定例事務次官記者会見概要

(H19.06.14(木)14:03〜14:25 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

今日は、次官会議案件、当省関係はありませんでした。ご質問があればお答えいたします。

《質疑》

(記者)

昨日、コムスンの樋口社長が老健局長の所に面会に来られて、事業譲渡についてのお話があったということなんですが、その中でコンプライアンスの重視という事業譲渡先についてのそういう話が出ているのですけど、コンプライアンスの重視という点で、次官はどの点に一番コンプライアンス強調されるべきと。

(次官)

法令を遵守するということは当然のことですけれども、その中でも私は、利用者の方々に対して良いサービスを行うための基準や体制やいわば作業の流れといったところをしっかりとするというところが一番の核心だと思います。何事も利用者本位であると、そして、利用者のためのよいサービスで貢献すると、そのために様々な法令や基準、こういったものをきちっと守っていただけているかどうか、ここがポイントだと思います。

(記者)

その中でも虚偽申請というのが一番重いと思うんですけれども、ただ不正請求に関していうと、ニチイさんとかジャパンケアとか、今譲渡先として名前の挙がっているところもやはり皆同じような形で出てるふうになるんですけれども、そこら辺、今後一切出さない保証みたいな所まで求めていくのでしょうか。不正請求を一切行わないというようなそういうところまでもこれからはきちんと求めていくと。

(次官)

不正請求をしてはならないというのは当然のことであるというふうに私は思います。

(記者)

コムスンの問題なんですけど、介護事業という中にコムスンのような事業体質の会社をここまで成長させてしまった、放置せざるを得なかった厚生労働省の責任を求める声も挙がっているのですが、次官はそれをどういうふうにお考えでしょうか。

(次官)

介護事業サービス事業者に対する監督責任は、都道府県にあり、権限に基づいて指導していただく、そして指導していただくようにいろんな基準を作ると、そして指導させていただくというのが私たちの立場だと思います。そういう観点から私どもとしては介護サービスというのは、利用者のために誠心誠意良いサービスをしていただくと、これは基本だということを口を酸っぱくして全国にご指導申し上げてきたし、厚生労働行政として一貫して、昔は、シルバーサービスという言われ方をしていましたが、これは本当にお年寄りを相手とするサービスなので、いわば社会の信頼というのが非常に大切だということは、政策面でも一貫して、政策を過去トレースして頂いたら分かりますけど、指導して参りました。また、そういう仕組みにも努力して参りました。そういう中で、まさしく今回こういうことが発覚したということで、大変私たちはこのことを深刻に受け止めております。従いまして、こういう一連の対応を示させていただいたというふうに認識いたしております。

(記者)

現在でも企業、利益を求めるべき企業を、介護事業に参入させたという判断には間違いはなかった、また、今後もその方針には変わりはないというふうにお考えですか。

(次官)

これは、いわゆる医療とかそういった業務独占された規制対象の分野ではなくて、介護というのは、ご家庭でもできる、ご家庭で一般的になされているような行為であると、そして従来から業種としては、家政婦さんといってよろしいんでしょうか、そういうお世話をするということは、自由な領域として行われて参りました。かつて、介護という分野をどのような領域として捉えるべきかという議論がなされましたけれども、これについては、元々自由に行われていたと、誰にでも行える行為ですので、そういう中でそのような通常の家庭で行われているお世話をいわば許可とか規制がなければできない業種にしてよいのかという議論がかつて行われれまして、それは過剰規制であろうと、そういう議論を経て、従って、元々その分野の参入というのは許されてきたわけですけど、そういう分野の参入というのが適正に行われるように、例えば介護福祉士制度を導入して従事する方の資質というのを安定化させていく政策をとったり、それから介護保険が導入された時点におきましては、介護保険の許可の対象として一定の基準を守ることといった形で、サービスの質の確保をしたり、そういった形で本日に至っておりまして、これは相当今まで歴史的にとことん議論されて今日に至ってきた、また法的にそういう位置づけのもので、また、私は、このようなお年寄りに対するサービスというものを株式会社であろうが、利用者に対して誠心誠意良いサービスをして、活動するというは、企業の当然の責任であると思います。そういう観点からそういう活動をする企業であるべきであるし、そのような企業が育つような国であってほしいと私は思います。そういう観点から、そういう企業に適正に今後とも活躍していただくと、本当にお年寄りのために貢献している企業が活動すること自身、そのことを否定する必要はないと思います。

(記者)

先週の通知と、行政指導を受けて、その後のコムスンとして、昨日初めて正式な今後の方針について厚生労働省に説明があったと思うんですけども、今後の対応方針についてどのように受け止めていらっしゃいますか。

(次官)

