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アフターサービス推進室活動報告書(Vol.14 :2014年1月〜3月)平成26年3月31日

I 調査結果報告

 アフターサービスの観点から、厚生労働省の制度・事業の改善に資するよう「国民の皆様の声」、現場視察、厚生労働省の制度・事業に関する情報収集を基に以下の件について調査・分析し、とりまとめましたので、以下に報告します。

案件名 調査概要
家庭的保育に関する調査  本調査は、待機児童の一層の解消を目的として、家庭的保育事業における家庭的保育者の確保等を効果的に行っている地方自治体の取組事例を収集し、その結果をとりまとめたものである。

1 調査に至った経緯

 総務省の「ワークライフバランスの推進に関する政策評価書」(平成25年6月)において、家庭的保育事業を実施する自治体の声として「家庭的保育者の「なり手」の確保ができない」、「他の地方公共団体における家庭的保育事業の先進的な取組事例等の情報を提供してほしい」等の意見が取り上げられ、総務省から厚生労働省に対して「家庭的保育事業については、家庭的保育者の確保を効果的に行っている推奨事例を収集し、市区町村等に対し情報提供を行うこと」との勧告がなされたところである。
 また、「国民の皆様の声」には、「待機児童が多く安心して子どもを預けられる体制が整っていない。認可外でも構わないから保育所を増やして欲しい」といった意見が寄せられている。
 厚生労働省では、政府において公表された「待機児童解消加速化プラン」に基づき、待機児童の一層の解消に努めているところであるが、勧告や国民からの声を踏まえ、待機児童解消における保育の受け皿の一つである家庭的保育事業について、当該事業の推進に資するよう、各地方自治体(以下、「自治体」という)において取り組まれている事例について調査した。

(注) 家庭的保育事業は、児童福祉法に基づくものであり、同法(第6条の3第9項)には「乳児又は幼児について、家庭的保育者の居宅その他の場所において、家庭的保育者による保育を行う事業をいう」と定められている。なお、家庭的保育者の資格要件は、児童福祉法施行規則(第1条の32)に「保育士又は保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者とする」と定められ、さらに、国のガイドラインにおいて、「保育士資格を有する者は市町村長が行う基礎研修を修了した者、保育士資格を有さない者は、基礎研修及び認定研修を修了した者」と定められている。

2 調査期間・調査の方法

 調査は、以下の23自治体について、平成25年10月から平成26年2月の間にヒアリングにより調査を実施した。

 【ご協力頂いた自治体】

札幌市、仙台市、市川市、足立区、墨田区、中野区、練馬区、板橋区、大田区、三鷹市、江戸川区、江東区、目黒区、横浜市、名古屋市、京都市、大津市、大阪市、神戸市、西宮市、北九州市、福岡市、神奈川県

3 課題および改善策(取組事例)

 ヒアリングにより、自治体において家庭的保育事業の実施に当たり苦慮している点を聞き、別の自治体において取り組まれている事例において改善に資すると思われる点を取組事例として整理した。

