定例事務次官記者会見概要

(H19.10.25(木)14:02〜14:25 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

本日の次官会議の案件ですが、政令が三つあります。一つは、職業能力開発の促進法施行令の一部改正、これは技能検定制度の充実を図るために技能検定を行う職種について知的財産管理を追加して、家庭用電気治療器調整及び浴槽設備施工を廃止するという内容のものであります。それから、国民健康保険法施行令等の一部を改正する政令案についても説明しました。この政令は、国民健康保険の保険料、また国民健康保険税の特別徴収、年金から徴収するというものですが、その徴収の対象となる年金給付及び被保険者の範囲等につきまして定めるものであります。それから、三本目の政令は、前期高齢者交付金及び後期高齢者医療の国庫負担金の算定等に関する政令案というものでありまして、先般の健康保険法等の一部改正によりまして、高齢者医療制度ができたわけでございますが、後期高齢者医療給付に対する国の負担金等の額、後期高齢者の交付金の額等を定めるものであります。こういう政令案につきまして説明を申し上げました。
 それから、今日の次官会議には、冒頭、官房長官が出席を致しまして、官房長官から厚生労働省の書類管理にかかる問題と、それから、防衛省の事務次官の国家公務員倫理規定違反にかかる問題、具体的に厚生労働省の書類管理と言われましたけれども、その二点を念頭に置いて官房長官からご注意がございました。福田内閣ができて最初の事務次官会議、総理もご出席されて政治と行政の信頼というのが大事だと、これが福田内閣の最重要課題だということを言ったと。そういう中で、国民の信頼を損なうような話が出たと。厚生労働省の文書管理、あるいは内部報告、そういう事務的な事務処理と言えばいろはのようなものについて問題があったというのは、大変問題であるということで、国民の目線に立って、業務運営の見直しを、業務運営とかそういう問題についての対応をしっかりして国民の目線に立ってしっかりやってもらいたいというご注意がありました。公務員倫理に関しての遵守についても同様に注意がございました。こういうことがありましたので、早急に私の方で幹部会を開いて各部局長に今日の趣旨を徹底し、今回の官房長官の指示だけではなくて、今回全体についての趣旨を徹底して省内の注意喚起を図りたいと思っております。次官会議が終わりました後、官房長官を訪ねてお詫びをして帰ってきたという次第であります。私の方からは、以上です。

《質疑》

(記者)

先週末からC型肝炎について実名の分かる資料がいくつか出てきていますが、それについてはどう思われますか。

(次官)

先週の始めの頃だったでしょうか、いろんな国会質問、あるいは野党の方のPTでのいろんな質問等を踏まえて、状況を大臣に報告しましたところ、大臣からきちんと調査をする必要があるなというお話があったわけであります。それで医薬食品局の方で調査チームを作って調査を始めたということです。その中で、14年当時担当した人が、前後関係等はこれから検証チームを作って確認しないと分からないところもあるのですが、全く同じような資料があって、一つは、名前とかが黒塗りされていると、もう一つは黒塗りされていない資料もあったのではないかということを思い至って倉庫を調べたということであります。それで金曜日の夜に入って、そういうものが分かってきたということで、後は土日をかけて調査をして、分かる範囲を整理をして、報告し、発表したということでございます。発表する資料となりますとどうしても個人情報の保護とかプライバシーの保護とかというのがありますので、発表する資料は、黒塗りをしなければならないものでありますので、そういうものを当時発表した。黒塗りしているということは、どこかに黒塗りの前の資料もあるということでありますので、そういう意味でこの辺の資料について、当時はどう評価し、あるいはその後の時代の変化においてどう評価し、あるいはまた管理についてどうなのか、管理の引継ぎについてどうなのか、そういうことにつきましても検証チームを作って、もう既に作ってあるわけでありますが、きちんと調査をして検証していきたいと思っております。

(記者)

最初に2名が出て、次に8名が出たのですけども、最初の土日で徹夜で探すということで探された時に、その8名の資料が出てこなかったことは。

(次官)

