定例事務次官記者会見概要

(H19.06.07(木)14:03〜14:28 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)
   今日の次官会議案件は、当省関係のものは特段ありませんでした。ご質問にお答えしたいと思います。

《質疑》

(記者)
    昨日、厚生労働省は、コムスン社に対して更新をさせないという通知をし、そして、それに対してグッドウィルグループが譲渡するという手段に出ました。それに対する次官の率直な評価、今後の対応についてお願いいたします。

(次官)
   まずもって一番大切なことは、法令遵守であると。私どもこの介護保険というものが導入されて、そういう中で、民間のいわば会社形態の介護サービスというものが参入してきたわけでございますけれども、本当に国民の皆様に必要な、しかも内容的にしっかりとしたサービスを行っていただきたいということを大前提としていました。そういう意味で、法令遵守がなされていなかったということは、国民の皆様に必要な本当に安心のできる介護サービスを行っていただくという大前提条件を欠いたわけでございますので、ここの点は、従来よりいっておりましたとおり、しっかりとしたチェックを行わなければならない、そして、本当に国民の皆様のために良いサービスを法令を遵守して、提供していただくという方向にしていかなければならない。それが今回の対応の基本原則でございます。そうなりますと、法令遵守という中で、まず、この事業所が更新されるまでが一番早くて来年の4月と聞いておりますけれども、それまでの間は、サービスを提供する義務が法律であるわけでございます。そしてそれが困難な場合には、他の事業者への斡旋を含め、本当に利用者の皆様がお困りにならないようにつないでいくという法令上の義務があるわけでございます。従って、私ども、そういうことをきっちりと守っていただくということ、また、そういう中でその地域によって混乱が起こるおそれがあるときは、自治体の方にもきちっとした受け皿というものを整備していただきたいという前提で今回対応しているわけでございます。従いまして、まずこのことをしっかりやっていただくと、その上での話だということで、まずこのことをしっかりしていただくということを強くご指導申し上げさせていただきたいと思います。以上でございます。

(記者)
   新聞報道をみますと、グッドウィルグループが、厚生労働省が、事業譲渡について了解したという記事が拝見できるのですが、それについては。

(次官)
   私は、担当局からそのような報告は受けておりません。

(記者)
   今の事前了解はなかったということですが、具体的にコムスン側から事業譲渡の話を聞いたのはいつか、コムスン側の動きを見ると事前に準備をした上で事業譲渡の話をしているわけでありますから、どういう交渉過程で相手方に今回の処分なり、更新させないという情報が伝わったのか、その向こうとのやりとりの経緯を教えていただけませんか。

(次官)
   すいません。そこは詳しく、ちょっと最近大変いろんなことがある中で、原局の方から聞いておりませんので、改めて、何らかの形で原局の方から説明させたいと思います。

(記者)
   できればこういう状態ですから原局の方に会見されるなり、経緯についてきちっとやっていただかないと、コムスン側は、厚労省と十分相談してやったと、了解も得ていると、はっきり言っているわけですから違うなら違うと一度オフィシャルに会見して提示してください。

(次官)
   いずれにしろ、この問題について説明をさせます。

(記者)
   同じグループ内の別の法人ですけど、同じグループ内の会社に譲渡したいという方針が、コムスンというかグッドウィルグループの方は、明らかにされているのですけれども、別の法人とはいえ、同じグループ内に譲渡するということについては、どういうふうに考えていますか。

(次官)
   何度も申しますように、私は、この問題というのは、まず今の状況というものをどのように利用者の方に差し障りを出さないで移行するかということを第一番でありまして、そのことをまず私は明らかにすると、そして、国民の皆様に心配のないようにするということが第一義で、私はそのようなことについて、今申しましたように、どのような経過がそれについてのやりとりがあったかということは聞いておりませんが、このことを明らかにした上での話だと思います。

(記者)
   先ほど国民にきちんとしたサービスを提供するためには法令遵守が最低条件であるというふうにおっしゃられまして、同じグループの別法人ということになると、少なくとも外部からみたときには一体であると、そのままにすぎないと、そういう風な脱法的な行為を平気でやるようなグループがちゃんとしたサービスが提供できるなら続けてもいいよというような姿勢では納得が得られないのではないかと思うのですが。

(次官)
   いずれにしろこの点、大変大きな議論、あるいは皆さんのご心配というものをいただいておりますので、そういうことについて原局とよく打ち合わせをして、更に考え方を何らかの形で申し上げたいと思います。

