いわゆる「混合診療」については、平成16年に規制改革・民間開放推進会議と真摯な議論を行った結果、未承認薬の使用、先進的な医療技術、制限回数を超える医療行為等に関して改革を行うことを内容とする「いわゆる「混合診療」問題に係る基本的合意」(以下「基本的合意」という。)を規制改革担当大臣と厚生労働大臣との間で結び、平成18年の健康保険法の改正による保険外併用療養費の創設まで、必要な改革を着実に実施してきたところである。
これらの改革は、一定のルールの下に保険診療と保険外診療との併用を認めるとともに、これに係る保険導入手続を制度化するものであり、「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により担保する」という国民皆保険制度の理念を基本に据えたものである。また、この改革により、保険診療と保険外診療との併用に関する具体的要望については、今後新たに生じるものについても、おおむねすべてに対応できるものである。
さらに、基本的合意に基づくこれらの取組のほか、平成18年より「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」を設け、欧米主要国での承認実績のある医療ニーズの高い医療機器の早期承認を促すなど、厚生労働省としても早期の保険併用・保険導入に向けて積極的に取り組んでいるものである。
なお、臨床研究等の実施体制(当該薬物又は機械器具の効果を測定するために対象患者を選定すること等)やデータの管理体制等が整備されていない医療機関で臨床事例を蓄積したとしても、薬事法上の承認の審査に活用できるデータとはならず、最終的な保険導入に資するものにならないことから、現在は、将来的な薬事承認(ひいては保険導入)につながる治験の枠組みにおいて実施することと整理したものである。
しかしながら、従来の高度先進医療に該当する技術であって、当該用法等に係る薬事法上の承認が得られていない医薬品又は医療機器を用いているものについては、「臨床的な使用確認試験」の対象として一定条件の下、保険併用を引き続き可能とする方向で検討を行っているところである。(なお、この点については、答申の「具体的施策」に基づき、着実に取り組んで行くこととしている。)
また、先進医療の承認に当たっては、保険併用を希望する医療機関からの届出を受けて、当該技術の安全性及び有効性が担保されているか否かについて検討がなされる。承認された医療技術数及び承認された割合については、科学的な評価の結果であると受け止めているが、平成18年度診療報酬改定においては、高度先進医療や先進医療を経ることなく、新規に保険導入された技術が50あり、新しい医療技術の保険導入を進めるという先進医療の本来の趣旨に沿った取組は着実に実施されている。
先進医療を実施する医療機関については、先進医療導入前の126機関(平成17年4月時点の高度先進医療実施医療機関数。延べ335機関)から、506機関(平成19年11月時点の旧高度先進医療も含めた先進医療実施医療機関数。延べ899機関)に増加しており、安全性及び有効性が担保された先進的な医療技術について保険併用を希望される患者のニーズに応えているものと考えている。