定例事務次官記者会見概要

(H17.05.26(木)14:01〜14:13  省内会見場)
【広報室】
《次官会議等について》

(次官)

 本日の事務次官等会議ですが、厚生労働省関係は健康保険法施行令改正の政令案がありました。これは、所得税の公的年金等控除の見直しに伴って70歳以上の低所得者の判定基準となる所得税の算定関係規定の整理を行うものです。もう1つ、私から、5月31日がWHOの定める「世界禁煙デー」に当たるということで、5月31日から始まる1週間を厚生労働省として禁煙週間と定めたこと、関係省庁にも庁舎内の禁煙・分煙ですとか、関係機関や業界に対するたばこ対策の協力要請等のたばこ対策の推進に是非ご協力いただきたい旨を申し上げました。以上であります。



《質疑》

(記者)

 今朝、「若者の人間力を高めるための国民会議」が開かれましたけれども、特に今の若者で問題になっている1つにニートという問題があると思いますけれども、今後のニート対策について次官としてはどういった点を強調していきたいと思っていらっしゃるでしょうか。



(次官)

 ヨーロッパとか、特にイギリスが中心ですが、アメリカのニートは、低所得層の家庭の子供たちがなかなか学校にも通えない、あるいは家庭での教育・しつけが欠けがちだということで成人年齢に近くなっても就職できない。そのまま放置すると生活保護とか福祉の世界に入ってしまうので、何とかこれを職業的に自立させることが本人の為にもなるし、社会の健全な運営に役に立つということでやってきているんだと思います。
 ところが日本のニートの特徴というのは、ここにきてリストラや経済の低迷で確かにそういった家庭の子供たちも増えてきつつあるんですけれども、かなりの部分はむしろ親と同居して経済的には親に養ってもらって何とかなっている。それで職業に就こうと活動している途中でなかなか自分の夢が実現できずに挫折してしまう。雇用情勢が若者を巡る採用状況も厳しいのでそこで挫折してしまう。それから学校での社会生活・共同生活になじめずに中退してしまったり、あるいは登校をしなくなってしまう。ということで、そういう原因の違いがある。
 それからもう1つは年齢で、欧米のニートというのは20代のはじめの方までが中心なんですけれども、日本のニートというのは30代の後半までかなり広い年齢層に亘ってきているというのが特徴じゃないかと思っています。
 そういった意味で、いろんな原因でニートになった人がいる、年齢的にも幅広くニートが分布しているということなので、これが取組みの決め手というのがなかなかないんじゃないか、というのが基本的な考えです。いろんなカテゴリーのニートの方がいるので、それぞれのカテゴリーに応じて効果的な対策を取っていく必要があると思っています。本年度はまず「若者自立塾」を作る。これは主としてこれまで引きこもりの若者対応をしているNPO、自治体の関係団体、ボランティア団体とかいろんなところがあると思うんですけれども、そういったところのノウハウをうまく活用して、とにかく一旦親から切り離して集団生活をしてもらい、そこで働く習慣をつけ、あるいは働く自信をつけてもらうというものを1つやろうと思っています。それからもう1つは、自信を失ってしまっているというのであれば、働く自信をつけてもらうために短期の職業講習をやるとか、あるいはデュアルシステムをやるとか、いろんなことをやってみようということであります。
 今朝のお話でも、だんだん放っておくと中高年のニートが出てきてしまって親が亡くなった時にそうした人たちがどうやって職業能力を開発して職業生活、職業的自立を図るのだろうかという意見もありましたけれども、そこまでにらんでさらにニート対策としてどういったことがあるのか。我々も正直言ってフリーター対策までは手がけてきたんですけれども、ニートを正面から対策として取り組むのは本年度が初めてなので、新たな対策をとりながら更に今後より充実した、より効果的な対策を検討していきたいと思います。



(記者)

 お話は変わりますけれども、各省庁間の人事交流なんですが、昨年ありまして今年2年目ということになるんですが、先日官邸の方からもまたご指示あったと思うんですけれども、これに対して今年度どういうふうに取り組んでいかれるか。特にいろんなレベルでの交流は進んでできていると思うんですが、局長級というのはなかなか難しいというような声を聞くんですが、そこらへんも含めてお考えをお聞かせ下さい。



(次官)

 省庁間の幹部職員の人事交流は、構造改革に政府が取り組む中で、より構造改革を効果的に行うという観点から積極的に行おうということで、去年から全省的な取組みが始まりました。目標は去年・今年・来年で課長相当職以上の職員の1割ということになっています。具体的に申し上げると、厚生労働省は課長級以上が160名余ですからだいたい16名ということだと思います。昨年5名やったということで、今年も5名程度はやりたいと思っています。
 昨年は、食の安全という観点から農林水産省と審議官級の人事交流を、もう1つは幼保一元化という観点から文科省の初等中等教育局と雇用均等・児童家庭局の課長級の交流を、等々ということで5件やったわけですけれども、今年についても審議官・部長級、課長級でなんとか5名程度は進めたい。人事交流の実が上がると思われる行政分野について、関係省庁と今いろいろ具体的に詰めており、だいたい5つは何とかなるかなということで今進めているということであります。
 局長については、これは先日大臣にもご相談申し上げたところですけれども、正直言って厚生労働省の課題が今年はあまりにも多い。社会保険庁の改革、医療制度改革、年金の一元化、食の安全、それから先ほどお話のあった若年者の雇用問題。いろいろ課題がある中で、人事交流の結果として「行政がより前に進んでいく」「来られた本人も役人としての職業生活に非常に役に立つ」という両面があると思うんですけれども、後者はともかく前者について、この非常に厳しい状況の中で局長級まで取り組めるかどうかということになると、慎重に判断する必要があるのかなと今思っています。そういった意味で昨年並みというか、昨年も審議官級までやりましたのでなんとか審議官・部長級は実現するということで、できるだけ前向きに対応するという考え方です。


(了)

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