(記者)
   そうすると、現段階では、昨日の解釈と同じということになるのですか。

(次官)
   現段階で示したことというのは、私は、原局の方からこの問題について何らかの判断を示しているというふうに聞いておりませんが。

(記者)
   譲渡した後も認める。

(次官)
   とかいうようなことについてですね。何らかの判断をしているとは、私は聞いておりません。

(記者)
   譲渡を認めないというような法律上の根拠というのはあるのですか。

(次官)
   そこまでは、法律からは明らかではないと思います

(記者)
   明らかではないと。

(次官)
   法律からは明らかではないと。

(記者)
   そこはそのまだ、国民の安心の観点から、そこは、議論の余地があるということですか。

(次官)
   その点、私どもよく精査して、原局とよく打ち合わせしたいと思います。何度も申しますけれども、まず義務を果たしていただくということは、絶対優先だと思います。そういう意味で義務を果たしていただくということについて、きちっとした対応というものについての方針も伺わなければならない、そういった状況の下でありますので、この点についてもそういうことをきちっと果たしていただくということを第一とした上での議論であると、そしてそれについては、今言いましたように、法律からは明らかではないと思いますけれども、よく原局と対応について打ち合わせをしたいと思います。

(記者)
   利用者のスムーズに、例えば他の事業所に、今出ている仲介サービスでもいいんですけど、利用者がきちっと継続的にサービスが受けられるということが計画上コムスンから示されるのであれば、それはどこの法人が受け継ごうとそこは問題になるものではない。

(次官)
   その点は、そもそもグループ内というようなことが伝えられていると聞いておりますが、それがどのようなものなのかとか、詳細なことはまだ私ども承知していないと聞いております。ですから、その辺り、まだ詳細を聞いていない段階でとやかくコメントをいうのは差し控えたいと思いますが、何度も何度も言いますけども、まず国民の皆様に対して法令遵守をすると、そして、その法令というのはいわば、いい加減にサービスというのをやめてはならない、困難な場合には、きちっとサービスを他に引き継ぐって国民の皆様のサービスに支障が生じないようにしなければならない。まずこのことをしっかりとやっていただくことが第一だというのが今の段階でございます。

(記者)
   そうしますと、一応7月末までに計画書を出しなさいというような通知だったと思うんですけどね。そうするとそれを待たずに譲渡しますというのを発表されているわけですから、それを待たずにどうなっているんですかというところは、厚労省としても。

(次官)
   よく聞いて欲しいと思います。原局もどういうおつもりなのかということは、よくよく詳細は私は分かっていないと聞いていますので、当然そういうことについて事情を聞くべきだし、まず私どもで今の考え方をまずどう守ろうかということが大事だということを当然お願いしなければならないと、指導しなければならないというのが今の状況でございます。

(記者)
   確認ですが、それはあくまで7月末という期限を待たずに、できるだけ早いうちにその譲渡ということを含めた聴取を行うということでよろしいですか。

(次官)
   それについては、私どもそういう譲渡を行うという情報そのものを正直、私、まだ詳細聞いておりません。

(記者)
   でもその部分を厚生労働省として公式に情報収集できない限りは、国会も世論も結構それでもうごたつきぎみになって。なんか。

(次官)
   そこは、今言った状況に私どもの認識は尽きるので、そもそも譲渡というものがそういうことで動いているのかどうか、よく原局にまず事実関係把握するように、今やっていると思いますけれども、させたいと思います。

(記者)
   国会でも分からないよと言っていますが、東証の適時開示ではやるというのをオフィシャルなところで発表して紙もまいているわけです。昨日の夜の話です。そして、それであるならば向こうにすぐに確認してですね。原局の方が。今日の夕方にでもきちっとどういう理解なのかちゃんと会見してください。

(次官)
   おそらく私は、急いでいると思います。

(記者)
   実際グループ経営の会社が介護の事業に参入している現実がある中で、こういう事態に介護保険法そのものが全然対応できないというのは、法律ないしは法令自体の立て付け自体に不備があるというご認識はありますか。

