定例事務次官記者会見概要

(H18.02.02(木)14:00〜14:16 省内会見場)
【広報室】
《次官会議等について》

(次官)
 本日の事務次官等会議ですが、厚生労働省関係の案件は、いよいよ通常国会が始まったということで、予算関連法案2本です。1つは、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案、これは児童手当それから児童扶養手当、三位一体の改革の中で国の負担割合を見直すという内容、児童手当についての支給対象年齢の引上げ、それから国民年金の基礎年金の国庫負担割合を引き上げ、その他三位一体関連のものということになります。もう1つは、独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律案ということで、これは産業医学総合研究所と産業安全研究所を統合するということと、統合したその独立行政法人を非公務員型にするということ、それから同じく国立健康・栄養研究所、これについても非公務員型にするという内容です。それから、既に1月31日に公表いたしました有効求人倍率について、報告がありました。これは、私の方から申し上げて、有効求人倍率は、12月1.00倍で、平成4年の9月以来、13年3カ月ぶりということであります。いろいろ報道いただきましたけれども、有効求人倍率が1倍に到達したということで、13年少し前の時と比べると、だいぶ労働市場の状況が変わってきている中での1.0倍ということでありますが、中身を見ていくと、1つは、最近若い人の働く意欲というのが高まっているということはかなり言えるのではないかと思っておりまして、この3月の大学卒業予定者に占める就職希望者の比率というのもかなり高まってきていますし、去年の4月、今年度に入ってからの労働力率を年齢別に見ると、20代の人達の労働力率というのが他の年代に比べて上がり方がかなり大きくなったりということもありまして、これは雇用環境が良くなったということも関わっていると思いますけれども、いろんな若者の対策を採る中で若者自身、あるいはその家族、学校の先生、そういった関係者の方々の考えというのが大分前向きになってきたのかなと思います。なお、求人の中身についてはパートタイム労働者の求人が多いとか、あるいは派遣、請負の求人の割合が高いとか、それから地域別に見ると今回は愛知や東京といった大都市の経済活動が活発化しているということで大都市の雇用情勢の改善にかなり引っ張られており、北海道や北東北や南九州などとの改善度合いになお大きな開きがあるということなどいくつか課題がまだあるわけで、失業率も4.4%ですから、これをさらに引き下げるという意味では、ミスマッチ解消に向けての対策というものをより効果的に採っていくということが重要なのだろうと思っているところであります。以上でありますが、ご質問があれば。


《質疑》

(記者)
 大臣が国会でBSEの関係でアメリカ産の牛を使った材料について、薬が19品目あるということで、今代替するように指導しているということなのですが、改めて今どういった状況なのか教えて下さい。

(次官)
 これは、日本で初めてBSE牛が発見された時にも医薬品や化粧品などの原料をどうするんだという議論が随分ありまして、極力、原材料に使わないようにということでやってきたわけで、そういった中で、アメリカ産の牛を原料にした医薬品がなおあるじゃないかということで国会でも議論になっているということです。おそらく、例えば、メーカーがアメリカのメーカーであるとか、いろんな事情でどうしてもアメリカ産の牛を原料に使用している医薬品をアメリカ産以外の国産牛なり、あるいはオーストラリア産牛なりに替えるということがにわかには難しいというのがどのくらいあるのか、そういった医薬品の代替薬というのがどのくらいあるのか、こういったことが1つあると思います。そういった中で、患者の方の生命、健康にどうしても欠かせないものなのかどうか、そういう意味では、アメリカ産の牛が原料として使われているということによるリスクの大きさと医薬品を使用することによるメリットの大きさとぎりぎりそういう話になるんだろうと思いますけれども、ただ我々としては、健康は非常に重要な問題ですから、医薬品を使うに当たって安心して使えるようにという意味で、とにかく可能なものはBSEの危険のない原料に替えていくというのが基本だろうと思うので、そういった考え方でこれまでも取り組んできたわけです。そういった中で、大分減ってはきているんですけれども、なおまだ残っているということなので、先ほど申し上げたような観点から、とにかく出来るだけ早く対応するということで取り組んでいこうと思っています。

(記者)
 最近小泉改革の絡みで、格差の問題というのが議論になっていると思うんですけれども、雇用、所得から見た格差の状況というのは、次官はどのようにご覧になってますでしょうか。

(次官)
 格差の問題については、多分2つのことを考えてどう評価するかということではないかと思っております。1つは、バブルの崩壊後、日本の経済・産業の置かれた状況というのが非常に厳しくなって、国際競争力もかなり落ちて、日本の経済力あるいは産業・企業の競争力を高めていく必要があるという中で、おそらく多数の国民の合意が得られていたと思うのは、日本の経済なり産業なりを引っ張っていく企業、あるいは人材、そういった人達に十分に活躍いただいて全体を引き上げていくということが1つあったのでないかと思っております。その結果として、ここへ来て、景気の改善というのはずっと続いているわけですし、雇用情勢も何年ぶりかというようなところまで改善してきているわけです。そういった意味では、そういった考え方で取り組んできたということの成果は現れているんだろうと思います。ただ一方で、存分に活躍出来た人、あるいは活躍しようという意欲のあった人に対する報酬、対価、そういったものと、それから、経済的な条件、あるいは企業の競争力、技術力、そういったところから、どちらかと言うと、競争力が弱い、あるいは立ち後れ気味といった分野の企業、あるいはそこで働く人達との格差といったものが、社会的に見て納得できる格差なのかどうかという問題がもう1つあるということだろうと思います。おそらくそういう意味では、これまでは日本の経済・産業企業の競争力を高めるために、十分活躍できる人、貢献度の高い人については、それに対応した対価なり報酬というものをそういう人達が得るということについて、多くの人達が同意をしていた、納得していたという状況が、ここへ来てどうなのかということなのかなという印象を持っております。
 格差を測る指標はいろいろあるわけです。今ジニ係数の議論もありますけれでも、ジニ係数自身もどういったものをジニ係数の計算に入れるのかというようなことによっても、微妙に違う面もあるようですし、そのほかに例えばパートタイム労働者と常用正規労働者の比率ですとか、労働分配率がどうなったのかとか、いろんな指標によっていろんな意見があると思うんですけれども、ただやはり一番重要なのは、指標の問題というよりは現に活動している企業、それから現に日々生活している人々の思いというのが、格差が納得できるものなのか、それとも不当に拡大しているというふうに受け止められているものなのかということであって、それは国民の受け止め方なのかなという気がいたしております。我々として、目指すべきは、本当は常用雇用、常用正規で働きたいという人達が、労働市場の状況、企業の行動とかいろんなことで実現できないという状況をいかに少なくしていくか。それから実際に同じような仕事をしているにも関わらず、雇用上の身分、正規なのか非正規なのか、フルタイマーなのかパートタイマーなのか、派遣なのか直傭なのか、いろんなことがありますけれども、そういった中で合理的な説明がつくものかつかないものなのか、つかないものではあれば、やはりそこは是正をしていくというような取組をしていくということの積み重ねを、厚生労働省はもとよりですけれども、各省、企業あるいは労働組合それぞれで取り組んでいくということなのかなと思っております。そういう意味では、今これが議論になっているというのは、そういうことが議論できるだけの経済回復、雇用回復ということがあったということではないかと思いますので、こういうことを大いに議論してもらうということは非常にいいことだと思いますし、国民の方々の考えている方向というものがそこではっきりとしてくれば、我々としても施策をその方向により強めるということでやっていくということではないかと思います。少し抽象的な話で恐縮ですけれども。


(了)

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