プレスリリース

平成20 年6月24日
厚 生 労 働 省
農 林 水 産 省

第34回コーデックス連絡協議会の概要

平成20年 6月20日(金曜日)に、第34回コーデックス連絡協議会を開催しました。主な質疑応答事項及び意見は下記のとおりです。

本協議会では、まず、第2回汚染物質部会、第40回残留農薬部会、第40回食品添加物部会、第36回食品表示部会及び第14回生鮮果実・野菜部会についての報告を行い、それに対する質疑応答及び意見交換がなされました。次に、今後開催が予定されている第31回総会の概要、検討議題等の説明を行い、それに対する質疑応答及び意見交換がなされました。さらにその他の議題において、前回のコーデックス連絡協議会で質問があった国民生活審議会の報告におけるコーデックス関係の記述について、内閣府 国民生活局 消費者企画課長から説明がなされました。

1. コーデックス委員会の活動状況について

(1) 第2回汚染物質部会

・ 食品中の汚染物質及び毒素に関するコーデックス一般規格(GSCTF)の前文の改訂について、具体的な作業内容を問われ、(1)どのような場合にCCCFにおいて基準値をつくるのか、また、その際にどのような順番で作業を行うか、といったことはコーデックス内部のことであるため、手続きマニュアルに、(2)各国が実態調査の結果をどのように活用し基準値をつくるのかについての勧告の部分については、加盟国への勧告であるため、GSCTFに残す、というように、既存のGSCTFの序文を整理する旨回答した。

・ 食品分類コードが付されていない加工食品等をGSCTFで使用する食品分類システムに組込むことについて、最近の食品に関する問題に関連して、どんどん進めるべきという意見に対して、(1)GSCTFの食品分類は、残留農薬の分類を使用していたために生鮮品が圧倒的に多いこと、(2)一方で、乳製品、缶詰果実・野菜の規格中に汚染物質の基準値が含まれていたのをGSCTFに移したため、これらについて後追いで食品分類への追加を検討しているものである旨回答した。

・ 食品中のアクリルアミドの低減に関する実施規範原案の「消費者規範(CONSUMER PRACTICES)」と業界との役割について問われ、当該規範の大部分は業界が行うべきことについて記述したものであるが、「消費者規範」は、家庭での調理において留意すべきことを記述したものであり、「業界の役割」はこの消費者規範に関連するもので、消費者が調理などをする際、例えば、冷凍フライドポテト等の商品について、消費者に対し、家庭で調理する際にどのような調理を行えばより安全なものを作ることができるか、表示やパンフレットにおいて説明するなどの対応を業界が行うべきという意味で記述されたものであるとした旨回答した。

・ 食品中のアクリルアミドの低減に関する実施規範原案において、対象食品のひとつであったコーヒーが本規範の対象から除外されたことについて、低減技術がないことから今回は対象から除外されたものの、今後引き続き検討の対象ではあるという認識で良いかと問われ、その通りである旨回答した。

・ アーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ及びピスタチオのためのサンプリングプラン原案について、どのくらいのロットを対象にしているのか問われ、この原案では(1)例えばロットが大きい場合(15t以上)は100箇所といったように多くの箇所から合計20kgになるようにサンプリングすることとなっていること、また、(2)アフラトキシン汚染はアフラトキシン濃度がロット内で均一ではないが、汚染を見逃さないようにするためのサンプリング方法を設定している旨回答した。

(2) 第40回残留農薬部会

・ 残留農薬基準の検討を中止した農薬について、使用する際に危険性が高いと判断されたということか、また今後コーデックスとしての回収を勧告する等の対応があるのかどうかと問われ、(1)推定摂取量が急性参照量を超える場合や必要なデータが得られない場合などに、作業を中止する。しかしまだコーデックスの基準値となっていない検討中のものに過ぎず、そもそも効力がない。(2)コーデックスは農薬の登録をする機関ではなく、回収の勧告等は部会の委託事項(TOR)の範囲でないこと、を回答した。

・ 結果の不確かさの推定法の適用について、複数の農薬を使用している場合等やどの農薬を使用しているかわからない場合の検査法と関係する検討であるのか、国内でのリスク評価において、不確かさがどのように適応されることになるのか、と問われ、今回議論されているのは、同じ分析法を用いて分析を何度も繰り返した場合にその分析値がどの範囲に収まるかという、分析そのものの不確かさであり、残留農薬のリスク評価における不確かさの要素(uncertainty factor)とは関連しない旨回答した。さらに、分析には必ず不確かさがあり、規制を行う際にどのようにこれを考慮するかや、その不確かさをどのように出すかということについて議論しているものである旨回答した。

・ コーデックスを通じて世界的に調和されたMRL(最大残留基準値)の実現について、どのような意図でこの提案がなされたのか、また今後どのように進むことになるのかについて問われ、(1)本件は、昨年FAO等が開催したグローバルマイナーユースサミットにおいて議論され、FAOによりこのような仕組みの可能性について提案がなされたことを受け、米国が提案したという背景があること、(2)同様の議論はOECDの農薬ステアリング会合でもなされており、特に途上国においてはマイナー作物の生産が外資獲得の手段となっていることから、農家がより安全な農薬を早く使えるよう登録を促進すべきであるという考え方があることを説明するとともに、(3)現在のコーデックス及びJMPR(FAO/WHO合同残留農薬専門家会議)の手続きとそぐわない面もあることから、提案されたパイロットプロジェクトを実施し、その結果を踏まえて検討することになるのではないかとの見解を示した。

