定例事務次官記者会見概要

(H20.01.17(木)14:00〜14:13 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

本日の次官会議では、厚生労働省関係は、労働契約法の施行期日を定める政令案がかけられております。先般の国会で成立しました労働契約法でありますが、その施行期日を平成20年3月1日とするという内容のものであります。私の方からは以上ですが、ご質問がありましたらどうぞ。

《質疑》

(記者)

肝炎の問題が一応決着したのですが、その件に関してお願いいたします。

(次官)

5つの地方裁判所で見解の分かれる、そういう意味では判断の難しいものだったと思いますが、昨年末の総理大臣のご決断で特別立法ということになりました。与党の先生方が原告の弁護団とも精力的に話をしていただいて、合意に至って、速やかに法律が提出されかつ成立したというのは大変私どもにとってもありがたいことだと思っております。法律の前文でもいろんなご指摘を受けておりますし、弁護団との確認書の中でもいろんな要請を受けております。一つ一つをきちんと受け止めて、今後に向けては再発防止の問題等を含めて指摘された課題について精一杯全力を挙げて対応していきたいと思っております。

(記者)

基金の企業の負担割合の交渉なのですが、その辺は今どのようになられていますでしょうか。

(次官)

企業側とはいろいろと話をしております。まだ最終的な合意になったと聞いておりませんが、ベースには大阪高裁の和解骨子案を企業側が受け入れたという背景もありますので、十分詰めていけば合意に達するものと思っております。

(記者)

今日、新聞広告で7,500の医療機関が公表されましたけれども、逆に新聞広告が入っていないんだという問い合わせが我が社にも相次いでいるのですが、厚生労働省の方にはそういった問い合わせとかがあるのかどうか、どれくらいあるのか、それに対する対応はどうされるのかということについて。

(次官)

問い合わせがあるかどうかはちょっと私はまだ報告を受けておりません。ただ、議員会館に配られた新聞の中に入っていないということで会館の方からそういう話があったというのは聞いております。今回の広告は、政府広報サイドと私どもが協力をして行ったものでありまして、各家庭への配布というのは政府広報のこれまでのノウハウを元に考えていただいたのだと思います。ただ現実には、例えば、新聞を取っていない人がいるとか様々な人がおりますし、本件について記事にしていただいてますし、あるいはテレビのニュース等でも放送されています。あるいはまた、自治体のサイドからも十分な広報としていただけるのではないかという期待もありますが、様々な形でいろんな人が目にする機会があると思いますので、照会がありましたら都道府県でも保健所でも市町村でもそういうものをお渡しできますし、こちらに照会があればこちらの方からFAXしたりお届けすることもできますので、ご照会には誠実に対応していきたいと。それから、いろんな形でいろんな媒体を通じて、こういうことがあるということは周知されると思いますので、そういう周知を通じて皆さんに認識してもらえたらありがたいと思っております。

(記者)

リスト問題で、医薬品医療機器総合機構の理事長の宮島さんが今日付けで辞職ということなのですけれども、これはどういう理由で辞職されたのかということをもう少し詳しく教えていただければと。

(次官)

ご本人からは一身上の都合ということで聞いております。それ以上の確認は私もしておりません。いろんなことを考えられての上ではないかと思いますが。

(記者)

原爆症の関係でお伺いいたします。今日、与党のプロジェクトチームに示される原案というのは、厚生労働省の検討会とはどちらかというと与党案を軸にしたようなものであると報じられておりますけれども、そういうふうな判断に至った理由という点をお聞かせ願えればと。

(次官)

前にも原爆症の話の質問を受けました時に、検討会の報告を受けての私どものスタンスと、それから与党PTのスタンス、実質的には大きな差違はないのではないかということを申し上げたことがあります。法律の規定その他に基づく表現の仕方の問題とかありますが、目指していく認定の方向については、私は元々大きな差違はあると思っておりませんでしたので、そこについてその考え方の擦り合わせをきちんとやっていくということではないかと思っております。

(記者)

焦点の原因確率という言葉を改めるというふうな表現のようなのですが、その点はやはり。

(次官)

報告書の中でも放射線を受けている量が非常に原因確率的に言えば小さな確率であっても、今までは原因確率10%だったでしょうか、それ以下は認定しないという分はあったわけでありますが、今度の報告書ではそれ以下であっても個別に認定をすると、個別に判断するということになっております。そういう意味では、従前の原因確率の考え方には元々報告書は立っていないわけです。そういうことを明確にするということだと思います。