詳細は担当部局に聞いてもらった方が正確かもしれませんが、最初の調査は、企業から報告を受けてます8冊について調べたと。発表しましたように、訴訟との関係等も含めて、それぞれの原告の中にどういう人がいて、あるいは、お名前から一致しそうな人がいないか、その人の主張と厚生労働省が主張してきたのがどうなのかということも含めて調べていったわけであります。調べた資料が、先般記者発表しましたように、8冊のものだったわけです。どこにあったかまでは私は聞いておりませんが、その8冊とは全く別の所に別の形であった資料の中から8名について発見されたと。この8名は、調べていくと418名には含まれているというものでありますが、別の所にあった資料。土日を徹してやりましたのは、企業からきている報告についてそれを徹底的に調べて、いろんな今までの訴訟等の関係も含めて整理したということであります。

(記者)

感じとしてまだ捜索していない資料もかなりあるという。

(次官)

医薬食品局は、行政上いろんな資料が入っていますので、どうかわかりませんが、そこはよく調べてもらって、何か出てくれば一つ一つきちんと明らかにしていくという姿勢を取る。たくさんあるのか、ないのか、その辺については全く私は見当が付きません。

(記者)

C型肝炎訴訟では、舛添大臣の方が、年内の和解も視野に入れているということを示唆されていましたが、それについてはいかがでしょうか。

(次官)

和解については、大臣がよく会見で言われますが、訴訟に費やすエネルギーをより生産性の高い所に費やした方が世の中のために良いじゃないかということで、そういう考え方、気持ちは私も大臣と全く同じであります。和解は、今大阪高裁で和解のテーブルにつけるかどうかということに提案があったところであります。まだこれを完全にテーブルにつけるかというところまでの結論までは至っておりません。これには原告側の考えもあるでしょうし、それと私どもも原告側の主張に対して考え方を整理しなくてはいけないところもあると思います。それから、製薬メーカーの方の考えもあるのではないかと。関係者も多いわけであります。国の立場で申し上げますと、単に厚生労働省だけが決断すれば済むという話ではなくて、国の関係する機関とも相談しなければいけません。そういうようなことを通じて対応をしていくということであります。ですから、期間についてあまり予断を持って私どもは考えられませんけども、そういう全体の構図の中で一所懸命やっていきたという気持ちでございます。

(記者)

次官会議の関係なのですが、注意に対して、次官の方から謝罪とかあるいは何か発言は出なかったのでしょうか。

(次官)

官房長官がそういう注意をした後、すぐに席を立たれてしまいましたので、その場では申し上げることはできませんでした。次官会議が終わりました後に、私は官房長官室を訪ねて、ちょっと総理と食事をしながら打ち合わせをしている所だったものですからそれが終わるまで待って、終わったところで官房長官室に入ってお詫びを申し上げました。

(記者)

具体的にはどういう言葉でお詫びしたのですか。

(次官)

官房長官からは、私どもに関して言えば、書類管理の不備なり、書類の引継ぎの不備なり、そういう意味で、行政事務のいろはみたいなところのミス、そんなことがあってはいけないという注意だったわけです。そこは正直、私も土日を含めて既に痛く反省しているところでありまして、それで官房長官には初歩的なミスと指摘されたようなことと、こういう事態につきまして誠に申し訳ないということと、官房長官から指摘された趣旨を踏まえて、早速、省内幹部に伝えて注意を徹底したいということを申し上げました。

(記者)

幹部会はもう開かれたのですか。

(次官)

まだです。官房長官にお詫びをしたのが13時過ぎくらいで、ちょっと今日の国会の様子等を聞いたりとかありまして。これが終わりましたらできるだけ速やかにというふうに、記者会見、記者懇終わりました後に速やかにと頼んでいますが、まだやっておりません。

(記者)

今日中にということでよろしいですか。

(次官)

はい。今日中にやります。

(記者)

