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定例事務次官記者会見

(H13.7.05(木)14:01〜14:21 厚生労働省記者会見場)

【広報室】

《事務次官会議について》

(次官)

 今日の次官会議では、私の方から説明したのは、政令が一つとそれから有効求人倍率の関係の事後報告の2点でございまして、一つの政令でございますけれども、国民年金法の施行令の一部改正で、これは実質的には内容に変更が無いわけでございますが、学校教育法の一部改正法がございまして、国民年金の施行令の規定の条ずれが生じたと、こういうことで、内容的には国民年金法の学生の定義のところが学校教育法で書き方が変わったということを、それに合わせるとこういうものでございます。学校教育法の規定の整理に伴って国民年金法の施行令の規定を改める、こういうものでございました。実質的な内容は変更はございません。それから有効求人倍率の関係では、前の閣議の時に大臣の方からご報告をしているものを事後報告したものでございますけれども、5月の有効求人倍率が0.61倍ということで、前月を0.01ポイント下がったとこういうことをご報告を申し上げました。以上でございます。

《質疑》

(記者)

 ヤコブ病訴訟の先日の大津地裁で和解勧告が出されましたけれども、厚生労働省としての結論は現在どのように。
(次官)
 9月の10日までの期限でございますし、それから東京地裁の方がまもなく、16日だと聞いておりますけれども、16日に結審されると、こういうことでございますからその辺の動向を見てですね、慎重に検討したいと、こういうことでございます。
(記者)
 年金障害者の提訴が今日行われているようですけれども、次官として裁判まで至ってしまったことについては。
(次官)
 私も何度も国会で年金局長の時に答弁しましたし、その後においても検討をしてきたわけでございます。ただ年金制度として対応するというのは非常に難しいということで、しからばその他の方法があるのかどうかとこういうことで、別途の方法がはっきり言って見つからない。障害者の対策としてまさに所得保障ということですから、はっきり申し上げて、そこが詰めきれなかったと、まさに年金制度として保障すべきものと、それから漏れた人についてどの程度後で保障する必要があるのかどうかとか、その財源とかということになると、はっきりいって見通しが立たないと。年金制度で対応するのは制度の根幹に関わることであるということで、対応できなかったということでございまして、これはなかなか古くて、なかなか難しい問題でございまして、容易にこの問題の隘路を解くというのは非常に難しい案件でございますけれども、これからも引き続きこの問題は検討する必要があると思っております。ただ、かなり前から問題が提起され、私共も課題として検討してきて、なおかつ解決方法が見つからないということでございますので、行政的には極めて難しい課題であると、司法的にも司法でこれを解決するというのはそれもなかなか難しいのではないのかなと思っておりまして、更にこの辺はおそらく政治的な課題というふうなことになろうかと思います。年金制度と福祉制度ですね、これをどういうふうに位置づけ、その財源を見つけていくのかと、こういう課題じゃないかと思っておりますが、残念ながら年金制度の関係では理屈として制度の根幹に触れて難しいと、財源的にも今のような財政状況の下でどう対応したらいいのかということで、なかなか解決の道が見つからなかったと、こんなようなことでございまして、これからも重い課題でありますけれども検討していかなければいけないと、こんなような思いでございます。すぐ一刀両断的な解決法というのは難しいのかなと、こんなように思っております。
(記者)
 先般脳死の臓器移植で腎臓がご本人の生前の意思にもとづいて御親族に移植されたわけですけれども、立法趣旨から逸脱していると指摘があるんですけれども、それについてあり方を整理をするというようなお考えでしょうか。
(次官)
 この問題は、この間の移植の問題ということに限って言えばですね、親族の方から固く公開をしないで欲しいと、こういうことでございますので、この案件がどういう方に配られたのか、使われたかについては申し上げられないということでございます。一般論としてですね、親族がいいのかどうかとこういうことでございますけれども、必ずしも明確ではなかったようでございますけれども、故人の意思を尊重すると、これは法律にも書かれているわけでございまして、議論の過程では親族にお渡しするというのは故人の意思が明白であれば、これは止むを得ないのでないかと、こんなようなことで法律が定まったというふうにお聞きしております。ただどの範囲の親族なのかということとか、その生前の意思の確認こういったものが明確でないと不公平とか不透明とこういうことにもなりかねないわけでございますので、その辺は更に議論をしていただくということが必要じゃないかと、まあこんなようなことで検討していただくということになっているわけでございます。