(次官)
   不備があるのか、法令の運用で適正な運用が可能なのか、そのようなことを含めて、原局が事情をお伺いすることを含めて、今の今、検討していると思います。

(記者)
   グループ会社のことで恐縮なんですけれども、厚生労働省としては、今いろいろと調査をされているところだと思うのですが、実際に指定を行う都道府県の中には、グループ会社に譲渡しても新規の指定を受け付けないと明言されている、例えば和歌山県ですとかあるのですが、そういうような自治体の対応についてはどのように考えていらっしゃいますか。

(次官)
   ちょっと正確に今の情報を聞いておりませんので、よく聞いて、おそらく行政指導として、今の今、調べておりますし、どのようにこれについて判断を下すかということとの関係もあると思いますので、その一連の問題として、今後方針を出すということとしたいと思います。

(記者)
   昨日の委員会で明らかになった1,400万件、コンピュータに入力していない記録が見つかったということで、国民の不安も広がっているところだと思うんですけれども、この件についての次官のお考えをお願いしたいんですけれども。

(次官)
   この1,400万件、1,430万件のお話というのは、29年4月1日前、いわば厚生年金保険法が旧法から新法に変わりました時に、昭和17年に導入されて、12年間という間の短い期間の記録なんですが、これについて、さらに34年4月1日以降、また厚生年金に入られれば、それはつなぐと、そして、それがオンライン記録に入っていくというシステムのものとして、適正に管理されていると、そして、その記録はマイクロフィルムとして保存されているということとして、これはまさしくはっきりした対応関係がわかっている記録であると理解をいたしております。そして、新たに入った時に、番号が一緒であれば確実にこれはつながっているという理解をしておりますが、仮に番号が違う時につながっていない時は、普段の相談、あるいは、その裁定請求の時に、それは結ばれていると、年金に反映されていると、そういう記録であるという理解でございまして、何と言うか、中身がわからないというのではなくて、わかった記録について、そういう事務の流れになっているということですので、あとは、マイクロフィルムと、それから、オンラインデータというものは、きちんと相対で確認できるのか、できているのかというところを、もともとマイクロフィルムとオンライン記録の突合というのをこれから行うことになっておりますので、優先的にきちんとそれを行うということとして、この記録をよくよく確認をしていきたいというふうに今考えております。

(記者)
   従来は、完全オンライン化が88年ぐらいでしたっけ、昭和63年ぐらいから出された、実行されたというふうに言われていたんですけれども、要するに、オンラインに入っていない記録があったというと、それは正確な表現ではなかったということなんでしょうか。

(次官)
   私が聞いておりますのは、そもそもこの記録というのは、34年4月以降入ってつながっているものと、いわば29年4月1日前に喪失したままになっているという記録、これ二種類あって、その後者の記録については非常に使われることが、いわば年金の給付記録として使われることが、非常に可能性が低いということで、これは議論の上で、34年4月1日以降に入ったもの以外のものはマイクロフィルムで保存し、しかも、カセットというものがついているそうですが、それによって検索できるようにしているという形で位置づけてきちんと保存してきたものというふうに聞いております。

(記者)
   オンラインではないということで、オンライン化された記録と比べてやはり検索が難しいと、昨日、社会保険庁の会見もあったんですけれども、かなり頻繁に使っている記録であると、使用頻度が低いというふうに先ほどおっしゃいましたけれども、かなり頻繁に使っているので、そういう記録を忘れることはあり得ないということをおっしゃっていたんですよね、担当の方が。であれば、やはり正確に、受給者の被保険者として払ってきた保険料を年金に反映させるという観点からはやはりオンライン化するべき内容のものではないかというふうに思うんですけれども、どうお考えでしょうか。

(次官)
   そこはおそらく記録の性格、位置づけ、それから、オンラインにのせる必要性、経費、いろいろなものを総合的に判断して、当時相当きちんと議論した上で、そのような措置をとったということと聞いておりますので、その点いかにその時からのいわば仕組みということが正確にワークしているかどうかというところが一番のポイントではないかというふうに認識しております。

(記者)
   1,430万件なんですけれども、昨日の会見では、どの記録が統合されていて、どの記録が未統合なのかわからないというふうに言われていたんですよね。そういうふうに、だから理屈から言えば、ツールがあって、その中で、必要なものをその度ピックアップしていっているんだから、要するに、後がどうなっても正確にやれるという見方もあるかもしれませんけれども、やはりちゃんと亡くなった人のものは亡くなった人のものと、受給に結びついたものは受給に結びついたもの、そうでないものはそうでないものと、カテゴライズするのは間違いのない記録の管理には必要ではないかと思うんですけれども、その点どうお考えでしょうか。