C型肝炎のこの一連の問題なのですが、何が問題だったと認識されていますか。

(次官)

この問題の整理は、私はいろいろ難しい問題があると思っております。ただ、私自身も、平成14年の一連の動きについて、正確に評価できるほど、私の認識が客観的、あるいは正しいところまでいっているかどうか、だいたいある程度のことはもう把握はしておりますけれども。それから、今回の発表した資料については当時その都度公表し、関連の報告を平成14年の8月末に発表しているわけですが、肝炎訴訟が起こりましたのが平成14年の10月からでありますので、そういう意味では、この問題の社会的な大きさというのが、おそらく、訴訟が起こる前と後では、私はいないので観念論的な言い方で正しいかどうかちょっとわかりませんけれども、少し社会的な認識の仕方も変わってきているのではないかという感じもするのです。そういうことも含めて、いわゆる社会的な認識が変わってくれば変わってくるなりに、あるいはまた、それ以前どうだったかというものも調べてくると出てくるかもしれません。そういうものを、基本的に検証チームを作って検証していこうとしていますので、そこでできるだけ正確な事実認識をして、評価するのがいいかなと思います。その辺をきちんとやっていかなくてはいけないと思っています。

(記者)

30万人の調査、昨日、大臣がおっしゃられましたけれども、次官に何らかの指示とか、こういうふうに検討してくれとか、そういう話というのがあったりしたのでしょうか。

(次官)

大臣が国会でそういう答えをしたという瞬間に、それはもう私に対して指示があるのと同じことですので、既に内部では何ができるかという議論をし始めています。まだ、ちょっと担当部局が、昨日も今日も、国会対応があったりしましたので、十分な議論ができていませんけれども、これも夕方までに関係する部局を呼んで、どういうことができるか。記録の保管期間の問題とか、いろいろな医療機関もあるのだと思います。そういうことで、中には古い話も入っていますから、どこまでできるか難しい点はあるかもしれませんけれども、やれる精一杯のことで何ができるかというのを、中でよく検討して動いていきたいと思っています。これはこれから検討です。今日にでも少し事務的な検討を始めたいと思っておりますが、すぐに今日中に全部の結論が出るかどうかというのはわかりません。やれることは何かということをまず洗い出したいということであります。

(記者)

特別チームで検討するわけではなくて。

(次官)

いや、検証チームを作ったのは、先ほど申し上げました、14年のいろいろな書類管理の問題とか、あるいは、その評価の問題とか、それに対する行政の対応とか、そういうことについてどうだったのかということを検証していくのが、検証チームの役割ですので、それはそういう体制で、そちらのミッションをきちんとやってもらうと。30万人の問題は、今日改めて、内部でちょっと議論をして、すぐ結論が出るかどうかわかりませんが、何をやるかと、やるのにどういう体制でやるか、体制は今の通常の体制の中でできるのであれば、その体制の中でやります。そこは議論してどうするかというのを決めたいと思います。

(記者)

国会同意人事案件の話なのですけれども、厚生労働省関連でも中央社会保険医療協議会の人事がありますが、民主党がそれに応じるかどうかわからないというような情勢になっていますけれども、この影響等についてどうお考えでしょうか。

(次官)

国会同意人事については、かつては、与党側に与党内部の一つの基準みたいなものがあって、審査基準というのでしょうか、審査基準というと非常にしっかりした、かっちりした印象を与えてしまいますが、メルクマールというか、そういうものがあって、それには適合するようにもっていかなくてはいけないと思ったわけであります。同じように民主党にも判断の基準のようなものがあります。私どもとしては、民主党の判断基準も踏まえて、これならご了承いただけるのではないかと詰めた案を持っていったつもりでおります。あとはよろしくお願いしたいという気持ちです。

(記者)

もしぽしゃっちゃったら、どんな感じに。

(次官)

ぽしゃることはないのではないかと期待しておりますが。

(記者)

困るという感じ。

(次官)

