厚生労働省

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厚生労働省
厚生労働省発表
平成20年12月3日

職業能力開発局能力評価課
課長岩崎
課長補佐焼山正信
電話03(5253)1111(内線5969)
夜間直通03(3502)6958

中央職業能力開発協会
能力評価部次長内藤眞紀子
評価制度開発課長名田
電話03(5800)3689(直通)


「石油精製業」、「イベント産業」の職業能力評価基準が完成

(ポイント)

現在、厚生労働省では「職業能力が適正に評価される社会基盤づくり」として、能力評価のいわば”ものさし”、”共通言語”となる職業能力評価基準の策定に取り組んでいる。

これまで、経理・人事等の「事務系職種」に関する横断的な職業能力評価基準のほか、電気機械器具製造業、自動車製造業、ホテル業等38業種の職業能力評価基準が策定されたところであり、今回、「石油精製業」、「イベント産業」の職業能力評価基準が完成した。

職業能力評価基準は職務遂行に必要な職業能力や知識に関し、担当者に必要とされる能力水準から組織・部門の責任者に必要とされる能力水準まで4つのレベルを設定している。また、単に知識があるということにとどまらず、職務を確実に遂行しているか否かの判断基準となるよう、典型的なビジネスシーンにおける行動例を記述している。

このため、職業能力を評価する基準であると同時に、労働者にとってキャリア形成上の指針としての活用も期待される。

現在、ビルメンテナンス業、マテリアル・ハンドリング業等幅広い業種において職業能力評価基準の策定を進めているほか、策定済みの職業能力評価基準についての改訂を進めているところである。

上記の報告書及び職業能力評価基準は、中央職業能力開発協会のホーム ページから入手可能である。

中央職業能力開発協会http://www.hyouka.javada.or.jp

今年度より本格実施となっているジョブ・カード制度(職業能力形成プログラム)においては、企業におけるOJTを含めた訓練成果を「汎用的な評価基準」に基づいて評価することが必要とされており、本職業能力評価基準の活用が可能である。また、ジョブ・カード制度への企業の参加を容易にするため、ジョブ・カード様式6(評価シート)のモデルとなる「モデル評価シート」を、既に策定した職業能力評価基準を活用して策定しているところである。

モデル評価シートについては、厚生労働省のホームページから入手可能である。厚生労働省https://www.mhlw.go.jp

I石油精製業

石油精製業について

石油産業は、原油の採鉱、掘削、生産、輸送、備蓄、精製、製品販売までの広範囲な事業範囲を網羅する国の基幹産業である。また、わが国の石油産業を大きく分けると石油開発業、石油精製業、石油製品販売業の3つに分類され、このうち、石油精製業は、原油を調達し、いろいろな石油製品へ精製・加工する事業である。

職業能力評価基準の策定までの経緯

(1)石油精製業については、石油連盟(会長・天坊昭彦出光興産株式会社代表取締役社長)との連携のもと、職業能力評価制度整備委員会(座長・高塚透:信州大学繊維学部教授)を設置し、検討を行った。

(2)同委員会は、石油精製業における専門性の高い職種として、

[1]生産計画の立案と管理を行う「製油計画」

[2]品質管理の計画、実施を行う「品質管理計画」

[3]施設プラントや建築物、設備・電気の計画を立案するとともに、設計等を行う「設備計画」

[4]設備の検査や工程の管理等を行うことにより、設備の維持管理を行う「設備維持管理」

[5]精製所内の安全・衛生・環境について、情報収集、方針決定、周知徹底などを行う「安全・環境管理」

[6]石油精製に用いる装置の操作、管理を行い、石油を精製する「石油精製」

[7]部門や現場の業務を管理・監督する「管理・監督」

の7職種について職業能力評価基準の策定を行った(図1参照)。

(3)石油精製業においては、原油価格の高騰をはじめとする経営の課題とともに、環境問題対応が緊急の課題となっており、徹底した合理化によるコスト削減を実施してきた反面、高齢化が進み、世代ギャップによる技術伝承能力の低下を招くといった問題が生じ、安全操業の維持が問題となっている。これらの課題に対し、技術の伝承、人材育成を図るため、教育制度、人事制度等の再整備を行うことが求められており、こうした現状も踏まえつつ職業能力評価基準が策定された。