基本的に、コムスンが報告された方針というのは、これまでの当方の行政指導に沿っているということとして認識いたしております。従って、この行政指導の方針に従っているということの認識の下において、何度言っても大切な言葉ですけれども、利用者への適切なサービスの確保ということを最優先課題として、粛々と今後事業の引継を行っていただけると思います。

(記者)

コムスンからは、同業者への一括譲渡が望ましいというような話が昨日あったと思うんですけれども、そのことに対してどのようにお考えですか。

(次官)

これは基本的には、私ども先ほど申しておりますように、利用者のために適切なサービス、良いサービスが行われるということが絶対に私どもの基準でありまして、そのような基準をクリアしていただけるということを前提として、それ以上のことについては、私どもコメントをするべきではないと思います。

(記者)

今日から年金記録問題の検証委員会が、第1回が開催されるんですけれども、この検証委員会に対して厚労省としてどういう姿勢で臨まれるのかということと、次官ご自身がこの記録問題について厚労省、社保庁としてどういう責任や問題があったというふうにお考えかということをお伺いしたいんですけれども。

(次官)

これはまさしく総務省という外部の役所にまた、有識者がお集まりになってこれから検証されますので、評価というものは、本当に粛々と外部のところで行われる、そしてその行われることに我々はその評価を受けなければならないということで、我々がとやかく自ら一つの考えを述べるということは、差し控えるべきだと思います。この件について、記録の管理ということについて、本当に年金の記録というのは国民の皆様の大切な財産、その財産を守るという観点から見たときに、皆様が申請でこちらにおいでになればいいんだという姿勢にとどまって、長い期間をかけて年金というものにつながっていくという記録をこちらから必死につなぎ、結びつけ、年金受給権にしようとする努力が不足していたと、足らなかったということは、本当に反省しなければならないと思います。改めてこの席で皆様にお詫び申し上げたいと思います。

(記者)

そのことに関連してなんですが、年金相談ダイヤルですとか、国民向けのいろいろな相談体制に関して、社会保険庁がいろいろな体制を組んで、次々と方針を示しているんですけれども、例えば、一昨日の会見の中では、電話相談窓口300人増やしますというようなお話だったんですが、翌日までにやるという趣旨で確か会見では言っていたんですけれども、結局300人という体制は整えきれず、約半分の体制であったりとか、また、電話相談員の窓口の人も、いわゆる派遣契約を結んでいらっしゃる方で、なかなか年金問題に対して習熟をしていない方がいると、こういった、いわゆる、なかなか国民の不安をしっかりと解決できるような体制が整っていないような気がするのですが、そのことに関して次官はどのようにお考えですか。

(次官)

私が認識しておりましたのは、記者会見の中身を一つ一つ確認しておりませんが、まず、その時の記者会見で私どもが申した方針は、明日以降、当面300席以上ということで、明日すぐ300ではなくて、明日以降、当面まず300だということで、現にその次の日に一定の数字を増やして、さらに着実に増やしていくということですので、その点はそういうお話ししたことが直ちにできなかったということでなく、その予定どおりに進んでいるということについてはご理解いただきたいと思いますが、ただ、習熟していないとか、そういった点については、私どももこれは本当に申し訳ないことでございますけれども、急速に国民の皆様の年金の記録についての不安というのが広がる中で、最善を尽くさなければならない。現場の担当者の方は、マニュアルというものをきちんと作ってお願いをし、また、難しい事例については、バックアップシステムというものを持っておりまして、それは、何と言いましょうか、こちらのプロがバックアップするシステムになっているはずでございまして、本当に今の状況を、国民の皆様に本当にご不安をおかけしていることをお詫び申し上げますが、当方としてもできることは必死にやらなければならないという気持ちでやっておりますので、そこのところをお察しいただきたいと思います。

(記者)

さっきの検証委員会の件なんですけれども、検証委員会で出てきた結論というのを、厚生労働省としては全面的に受け入れるというふうなお考えでいらっしゃるわけでしょうか。

(次官)

私は、検証委員会の結論に対して、私どもが何かおこがましいことを言うというようなことはあり得ないことだと思います。

(記者)

歴代の厚生労働大臣や社会保険庁長官の責任を問うというふうに報道されているわけですけれども、その点については、それは必要なことであるというふうにお考えでしょうか。

(次官)

私は検証委員会のご判断を待ちたいと思います。待つと言いましょうか、ご判断の問題であり、私どもが僭越なことをそれについて申し述べるべきではないと思います。

(記者)

今回の年金記録の問題に関して、塩崎官房長官もしくは官邸の方から、何か指示というのは来ていますでしょうか。

(次官)