(次官)
   今お話しになっている1,430万件の問題だけではなくて、社会保険庁が保管している記録全体について、基本的に、いわば裁定請求時までにご主張というものがなければ、その記録というものの整理というものをきちんとして、1件1件本当に年金に結びつくものかどうかということについて計画的に精査すると、そして、国民の年金をお守りするという、本当に積極的な姿勢というものが今まで不十分であったということが、もともと今回大変国民の皆様にご心配、あるいは、不安をおかけしている大きな理由であって、この件は本当に反省をし、今言いましたように、5,000万件の記録と昭和29年4月1日前という記録の性格が違いますので、それについての対応のシステムにはまた違いがあると思いますけれども、基本的には本当に年金の受給につながることが欠けることがなかったかという観点から、誠心誠意この記録についても対応を進めていかなければならないと思っております。

(記者)
   確認ですけれども、要するに今5,000万件というのが未統合の記録として問題になっているわけですけれども、今回の1,430万件とは性格が全く異なると。

(次官)
   全くと言うか、何と言うか、5,000万件というのはいろいろなものが入っていると、言ってみれば、資格に結びついていない方とか、死亡した方とか、いろいろなものが入っているという記録でございますが、29年4月1日前の記録というのは、それまでの加入者で資格喪失をしている、34年4月1日以降つながる人はつなげているという前提で、しかも、それを記録を管理して、後々必要な時には検索できるようにして保管しているという、その位置づけの明確にわかった記録ですので、その中で、本当につながらなかったものがあったかどうかという検証がどこまでできているのかということは、今申しましたように、私どもの努力が本当にできていたかというところで、私は反省するべき点があると思いますが、しかしながら、その記録の性格と位置づけというのが非常に明確になっておりますので、5,000万件とはまた性格の違うものだと思います。その点、本当にそういう結びついていないものがあるかどうか、今後どのようにそれを検証していくか、今まで、もとより記録に結びつくか、年金で支払い漏れがあってはならないというために、これから本格対策を打ちますので、当然その中でこの問題は扱われるべきものとして認識をしております。

(記者)
   その前の質問で、次官がこの記録について対応を進めていかなくてはならないというのは、1,430万件についても入力する、あるいは、精査した上で入力するという作業をやるということなんでしょうか、そういう意味でしょうか。

(次官)
   これはオンラインに入力する必要があるかどうかは、私は別問題だと思います。これは当時議論をして、整理をして、しかも、何度も申しますけれども、34年4月1日以降加入した人についてはオンラインにつなぐという方針を決め、そして、前のものを検索できるようにして保管するという一つの整理をもって、持ってきた記録ですので、オンラインに移さなかったということがその当時甘かったとか、そうでなかったとかいうような議論はまた別の議論であって、私どもその点は当時明確にそういう判断をして、整理をして、そう認識してきた記録であるというふうに理解をしております。

(記者)
   コムスンのことで確認なんですけれども、グループ内の企業への譲渡を認めるか認めないかについても、まだ決めていないという理解でよろしいですか。

(次官)
   まずこれよく事情を聞いて、これをどうするかということについて、一つの判断が求められるという認識に立って、今の今と申しましたけれども、原局はいろいろな検討をしていると認識しております。その点、これからの判断の問題だと思います。

(記者)
   これからの判断ですね。

(次官)
   はい。

(記者)
   その件で、原局は、先ほども次官がおっしゃっていましたけれども、法解釈上はやむを得ないというようなことを言っていたんですが、では、そうではないということなんですね。やむを得ないということではないと。

(次官)
   そこはまだ、恐れ入りますが、精査をしているということで、新しい判断を今の私の段階でその判断を示す段階ではないということで、今しばしお時間をいただきたいと思います。本当に今そこのところを検討していると思います。

(記者)
   1,430万件なんですけれども、オンラインに入力する必要があるかどうかは別として、移されている記録とそうでない記録をもう一度調べ直して、未統合のものに関しては統合させるという意思があるということでよろしいですよね、確認なんですが。

(次官)
   未統合で、年金の額に反映すべきものがあるものについては、統合されるように今後最善の努力をしなければならないと思います。

(記者)
   そのためには調べ直さなければいけないと思っていらっしゃるということですね。

(次官)
   それをどのような方法でやるのかというところは、これから整理をしていきたいと思います。

(了)


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