スケジュールとの問題がありますので、ただ、納得していただける案を出しているのではないかと私どもとしては思っておりますけれども。

(記者)

後期高齢者の、事務次官会議で出された政令の関係なのですが、これはとりあえず形としては始めるというような政令の内容になるのでしょうか。

(次官)

後期高齢者制度の実施に伴う話でございますが、法律が施行されて、それから、4月に向けて施行の準備を進めておりますが、いろいろな仕組みを作っていったり、広域行政団体というのでしょうか、そこで条例とか規則とかを作っていったりする必要がありますので、基本的考え方を法律に従って整理したものであります。この点について、与党プロジェクトチームの中で、今、いろいろな議論があるわけでありますが、その議論の結果によって影響を受けるようなことがあれば、どういう形で手当てをするか、これは政令の改正がいるのか、そうでなくてできるのか、そういうことも含めて検討しなければならないと思っておりますが、基本的には、今はまだ、そこは議論中なものですから、準備に向けてとりあえず進めなくてはいけないことはきちんと進めていくということであります。

(記者)

肝炎なのですけれども、副作用報告なのですが、副作用報告は、例えば、個人に情報を伝えるために使うものではないというような言い方もされたりもしてますけれども、次官ご自身はどういうふうにお考えになりますでしょうか。

(次官)

副作用情報というのは、はっきり副作用だとわかったものを報告受けているわけではないのです。例えば、ある薬を投与して、その人が転んだと、つまずいたとかですね。これは、薬とつまずいたことに関連があるかどうかわからない、そういうような、ひょっとしたら関連があるかもしれないという情報を出してももらうわけですので。そうすると、一方でまた、個人情報保護であるとか、医者の守秘義務の問題もあります。ですから、私どもがもらう副作用情報は、名前は略名というか、イニシャルで、住所も都道府県までで報告を受けています。毎年25,000件くらいそういう情報が上がっています。そういう、例えば、薬を飲んで転んだというのが、北海道で起こり、東京で起こり、鹿児島で起こり、どうもこの薬を飲むと転ぶ人が1%か2%かわかりませんけれども、何かの確率でありそうだとなると、ひょっとしたらこの薬は運動機能に障害を与えるものがあるのかもしれないと、そういう情報が入ってきてわかるわけです。その薬で転ぶかどうかわからない、最初の情報も、それは副作用かどうかわからない、そういうわからない情報のものをたくさん上げてもらうことによって、帰納的にひょっとしたらあるかもしれないというのは出てくるわけです。そういう意味では、副作用情報というのは、医者から非常に報告しやすく、そういう形で情報提供してもらう、あるいは、メーカーを通じてでもいいのですが、情報提供してもらうのが大事と。それを、たくさん情報が入ってくるようにして、その情報の蓄積から、ひょっとしたらあるかもしれないということを突き止めるというところに意味があるわけです。そこを、例えば、ひょっとして転んだのは副作用かもしれないから、じゃあ、あなた副作用かもしれないということで報告してもいいですかと、医者が患者に了解を取って、それで、名前入りで報告するとなると、これはなかなかできなくなってしまう。そうすると、患者が嫌だと言うと、報告が入ってこなくなってしまいますので、どちらかというと、患者が特定できないようにして、その代わり、たくさん情報を集めるというところに意味があるわけです。単純な副作用情報については、私はそういうものだと理解しています。

(記者)

結果として集まったことによって、ある程度関連性がわかってきたとしたら、その情報を利用。

(次官)

それは注意情報ということで流すわけです。メーカーを通じて、この薬の時はこういうことが起こっていそうだとかと注意情報で流して、投与について注意をさせたり、あるいは、そういう目で患者の様子を見てもらったりするということになってくるわけで、重篤な問題であれば、使用制限とかいろいろ入ってくるのだと思います。ですから、最初の副作用情報で来るというのは、とにかく玉石混淆でかまわないわけです。使えない情報でもいいと、たくさん情報が来ることが大事だと思っています。

(了)


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