大臣等記者会見概要  厚生労働省ホームページ

定例事務次官記者会見概要

(H16.12.16(木)14:00〜14:19  厚生労働省記者会見場)
【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

 本日の事務次官等会議では、厚生労働省関係では児童福祉法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案と、厚生労働省組織令の一部を改正する政令案、これは中央労働委員会の所掌事務が拡大したということで、それに伴う事務局の整備についての政令ですけれども、この2点が議題になっています。以上です。


《質疑》

(記者)

 昨日規制改革の関係で混合診療の解禁問題について総理の了承を得て固まりましたけれども、これに対する評価とこの規制改革の関連では中医協の見直しが引き続き議論されていると思いますが、その見通しと併せていただけますでしょうか。

(次官)

 まず混合診療については、かねてから厚生労働省の立場としては、いつでもどこでも誰もが一定の負担で必要な医療が受けられるという我が国の医療保険制度の根幹をきちんと維持するという中で、さらに医療の安全という観点から考えると、規制改革・民間開放推進会議の言われるようにいわゆるネガティブ方式、医療事故が起きた後で事後的な対処という提案は問題がありすぎて我々として了解することはできないという立場であったわけであります。規制改革・民間開放推進会議の方のご主張というのは、1つは日本の医療水準を高めるという観点に立つと一定水準以上の医療機関が自由に医療行為をやれるようにすることは重要ではないかというご主張。それから、非常に困っておられる患者の方々が1日も早く有効な、あるいはそういう可能性のある治療を受けたいということも考える必要があるんではないかというご主張。それから総理から年内に解禁の方向で結論を出すようにというお話もあり、そういった中で昨日細田官房長官の下で尾辻厚生労働大臣と村上担当大臣との間で合意に至ったわけであります。
 厚生労働省としては、確かに規制改革・民間開放推進会議の委員の方々がご主張されているように、現行の制度では患者の方々の切実な要望に的確に対処しきれていないという実態があること、これは事実だろうと思います。そういったことを踏まえて患者の立場、それから医療の安全、それから我が国の医療制度の根幹をきちんと維持していけるということで昨日まとまったような形の提案をしたわけであります。我々としては規制改革・民間開放推進会議の先生方にも一定の評価をいただけたんだろうと思います。いわゆる混合診療が委員の方々のご主張通りに完全に実現するということでなかったにしてもそう思われていると思いますし、厚生労働省としては抜本的、画期的な改革を行うことになるのではないかと今思っているところであります。
 今回の改革によって、国内の未承認薬の使用とか先進技術の迅速な実施といったことについて、保険診療と保険外診療の併用に関する具体的なご要望、これは十数点具体的に会議の方からお示しがあり、患者の方々からも大臣以下いろんなお話をお聞きをしている中での具体的なご要望について、さらには今後新たに生じる事案についても概ねすべて対応することができるようになるんじゃないかなと思っているところでありまして、後はこれから先いかに的確かつ迅速に実施に移すかということだと考えているところであります。
 それからもう1点、中医協の問題でありますけれども、中医協については規制改革 ・民間開放推進会議の委員の方々からは「厚生労働省の組織の外に在り方を検討する場を設けるべし」という話があり、厚生労働省としては「厚生労働大臣の責任の下にきちんとやらしていただきたい」ということで来ているわけでありまして、それぞれの問題意識というのを出し合いながらなんとか合意できる方向を目指しているのが今の状況で、いずれにしても来年度予算案の策定時期が近づいていますので、そこらへんのスケジュールの折り合いということになりますけれども、これから村上大臣と厚生労働省との間で早急に合意点を目指してさらに詰めている状況です。

(記者)

 日本経団連が出した報告の中で最近の労働行政に対するご指摘がありまして、最近の労働行政は企業に対する指導強化を、指導監督を強化しているというところで、これまでの労使自治で取り決められてきたものを、突如として指針や通達によって職場の実態を斟酌することもなく指導を強化しているという指摘があるんですが、この部分についてはどういうふうに受け止められていますか。

(次官)