国民の皆様の不安を一刻も早く払拭するように、なすべきことを全てせよと、もちろん、まず年金を受給されている年齢の方々に対して、一刻も早く確実に記録の突き合わせをして、一つ一つ解決していく、そして、本当に全ての人に年金に結びつく努力をすると、この道を着々と歩むようにしつつ、かつ、当面の相談について、あらゆる努力をするようにというご指示を受けております。本当に私ども、官邸のご指示を受けて懸命に努力をしなければならないと思っております。

(記者)

昨日、年金問題なんですが、国会で、大臣の答弁で明らかになったんですけれども、サンプル調査の問題で、そもそも4件と発表されていた入力ミスが、新たに5件、大臣の答弁の中で、名前の入力ミスが明らかになったということがあって、野党の方が、情報をそのまま開示すべきところなのに、年金記録に関係あるところだけを発表したという形で、社会保険庁の情報の開示の仕方に、信用できないというか、そういう声が上がっているんですけれども、そのサンプル調査の問題に対して、情報の開示の仕方について次官のお考えをお聞かせください。

(次官)

まさしく実務的な問題として、社会保険庁サイドで行われたことなので、その過程そのものについて、私はコメントする立場にありませんが、基本的にこれほど重要な情報ですので、全て求められれば開示をするという大前提であるということであると思いますので、現に、何と言いましょうか、その基礎となったデータを公表したわけですが、そういうものを隠すという意図でよもや通るというような認識で、隠しているということではないと私は思います。そういう中で、いわば、おのずから記録を移し替える時に、最も基本的な年金額に関わる部分と、それから、濁点がついているついていない、あるいは、納付そのものに、年金額に関わらない、聞いていますと、技術的な観点から、その違いというものをあまり問題にしなかったといったところ、そういったところがあると私は聞いておりますけれども、そういうものについては整理をして、年金額に関わる部分を整理したというふうに聞いておりますが、いずれにしろ、現にご提出させていただいて、また、国会でご議論されているというわけで、それを積極的に隠すという意図で、そんなことは通るものではありませんし、そういう気持ちでこの整理をしたとは、私は思っていません。

(記者)

作業能力が足りなかったというご認識ですか。

(次官)

一般的に今の状況ですね、今、大変な状況になっておりまして、こういう公の席で言うことは、何と言うか、気をつけてものを言わなければいけないと思いますが、体力的にも、今、社会保険庁のこの問題に当たっている本庁職員は、限界に近い状況でがんばっていると私は思います。そういう観点から、本当に我々、本当に不届きな点が、不行き届きな点があったと思いますけれども、今後ともしっかりとがんばりたいと思います。

(記者)

今回、この記録問題を取材していると、社会保険庁の現場とか、歴代の社会保険庁長官から、問題の所在さえ把握していなかったという声が聞かれるんですけれども、次官ご自身は年金行政にも長く携わってこられたと思うんですけれども、この問題について、どういうご認識があったかということをお聞かせいただきたいんですけれども。

(次官)

何と言いましょうか、記録の問題というものについて、一般的に、これは結果から見れば、認識が甘かったと、組織として、本当に国民の貴重な財産である記録というものを、いかに大切に扱うかということについて、私どもはこれまでの認識が甘かったと、不足していたということは反省しなければならないと思います。

(記者)

今回の問題の対応についてかかる経費について、官邸側はとりあえず社会保険庁の予算の削減でやるようにというふうな話が出ています。体制を大幅に強化するですとか、窓口を開ける時間を広げるとか、考えると、果たして実務的に、財政的な支援がなくてできるものかどうかという疑問があるのですが、どうでしょうか。

(次官)

まずもって、本当に国民の皆様の不安が少しでも早く払拭されるように、なんであれ手を打たねばならないという状況にあると思います。そういう中で、また、やりくりもしなければならないということで、その点、まず、だからそういうことをやれないということは許されませんし、一方において、必死にやりくりもしなければならないしというのが、今の状況だと思います。

(記者)

システム開発とかでお金がかかると思うのですが、予算があまりもらえないというようなことで、また中途半端なものにして、おかしなことになるというよりは、きちんと今回徹底的にやった方がいいと思うのですが、お金の問題とそういうことでいろいろ厳しい面もあると思うんですけれども、そういうことについては、お金よりも対応を重要視するということでしょうか。

(次官)

私ども、国民の皆様の大切なお金について、何と言うか、まずまずやらなければならないことを、最大限、本当に徹底してやるべきだと思います。そして、まず徹底してやるという中で、大切な税金との関連において、われわれも必死に説明しなければならないと、この二つの言葉に尽きるわけでございまして、そういう認識に立って、一所懸命努力をさせていただきたいと思います。

(了)


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