◆基本的なQ&A

 Q1.  今回、厚生労働省が血液凝固第VIII因子製剤・第IX因子製剤の納入先の医療機関名を再公表することとした理由はなんですか。
 Q2.  「血液凝固因子製剤」とは何ですか。
 Q3.  血液凝固第VIII因子製剤や血液凝固因子第IX因子製剤は血友病の治療以外にどのような場合に使われたのですか。
 Q4.  血液凝固第VIII因子製剤や血液凝固第IX因子製剤は現在でも使われているのですか。
 Q5.  C型肝炎とはどのような病気ですか。
 Q6.  肝炎ウイルス検査はどこで受ければよいのでしょうか。
 Q7.  C型肝炎ウイルス検査はどのような検査なのでしょうか。
 Q8.  昔、手術を受けたのですが、公表リストの中にその医療機関名が入っていません。不安なのですが、どうしたらよいでしょうか。
 Q9.  子供が新生児期に出血した記憶があります。そのときの病院が公表リストに載っていましたが、廃院となっています。どうしたらよいでしょうか。
 Q10.  肝炎の治療費の助成について教えてください。


Q1.  今回、厚生労働省が血液凝固第VIII因子製剤・第IX因子製剤の納入先の医療機関名を再公表することとした理由はなんですか。

A1.

厚生労働省は、平成14年度から「C型肝炎等緊急総合対策」を実施しており、関係部局が連携して、検査の受診の呼びかけや、検査・治療体制の整備等を行っています。

製造工程におけるウイルス不活化のための技術も現在に比べると十分でなかった非加熱血液凝固因子製剤を投与された方々は、肝炎ウイルスに感染している可能性が一般の方より高いと考えられることから、今般、厚生労働省としてはフィブリノゲン製剤納入先医療機関の名称等の再公表に併せて、当該製剤を血友病以外の患者に投与した可能性のある医療機関を公表し、血友病以外の病気で非加熱血液凝固因子製剤の投与を受けた方々への肝炎ウイルス検査の呼びかけを行うこととしました。

今回の公表は、平成13年に行われた「非加熱血液凝固因子製剤を使用した血友病以外の患者における肝炎ウイルス感染に関する調査研究」において調査対象とされた医療機関の医療機関名、所在地等について、平成19年11月1日現在のものに更新し、再度公表することとしたものです。



Q2.  「血液凝固因子製剤」とは何ですか。

A2.  血液凝固因子は、血液の凝固に必要な血液中のタンパク質です。
 血液凝固因子製剤は、人の血液から血漿という成分を分離し、その中に含まれる「血液凝固第VIII因子」や「血液凝固第IX因子」などを分離精製し、凍結して乾燥させた製剤です。わが国では、第VIII因子製剤は昭和53年(1978年)から市販されており、第IX因子製剤は、昭和47年(1972年)から市販されています。


Q3.  血液凝固第VIII因子製剤や血液凝固因子第IX因子製剤は血友病の治療以外にどのような場合に使われたのですか。

A3.

血液凝固第VIII因子製剤や血液凝固因子第IX因子製剤は、血友病の治療以外に以下のような場合に使用された可能性があります。

・新生児出血症(新生児メレナ、ビタミンK欠乏症等)等の病気で「血が止まりにくい」との指摘を受けた場合

・肝硬変や劇症肝炎で入院し、出血が著しかった場合

・食道静脈瘤の破裂や消化器系疾患により大量の吐下血があった場合

・大量に出血するような手術を受けた場合(出産時の大量出血も含む)



Q4.  血液凝固第VIII因子製剤や血液凝固第IX因子製剤は現在でも使われているのですか。

A4.

血液凝固第VIII因子製剤や血液凝固第IX因子製剤は現在でも、血友病やその類縁疾患、新生児出血症の治療薬として使用されています。

現在販売されているこれらの製剤については、供血者の問診・感染症関連の検査を実施することに加えて、製造工程におけるウイルスの除去、不活化が行われており、感染症に対する安全対策が講じられております。しかしながら、一般にウイルスによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、その使用に当たっては、担当医師等がその有効性、安全性等について、使用対象者に対し適切な説明を行い、理解を得るよう努めなければならないことが、薬事法第68条の7に規定されております。



Q5.  C型肝炎とはどのような病気ですか。

A5.

