定例事務次官記者会見概要

(H17.06.30(木)14:02〜14:13 省内会見場)
【広報室】
《次官会議等について》

(次官)

 本日の事務次官等会議でありますけれども、厚生労働省関係の案件としては、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の施行期日を定める政令案、これは今年の7月15日を施行日とする内容であります。それに関連して同じ法律の施行に伴って、入院対象者を外出あるいは外泊させることが出来る場合等を定めるという内容の政令案。この2件がありました。以上です。



《質疑》

(記者)

 クボタの工場で働いていた70人余りがアスベストの関係で労災を認められているということで、地域住民についても被害が出たということが報道されているんですが、アスベスト対策について新たに何かこれをきっかけに、というようなことを今お考えになられていることってありますでしょうか。



(次官)

 石綿の安全対策については、昭和47年、1972年にILO、WHOで石綿が発ガン物質であるということが認定されたということがありまして、当時の労働省では特定化学物質等障害予防規則、特化則と呼んでいますけれども、その中で局所排気装置の設置だとか、あるいは容器等に取扱注意事項を表示するとかに取り組んできて、その後も、特化則の改正あるいは労働安全衛生法施行令の改正等々を手がけてきました。昭和51年には、石綿等の吹き付け作業の原則禁止、作業で石綿を使用する場合は濡らして発散防止をするようにというふうなことをしてみたり、平成7年には発ガン性が強いと言われていた茶石綿の製造それから青石綿、クロシドライトこれも製造、輸入等々を禁止してきた。それから平成15年ですけれども、ここである意味では抜本的な労働安全衛生法施行令の改正をしたと思っているんですけれども、石綿の含有製品、建材ですとか、摩擦材ですとか、あるいは接着剤ですとかの製造、輸入等、それから使用の禁止をしたということです。
 今国会でILO162号条約、石綿の使用における安全に関する条約を批准すべくご審議いただいており、この批准の関係にもなりますけれども、平成17年、今年ですけれども、作業環境評価基準、この告示を改正して、従来の管理濃度2.0繊維数/cm2を0.15まで厳しくした。さらに、石綿の障害予防規則を制定する予定にしておりまして、石綿の関連の作業をしている作業現場から作業着を持ち出しするのを禁止するという内容の規則の制定を予定しています。
 国際的な石綿対策の水準に見合う対策は我が国でも取ってきたし、今申し上げたように新たな取り組みを今年行うという状況になっているということであります。



(記者)

 心神喪失者等医療観察法なんですけれども、指定入院医療機関の数が少ない、着工しているのは3箇所ということで、いろいろ少ないんじゃないかということについてどのように受け止められてらっしゃるか。あとこれからの対応についてお聞かせ下さい。



(次官)

 いわゆる医療観察法でありますけれども、施行に向けて法律成立以来いろんな準備に取り組んできて今日に至っているところであります。7月15日には、国立精神・神経センターの武蔵病院の専門病棟30床が完成する予定になっているということで、医療観察法による医療を提供する指定医療機関の確保に努力をしている状況です。関係機関と連携して、政令は今申し上げたようなことで今日次官会議に上がり明日閣議ということですけれども、省令の整備、実際の運用面の問題について現在最終調整をしているということで、当座の指定入院医療機関については確保できると考えています。ただ、今ご質問のように安定的に制度を運営していくために必要な病棟の確保が難航しているのは事実でありまして、そういった意味で引き続き指定入院医療機関のさらなる確保、これに向けて関係自治体、関係省庁にいろいろご協力を仰ぎながら、とにかくできるかぎりの努力を続けていこうというのが現段階です。



(記者)

 クボタですけれども、厚生労働省として何か会社に対して指導されるようなこと、されたようなことはあるのでしょうか。



(次官)

 1つは、クボタ、その関連の事業所の労働者の方が作業に伴う中皮腫あるいは肺ガンというものが発症した場合には、労災補償をきちんとやっていくということだろうと思います。これまでも発症した中皮腫なり肺ガンなりの方について、これが作業に伴う石綿を原因としているものについては、労災補償を行ってきているということであります。
 あとは正直言って、我々も現地、所轄労働局で石綿の関連の疾患による死亡者数等は把握してますけれども、報道されているようないろいろな問題というところまではまだ承知するに至ってないわけです。今申し上げたように、労災補償のご相談、申請があれば、これに迅速、的確に対応していく。それから事業所の問題については、事態をもう少し把握してみないと「今の段階で私からどうこうします」という段階に至っていないという状況です。労災の数字は把握はしていたということだと思います。
 石綿の場合は、代替する物質がなかなか無い、あるいは開発がなかなか進んでいないというふうな面もある中で、労働者の健康確保のためにやれることはとにかくきちんとやろうということで取り組んできているのが現状だろうと思う。そういう意味でILO条約を批准すべく、ここ1、2年で対策はかなり強化するに至ったということだと思います。当面おそらく今申し上げたこれまでの取り組み、それから新たな規則の制定による対策の強化がきちんとやれるようにということで、事業所に対する指導を適切にやっていくということではないかと思っております。


(了)

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