定例事務次官記者会見概要

(H18.10.26(木)14:02〜14:22  省内会見場)
【広報室】

《次官会議等について》

(次官)
 今日の次官会議では当省案件あるいは特段の案件はありませんでした。ご質問があればお答えしたいと思います。


《質疑》

(記者)
 社会保険庁改革関連法案の関係なんですけれども、与党の幹部からいろいろな発言が出ているんですけれども、廃案だというような見方が与党からかなり出てきているんですけれども、現状どのように認識されているのかを。

(次官)
 これは、私ども政府としては、法案が継続審議とされて国会で審議をされるという段階に至っていると、よく大臣が仰せになりますように、与党あるいは国会の中で十分にご議論いただいて最適なものにしてほしいという基本的認識でありまして、私ども自身から改革案そのものについてコメントするようなことは、差し控えるべきだと考えております。

(記者)
 昨日の中医協で、日本医師会が療養病床のことについてアンケート調査をしていて、独自の試算で4万人が介護難民になりかねないというふうなことを公表されていたんですけれども、それについてのご見解をお伺いしたいんですけれども。

(次官)
 基本的に私が聞いておりますことは、医療必要度1の方が4割程度ですか、中医協の5割程度というのよりも低いというようなこと。それから、医療必要度というものについて現場ではいろいろな議論があると、医療必要度というものがないというふうに言ってよいのかどうかというようなものが実態としてあると。三つ目は、収入が1割落ちているということ。確かこれはアンケート調査の結果という客観的事実の問題ですので、私はそういうふうに受け止めているのですが、そういう指摘があって、その中から介護難民4万人というようなことがあるという報告がなされたと聞いております。そのこと自身についての評価でございますが、基本的には、医療必要度1というのが少ないということについては時点が違うんですね。中医協で出た資料では平成16年9月から10月ですか、これは平成18年6月ですね。ですから、時期が違いますので、その後の状況の変化ということもありますし、直ちにそれが、中医協における評価というものが否定されるべきものかどうかということは別ごとで、これについては、中医協で実態把握という形で行われておりますので、それを見守りたいと思います。私どもは、中医協であれほどのデータとあれほどの議論がなされて、中医協という場で評価されたものというの前提で考えておりまして、今後よく調査というものを見守っていきたいと思います。それが基本でございますが、医療必要度1の方の受け皿がなくて、介護難民4万人というような評価がなされておりますが、中医協でも議論があったようですけれども、中医協でも指摘があったのは介護難民という言葉は非常にセンセーショナルすぎないかとか、あるいは、10%の減収というけれども、これまでの慢性期や急性期と比較しても利益率は高かった、今回の改定で救急や小児、産科を手厚くするには、こうせざるを得なかったというようなご意見があったり、それから、収入が減るから難民を出しますという言い方はいかがかと、こういうような指摘が中医協の委員の中からも出たと聞いておりますが、私どもは基本的に、医療必要度の低い方については、もともと医療の必要度は低いわけですから、いわゆる移行病棟というものに位置づけて、医師の数を減らすとか、コストを落としていくという形で、出ていただくのではなくて、そういう形で受け止めながら、老健施設なら老健施設まで移行していただきたいということをきちんとメッセージとして送っているわけです。そういう状況の下で、そういう方向での検討を是非お願いしたいと思うのですが、おそらく収支で大変だなという所は、医療必要度の低い方が多い所だと思います。そういうような運営をなさっている方が、医療ケア全体で考えて行うべきものですね。今回の医療必要度による診療報酬というのは、今まで一律の診療報酬だったのが、医療必要度が低いものは点数を低くするけれども、高いものは点数を高くすると、そしてトータルとして考えていくということなんですね。したがって、今回は、逆に医療必要度が高い人について、うちはできませんという人が拒まれがちであったのを、むしろ点数をきちんとつけることによって受け入れやすいという環境をつくっているわけです。そういう中で、医療必要度が低い方が多い所で経営が厳しいからというのはいかがかなと。私どもが再三申し上げていることは、移行病棟の位置づけでコストを落としていって、老健施設に転換するという道を正面から考えて、そういう中で、患者さんのことを考えるということを基本にしていただきたいと、そういうような理解でございます。