 働く人たちが安心し、安全に働けるように、あるいは働く条件が整備されていない状態にある人たちについて、1日も早くそういう安心、安全な働き方が実現出来るように、というのが労働行政の究極の目的なのだと思っています。そういった中でやはり必要なのは職に就けていない人たちにきちんと職に就いていただく、就いた仕事が安全なものである、それから労働条件も人として働くのに妥当な内容のものであるということだろうと思います。そういった中で労働条件の問題、雇用契約の内容の問題、処遇とかも含めた問題について、労使で話し合っていただいて自主解決していただくことが基本であるということは我々も同じ考えであります。
 ただ経済社会情勢が大きく変わっていく中、例えば少子高齢化が進む中で年金の支給開始年齢も61歳、62歳と段階的に、65歳まで上がるという状況になっている。それから働く職場を見ても、働いている事業所の属している企業とその労働者という1対1の関係ではなくて、そこに派遣会社から派遣されている派遣労働者の方がいたり、あるいは契約社員の方がいたり、あるいは請負で来ている方がいたり、いろいろな形で職場で働いている人とその職場の事業主との関係というのも非常に複雑化しているという状況にあります。そういった中で例えば定年年齢、あるいは勤務延長の終了年齢と年金支給開始年齢の間にすき間が開いてしまうということについて労使で話し合っても、お互い企業間の競争というのが非常に激しい中で、ある意味では企業にとって負担になる。そこを労働側が斟酌して、負担にならないような形で労働条件の全体を見直す形での勤務延長、定年延長ということが一社だけで出来る状況にあるのか。それから先ほど言ったように一つの職場の中での雇用関係というのが1対1の関係ではなくて、派遣労働者とか請負労働者とかいろいろな方が入っている中で、当該事業所の企業の事業主がそこまでひっくるめた安全対策というのをきちんと労使の話し合いだけでつけていけるのかといったことがあるのだろうと思います。その辺りを考えると、労働市場の中で労働条件が決まり処遇が決まるという、労働市場のメカニズムで決まるのが基本であり、労使の話し合いが基本なのですけれども、やはり労働市場の一定の社会情勢にあったルールづくりといったものは国がやらないと、労使の話し合いを待っていたのではいつまでかかるかわからない。話し合いがつくまでの間に、定年退職して年金支給開始年齢まで1年2年3年待たないといけないという状態をどうするのか、それから職場の中の指揮命令関係が明確にならないために工場での爆発事故が起きたり、工場でのいろいろな種類の労働災害が起きたら、犠牲者の方はどうするのかということになると思うので、我々として労使の話し合いをベースにしながらも、労働市場の中で労働者のために、あるいはそれがひいては安心して働けるということであれば企業のためにもなるわけですから、そういった観点から社会的に必要と思われるルールづくりは国の仕事なのではないかと思っております。ただ問題はそれでは国が何でもかんでも決めるのかという辺りで、その辺りはやはり労使のご意見も伺いながら社会的に国がつくるルールとしてこの程度のものが妥当なのかどうかということを審議会等でもご議論いただき、あるいは国民の代表者たる国会でもご議論いただいた上でやっていくということだろうと思っています。

(記者)

 労働時間の指導監督について杓子定規なのではないかと。要するに管理施設内にいる時間全てを労働時間というふうに捉えてやるのは職場の実態を捉えた指導監督ではないのではないかことを指摘しているのですが、その点はいかがでしょうか。

(次官)

 労働時間法制というのも時代によってずいぶん変わってきているわけです。元々は工場での一律定型的な労働時間制度というのを基本にしていたわけですが、最近はフレックスタイムとか、あるいは変形労働時間制とか、裁量労働制とか、いろいろな制度が出来ているということで、そういった意味では時代の変化、時代の要請といったものに応えてやってきているわけであります。
 問題の一つは、柔軟な労働時間制度が法律的にも整備して民間の企業でもいろいろな労働時間制度を採用しているという中で、ややもすると本来守るべきルールと柔軟な労働時間制度との間の線引きがはっきりしなくなって、時間外労働手当を払うべき労働者の方々が裁量労働制の適用になっているのではないかというふうな運用がなされたりということも起きがちなわけで、その辺りを現場の第一線の監督機関がどういうふうに指導監督しているかというあたりです。場合によって日本経団連がご指摘のような現場での混乱ということがもしあるのだとすれば、そこはやはり行き過ぎの面があるのか、あるいは事業所側の柔軟な労働時間制度と従来から行っている労働時間制度との区分けが截然、的確に行われていないという事業者側の問題があるのか、恐らく両方の問題があるというのが日本経団連の問題意識だと思います。その辺りはそういうご提言があるということであればよく日本経団連の真意を伺って、我々の方で正すべきものがあれば正していく必要があると思いますし、日本経団連側で誤解があるのだったら、そこは我々としても誤解を解いていくことがあるのだろうと思います。ちょっとそのあたりはこれから考えるということかなと思います。

(了)


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