図1石油精製業の職業能力評価基準の全体構成

図1 石油精製業の職業能力評価基準の全体構成
レベルの設定

職業能力評価基準の策定に当たっては、これが職業能力を評価する基準であると同時に、労働者にとってキャリア形成上の指針となるように、役職等とそれに必要とされる職業能力の関係の実態に照らし、担当者に必要とされる能力水準(レベル1)から組織・部門の責任者に必要とされる能力水準(レベル4)まで4つのレベルを設定している。

職業能力評価基準全体に共通するレベル区分の考え方に沿いながら、より具体的にイメージできるよう、石油精製業におけるレベル区分の目安を設定した(図2参照)。

図2 石油精製業のレベル区分の目安
レベル レベル区分の目安 役職イメージ
技術系 技能系 マネジメント系
レベル4

【マネジメント系】

大規模もしくは業績影響度が大きい組織の責任者として、広範囲かつ統合的な判断及び意思決定を行い、企業利益を先導・創造する業務を遂行するために必要な能力水準。

【技術系】

極めて高度な技術を有し、精密な業務を正確かつ効率的に行うとともに、経営的な観点から製品の高付加価値化・コスト削減方法を考え、部下への指導を行う能力水準。

「高度技術スペシャリスト」   「工場長」
「部長」
レベル3

【マネジメント系】

中小規模もしくは業績影響度が通常程度の組織の責任者として、上位方針を踏まえて管理運営、計画作成、業務遂行、問題解決等を行い、企業利益を創出する業務を遂行するために必要な能力水準。

【技術系・技能系】

高度な技術または作業技能を有し、精密な業務を正確かつ効率的に行い、サービスの高付加価値化に貢献する能力水準。また現場リーダーとして、指示、判断を行いながら組織運営管理を行う能力水準。

「技術スペシャリスト」 「熟練技能者」(兼直長:リーダー) 「課長」
「係長」
レベル2

グループやチームの中心メンバーとして、創意工夫を凝らして自主的な判断、改善、提案を行いながら業務を遂行するために必要な能力水準。

「シニア技術スタッフ」 「シニア技能作業者」  
レベル1

上司の指示・助言を踏まえて担当業務を確実に遂行するために必要な能力水準。

「技術スタッフ」 「技能作業者」  
石油精製業の職業能力評価基準の例
石油精製業の職業能力評価基準の例

IIイベント産業

イベント産業について

(1)社団法人日本イベント産業振興協会によると、「イベントとは、何らかの目的を達成するための手段として行われる行事・催事である」と定義されている。また、イベントはテレビ・新聞・雑誌・ラジオ・インターネットとともに、情報伝達の主要なメディアのひとつとして認識されている。マスメディアが一方通行のコミュニケーション手段であるとすれば、イベントは関係者や参加者の参画意識を醸成することのできる双方向、かつ体験型のコミュニケーション手段であるため、他のメディアに比べてメッセージの到達度が高く、効果測定も早いと言われ、注目されている。

(2)「イベント産業」は、多種多様な業種・業態の企業間のコ・ワーキング、連携によって構成されているシステム産業である。

職業能力評価基準の策定までの経緯

(1)イベント産業については、(社)日本イベント産業振興協会(会長・中村雅哉:(株)バンダイナムコゲームス名誉相談役)、有限責任中間法人日本イベントプロデュース協会(理事長・清水卓治:(株)シミズオクト代表取締役会長)、日本イベント業務管理者協会(会長・真木勝次:(株)テー・オー・ダブリュー取締役副社長)、イベント学会(会長・堺屋太一:(株)堺屋太一研究所代表)との連携のもと、職業能力評価制度整備委員会(座長・野川春夫:順天堂大学スポーツ健康科学部 教授)を設置し、検討を行った。