(記者)
 移行病棟なんですけれども、まだ制度が始まったばかりなんですけれども、日本病院会のアンケートを見ますと、移行病棟に移りたい、行きたいというふうに言っている病院というのが、母数はそんなに多くないんですけど、全体の5%ぐらいしかなくて、8割ぐらいの病院はこれからも重度者を集めて療養病床としてやっていきたいというふうに答えていて、厚生労働省の方針とはかなり隔たりがあるんですけれども、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。

(次官)
 私どもは、医療必要度の高い方が、高い方に応じた療養病床が保障されるべきだという考え方には変わりありませんので、そういう方のために、そちらに向かうということ自身はよろしいと思うのですが、そんなにみんなが向かうほど、そういう方がいらっしゃるのかどうか。それから、むしろ、医療の必要度というのが、ケアとの相対でもあるわけです。例えば、まず食べるケアをして、食べる力を維持すればチューブ類をつけなくて済む。そして、その方がよりその方が心身も健康になり、状態も良くなるということが分かっているわけです。それをしなければ、いろいろなものを付け、そして、その結果、医療必要度が高くなっていくという関係でありますから、むしろ、そうでない方向にケアを行うという政策を我々は行っているわけです。そういう中で、なおかつ必要度の高い方、典型的にはALSのように医療必要度が非常に高い方々が一定いらっしゃることは間違いないと思いますので、その方は、きちんとした体制でやっていただいきたいと思うのですが、私どもは、やはり、そういうこと全体を見通して、そういうケアシステム全体がそういう方向に向かっていくと、その転換も23年度末までに転換していただいたらよいのだと。そして、そのプロセスとして、そういう段階的なプロセスで、コストを落としつつ経営も安定させながら、患者さんをきちんと処遇しながらそちらに向かって欲しいというメッセージを送っていますし、私ども、地域ケア構想を、そういう本来地域の中での後期高齢者が本来どういう方向に向かって欲しいか、そういう方向に向かうためには、医療機関の役割分担の下で、療養病床は、どういう方向に転換していくのがいいかということを、より地域ごとに明らかにしようとしておりますので、そういうことを通して、医療機関が療養病床のあり方について、それぞれの方向を適正に選んでいっていただきたい。何度も申し上げますけれども、そのプロセスで、医療必要度が低いからといって、それはその方々を、だから退院していただくということにつながるかどうか、これは別のことだというように私どもは思います。そういう転換のプロセスの中で、きちんと必要な方は受け止めながら、適正に転換をしていっていただきたい。私どもは、追い出しというものがあってはならないと本当に思います。

(記者)
 E型肝炎についてお伺いしたいんですけれども、北海道の東部で、3月に、豚の内臓を飲食店で食べた人が何人か感染したという事例がありまして、同じようなケースが2004年にも北見市で6人の集団感染がありまして、ウィルスをそれぞれ比較したら、同一のウィルスが検出されたということらいしいんですけれども、おそらく1つの可能性としては、付近の養豚場から出荷された豚肉が感染源になっていることではないかという指摘もあるんですけれども、これを含めて、例えば、感染ルートの調査や安全対策について、地元の自治体、保健所への周知も含めて、厚生労働省としてはどのようにお考えでしょうか。

(次官)
 この案件そのものは、18年3月に北海道で発生して、感染症法に基づく届け出がE型肝炎患者について行われて、その関係自治体が、これは地元自治体の責務ですけれども、調査を実施した結果、その感染源や感染時期、施設等を特定することが出来なかったというふうな報告を受けておりますが、それはそれといたしまして、E型肝炎というのは、15年8月1日にE型肝炎ウィルスの、この場合は、生シカ肉を介して食中毒が出まして、それにつきまして、E型肝炎についての食肉を介するE型肝炎ウィルス感染事例についてということで、E型肝炎について、こういうものであり、こういうことに留意すべきだという通知を発しております。そして、それはホームページでも載せております。E型肝炎そのものは、いわゆるキャリアにならない、いわば慢性化しないと言いますか、一過性のものなんですね。一過性のものというE型肝炎の性格そのものもBやCと全く別のものですし、どう予防するかという意味では、生の食肉に含まれて、それが感染することがあるということが書いてありまして、いろいろなものについて、こういうふうに気をつけなさい、こういうことであれば大丈夫です、という情報を流しているわけです。この問題というのは、そういう生肉を食べないということによって防げる問題であるというふうに理解を致しております。もちろん、豚のレバーというのは、生で食べるとこういうものに感染する恐れがあるというのは明らかでして、火を通して食べなければならないということを言っているわけです。そういう意味で、E型肝炎についても、もっと今言ったようなことは、全部明確であり、示しているわけですけれども、さらなる注意喚起をするかどうかについてはこの際検討してみたいと思います。生の豚肉を食べるとそのリスクがある、生のシカ肉もそうですね、この通達を通した留意事項で出ております。

