厚生労働省発表
平成19年8月
厚生労働省大臣官房統計情報部 担当係:雇用統計課雇用第一係 電話:03-5253-1111 (内線7616) 03-3595-3145 (タ゛イヤルイン) |
−平成18年雇用動向調査結果の概況−
目 次
調査の概要
利用上の注意
主な用語の定義
結果の概要
調査の概要
1 調査の目的
主要産業の事業所における入職者、離職者等についての属性、入職及び離職に関する事情等について調査し、労働力の移動の実態を明らかにする。
2 調査の範囲
(1)地域
日本国全域(ただし、一部地域を除く。)
(2)産業
日本標準産業分類に基づく次の14大産業 〔鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食店,宿泊業、医療,福祉、教育,学習支援業、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)(ただし、外国公務及びその他の生活関連サービス業のうち家事サービス業を除く。)〕
(3)事業所
上記(2)に掲げる産業に属し、5人以上の常用労働者を雇用する事業所のうちから、産業、事業所規模別に層化して無作為に抽出した事業所
(4)入職者
平成18年中に、(3)に属する事業所に入職した常用労働者のうちから、無作為に抽出
(5)離職者
平成18年中に、(3)に属する事業所を離職した常用労働者のうちから、無作為に抽出
3 調査の時期
上半期調査 平成18年1月から6月までの状況を、7月1日から7月31日までの間に調査を実施
下半期調査 平成18年7月から12月までの状況を、翌年1月16日から2月15日までの間に調査を実施
4 調査事項
(1)事業所に関する事項
ア 企業全体の常用労働者数
イ 性、雇用形態別常用労働者の異動状況
ウ 性、年齢及び就業形態別常用労働者数
エ 職業、就業形態別常用労働者数及び未充足求人数
(2)入職者に関する事項
ア 属性に関する事項
性、年齢、最終学歴
イ 入職に関する事項
入職経路、就業形態、職業、入職前の居住所
ウ 前職に関する事項
産業、職業、従業上の地位、離職期間、企業規模、転職理由、賃金の変動状況
(3)離職者に関する事項
ア 属性に関する事項
性、年齢、最終学歴
イ 離職直前の雇用状況に関する事項
就業形態、職業、勤続期間、離職理由
5 調査の方法
統計調査員が調査対象事業所を訪問し、実地自計による方法で調査を実施
6 調査機関
厚生労働省大臣官房統計情報部−都道府県労働局−公共職業安定所−統計調査員−報告者
7 調査対象数、有効回答数及び有効回答率
事業所調査: |
調査対象数13,807事業所 有効回答(上期)10,696事業所 (下期)10,558事業所 平均有効回答率 77.0% |
集計入職者数 85,734人 集計離職者数 91,724人
利用上の注意
1 この調査結果は、上半期調査と下半期調査の結果を合算して年計として取りまとめたものである。なお、平成18年上半期調査は、平成18年12月に結果の公表を行った。
2 日本標準産業分類改訂(平成14年3月)に伴い、平成16年調査から表章を改訂後の日本標準産業分類に基づくこととした。また併せて、調査の範囲に学校教育、社会教育等を加えた。 平成15年以前の結果と比較する際には、調査産業計、製造業、金融・保険業、不動産業、サービス業(他に分類されないもの)については、範囲が異なるので注意を要する。鉱業、建設業、電気・ガス・熱供給・水道業については、範囲は同じである。
3 統計表の数値は、表章単位未満の位で四捨五入してある。このため、項目の和が計の数値とは必ずしも一致しないことがある。
4 前年差及び増減数は、表章単位の数値から算出している。
5 統計表中の「0.0」は該当数値はあるが四捨五入の結果、表章単位に満たないものを示す。
6 統計表中の「 − 」は該当数値がないことを示す。
7 統計表中の「 ・ 」は統計項目のあり得ない場合を示す。
主な用語の定義
「常用労働者」
次のいずれかに該当する労働者をいう。
・期間を定めず雇われている者
・1か月を超える期間を定めて雇われている者
・1か月以内の期間を定めて雇われている者又は日々雇われている者で、前2か月にそれぞれ18日以上雇われた者
「パートタイム労働者」
常用労働者のうち、1日の所定労働時間がその事業所の一般労働者より短い者、又はその事業所の一般労働者と1日の所定労働時間が同じでも1週の所定労働日数が少ない者をいう。
「一般労働者」
常用労働者のうち、パートタイム労働者以外の労働者をいう。
「労働移動者」
調査対象期間(平成18年1月〜12月までの1年間。以下同様。)中に、就職、転職、退職などの労働移動を行った者で、本調査では、入職者、離職者を合わせて延べ労働移動者としている。
「入職者」
調査対象期間中に事業所が新たに採用した者をいい、他企業からの出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所からの転入者を除く。
「職歴」
入職前1年間における就業経験の有無によって、未就業者か転職入職者に分けている。この調査では、職歴の区分として入職者について次のとおり区分する。
入職者 | ― | ┌ │ │ └ |
転職入職者 | |||
┌ | 新規学卒者 | |||||
未就業入職者 | ― | │ │ |
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└ | 一般未就業入職者 |
「転職入職者」
入職者のうち、入職前1年間に就業経験のある者のことをいう。ここにいう就業経験には「内職」及び賃金の支払いを受けない「家事手伝い」は含まない。
「未就業入職者」
入職者のうち、入職前1年間に就業経験のない者をいう。
「新規学卒者」
未就業入職者のうち、平成18年3月新卒の者をいう。本調査では、進学、就職等の別を問わず、入職者のうち調査年の3月卒の者を「新規学卒者」としている。
「一般未就業入職者」
未就業入職者のうち新規学卒者以外の者をいう。
「離職者」
調査対象期間中に事業所を退職したり、解雇された者をいい、他企業への出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所への転出者を除く。
結果の概要
1 労働移動の状況
(1)労働移動の状況
平成18年の1年間における労働移動者は、入職者が699万人(前年748万人)、離職者が704万人(同756万人)で、延べ労働移動者は1,404万人(同1,504万人)となり、入職者のうち転職入職者は454万人(同472万人)となった。これを率でみると、入職率は16.0%(同17.4%)、離職率は16.2%(同17.5%)、延べ労働移動率は32.2%(同34.9%)、転職入職率は10.4%(同11.0%)となった。
前年と比べると、入職率が1.4ポイント低下、離職率が1.3ポイント低下した。(図1、表1−1、表1−2)
図1 労働移動率の推移