・ EUの取組みを参考に、ホームページを充実させ、日本の残留農薬の評価の仕組みをもっと世界にアピールすべきだという意見が出され、可能な範囲で努力したい旨回答した。

(3) 第40回食品添加物部会

・ ナイシンの食品添加物条項案及び原案に関する検討について、日本としてどのように対応していくかと問われ、ナイシンは国際汎用添加物として指定の手続きを進めている品目であり、食品安全委員会の評価が終了したため、現在、厚生労働省において指定に向けての検討を進めているところである旨回答した。

・ 日本で開始したアルミニウム含有食品添加物の試験について、その対象物質・試験内容について問われ、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物合同専門家会議)の評価を踏まえ、現在、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウム等について生物学的利用能試験と繁殖試験を進めている旨回答した。

・ 香料使用のためのガイドライン案が採択されることによる影響について問われ、香料の定義の範囲等、日本での取扱いと異なる部分があるため、今後の検討課題である旨回答した。

・ GSFA食品分類システムの“soybean milk”の用語について、”milk”という用語が外国にあるということから問題になり議論されたのか、と問われ、コーデックスには乳製品の用語の使用に関する一般規格があり、“milk”の用語の使用の制限があること、過去に日本と中国が主張した“soybean milk”という用語に対して提案された“soybean beverage”という用語を、日中両国が受け入れたという経緯を説明した。

(4) 第36回食品表示部会

・ 遺伝子組換えの表示に関する提言(Recommendations)については、消費者の選択のため、原案の中に義務表示を入れるよう主張してほしいとの意見が出された。

・ 有機食品のガイドラインのうち、ロテノンに関する我が国の提案について、水系に入らないようにという提案は、消費者の立場からも喜ばしいことだ、との意見が出された。

・ 有機食品のガイドラインのうち、エチレンの使用に関する検討について、熱帯果実への使用に限定しているが、温帯果実への使用の可能性についても検討する必要があるのではないか、と問われ、今回の議論ではトロピカルフルーツ(熱帯果実)の議論のみで、温帯果実の要望は出ていなかった旨回答した。なお、現在の日本の有機JAS規格では、バナナ及びキウイフルーツについてのみ使用が認められている旨を説明した。

・ 原材料の量に関する表示について、最終製品に対する使用割合を表示するということになったが、日本では主要な原材料についてそのような規程はないため、日本国内の規程はどうするつもりなのか、と問われ、日本国内での原材料の量に関する議論が様々あることは承知しているが、この場で即答できる問題ではない旨回答した。

(5) 第31回総会

・ バイオテクノロジー応用食品特別部会の関連事項として、体細胞クローンの安全性等について議論を始めるにはどうしたらいいのかと問われ、(1)バイオテクノロジー応用食品特別部会のTORからは外れること、(2)コーデックスの一般ルールでは、加盟国又は部会が新規作業を提案し、執行委員会でコーデックスとして議論すべきかどうかを審査することになっていること、(3)提案する場合、根拠になるデータが必要になることについて説明した。さらに、日本から議論の開始を提案すべきではないかと問われ、(1)まず国内のシステムを活用し評価した上で議論の必要性を検討すべきであるが、我が国では、現在、食品安全委員会がクローンの安全性について評価を実施しているところであること、(2)また、コーデックスは国際的なリスク管理機関であり、世界的に貿易されているか、貿易される可能性があるものが議論の対象となることから、まだ規制が広く行われていない現時点において、コーデックスで議論を開始するのは時期尚早ではないか、と回答した。

2. その他

前回の連絡協議会において質問が出された、「消費者・生活者を主役とした行政への転換に向けて(意見)」(国民生活審議会)の報告案における、コーデックスの規定と異なる表示制度の提案やコーデックスでの消費者意見の反映に関する新たな提案の検討の記述について、内閣府消費者企画課長に説明を求めた。内閣府から、報告書におけるコーデックスでの消費者意見の反映に関する新たな提案の検討の記述について、「食べる」ワーキンググループの委員の意見を踏まえてとりまとめたものとの説明があった。

これに対し、コーデックス連絡協議会については、徐々に改善が図られており、今後そのさらなる充実が望まれるところであるという意見が出るとともに、この報告のコーデックス委員会の記述については、コーデックス委員会についての正確な理解が欠けているのではないか、コーデックス委員会には既に消費者団体が参画している、「食べる」ワーキンググループで議論された意見と異なる、などの指摘があった。

また、コーデックス連絡協議会の本年の予定として、コーデックス委員会手続きマニュアル(Codex Alimentarius Commission Procedural Manual)の日本語版の作成、WTOの事務局員を招聘しSPS協定に関するセミナーの開催を検討している旨の紹介があった。

お問い合わせ先

厚生労働省食品安全部企画情報課国際食品室
国際食品室長 池田 千絵子 
担当:福島(電話:03-5253-1111 内線2407)
農林水産省消費・安全局国際基準課
国際基準課長 小川 良介
担当:小出(こいで)(電話:03-3502-8111 内線4471)
((直)03-3502-8732)
(注:資料配付は厚生労働省のみ)

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