(記者)
 社会保険庁が実施した年金の相談で、年金記録ミスというのが2万件を超えるという数にのぼってくるということなんですけれども、これは、もともとそういう指摘があって始めた相談ではあると思うんですけれども、かなり数が多いのではないかと思うのですが、これについて、今後どういう対応をとるべきだと思われますか。

(次官)
 私も、これは報告を求めて聞きましたが、基本的にこのデータのもとというのは、ご自分で、ご自分の記録について大丈夫かなという不安がある方について、全事務所で窓口を開きまして、突合するということで、当然やるべきことをやって、そしてその結果でございますが、実は、その2割といいますのは、まず来たときに8割はやはりいっしょだった。良かったと。その2割というのは、最初に来たときに、あれっ違うねという話だったのですが、調べてみると、やはり記録があったと。典型的には、姓が変わっていたと、これは姓が変わるときに届出したことが、これまでは、こちらの年金当局に来ませんので。それから年金手帳が残念なことですけれども、かつては二重に出たりしていたんですね。そういうことから、ご自分の持っているものと、こちらは全部最終的には、同一人は同一の記録が入っていますけれども、年金手帳が分かれていることからずれがあったと。そういうものを補正していって、全部それは実は、ほとんど納得されているんです。残っているものも、最終的に整理中で、どうしても整理がついていないものは本庁に上がってくるということになっていますが、一言で言えば、「大部分それは整理がついていっている。」というので、最初のファーストコンタクトであれっ違いますねというのが2割だったということで、2割が実は記録されていなかったというのは別です。そうではありません。大部分は、きちっと実態どおりでした。

(記者)
 今の相談に来られる方というのは、自分でもしかしたらというふうに思われる方だけなわけですよね。そうではなくて、本人も知らないところで実は、記録に関して何らかの間違いがあるなどの可能性があると思うんですけれども、これは何らかの対策というのはあるのでしょうか。

(次官)
 これは、まさしく最終的には、今の検討中の年金定期便ですか、毎年全部それをチェックしていく、要するに、その時々に突合していくというシステムに近くなります。

(記者)
 同じ問題なんですけれども、既に年金を受給されている方に、同じような問題が発生している可能性もあると思うんですけれども、そこについての調査というのは何かされるご予定というのはあるんでしょうか。

(次官)
 それについては、私も聞いておりませんが、当然その受給されている方の、今は確か58歳の時に、今までの記録はこうですよとご確認下さいというのをやっているんです。受給年齢に達する前に自分であれっ自分はこういう期間勤めていたのに、あるいは、こういう期間納めてきたはすだぞというのがあるはずで、だいたい、そこで今チェックをしているんですね。なおかつその時に忘れていた方があるのかどうか、それはもし、もらいながらあれっと思うことがあったら、それは申し出ていただいてチェックするわけですけれども、一義的には58歳の時のチェックで確認しているという形で、その点は、今だと担保出来るようになっているとご理解いただければと思います。

(記者)
 逆に、これで見つけられなかった。本人の思いこみで、これで大丈夫だと思ってしまうと、気づかないまま不払いが生じる可能性はあるという。

(次官)
 それが実態として、どこまでやるかということですけれども、今までは、残念ながら、その都度その都度のご本人とのやりとりが出来ていなかったと、これは今回総理も分かりやすく、前倒しでという強いご指示があって、本当にこのことは急がれるし、非常に大切なことだと思っています。


(了)

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