定例事務次官記者会見概要

(H19.02.22(木)14:05〜14:18 省内会見場)
【広報室】

《次官会議等について》

(次官)
   本日の次官会議は当省案件特段のものはありませんでした。ご質問があればお受けしたいと思います。


《質疑》

(記者)
   幹事から二点、まず一点目は出生率なんですが、去年一年間に生まれた赤ちゃんの数が112万人あまりということで、出生率が1.3を回復する見込みになったということでありますが、この受け止めと今後の対応についてどのようにお考えか、お聞かせ願えますか。

(次官)
   基本的に、現時点の数字というのは速報版ですので、確定的な数字というのは今年の6月になるということですが、少なくとも今の段階で、今ご指摘ありましたように平成18年の合計特殊出生率が1.3台にのる可能性が高いという状況が出てきているということでございます。ただ、出生数の増加については、平成17年の減少数の3分の2ぐらいまで戻っているということで、減少傾向というものは変わらないということから、今後の少子化傾向という基調そのものには変わりはないという判断でございます。そういうことから、一層、私ども、これまでの少子化に対応する様々な施策を強化するという方針について、何ら変わりはございません。

(記者)
   それから、熊本市の病院がいわゆる赤ちゃんポストの設置を計画していますけれども、厚生労働省として基本的なスタンス、この問題にどう対応しようとお考えなのか、見解をお聞かせ願えればと思います。

(次官)
   もともと、親がお子さんを遺棄するということは本当にあってはならないこと、これは誰もが思うことであります。一方において、そういう中で、子どもの命を救うという観点からこういうものが必要だという考え方があり、熊本ではこういう話が出ているわけですけれども、私ども今言いましたような基本的なありよう論から考えると、本当に正直言って悩ましい問題だなというのが率直な印象でございます。ただ、現実問題として、赤ちゃんが遺棄されて、死亡しているという事件が現実にあるという中で、いわばお子さんの安全というものを守るということは大変大切なことであるという中で、私ども今回については、十分な配慮のなされた形でこのようなポストを作るということについて、具体的には、医療法上の構造設備基準に係る変更許可を認めるかどうかということになっているわけですが、これを認めないという合理的理由はないと、今言ったような児童福祉法等に違反するものではありませんので、そういう認識を我々は持ち、熊本市にお伝えしているところであります。いずれにいたしましても、赤ちゃんを、お子さんを遺棄するということは本当にあってはならないことであって、そういうポストを設けましても、いろいろな掲示とかの仕方はあると思いますけれども、本当に思いとどまって、児童相談所や市町村保健センターにまず相談してほしいと、そして、お母さんの立場になっていろいろ悩みましょうという気持ちで、本当にそのようなことが起こらないようにするというスタンスを持った上で、このようなことが行われるべきだという気持ちでおります。以上です。

(記者)
   今月16日に、タミフルを服用した愛知県の女子生徒が、服用後間もない時間にマンションから転落死したんですが、現在中外製薬から情報収集とのことですが、事実関係については厚生労働省にどれくらいまで今上がっているのでしょうか。

(次官)
   今月16日の夕方に、愛知県でマンションから死亡した女子生徒が、タミフルを処方されていたということが、私どもが現在までに受けた報告では確認されております。ただ、さらに情報を徹底して収集するように、薬事法に基づいて、製造業者である中外製薬に指示しているところでございます。

(記者)
   タミフルについては、添付文書にすでに副作用として精神症状が現れるという旨が記述されているんですけれども、処方を受けた患者に対する注意喚起が足りないのではないかという指摘もあるんですが、その点についてはいかがでしょうか。

(次官)
   基本的に、タミフルとこの異常行動の関係というのは、皆が心配していることなんですけれども、今までのこの評価というのは、タミフルを服用した死亡事例について、平成18年1月、3月それから11月の薬事食品衛生審議会の部会で公開の審議を行っており、その結果について公表されておりますけれども、タミフルと異常行動による死亡の関係について認める理由があるということではないという認識でございます。17年度の厚生労働科学研究事業においても、約2,800名の小児等を対象に異常行動の発現について調査・研究を行ったところ、タミフル未使用者とタミフル使用者の異常行動の発現について有意な差が認められなかったと、もちろんこれは、今後ともより詳細に検討するために、今シーズンも調査を実施している。こういう状況でございます。そういう状況の下で、一方において、タミフルの服用とその異常行動による死亡というものの関係は今言ったようなことでございますけれども、インフルエンザにかかり、タミフルを飲んだ者に異常行動があったという事実はあるわけですから、そういうことから念のために、そういう、せん妄等の行動が出たときには控えるようにという注意書きを付けるということで書かれているものでございます。そういう状況の下で、私ども、そういう注意書きは、様々な注意書きと共に医療機関として当然それを読んだ上で、また、製薬企業も注意書きを全体をよく読んでいただくようにPRした上で使われていると考えておりますが、今言いましたようなタミフルと、それから異常行動との関係、これは今まで公表された事実がある中で、特にこれだけが他の注意事項以上に留意されるべきだという意味での注意喚起というものはかえって他の問題を軽視することになるということで、全体の中でこういうことがしっかりと医療機関によって配慮されるということとして、理解をいたしております。