(記者)

基準の最終的な確定がいつかということと、これが訴訟の解決に結びつくのかどうかという点についてはいかがでしょうか。

(次官)

新しい基準は新年度から実施になると思います。それに向けて、今日の夕方の会議をはじめ、いろいろな形で詰めていくことがございますので、そういうのを詰めて、実施に乗せるようにもっていきたいと思っています。訴訟については、新しい基準に従えば認定される人も出てくるわけでありまして、それで認定されれば、その人は訴訟を取り下げるのだろうと思います。一方、新しい基準でも認定されない人もまたあると思うのですね。その人は、裁判の場でさらに争いたいということであれば、訴訟は続くということになると思います。

(記者)

肝炎問題で、次官は前の会見で、5つの地裁で分かれているということもありますけれども、薬には副作用があるということを強調されて、それで全員一律救済はちょっと疑問のようなことも言ってらしたのですが、今回の解決の仕方が今後の薬事行政に与える影響というのをどういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。

(次官)

私が申し上げたのは、副作用があるから一律救済が難しいというふうなことではたぶんなかったのではないかと思います。二つありまして、いわゆる発生責任という議論ができるのかどうかという点が一つと、もう一つは、フィブリノゲンの製造プロセスが、もうこれはご承知のとおりだと思いますが、途中から製造方法が変ったのですね。当時の厚生省に報告がなく、メーカーの判断だけで変わった時期があり、その頃から、肝炎感染の確率が高まっているというか、そういう問題が出てきたわけです。その後、加熱処理の方に、厚生省が当時指導していったと、あるいは、それでもまた発生が本当に止まるかどうかわからないから、追跡調査をするという条件付きでやっていったと。ですから、製造プロセスの変化というのを見ていった時に、責任というのをどう考えるのだろうかということを私は申し上げたのだと思います。そういう責任論は、現行法制の中では、私はまだ依然としてあるものだと思っておりますが、今回の立法はある意味で、そのような法制の限界を超えてというのでしょうか、行政や司法の現行法制下での限界を超えて、立法的に解決をするということで、特別立法をしたのだということであります。そういう意味で、肝炎にかかっている患者の方々のことも含めて、いろいろなことを考慮した一つの決断だったというふうに思っています。これが今後の薬事行政にどういう影響を与えるかということは、今の時点では私まだよくわかりません。ただ、この立法の過程で、再発の防止の問題であるとか、いろいろなことが指摘をされていますので、そういうことを一つ一つきちんと対応して、二度と同じような問題が起こらないように、精一杯努力をしていきたいと思っております。

(記者)

宮島前理事長の後任に関しては何か聞いていますでしょうか。

(次官)

辞任が出たばかりですので、後任はこれから考えていかなければいけないと思いますが、業務の内容をよく考えて、どういう人が適任か、大臣ともよく相談して対応を考えていきたいと思っています。

(記者)

大臣はいわゆる天下りみたいなものはなるべく少なくというふうに言っていると思うのですが、ただ、このポジションは製薬メーカーの人を置くわけにもいかず、非常に人選が難しいと思うのですが、そのへんはいかがでしょうか。

(次官)

おっしゃる問題はあるのかなと思っていまして、よく考えていきたいと思います。そういう制約的な条件、あるいは、こういう条件を持っていなければいけないという意味での積極的な条件、両方あるわけでありますが、その条件をよく考えて、それに対応できる人を何とか探したいということであります。これから探しますので、まだイメージがあるわけではありません。

(記者)

原爆症ですけれども、与党案の方をとったというお考えではないということなのでしょうか。

(次官)

考え方としては、私は両案はそれほど大きな乖離はないというふうに思っていまして、そういう意味では、与党案をとったとかいうのではなくて、検討していった結果はほぼ似たような方向にあって、ただ、それの表現の仕方というと言葉は少し悪いかもしれませんが、検討会の有識者の方々が議論していった議論の中身と、現行制度を踏まえながらそういう目で書いた表現と、政治家の方々が、ある意味でわかりやすくということで書いた表現と、少し表現の仕方には差異がありますけれども、ねらっている方向について大きな差異は、私は初めからなかったという感じを持っております。

(了)


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