定例事務次官記者会見概要

(H18.06.22(木)14:01〜14:11  省内会見場)
【広報室】

《次官会議等について》

(次官)
 本日の事務次官等会議ですけれども、国会が終わって何日か経ったという段階でありますので、各省とも質問主意書の答弁がかなりの件数ありました。これは、閣議終了後公表ということになっております。他には厚生労働省関係の案件はありませんでした。何かご質問があれば。


《質疑》

(記者)
 先週、最高裁で集団予防接種によるB型肝炎被害について、国の責任を認める判決が出されまして、また、これは違う裁判ですけれども、昨日、大阪地裁で、血液製剤を通じたC型肝炎被害について、やはり国の責任を認める判決が出て、それぞれ違った裁判なのですが、肝炎の感染リスクに対する国の認識の甘さということが指摘された点は共通していると思うのですが、この一連の判決をどういうふうに受け止められているのかという点と、今後の国の対応、厚生労働省としての対策について、どのようにお考えになっているのか、現状をお聞かせください。

(次官)
 B型肝炎の訴訟は、予防接種が原因ということが争われていたわけですし、それから、C型肝炎は、フィブリノゲンの使用について争われたということですので、予防接種にしても、フィブリノゲンにしても、伝染病ですとか、あるいは、出産時等における出血を有効に止める、止血するという薬の有効性と副作用と両方の兼ね合いの中で、副作用が認められるにもかかわらず手を打たなかった、あるいは、副作用はあるが、有用性、有効性の方が高かった、それが、容認される範囲なのかどうなのかと、この辺りが争点ということなのだろうと思っております。もう一つは、B型肝炎ウイルスの場合は、因果関係、それから、除斥期間の起算点と、この辺りが争われていたわけですが、B型肝炎については、最高裁の判決で、原告の方についての国の賠償義務が認められたということですので、当然、厚生労働省としては重く受け止め、判決の趣旨に沿って迅速に対応したいと考えております。原告の方に対しては、今申し上げたようなことでありますけれども、今後の対応については、判決の内容をもう少し精査してみる必要があるかなと思っております。C型肝炎の方は、昨日判決が大阪地裁から出たわけでありまして、判決内容の詳細については、承知するに至っていないということでありますけれども、国の主張が一部認められずに厳しい判決になっているというふうに思っています。この大阪地裁の件については、判決内容を十分に検討して、さらに関係省庁とも協議をして今後の対応を決めていきたいと考えています。B型肝炎に関しても、C型肝炎に関しても、健康に与える影響というのは非常に大きいし、それから、ウィルスを保有されている方、あるいは、既に症状の現れている方、こういった方々の不安感というものも非常に大きいわけなので、我々としては、B型、C型、それぞれに必要な対策をきちんととっていくということが重要だろうと思っていまして、対策の充実には当然さらに努めていかなければならないだろうと思っています。

(記者)
 もう1点、別の話になりますが、歳出改革の関係なのですが、今与党の方で社会保障関係で1.1兆円くらいを目標にしようかというような話が出ています。ただ、中身が何で削減するのかというのがよく分からない面もあるのですが、いずれにしても、向こう5年間で1.1兆円を抑制するとなると、やはり費用として大きい医療分野ですとか介護分野、この辺で給付抑制だとか、利用者の負担増ということをせざるを得なくなってくるように思うのですが、この辺のそもそも1.1兆円という数字も含めてどのように受け止めていらっしゃいますか。

(次官)
 社会保障分野の歳出改革についてですけれども、年金あるいは介護、あるいは医療保険、さらに言えば、雇用情勢が厳しい時代もあったということで、雇用保険。それぞれを持続できる制度にしていく必要がある、負担の議論を次世代に先送りしないようにしていくということが必要だということで、平成15年には雇用保険を改革して、16年には年金を改革して、17年には介護保険の改革をして、今年は医療制度改革ということで、それぞれの制度についても、これまでにない大幅なあるいは抜本的な見直しを続けてきたわけです。おそらく、そういった改革の中で過去5年間で1兆円強の歳出削減効果がたぶんあったのだろうと思いますが、今ご質問のように、今後の5年間について、さらにほぼ同規模の1.1兆円の抑制は出来ないかというふうな議論も聞こえてきているわけですけれども、正直申し上げて、これまで4年間取り組んできた改革というのは、大変、関係者の方々にもいろいろな議論の上に議論を尽くしていただいた上で、何とか改革をしてきたということで、今年の制度改革が先の通常国会で法案成立をさせていただいたということで、やっと一山越えたというところで、同じような山をもう一山越えろと、こういうことで、我々にとっては、正直言って、どう対応していけばいいのだろうということで、対応の方法、あるいは対応の内容、こういったものを考えることが出来るような状況ではまだないというふうに思っています。ただ、今申し上げたようなことで、いろいろ取り組んできた。それから、これから先、今までの改革の効果が、こういうふうに表れてくるのだということも含めて、与党の先生方にも十分説明をしていくということが重要なのかなというふうに思っています。ただ、骨太が7月の上旬には決まるということでしょうから、それに向けて議論がさらに深まっていくということだと思いますので、我々もそれに対しては、真摯に対応していくということかなと思っています


(了)

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