定例事務次官記者会見概要

(H17.06.23(木)14:05〜14:28 省内会見場)
【広報室】
《次官会議等について》

(次官)

 本日の事務次官等会議でありますが、厚生労働省関係につきましては政令案が2つありました。1つは、痴呆という名称を「認知症」に改めるというのが主な内容ですけれども介護保険法施行令等の政令の改正であります。もう1つは、厚生労働省組織令の改正で、年金局の課を再編して国際年金課を新たに設けるといった内容でありました。厚生労働省の関係は以上です。



《質疑》

(記者)

 先日報道されましたが、医師の国家試験の合格者について非公表に付されるという報道がされましたけれども、その方針がもし今も変わらなければその理由を改めて伺いたい。



(次官)

 医師の国家試験につきましては、これまで受験生の方ご本人に対して合否の通知を行うほかに、受験結果をなるべく早くお知らせするということも考えて、受験地と受験番号、氏名を記載した合格者名簿を掲示し、昨年までは報道機関各社に対しては、掲示はカタカナ氏名だったわけですけれども、漢字氏名の名簿を提供申し上げてきたわけであります。ここはご案内のところですけれども、今年4月の行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行を契機として合格発表の方法についていろいろ検討をしたわけであります。
 今申し上げた法律の趣旨、それからかねてから新聞紙面等で氏名の公表をしていることについて「やめて欲しい」という受験生の方、これは合格された受験生の方、不幸にして合格されなかった受験生の方両方からそういった苦情というか要請というかがあったわけでありまして、その辺りを踏まえて今年は漢字氏名の名簿を提供することを控えさせていただいて、合格者名簿の掲示内容と同じものを報道各社に提供申し上げたというところであります。
 今回はそういうことでやったわけでありますが、今後どうするかということでいろいろ検討をしてきたわけです。1つはやはりいちばん重要なのは受験生ご本人が早期に正確な合否情報を確認できることであろうと。それから先ほど申し上げた個人情報保護に関する法律との整合性を考えることが重要じゃないかということ。先ほど申し上げたような受験生の方からの要望もなおあるということ。それから今年のようにカタカナで氏名を公開した場合にも地域の学校の卒業生名簿とかと照合すると個人が特定できる可能性があるんじゃないかということ。いろんなことを検討いたしまして、今後の合格発表については受験地と受験番号のみを公表することになったということであります。



(記者)

 個人が特定されるのではないかということですけれども、医師というのは国家資格であって公共性が非常に強い資格であるという点が1点と、そういうふうに公表しなくなると何らかの時に、一般の人が、この人は果たして医師なのかどうかといったことを確認することが困難になるのではないかといった危惧があるんですが、それについてはいかがでしょうか。



(次官)

 これは先ほど申し上げました今年の合格発表の報道各社への情報提供を見直す時にも同じご議論があったわけで、医師の資格を持たれているかどうかということを国民の方が確認する手段が必要ではないかというのは確かにごもっともな話だと我々としても思っているところで、この問題についての検討会を開催することを決めているところであります。個人情報の保護の観点も踏まえながら、医師の資格を当該医師の方が持たれているかどうかということについて確認をする方策、あるいは問題点等々について、検討会の専門家のご意見を聞きながら検討していこうと思っているところであります。問題意識としては、我々もそういった問題があるということを認識していますけれども、我々だけで決めるということではなくて専門家の方のご意見を伺った上で対応策を決めていきたいと考えております。



(記者)

 検討会はいつ頃の予定でしょうか。



(次官)

 検討会については、今人選中であります。実はその検討会の中で、今申し上げた医師の資格を有しているかどうかの確認方法と併せて、行政処分を受けた医師に対する再教育の在り方等々も検討いただこうと思ってますので、できれば年内を目途に報告書をまとめていただきたいと思ってますけれども、場合によるともうちょっと時間がかかるかもしれないということかなと思っています。出来るだけ年内を目途に結論をまとめていただくべくお願いをしようと考えています。



(記者)

 その他の医師以外の厚生労働省が持っている国家資格についても氏名の公表はやめて受験地と受験番号に統一するんでしょうか。



(次官)

 厚生労働省関係の国家資格については、ご存じのとおりかなりの数があり、中には省令等で公表のあり方が規定されているものがあります。そういったものはおそらくそういう方法を省令に規定するに至った経緯もあるのかなと思っていますが、それ以外のものについては、実情を踏まえながらやる必要があると思っていますけれども、基本的には医師国家試験と同じ考え方で受験地と受験番号で合格発表するというのを基本に対応することになると思っています。



(記者)

 今年3月に雇用促進住宅に雇用・能力開発機構の職員が多数入居されていたということで「問題だ」というふうに次官がおっしゃられていたのですが、その後入居されていらっしゃる方々はどのようになられましたでしょうか。



(次官)

