定例事務次官記者会見概要

(H17.07.07(木)14:04〜14:23  省内会見場)
【広報室】
《次官会議等について》

(次官)

 本日の事務次官等会議ですが厚生労働省関係は、船員保険法施行令及び国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令の一部を改正する政令案、要は、船員保険の障害年金について労災保険の年金額の改定を踏まえて、この8月以降給付額を賃金水準の変動に応じて改定するというものであります。厚生労働省関係の案件は以上でありました。



《質疑》

(記者)

 来年度予算のシーリングのことなんですが、財務省の方は社会保障関係費について大幅抑制を検討するようなんですが、概算要求に向けてどのように今ご検討を進めてらっしゃるか、あるいはこうした財務省の考え方にどう対応していらっしゃるか。お聞かせいただければと思います。



(次官)

 いろんな新聞報道とかありますけれども、まだ財務省の方から厚生労働省に対してシーリングについてのお話はないという状況です。非常に財政事情が厳しい中で社会保障関係費が毎年1兆円近い増という状況にあるわけで、やはり何らかの抑制策が必要だということだろうと思います。
 我々もかねてから申し上げていますけれども、年金については制度改正を行い、マクロ経済スライドを導入し、給付・負担それぞれの見直しを行ったということで、一定の抑制の仕組みというのは盛り込むことが出来ていると思います。介護については今国会で介護保険法の見直し法案を提出し成立していただいたわけで、残るは医療ということです。医療については、我々もとにかく効率的な医療制度にしないといかんと思っておりますけれども、そうは言っても技術の高度化とか高齢化の一層の進行とかいう中で、やはり医療費の増というのは避けられないわけです。財務省あるいは経済財政諮問会議等からマクロ的な経済指標と連動する形で抑制するというご提案があるわけですけれども、我々としては、実際に病気にかかる高齢者の方を目の前にした時に、マクロ的な経済指標と連動するといった形でやるというのはやはりいかがなものか。血の通った社会保障制度というものを考える時に、むしろ生活習慣病を抑制するとか長期入院を短縮するとかいろいろな制度の見直しの積み重ねによって極力給付を抑制していくことが基本だろうと思っています。
 いずれにしても、まだ財務省から具体的な話もありませんので、これからシーリング、概算要求、それから年末の予算案策定に至る過程で十分財務省とも協議を進めていきたいと思います。



(記者)

 アスベストの被害が今、全国的にいろんな所で明らかになっていて広がりを見せているのですけれども、今日国会の方の委員会の質疑の中でも全国調査というようなお話が出ていたようですけれど、改めて厚労省としての今後の取組みを伺えますでしょうか。



(次官)

 石綿の問題については、昭和47年にILOあるいはWHOといった国際機関で石綿が発ガン物質であるということが認定されたわけで、これを受けて我が国でもその時々の状況を踏まえながら職場の安全のための対策についてこれまで充実を図ってきたということであります。アスベストを扱う職場での肺ガン、中皮腫といった労働災害疾病がここ数年かなり増えてきているというのは事実でありまして、1つは労災に遭われた方の補償を迅速・的確に行っていくということだろうと思います。ただ、職場の問題だけではなくてその周辺の方々についての健康の問題ということが今回明らかになったと思います。厚生労働省としては、職場での安全対策に問題がなかったのかどうかという辺りをやはりきちんともう一度点検した方がいいんじゃないかと思っていまして、過去に石綿による健康被害が発生している事業場に対して、石綿の製造等の作業に従事していた労働者の方の範囲、健康管理の状況、安全管理体制といったものについて確認するために全国的な立ち入り調査をやろうと思ってます。併せて立ち入り調査をした際に、その事業所に対して今働いている方はもちろんですけれども、過去に石綿を製造したり石綿を取り扱う業務に従事していた退職者の方も含めて健康診断を行っていただくように事業主に要請をしたいと考えているところであります。



(記者)