注:平成16年から調査産業の範囲が一部拡大しているため15年以前とは接続しない。P2利用上の注意2を参照。
(2)性別労働移動の状況
性別に労働移動をみると、男は入職者が340万人(前年356万人)、離職者が335万人(同367万人)で、女は入職者が359万人(同392万人)、離職者が369万人(同388万人)であった。これを率でみると、男は入職率が13.5%(同14.2%)、離職率が13.3%(同14.6%)、女は入職率が19.5%(同21.8%)、離職率が20.0%(同21.7%)となった。
前年と比べると、男は入職率が0.7ポイント低下、離職率が1.3ポイント低下、女は入職率が2.3ポイント低下、離職率が1.7ポイント低下した。(図2,表1−1、表1−2)
図2 性別入・離職率の推移

注:平成16年から調査産業の範囲が一部拡大しているため15年以前とは接続しない。P2利用上の注意2を参照。
(3)就業形態別労働移動の状況
就業形態別に労働移動をみると、入職者は一般労働者が424万人(前年447万人)、パートタイム労働者が275万人(同301万人)、離職者は一般労働者が442万人(同461万人)、パートタイム労働者が262万人(同294万人)となった。これを率でみると、入職率は一般労働者が12.6%(同13.4%)、パートタイム労働者が27.7%(同31.0%)、離職率は一般労働者が13.1%(同13.8%)、パートタイム労働者が26.3%(同30.3%)となった。
前年と比べると、一般労働者は入職率、離職率がそれぞれ0.8ポイント、0.7ポイント低下し、パートタイム労働者は入職率、離職率がそれぞれ3.3ポイント、4.0ポイント低下した。(図3、表1−1、表1−2)
図3 就業形態別入・離職率の推移

注:平成16年から調査産業の範囲が一部拡大しているため15年以前とは接続しない。P2利用上の注意2を参照。
表1−1 常用労働者の移動状況

注:1) 延べ労働移動者数 = 入職者数 + 離職者数
2) 転職入職者とは、入職者のうち入職前1年間に就業経験のある者のことをいう。
3) 未就業入職者とは、入職者のうち入職前1年間に就業経験のない者のことをいう。
表1−2 常用労働者の移動状況(率)

