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定例事務次官記者会見

(H14.01.31 (木)13:59〜14:15 厚生労働省記者会見場)

【広報室】

《事務次官会議について》

(次官)

 今日の事務次官会議におきましては、特別の当省の案件は無かったわけでありますが、事後報告ではあったわけでございますが、私の方から労働力調査報告との絡みで有効求人倍率の関係の報告をいたしたわけでございます。ご承知のとおりでございますけれども、昨年の12月の有効求人倍率が0.51倍ということで毎月下がっている状況だということ、有効求人は前月に比べまして2.4%減少して、求職者の方が0.5%の増加ということでございまして、新規の求人を主要の産業別に前年同月と比べますと各産業とも前年の水準を下回っていると、特に増加が続いておりましたサービス業でも31ヶ月ぶりに減少に転ずるということで、総じて減少傾向が続いていると、こんなような報告をさせていただきました。
 昨日発表いたしました日本の将来推計人口につきましても、簡単にその内容をご説明をいたしております。5年に1回国勢調査等を踏まえて行うということで、今回は平成12年の国勢調査等を踏まえた新たな推計であるということ、それからこの推計では従来から女性の生涯未婚率、それから夫婦の出生児童数、こういったものについて3通りの推計を行っておりますと、その中位推計によりますと総人口は2006年をピークにしてその後減少を続けると、今回の推計の中で従来から晩婚化が進んできたのでございますけれども、晩婚化が進んでも結婚すれば夫婦の産む子供の数というのはそれほど変わらなかったわけでございますけれども、この数年の動きを見ますと、結婚した夫婦の出生力の低下というのが認められると、これを織り込んで推計を行ったと、そういうことで前回推計に比べますと、より少子化が進むと、こういう予測になったというご説明を申し上げたわけでございまして、こうした少子化、高齢化の進展というのは我が国の経済社会全体に大きな影響を及ぼすものだと、こういうふうなことでございまして、厚生労働省だけの問題ではございませんので教育、住宅、その他の問題でもあるわけでございますので、各省庁においても充分少子化対策にご尽力願いたいと、このような要望をいたしたわけでございます。
 以上でございます。何かご質問があればお答えを申し上げたいと思います。

《質疑》

(記者)