課  題 改善策(取組事例)
【家庭的保育者の確保】
  • 募集定員以上の応募はあるものの、応募者の居住地が保育需要の低い地域である場合や家庭的保育者の質の確保といった観点から採用できない場合がある。
【家庭的保育者へ向けた広報面の工夫】
  • 1 家庭的保育者の募集チラシなどには、「やって良かった」「楽しい」などの保育者の声を掲載することで「家庭定保育をやってみたい」という意欲を喚起。
  • 2 保育の様子などの写真をホームページに掲載し、家庭的保育を検討している者に家庭的保育のイメージを伝える。
  • 3 PTA等の会合で、家庭的保育について説明会を開催した。
  • 4 お祭りやイベントで家庭的保育者募集のチラシを配布。
  • 5 家庭的保育者の募集をする前に市区町村の役所で家庭的保育事業に関する説明会を開催することで、まずは気軽に質問等ができるよう配慮。
【保育環境の提供、保育者の待遇の改善】
  • 1 家庭的保育の実施場所を確保してから家庭的保育者の募集をかけると集まりやすいので、積極的な実施場所の確保を行う。
  • 2 賃貸マンション等で家庭的保育を行う場合の賃借料補助を実施。実施する家庭的保育者については、居住地は問わないこととし、近隣市区町村からも家庭的保育者を確保。
【家庭的保育者募集上の工夫】
  • 1 家庭的保育者募集の前に、研修を受講してもらい、スムーズな募集につなげる。
  • 2 家庭的保育者から知人等の紹介。
【法人を活用することにより家庭的保育者を確保】
  •  家庭的保育の実施主体を法人とすることで、法人が募集をするので、自治体の家庭的保育者確保の負担が軽減される。
【場所の確保】
  • 自宅以外で家庭的保育事業を行う場合、不動産物件を確保する必要があるが、保育を行う場合、近隣から騒音等の苦情があるとして、貸してもらえない場合がある。
  • 保育需要のある地域と家庭的保育者の居住地が離れており、場所のマッチングがうまくいかない。
【自治体と不動産業者が連携し家庭的保育室を確保】
  • 1 自治体が不動産関係者と連携して不動産をあっせん。
  • 2 自治体が不動産関係者と連携し、家庭的保育事業が実施可能な不動産を紹介してもらう。
【公的建物を家庭的保育室に活用】
  • 1 自治体の空き施設や公営住宅(国家公務員住宅、市営住宅等)の空き物件を財務局や自治体の住宅課に紹介してもらい活用。
  • 2 自治体の保有施設と自治体が借り上げた賃貸マンションを家庭的保育者に提供。
【事前に建築業者と協議することによる場所の確保】
  •  条例で一定数以上の建物を建てる場合には、公共的施設の設置等について協議することを義務づけ、要綱において家庭的保育室等の保育施設を設置する場合には、自治体に支払うまちづくり協力金を一部免除することとしている。
【家庭的保育の認知度向上】
  • 保育は認可保育所しかないと思っている保護者が多く、家庭的保育という制度があること自体が知られていない。
【家庭的保育の広報による周知】
  • 1 認可保育所への申込みがあった際には、家庭的保育の選択肢もあることを必ず伝える。
  • 2 認可保育所案内のパンフレットに家庭的保育事業について紹介。
  • 3 家庭的保育事業の案内チラシを作り役所の窓口等で配布。
【共通ユニフォームの着用による家庭的保育の周知】
  •  家庭的保育者共通のユニフォーム(エプロン)を作成し、保育中はエプロンを必ず着用することとし、散歩等の際に家庭的保育者であることがわかるよう工夫。
【乳幼児の健康診断の実施】
  • 連携保育所における健康診断が困難
【嘱託医を指定することによる健康診断の実施】
  •  家庭的保育者毎に嘱託医を定め、その費用を自治体が負担。
【連携保育所との連携強化】
  • 連携保育所が遠い場合もあり、連携保育所に訪問できていない。その結果、園庭遊びや行事への参加ができていない。
【イベント創設による連携保育所への訪問】
  •  月に2回保育所に訪問して給食を食べる。訪問の際、身長測定や、園庭での遊び、集団での保育等を体験。
【連携保育所での書類の受け渡し】
  •  書類の受け渡しを連携保育所経由でするようにし、連携保育所に訪問しやすい工夫。
【連携保育所への訪問の義務づけ】
  •  月に1回は必ず連携保育所を訪問するよう指導。
【連携保育所までの交通費の支給】
  •  連携保育所に行く交通費(旅費)を補助することで、連携保育所に行く頻度を高める。

4 まとめ

 今回は、各自治体のご協力により、貴重なご意見を伺うことができた。家庭的保育事業を実施するに当たっての諸課題に対して、自治体における特色を活かし、どう取り組んでいるかその対策について補足も加えながら取りまとめを行った。ご協力をいただいた自治体の皆様には、この場をお借りして感謝申し上げる。
 現在、政府においては「待機児童解消加速化プラン」において平成29年度末までに保育の受け皿を約40万人分整備し、待機児童の解消を目指している。家庭的保育事業は、待機児童解消の一つとして期待されるものである。自治体においては、地域の保育ニーズに応じて家庭的保育事業について検討し、取り組み、待機児童の解消を図っていくことが期待されている。
 家庭的保育事業の推進に当たっては、各自治体の保育に対する考え方、歴史、家庭的保育を実施している規模によって対応は異なっており、自治体によっては「推奨事例」とは言えないと思われる部分があるかもしれないが、効果的な事業の実施に向けて参考となるところがあれば部分的にでも取り入れて頂ければ幸いである。

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