定例事務次官記者会見概要

(H19.05.10(木)14:02〜14:11 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

本日の次官会議は、一つは私どもの案件では、ILO第96回総会の使用者側代表、労働者側代表等の指名を、明日の閣議で了承得られればということで、行いたいということで、日本経団連会長御手洗さん、あるいは日本労働組合総連合会事務局長古賀さん等の方々の了承を頂きました。明日、閣議があれば、正式指名ということになります。以上でございます。何か質問あればお答えします。

《質疑》

(記者)

前々からこの場でもお聞きしているのですが、本日、熊本で赤ちゃんポストの運用が始まりましたが、改めて厚労省としての考え方をお聞かせ下さい。

(次官)

再三申し上げたように、お子さんを捨てるということは本当にあってはならない事だという認識でやって参りました。これを機に、そもそもこの話は、そういう基本的な認識の下で考えなければならないと、私ども、通知でも本来あってはならないことなんだという考え方をお示しておりますが、こういうことを通して国民に理解が深まるように、したがって、このようなものを使う前に、本当に相談をして欲しいと、現にそのような運用をするように現場では配慮されていると聞いておりますが、本当にそのようにあって欲しいということで、私どもこの問題を取り上げていきたいと思います。いずれにしろ、この施設の運営状況については、こういった経過での対応ですので、注意深く見守って参りたいと思います。

(記者)

医師不足、偏在の問題なんですが、自民党、公明党の方で本格的にですね、検討するという形になっておりますが、厚労省としての今現在のお立場もしくは検討しているようなことがあればお聞かせ頂けませんか。

(次官)

医師不足そのものについては、私ども大変深刻な事態だという認識をまず持っております。したがって、この問題については、最大限の努力をしていかなければならないということで、今まで何度か、対応をさらに深めようという対策を、ご承知の通り、明らかにしてきた、あるいは19年度予算でも相当積み増しをした、ということでやってきております。それからまた、この度、我々事務方の検討状況でございますけれども、この問題の基本的構造というのは、病院と地域の医療の関係、あるいは、より地域で総合的な医療を行える体制を開業医をはじめとする地域医療の方でとっていただく、そうして、病院そのものに対する負荷、急性期の病院に対する負担を軽減していく、あるいは特に産科で問題にされているような刑事事件にも発展するような状況というものに関して、原因究明制度を早く確立するという構造的な対応をしっかりと行っていくというのが基本で、それに加えて当面の対策をできる限りのことを次々行っていくというのが基本的な対応の認識でございますが、そういう中で政治がこの問題を大変重要な問題であるという位置づけをされたというふうに認識しておりまして、与党の方においても国民の皆様の声、あるいは現場の声を、政治家の立場からよくご存じだと思いますので、そういう意味で十分な議論をしていただいて、さらにできる対応については私どもとしてもそういう状況を踏まえながら必要なことをさせていただきたいと思います。

(記者)

政治の方からは、新法も検討するべきではないかというような発言も昨日あったわけですが、それについてはどのようにお考えですか。

(次官)

私ども、現段階で、事務的にはそのような検討はしておりませんが、いずれにしろ、与党の方でのご議論というものを見守りたいと思います。

(記者)

先ほど東京地裁で、神戸市の産婦人科の医師らが、日本産科婦人科学会の会告で受精卵診断を制限し、事実上禁止しているのは憲法違反にあたるなどとして、学会の会告の無効を求めている裁判の判決がありました。基本的に原告側の請求はいずれも棄却ということで、原告側敗訴ということなんですが、医療行政をあずかる官庁として、この裁判の感想と、今後、国として受精卵診断について何か運用指針などを作るお考えがあるかどうかお聞かせ願えますでしょうか。

(次官)

先ほど結果を聞きましたが、これは基本的には民間における訴訟の問題ということで、訴訟そのものについてのコメントは差し控えたいと思いますが、一般論といたしまして、この着床前診断について申しますと、現在の日本産科婦人科学会の会告、これは着床前診断というものが受精卵の段階での、いわば生命操作にもつながるというような大変重大な事項でございますので、医師として守るべき一線を維持するという観点から、今後もこの学会の会告というものに基づき、慎重に対応するべきものだというのが私どもの基本認識でございます。今後ともそういうことで、関係者がそういう理解をもたれると考えておりますけれども、いずれにしましても、この問題というのは、今言いましたように本当に生命倫理に関わることでございますので、学会を始め、まず私ども今言った認識で関係者おられると思いますが、まずもってこういうことについて国民的なコンセンサスを、学会を含めて、より深めていくということは今一番必要な状況ではないかと思っております。

(記者)

国民のコンセンサスを深めるために、例えば、新たにまた審議会を行って、この問題について議論するとか、そういったお考えはないでしょうか。

(次官)

私ども判決の状況から見ましても、この問題というのは、決してこの問題を軽視しているのではなくて、本当に慎重であるべきだということについて十分なコンセンサスがあるのではないかと、今のところは見てとっております。そういう意味で、粛々と今の現状というものが定着するのが、私どもはよろしいのではないかと思っているのですが、本当にそうでないという議論が出るのであれば、まずもってそれについては学会を始め、もう一度よく確認的な議論をしていただきたいというように思いますが、私どもは何度も言いますように、この問題ということについては、現在の会告というものに基づいて慎重に行うべきだというスタンスについて、コンセンサスがあるものだと考えております。

(了)


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