 出生率の低下が止まらないというふうに思うのですけれども、子育て支援をこの役所が担当なさっていて、1970年代からこの傾向が続いていて、何らかの対策が必要だという議論が行われているのに、傾向になんら歯止めがかからないということは、少子化対策そのものが不十分であったのか、または対策の在り方そのものが違っていたのではないかというようなことになるのではないかと思うのですけれども。
(次官)
 日本では人口は増え続けていると、こういうことでかつて戦前ですが、富国強兵政策と言いますか、産めよ増やせよと、こういう議論があったと、こういうこともあって戦後では人口政策そのものを言うのがタブーであったと、こういうことが大きな背景として、政策的に国が人口政策について口を挟むというのは控えてきたというのがあったかと思うわけでございます。ちょうど丙午の年に1.58というのがありまして、その時点でも議論があったわけでございますけれども、それはその後回復いたしましたので、その丙午の年を下回ったような1.57ショックというのが、10年程前でございましたでしょうか、少子化問題というのが再びクローズアップされてきたわけでございまして、その時にもエンゼルプラン等を作ってある程度対応してきたわけですが、その後においても平成10年でございましたか、この時も人口問題審議会の中でいろいろ議論をしてきまして、それを私どもとしてキャンペーンをやってそれなりの対策は講じてきたわけでございますけれども、なかなかそれだけで歯止めがかかるような状況ではないと、社会全体といいますか女性が社会参加すると子育てのメリットというのもあまり感じられないと、その環境というのも、子育ての環境というのも決して良くならなかったと、こういうことだろうと思っているわけでございまして、役所の施策というだけでなくてやはり社会全体が子育てについて関心を持つといいますか手助けをすると、こういう意識を持つような社会にならないと出生力の回復というのは非常に難しいのかなという感じは持っているわけでございまして、特に今回先程申し上げましたように、結婚した夫婦の出生力そのものも低下してきたと、晩婚化によって遅く結婚されたからその分だけ子供を生む人が少なくなる、これは前から見込んでいたわけでございますけれども、そうでないそれ以上の落ち込み方をいたしているわけでございまして、その原因なかなかつかみ得ないわけでございますけれども、一つ考えられますのはちょうどバブルが崩壊して社会構造そのものも大きく転換すると、こういう中で将来不安みたいなものがこういう子供を産む年齢層にも出てきたのではないかというのが考えられるわけでございまして、他のどんな理由があるのか、これはよくこれから私どもとして綿密にフォローアップしないといけませんし、これはまさに識者の意見も聴かなければいかんでしょうし、一般の人の意識というものもやはり掘り下げて考えなければならないと思っております。何度もそういった調査はやってきておりますけれども、必ずしも確信を得たものがないわけでございまして、平成8年とか9年に行いました調査で、ある程度、子育てについて世の中の評価というのが低い、なおかつ子育てしたことによるメリットというのが少ないというふうなこととか、あるいはパラサイトシングルと言いますか、若い人が裕福な親に寄生して、そこで生活をすると、それ以上の生活をすることが結婚によってですね、それ以上の生活が出来るかどうか比較衡量しているんじゃないかと、こんなような調査結果が出たというのが記憶にございますけれども、それだけが恐らく原因じゃないと思いますけれども、いろいろな面からやはり論議をしてもらう必要があるんじゃないかと、こんなような感じを持っております。ひとつだけの理由じゃなくて、三つも四つも理由が重なっているんだと思いますので、そういった面も踏まえて、ただ原因がわかっただけでは対策というのは出来ないわけでございまして、やはり世の中の意識というものが変わってこないと対策というのは実効性が上がらないんじゃないかと、こんなような感じを持っておりまして、やはり大いに議論してもらうのが必要ではないかと、こんな感じを持っております。
(記者)
 午前中の最高裁判決についてもう既に局長のコメントが出てますし、大臣も直前になんか国会答弁されていたようですけれども、大臣の答弁の中で社会保障全体に新しい判断があるのかどうか子細に検討してみたいというようなフレーズがあったのですが、そういう具体的な案について。
(次官)
 ちょっと私は聞いておりませんが、新しい判断ですか。
(記者)
 法律に限定した判断だったのか、社会保障全体に何か新しい判断があったのか、判決文をよく子細に検討してみたいと、こういう言葉が。
(次官)
 これは既に平成10年に私どもとして法令改正をしたということでございまして、こういう規定があるために父からの認知を避けるようなことがないようにということで、改正をいたしたわけでございまして、今回の判決というのは他の条文とのバランスといいますか、認知されたから給付が出ないんじゃなくて、事実婚的なものについても給付されますので、それとのバランスというふうなことで解釈されたのではないかと思っておりますので、新しい社会保障についての判断ではないのではないかなという感じはいたしておりますが、ちょっと大臣がどういう趣旨でおっしゃったのか子細には承知いたしておりません。法令の解釈の、バランス解釈、まあ均衡ですね、他で給付されて、こちらが給付されないというのはやはり均衡を失するのではないかということで、そういう支給対象とされている者との均衡を考慮して解釈すべきであるという法律の趣旨を受けて政令を定めるべきであるということで、認知について認知された児童について除くということが、他で支給対象にされている者との均衡を失するのではないかというふうな法令の解釈をされたのではないかというふうに思っております。ただひとつ申し上げたいのは、そういう父から認知された児童でありましても1号、今のは3号の括弧書きにあるんですが、1号で父から引き続き1年以上遺棄されている児童につきましてはこれは当時の、今でもありますけれども、条文では支給対象になっておりますので、認知されても1年以上そのまま放置されれば対象になっておりましたので、その規定で救済されている児童というのがかなりあるということですから、はっきり言えば1年間だけ不利な扱いを受けているというケースが多いというふうに承知いたしております。

(了)


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