次官)

先程申し上げましたように、いろんなレベルでそれぞれの関係者が努力して安全な食品を確保するということだと思います。アメリカ側でもきちんとやってもらう、それから、検疫という形で検疫サイドの努力も当然やらなければいけない。それから、輸入業者、流通業者サイドでも努力をしてもらわなければいけない。ここまでが安全な食品を運ぶ責任があるところですから、それぞれがそれぞれの立場で責任を果たしてもらう中で見つかる。この全体の網の中で見つかるということであれば一つの仕組みが機能したということではないでしょうか。

(了)


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