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気です。肝炎になると、肝臓の細胞が壊れて肝臓の働きが悪くなります。

C型肝炎については、肝炎ウイルスの除去を図るインターフェロン療法や肝細胞の破壊のスピードを抑える肝庇護療法といった治療法が進展しつつあり、早期治療につなげるためにも、早期の検査受診が重要です。

なお、詳細については、厚生労働省ホームページに掲載されている「C型肝炎について(一般的なQ&A)」を御参照ください。

「C型肝炎について(一般的なQ&A)」



Q6.  肝炎ウイルス検査はどこで受ければよいのでしょうか。

A6.

厚生労働省では、都道府県等保健所を設置する自治体に対し補助を行うことで、保健所における基本的に無料の肝炎ウイルス検査を推進しております。また、平成20年1月から平成21年3月までは、保健所が委託をした医療機関で受診する場合も費用が無料になるよう措置しており、平成20年1月以降、順次、準備の整った自治体から、医療機関でも無料の検査を受けることが可能となります。

こうした事業の実施主体は保健所等を設置する自治体となりますので、お住まいの地域で医療機関における検査が開始されているか、その場合の費用が無料となっているか等の詳細については、各自治体の窓口にお問い合わせください。



Q7.  C型肝炎ウイルス検査はどのような検査なのでしょうか。

A7.

HCVについては、1988年に米国で発見されるまでは、非A非B型肝炎などと呼ばれており、ウイルスの検査方法はありませんでした。米国での発見後、HCV抗体検査等が開発されました。

HCV(hepatitis C virus:C型肝炎ウイルス)に感染しているかどうかは採血して検査します。

検査方法としては、(1)HCV抗体の量(HCV抗体価)の測定、(2)HCVコア抗原の検出、(3)HCV NAT(核酸増幅検査)などがあります。

(1) HCV抗体検査:ウイルスなどが身体の中に入るとこれら異物に対していろいろな反応を起こす免疫という仕組みがあります。この一環として異物に反応する特殊なタンパク質(免疫グロブリン)、つまり「抗体」が作り出されます。HCV抗体検査は、この抗体の量を測定する方法です。
(2) HCVコア抗原検査:HCVの構造上、ウイルスの遺伝子を直接包んでいるコア(芯)のタンパクを直接検出する方法です。
(3) HCV NAT(ナット:核酸増幅検査):HCVの標的とする遺伝子の一部を試験管内で約1億倍に増やして検出する方法で、PCR(ピーシーアール)と呼ばれているものと同じ方法です。血液中に存在するごく微量のHCVの遺伝子を感度よく検出できます。

実際の肝炎検診の検査項目及び実施方法は各都道府県、保健所設置市、特別区など実施主体により異なりますので、詳細は各自治体の問合せ窓口にお尋ねください。



Q8.  昔、手術を受けたのですが、公表リストの中にその医療機関名が入っていません。不安なのですが、どうしたらよいでしょうか。

A8.  過去に大きな手術を受けた場合、輸血等の他の経路を通じて肝炎ウイルスに感染した可能性も否定できません。不安であれば、手術を受けた医療機関に相談するか肝炎ウイルス検査を受診されることをお勧めします。
(※肝炎ウイルス検査の受診方法については、Q6を参照)


Q9.  子供が新生児期に出血した記憶があります。そのときの病院が公表リストに載っていましたが、廃院となっています。どうしたらよいでしょうか。

A9.

廃院した医療機関で特に連絡先やカルテの有無等の記載がない場合、血液凝固第VIII因子製剤や血液凝固第IX因子製剤が実際に使用されたかどうかを確認することは困難ですが、生まれてすぐに出血した記憶があれば、肝炎ウイルス検査の受診をお勧めします。廃院した医療機関まで公表したのは、その医療機関に入院等した記憶のある方に注意喚起し、幅広く検査の受診を呼びかけるためですので、このような不安があれば肝炎ウイルス検査の受診をお勧めします。

 (※肝炎ウイルス検査の受診方法については、Q6を参照)



Q10.  肝炎の治療費の助成について教えてください。

A10.

政府では平成20年度予算案に医療費助成の必要額を計上したところであり、今後国会で決定されれば来年度から制度を開始する見込みです。

助成制度の内容は、B型・C型肝炎患者のインターフェロン治療について、所得に応じて医療費負担の軽減を図るものとしています。

事業の実施主体は都道府県を予定していますので、実施が決定された場合の具体的手続等については、お住まいの都道府県にお問い合わせください。


(参考)

対象者  B型・C型肝炎患者

対象医療 インターフェロン治療(保険適用内に限る)

自己負担 所得に応じ、1万円、3万円、5万円

期間   7年間




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