(記者)
 なんらかの私的諮問機関なりでやったりとか。
(次官)
 ちょっと正確には知りませんけれども、確か検討会で検討していただくと聞いております。
(記者)
 介護保険ですけれども、一部報道で保険料徴収を20歳ぐらいですとか、出ていましたけれども、次官はどのようなお考えで。
(次官)
 読んでませんけれども、この議論は介護保険法を制定する当初からございまして、制定するといいますか法律の作業をやる過程でも20歳からやったらどうかとこういう議論があったかに聞いております。従ってその場合には障害者の方ですね、若い障害者の方も対象になると、その代わり20歳から保険料をいただくと、こういう形になるわけでございますが、その過程で議論になりましたのは、当時の障害者に対する施策とそれから介護保険による給付と、どちらが厚いかどうかとかいうような議論もございましたし、それから20歳から本当に納めてくれるのかどうかと、理解が得られるのかどうかと、まあこのような議論がございますし、今の介護保険制度というのは高齢者を中心に制度を設計すると、それで高齢化に伴って生ずる病気で障害になると、こういう方だけを40歳から対象にするということになったわけでございますが、大部分が高齢者の方でございますので、それの予備軍といいますかそういった人のお子さんが中心である40以上の方ならかなり理解を得られるのかなと、こんなようなことで設計されたわけでございまして、20歳ということになればこれは根本に遡って、あらためて議論をしないと、そう簡単に理解が得られるとは思いません。障害者の団体とか、それから若い人達の意見、こういったものを踏まえた上で制度設計したい。今40歳を単純に20歳にするというだけでは理解が得られないんじゃないか、かなり詰めた議論をする必要がある。介護保険ができる当時からの宿題でもあるわけでございますので、当然その問題は今度の改正、できるかどうかは別にして議論の対象にはなるだろうと、こういうふうに思います。
(記者)
 介護保険でいうと、大臣がこの前タウンミーティングの中で特に低所得者対策についてもう少し柔軟にするのも前倒しでやったらどうかということが発言されているようなんですが、こちらの方は今のところに比べると実現可能性があるというふうに考えているのでしょうか。
(次官)
 低所得者の問題は、低所得者という層があるから本来の水準の負担が求められない、こんなような問題もございましてですね、ただ低所得者というとらえ方が非常に難しいと、ミーンズテストみたいにその人の所得とか資産を全部洗い出して、今の生活保護と同じようなやり方にすれば低所得者というのは割と明確に捉えられるわけでございますけれども、一般的に老人一般ということになると、何千万人という方がいらっしゃるわけですから、そういう方にそういう手間暇をかけること自体が大変なことですから。10年、20年くらい前までは年金制度の中に老齢福祉年金という所得制限付きの年金制度がかなりの数がいらっしゃったものですから、一つの大きなメルクマールとしてそういう人を対象にして低所得者だ、まあこのような一律のことをやってきたんですが、そういう人達はもうほとんどいなくなっておりまして、新たなメルクマールを見つけるのがなかなか難しいわけでございまして、低所得者とはなんぞやというのがなかなか難しいので、どの範囲まで低所得者なのかと、この辺の議論がしかも実務にそれが乗らなければいかんもんですから、それを含めて、しかも制度横断的に検討しようということで桝屋副大臣の下にプロジェクトチームを作って、そういう検討を始めているというところでございますが、先程申し上げましたようなどういう対象者で、それを実務的にどういうふうな手順で認定していくか、そういうものが非常に難しいもんですからそう簡単じゃないと思いますけれども、何らかのものを見つけたい、こういうことで作業を進めているところです。できれば本当はすぐにでもやりたいという気がございますけれども、これも非常に長い間前々から課題になって、私も介護保険施行準備の時にもかなりこの問題を詰めて議論したわけでございますけれども、残念ながらうまいメルクマールが今のところ見つからなかった。こういう事情もございまして、作業は急がなきゃいかんし、年金問題にしても、老人医療にしても、介護にしても、そういった面で何らかの道を見つけたいというのが私どもの願望という状態でございます。

(了)


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