厚生労働省発表
平成20年6月13日

職業能力開発局能力評価課
課   長 小 林 洋 司
課長補佐 焼 山 正 信
電   話 03(5253)1111(内線5969)
夜間直通 03(3502)6958

中央職業能力開発協会
能力評価部次長   内 藤 眞紀子
評価制度開発課長 名 田   裕
電  話 03(5800)3689(直通)


「事務系職種」職業能力評価基準を改訂

〜ジョブ・カード制度に活用するモデル評価シートをあわせて策定〜

(ポイント)

○ 現在、厚生労働省では「職業能力が適正に評価される社会基盤づくり」として、能力評価のいわば“ものさし”、“共通言語”となる職業能力評価基準の策定に取り組んでいる。職業能力評価基準は、職務遂行に必要な「知識」「技術・技能」に加えて、評価の判断基準となるよう、典型的なビジネスシーンにおける行動例を記述していることが大きな特長の一つとなっている。
 これまで、経理・人事等の「事務系職種」の職業能力評価基準のほか、電気機械器具製造業、自動車製造業、コンビニエンスストア業等36業種の職業能力評価基準が策定されたところである。

○ このうち、事務系職種の職業能力評価基準については、平成16年2月に公表され、各方面での活用が図られてきたところであるが、この度企業や労働者を取り巻く経営環境、雇用環境の変化や企業実務の実態等を踏まえ、学識経験者や幅広い業界の企業委員からなる職業能力評価制度整備委員会において最新の動向を盛り込むべく改訂が行われ、今般報告書が取りまとめられた。

○ 一方、平成20年度より本格実施されるジョブ・カード制度(職業能力形成プログラム)においては、企業におけるOJTを含めた訓練成果を汎用的な評価基準に基づいて作成したジョブ・カード様式6(評価シート)により評価することが必須であるので、このモデルとなる「モデル評価シート(事務系)」を改訂後の評価基準を活用して、あわせて策定した。

○ 今後も、さらに幅広い業種における職業能力評価基準の策定及び策定済みの職業能力評価基準についての改訂を進めるとともに、これらのジョブ・カード制度への活用を図っていく。

○ 上記の報告書及び改訂後の事務系職種職業能力評価基準は、中央職業能力開発協会のホームページから入手が可能である。[http://www.hyouka.javada.or.jp
 また、モデル評価シートについては、厚生労働省ホームページから入手が可能である。
https://www.mhlw.go.jp

1 「事務系職種」職業能力評価基準の改訂の背景について

(1) 総務省統計局「労働力調査」によれば、ホワイトカラー職種(専門的・技術的職業従事者、管理的職業従事者、事務従事者、販売従事者)の割合は緩やかな増加傾向で推移しており、平成16年には合わせて2,954万人(雇用者全体の55.2%)を占めるに至っている。

(2) このような中、一般に、ホワイトカラーの労働には仕事の成果と労働時間の長さが必ずしも合致しないという特質があり、昨今「成果主義」を導入している企業が多くなってきている一方、評価基準があいまいであるという問題も指摘されており、適正な人事評価を行うための明確な評価基準の整備と適正な評価の実施が人材マネジメント上の課題となっている。

(3) また、昨今は、ITを中心とした職場を取り巻く技術革新の加速化に加え、国際化の進展、会計ルールや労働法令、コンプライアンス・ルールの変更などにより、事務系職種に要請される知識やスキルも刻々と変化している。こうした中で、「従業員に何を求めるか」を明快な基準として示すとともに、これを継続的に見直していくことが必要不可欠となってきており、このことが、「事務系職種」職業能力評価基準の改訂の背景となっている。

2 「事務系職種」職業能力評価基準の改訂の経緯

(1) 職業能力評価制度整備委員会(座長・梶原 豊:高千穂大学名誉教授)を設置し、幅広い企業委員にご参集頂き「事務系職種」職業能力評価基準の改訂についての検討を行った。

(2) 平成16年2月に「事務系職種」職業能力評価基準が公表された後における技術動向、法令等の変化の最新の動向を踏まえるとともに、実際に評価基準が使われる現場の実態を正確に反映させるために幅広い業界の企業ヒアリング調査を実施し、その結果を踏まえて検討を行い報告書を取りまとめた。

(3) 改訂の主な点は以下のとおり。

ア 実際に評価基準が使われる現場の実態を踏まえた職種・職務区分の見直し

○ 職種「総務・法務・広報」に含まれている職務「広告」を、職種「営業・マーケティング」に移し、職種「営業・マーケティング・広告」に変更。

○ 職種「生産管理」に含まれる職務の区分の見直し。

○ 職種「物流」の名称を「ロジスティクス」とし、これに含まれる職務の区分の見直し。

○ 職種「国際事業」の職務を整理。

イ 求められる能力の変化に対応した、共通能力ユニットへの「ビジネス知識の習得」、「PCの基本操作」の追加

ウ キャリア・ルートや職務の多様化等を踏まえた、各職務におけるマネジャー(レベル3、レベル4)について、実務スキルとマネジメント・スキルとを加味した能力ユニットを追加

エ 関係法令の改正等を踏まえた能力ユニットの名称変更
(例:証券取引法会計→金融商品取引法会計)

オ 事務系職種に要請される知識・スキルの変化に対応した、各能力ユニットに記載している「必要な知識」(それぞれの能力ユニットに対応する仕事を遂行するために、前提として必要となる知識等)に掲げる内容の見直し

図1 「事務系職種」職業能力評価基準の全体構成

図1 「事務系職種」職業能力評価基準の全体構成

3 レベルの設定

職業能力評価基準は、職業能力を評価する基準であると同時に、労働者にとってキャリア形成上の指針となるように、役職等とそれに必要とされる職業能力の関係の実態に照らし、担当者に必要とされる能力水準(レベル1)から組織・部門の責任者に必要とされる能力水準(レベル4)まで4つのレベルを設定している。

職業能力評価基準全体に共通するレベル区分の考え方に沿いながら、より具体的にイメージできるよう、「事務系職種」においてもレベル区分の目安及びキャリア形成の例を設定している(図2参照)。

図2 「事務系職種」のレベル区分の目安及びキャリア形成の例

図2 「事務系職種」のレベル区分の目安及びキャリア形成の例

4 「事務系職種」の職業能力評価基準の例

4 「事務系職種」の職業能力評価基準の例

5 「事務系職種」のモデル評価シートの例

5 「事務系職種」のモデル評価シートの例
5 「事務系職種」のモデル評価シートの例

(参考1)

職業能力評価基準策定状況

「職業能力評価制度整備委員会活動報告書」
及び「職業能力評価基準」の入手先

広く活用を図るため、職業能力評価基準データを自由に閲覧・ダウンロードできるよう中央職業能力開発協会のHPにおいて公開を行っている。

○中央職業能力開発協会 能力評価部

〒112−8503 東京都文京区小石川1−4−1
住友不動産後楽園ビル

http://www.hyouka.javada.or.jp
(こちらよりダウンロードできます)
E-mail hyouka@javada.or.jp
TEL 03-5800-3689


「ジョブ・カード制度」の全体像

(参考2)

「ジョブ・カード制度」の全体像


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