 家族とかそういう周辺の人については労働安全衛生法ではたぶんカバーできないと思うんですけれども、他の面でカバーしたり少し相談に応じるとか、そういったことというのはお考えじゃないのでしょうか。



(次官)

 労働安全衛生法あるいはそれに基づく規則の対象というのは事業所で働いている方々なので、法的な措置あるいは労災保険の補償というのは働いている方に限られてしまう。家族の方の健康ということになると一義的には従業員を雇っておられる、あるいは雇っておられた事業所で検討いただく、労使で話し合って検討いただくということからスタートするのかなと思います。ただ今おっしゃったように、健康に影響がないかどうかということについて不安であるという家族の方、従業員の方もおられるのは事実ですから、そういった意味で厚生労働省としてどういったことをやれるのか、相談にどういったところで応じられるのかということについては検討してみることかなと思います。例えば、どういったところに相談に行けばいいか、どういったところで健康診断を受けたらいいのか、あるいは退職された方でも、健康は大丈夫だろうかという相談等いろいろあると思いますので、厚生労働省として対応できるものについてはきちんと対応するように検討してみたいと思っています。



(記者)

 先ほどおっしゃった事業所への立ち入りですけれども、時期のメドはお考えでしょうか。



(次官)

 今石綿による健康被害に対しての対応策というものを総合的・包括的に検討しようということで担当部局で検討しています。早急にまとめた上で、できるものからすぐにでも実施するということにしたいと思っています。検討の中身としてそういったものを検討しているということを申し上げたのですが、「検討をとにかく急げ」と言ってありますのでまとまり次第できるものからすぐにでもやるということで臨みたいと思っています。



(記者)

 先ほど従業員の健康管理などについて調査を行うということだったんですけれど、今段々明らかになっているアスベストの被害の中で、従業員が働いていてアスベストを大変たっぷり含んだ衣服を家に持ち帰って、それをバサバサと洗濯した奥さんが中皮種を発症しているような例が出てきているようなんです。今ですとそういうアスベストがかぶったようなものを家に持って帰るということは禁止されていると思うんですが、昔そういうことがあったということで、過去に遡っての奥さんというかご家族までというところまでは考えていらっしゃらないということでしょうか。



(次官)

 石綿による健康被害に対する補償ということについて、厚生労働省でできることというと労働災害の補償制度ということになります。これは既に退職している人であってもアスベストを取り扱っていたというのが原因で発病されれば、当然補償するわけですが、家族の方となると厚生労働省の今の制度の中では補償はできないんじゃないかと思います。むしろ会社の方がどう考えられるかということだろうと思います。ただ当時のアスベストに対する安全対策の認識の中で、正直作業着を持ち帰ってそれを洗濯された方がアスベストを吸って発病するというふうなことが起きるということは、おそらく想定していなかったのではないかと思います。いずれにしても定期的に健康診断をすることが重要だと思うので、そういった意味では「健康診断をきちんと受けるように」という呼びかけも非常に重要ではないかと思っています。



(記者)

 お話ちょっと変わりますが、先頃の郵政民営化関連法案の採決にあたって造反をされたこちらの副大臣、政務官が罷免ということになって今空席になっていますが、後任の方についての調整状況等はどうなっているのでしょうか。



(次官)

 この問題については当省の場合、二人おられる副大臣のうち一名、それから二人おられる政務官のうち一名、合計二名の方が職を離れられたという状況です。大臣とも相談しまして、当分残られた西副大臣、藤井政務官に省全体、全部局をカバーしていただこうと既にお願いをして、お二人に国会対応、省内の様々な事務についても全部所掌していただくことにしているわけです。ただ厚生労働省の所管する範囲というのは非常に広いものですから、そういった意味では本来副大臣も政務官もお二人ずつおられるというのが望ましいことは言うまでもないので、我々としては一日も早く後任の方を任命していただきたいと思っていまして、そのあたりは官邸の方にもお願いをしているところであります。


(了)

トップへ