 元々雇用促進住宅は、エネルギー革命で石炭から石油へエネルギー源の転換があった際に、炭坑の閉山で産炭地域から工業地帯に転職のために住所を移さざるを得なくなった人たちが円滑に就職できるようにということでスタートして、その後高度成長の過程で工業集積地域に移転して就職する人用の住宅にということで、用途を広げてきたということであります。さらにその後には工場移転とかいろんなことも起こるということで、転居を余儀なくされる雇用保険の被保険者の方のための住宅として、そういった方の優先入居ということでこれまで取り組んできたわけであります。この住宅は、今完全に独立採算制にして家賃で運営費、修繕費を全部賄うということですから、空き室があると家賃収入が減るということもあって、優先しているのは転居を余儀なくされる被保険者の方ということなんですけれども、そういった方の利用に支障がない範囲で働いている方については入居できるように、という趣旨でやってきたわけであります。
 今お話のように雇用促進住宅の設置をしてきた雇用・能力開発機構の職員が入居していたということで、さっき申し上げたように規程に違反するというものではないんですけれども、設置主体である機構職員が入居するということは適当ではないだろう。やはり雇用・能力開発機構の雇用促進住宅の運営に果たしている役割、指導する立場といったことから適当ではないということで、所管局と雇用・能力開発機構に「できるだけ早く退去するように」という指示をしたわけであります。状況を申し上げますと、3月末で52名の職員が入居していたわけですが、現在の段階でその内24名が退去済みで、あと28名いるわけであります。新しい住居を見つけたり、アパートを探したり、あるいは子どもさんの学校の関係であるとか家族の方が病気でちょっと動けないという事情がある職員もいるわけですけれども、とにかく着実に1日も早く退去するようにという指示はしていますので、残りの28名についてもできるだけ早く退去するようにさらに指導を徹底したいと考えています。



(記者)

 その後6月に入って公務員ですとかハローワークの職員もそこに入っているというかなり多数の公務員の入居が判明したんですけれども、ハローワークの職員は結局何名くらい入っていて、それでそもそも民間の雇用保険のお金のところに公務員の方が入ってらっしゃるというのは不思議だと思うんですけれども、これはどのようにされるんでしょうか。



(次官)

 ご質問のとおり雇用保険に加入している事業主の方の保険料で設置してきた住宅でありますから、基本的には雇用保険に加入している事業主に雇われている従業員の方のための住宅であるということです。けれども空き室がある場合は、それ以外の方でも働き続ける上で転勤で一時的に住むところがすぐ見つからないという場合はやむを得ないだろうと入居を認めてきたということで、そういった方の家賃も運営費、修繕費には当然まわっているという意味で、員外利用という格好です。雇用促進住宅の規程から言うと今言ったような財政的な観点や員外利用ということで認めてきたというところであります。ただ厚生労働省の職員が入っていたということになりますと、これはやはり雇用保険制度の運営をしている厚生労働省でありますから、雇用・能力開発機構の職員と同様にやはり適当ではないと思っているわけで、これも1日も早く退去させるようにと指示をしています。現在のところ5名の職員が入居しているということです。この5名については既に退去手続きを全員が進めていますので、7月の初旬までには全員退去ということになると聞いています。



(記者)

 5名の方は住宅手当ももらっていたのですか。



(次官)

 家賃を払っていますから、それに見合う住宅手当は支給していたんだろうと思います。



(記者)

 先日「雇用保険3事業による事業の評価について」という事業評価の結果で、雇用保険3事業についてはおよそ4割について事業を見直すべきだという発表があったんですけれども、これについてはどのように受け止められてらっしゃいますでしょうか。



(次官)

 雇用保険の3事業は、事業主の方から支払っている賃金の1,000分の3.5を保険料として拠出していただいて運営しているわけであります。就職困難な方の就職支援、中小企業を中心とした従業員の方の職業訓練の経費といったことを中心に事業を行っているわけです。やはり事業の性格からして、その時々の労働市場の状況、企業の置かれた経営状況といったものに対応して、雇用情勢の厳しい時は雇用の維持・安定のための事業、あるいは再就職促進のための事業を行うということですし、雇用情勢がよくて中小企業で人手が足りなくなるということになると、中小企業の事業主の人材確保を容易にするための事業を行ったり、中小企業が求める技能を身につけてもらうための訓練を充実したりということです。今申し上げたように、労働市場の状況なり企業の置かれたニーズなどに応じて機動的に事業を見直していくということが求められているんだろうと思います。
 そういった意味で、事業主からいただいている保険料なので無駄遣いをしちゃいかんということで、事業について毎年その成果、予算と比べた実績を点検をして無駄がないように、効果があまり上がっていない事業については廃止する、あるいは思い切って圧縮する、あるいは効果があるように見直すといった観点からここ数年取り組んできているわけです。その一環として今回も行ったわけで、我々としては全部で100近い事業をやっているわけで、その中の相当部分について見直すべきものはきちんと見直していくということだと思います。
 問題は、役に立たなくなった事業、時代遅れになった事業というのを漫然と続けるんじゃなくて、時代のニーズに適合した制度にきちんとなるように、あるいはもう時代のニーズがないとすれば直ちにやめるようにということで、事業主からいただいている雇用保険の保険料の無駄遣いにならないよう1円でもきちんと活きるような事業をやるようにという趣旨で行っているところであります。今後とも毎年目標の設定と成果の検証をやることによって、雇用保険3事業の有効性というのを高めていきたいと思っております。


(了)

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