注:1) |
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2) |
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3) |
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4) |
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5) | 入職超過率 = 入職率 − 離職率 (プラスであれば入職超過、マイナスであれば離職超過) |
(4)産業別労働移動の状況
産業別に労働移動をみると、入職者は卸売・小売業が146万人、サービス業(他に分類されないもの)が127万人、製造業が101万人となった。離職者は卸売・小売業が152万人、サービス業(他に分類されないもの)が125万人、製造業が95万人となった。
率でみると、入職率は飲食店,宿泊業が23.7%で最も高く、次いでサービス業(他に分類されないもの)が22.0%、離職率は飲食店,宿泊業が26.6%で最も高く、次いでサービス業(他に分類されないもの)が21.7%となった。
入職超過率でみると、不動産業が3.0ポイント、情報通信業が1.9ポイント、教育,学習支援業が1.2ポイントで入職超過、飲食店,宿泊業が−2.9ポイント、建設業が−2.6ポイントで離職超過となった。(図4、表2)
図4 産業別入職率、離職率

表2 産業別入職・離職状況

注:「その他」は、鉱業、電気・ガス・熱供給・水道業である。
(5)企業規模別労働移動の状況
企業規模別に労働移動をみると、入職者は5〜29人規模が165万人、1,000人以上規模が152万人、30〜99人規模が133万人で、離職者は5〜29人規模が181万人、1,000人以上規模が139万人、30〜99人規模が137万人となった。
率でみると、入職率は1,000人以上規模が17.3%で最も高く、離職率は30〜99人規模が17.6%で最も高くなった。また、1,000人以上規模と100〜299人規模で入職超過となった。(図5、表3)
図5 企業規模別入職率、離職率

表3 企業規模別入職・離職状況

注:「企業規模計」には官公営を含むが、企業規模別には、官公営は含まない。
(6)入職者、離職者に占めるパートタイム労働者の割合
入職者、離職者に占めるパートタイム労働者の割合をみると、入職者は39.4%、離職者は37.2%、転職入職者は34.8%となった。性別にみると、入職者に占めるパートタイム労働者の割合は、男が24.4%、女が53.6%、離職者に占めるパートタイム労働者の割合は、男が23.0%、女が50.1%となった。
前年と比べると、入職者に占めるパートタイム労働者の割合は0.9ポイント低下し、離職者に占めるパートタイム労働者の割合は1.8ポイント低下した。(図6、表4)
図6 入職者、離職者に占めるパートタイム労働者の割合の推移

注:平成16年から調査産業の範囲が一部拡大しているため15年以前とは接続しない。P2利用上の注意2を参照。
表4 入職者、離職者に占めるパートタイム労働者の割合

注:1) 産業区分の「その他」は、鉱業、電気・ガス・熱供給・水道業である。
2) 企業規模別には、官公営は含まない。
2 入職者の状況
(1)職歴別入職状況
入職者を職歴別にみると、転職入職者は454万人(前年472万人)、未就業入職者は246万人(同276万人)で、転職入職率が10.4%(同11.0%)、未就業入職率が5.6%(同6.4%)となった。前年と比べると、転職入職率は0.6ポイント低下、未就業入職率は0.8ポイント低下した。
性別にみると、男は転職入職者が235万人、未就業入職者が105万人、女は転職入職者が218万人、未就業入職者が141万人で、男の転職入職率は9.3%(同9.6%)、未就業入職率は4.2%(同4.6%)、女の転職入職率は11.8%(同12.9%)、未就業入職率は7.7%(同9.0%)となった。
就業形態別にみると、一般労働者の転職入職者は296万人、未就業入職者は128万人で、転職入職率は8.8%(同9.2%)、未就業入職率は3.8%(同4.1%)、パートタイム労働者の転職入職者は158万人、未就業入職者は117万人で、転職入職率は15.9%(同16.9%)、未就業入職率は11.8%(同14.2%)となった。(図7,表1−1、表1−2)
図7 職歴別入職率の推移

注:平成16年から調査産業の範囲が一部拡大しているため15年以前とは接続しない。P2利用上の注意2を参照。
(2)転職入職者の状況
ア 年齢階級別転職入職者の状況
年齢階級別に転職入職率をみると、19歳以下が19.9%と最も高く、20〜24歳が17.8%、25〜29歳が16.3%となった。性別にみると、男は19歳以下が18.4%、20〜24歳が17.3%、25〜29歳が15.9%、女は19歳以下が21.3%、20〜24歳が18.2%、25〜29歳が16.8%と比較的若い層で男女ともに高くなっている。(図8、表5)
図8 年齢階級別転職入職率