(記者)
  先程の赤ちゃんポストの件なんですけれども、変更許可を認めないことはないというふうにおっしゃったと思うんですけれども。

(次官)
   はい、そうですね。

(記者)
  それは、もう分かりやすく言うと、赤ちゃんの命を考えた場合、厚生労働省としては認めるという捉え方で。

(次官)
   本件についてはですね。医療法上の設備構造基準に該当するかどうかということで、これを医療法上認めるかどうかという照会が熊本市からあったわけですけれども、それについては、それを認めないという合理的な理由はないという判断を今回これについては示したということですね。

(記者)
  今、説明されているということですか。

(次官)
   はい、この解釈は、既にお話をもうしているそうですが。

(記者)
  今後、安全が確保された設置の、いわゆる許可が出た場合、これどういうふうに認めていくということに。

(次官)
   私どもは、正直言いまして、親がお子さんを遺棄するということは、本当にあってはならないことだと思います。そういう中で、本件については、病院ということで十分お子さんの安全に配慮されているというような様々な環境の下で行われていることについての判断でございます。そういうことから、今後のことまで、このことから何か一定の方針を出したという意味ではないというふうに理解しています。

(記者)
  今回に限りという。

(次官)
   限りということでもないと、要するに、ご理解いただきたいと思うんですけれども、これによって、一定の方向を出したとすることが、本当によろしいことかどうか、大変心を悩ます問題だと思います。その様なニュアンスをご理解いただきたいと思います。

(記者)
  最終的に法律なんですけれども、どの辺で一番その悩ましかったところというのはあるんですかね。児童・・・。

(次官)
   私が聞いておりますのは、少なくとも児童福祉関係法規に違反しているかどうかということですね。これは、児童福祉関係法規に違反しているということは言えないという解釈ですね。

(記者)
  そのことに関してなんですが、今後のことはちょっとまだ具体化、具体的な話は出来ないかとは思うんですけれども、この取組みに関して、何か運用基準みたいなものをお考えになる余地というのはあるんでしょうか。

(次官)
  運用基準というよりも、本当にポストに置かれたお子さんの、いわば、生命・身体に危険が生じないようにということが、もう第一ですよね。それから、今後とも、このお子さんの幸せというものを考えて、その病院が本当にこのお子さんの幸せを第一にして、様々な対応をすると、こういうことが当然のことだと思うんですね。それは、むしろ基準とか何とかというよりも、お子さんの安全とお子さんの幸せのために、このお子さんの将来をどう考えるのかということに責任を持って行動を取るということは、もう当然のことであると私は考えております。

(記者)
  社会保険庁改革なんですけれども、安倍総理が、分割子会社を作るというものに対して、記者団にぶら下がりでやらないという話を明言されて、この話は事実上消えたわけですけれども、この分割子会社、そもそもどういうスタンスでやろうとしていたのか、ファミリー企業みたいな形になるという懸念も一部出ましたけれども、この総理の決断、こういう結末になったことについて、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。

(次官)
   総理からご判断が下り、また与党の方からも、こういうご判断が下ったので、それにそって行動するということは、もう厚生労働省として当然のことであり、そのように対応いたしたいと思います。ただ、この問題というのは、どれだけ公法人から外に仕事を出していくのかということ一般としての、第三者機関がそれを判断されるわけですけれども、第三者機関が判断される上での選択肢の一つということで、今まで担当部局が検討してきたのではないかと思いますが、そういう意味のものでございますので、これはもうそういう規定を入れないという厳かな判断が下っておりますので、私どもは、当然そういう前提で行うとして、第三者への仕事の出し方を、第三者機関がそのような前提でどのようにお考えになるのかという意味で今後、またご検討をお願いしたいと思います。


(了)

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