(2)同委員会は、イベント産業における専門性の高い職種として、

[1]主催者、スポンサー及びクライアントに対するイベント企画の総合窓口として、サーベイから企画立案、プレゼンテーション、契約、プロジェクト・マネジメントを主に、制作、運営までのトータルコーディネートを行う「企画」

[2]イベント開催に向けた制作業務の計画作成と制作業務の準備・実施を行う「制作」

[3]イベント開催に向けた運営業務の計画作成と運営業務の準備・実施を行う「運営」

の3職種について職業能力評価基準の策定を行った(図3参照)。

(3)イベント業界で求められるものには、イベントに関する知識や技術のみならず、人間の行動や心理を把握する能力や、様々な情報を収集し、それらを分析できる力、さらには、その分析に基づいてイベントという形をつくっていく創造力があげられており、こうした現状も踏まえつつ職業能力評価基準が策定された。

図3イベント産業の職業能力評価基準の全体構成

図3 イベント産業の職業能力評価基準の全体構成
レベルの設定

職業能力評価基準全体に共通するレベル区分の考え方に沿いながら、より具体的にイメージでき るよう、イベント産業におけるレベル区分の目安を設定した(図4参照)。

図4イベント産業のレベル区分の目安
レベル区分 レベル区分の目安
レベル4

・経営的な判断及び意思決定に参画するために必要な能力水準

・イベントに関する極めて高度な知識、技術、ネットワーク等を持ち、経営者を補佐し、または経営者の代理として業務を遂行するために必要な能力水準

・業績を上げるための営業統括的な業務を遂行するために必要な能力水準

・利益を向上させるためのプロジェクト統括管理的な業務を遂行するために必要な能力水準

レベル3

・部門やプロジェクトを統括し、計画的に業務を遂行させるために必要な能力水準

・主催者、関連他業種等関係者との折衝、調整、問題解決をするために必要な能力水準

・部下やプロジェクトスタッフ等をまとめ、業務を指示し指導・完遂するために必要な能力水準

・与えられた持ち場で、管理運営業務を遂行するために必要な能力水準

レベル2

・適切な判断、不測の事態への対処、改善・提案を行うために後輩やプロジェクトスタッフ等をまとめ、業務を指示し指導・完遂するために必要な能力水準

・与えられた持ち場で、管理運営業務を遂行するために必要な能力水準

・創意工夫をこらして、指示が無くとも自主的にプロジェクトを推進するために必要な能力水準

・担当職務に関する専門分野の拡大や向上を行うために必要な能力水準

・プロジェクトスタッフとして、責任をもって、任せられた業務を遂行するために必要な能力水準

レベル1

・定型的または基本的な業務を遂行するために必要な能力水準

・与えられた持ち場で、定められた手順に従って業務を遂行するために必要な能力水準

・メンバーとして、指示を受け、ある程度任された業務を遂行するために必要な能力水準

・上司の指示または指導監督下で支援を受けながら、業務を遂行するために必要な能力水準

イベント産業の職業能力評価基準の例
イベント産業の職業能力評価基準の例

(参考)「職業能力評価基準」について(PDF:485KB)


職業能力評価基準策定状況

図3 イベント産業の職業能力評価基準の全体構成

「職業能力評価制度整備委員会活動報告書」
及び「職業能力評価基準」の入手先

広く活用を図るため、職業能力評価基準データを自由に閲覧・ダウンロードできるよう中央職業能力開発協会のHPにおいて公開を行っている。

○中央職業能力開発協会能力評価部
〒112−8503東京都文京区小石川1−4−1
住友不動産後楽園ビル

http://www.hyouka.javada.or.jp
(こちらよりダウンロードできます)
E-mailhyouka@javada.or.jp
TEL03-5800-3689

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