表5 年齢階級別転職入職率

注: |
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(合計は、1月1日現在の常用労働者を分母としている。) |
イ 就業形態間移動の状況
転職入職者の就業形態間移動状況をみると、「一般労働者から一般労働者へ移動」した割合は54.8%、「パートタイム労働者から一般労働者へ移動」した割合は9.4%、「一般労働者からパートタイム労働者へ移動」した割合は8.9%、「パートタイム労働者からパートタイム労働者へ移動」した割合は23.1%となった。(表6)
表6 転職入職者の就業形態間移動状況

注:1) 転職者のうち調査時在籍者についてみたものである。
2) 自営業からの転職入職者を含まないため、合計は100にならない。
ウ 賃金変動状況
転職入職者の賃金変動別割合をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は34.0%、「減少」した割合は28.7%、「変わらない」は36.0%で、「増加」のうち、「1割以上の増加」は20.2%、「減少」のうち「1割以上の減少」は21.0%となった。年齢階級別にみると、45歳未満では、賃金が「増加」した割合が「減少」した割合を上回った。
前年と比べると、「増加」した割合が2.5ポイント上昇し、「減少」した割合が1.5ポイント低下した。(図9、表7)
図9 転職入職者の賃金変動状況

表7 転職入職者の賃金変動状況

注:1) 転職者のうち前職雇用者で調査時在籍者についてみたものである。
2) 賃金変動の合計には、賃金変動区分不詳を含む。
エ 離職期間の状況
転職入職者の離職期間別割合をみると、「15日未満」が34.1%と最も多く 、次いで「1か月〜3か月未満」が22.9%となった。就業形態別にみると、一般労働者とパートタイム労働者ともに「15日未満」が最も多くなった。
前年と比べると「15日未満」が1.2ポイント上昇、「15日〜1か月未満」が0.4ポイント上昇し、比較的短い期間で入職する者の割合が高くなっている。(表8)
表8 転職入職者の離職期間別状況

注:1) 転職者のうち前職雇用者で調査時在籍者についてみたものである。
2) 離職期間の合計には、離職期間区分不詳を含む。
3 離職者の状況
(1)離職理由別状況
離職者の離職理由別割合をみると、「個人的理由」が72.4%と最も多く、次いで「契約期間の満了」が12.3%、「経営上の都合」が7.3%、「定年」が4.4%となった。性別にみると、男は「個人的理由」が66.8%、「契約期間の満了」が12.8%、「経営上の都合」が9.8%、「定年」が6.4%で、女は「個人的理由」が77.6%、「契約期間の満了」が12.0%、「経営上の都合」が5.1%で、「個人的理由」のうち「結婚」、「出産・育児」がともに4.3%となった。
年齢階級別にみると、25〜29歳を除く40歳未満では「個人的理由」が8割を超え、40〜59歳では「個人的理由」以外に「経営上の都合」が高くなっている。
前年と比べると、「個人的理由」は1.6ポイント低下、一方、「契約期間の満了」は0.9ポイント上昇した。(図10、表9)
図10 離職理由別離職者の割合

表9 離職理由別離職者の状況

注:( )内は、男女別、就業形態及び年齢階級別構成比を示す。
(2)勤続期間の状況
離職者の勤続期間別割合をみると、「2年〜5年未満」が21.0%、「6か月未満」が20.8%、「6か月〜1年未満」が16.2%、「10年以上」が15.3%、「1年〜2年未満」が15.0%となった。性別にみると、男は「10年以上」が20.8%、「2年〜5年未満」が19.7%、「6か月未満」が19.5%で多く、女は「2年〜5年未満」が22.2%、「6か月未満」が22.1%で多くなっている。
前年と比べると、特に男の「6か月未満」とパートタイム労働者の「6か月未満」でそれぞれ3.2ポイント、3.4ポイントと大幅に低下した。(表10)
表10 勤続期間別離職者の割合

注:勤続期間の合計には、勤続期間区分の不詳を含む。
4 上半期・下半期の状況
上半期・下半期別に労働移動をみると、入職率は上半期が9.6%、下半期が6.4%、転職入職率は上半期が5.6%、下半期が4.7%、離職率は上半期が9.4%、下半期が6.7%とそれぞれ上半期が下半期を上回った。
前年と比べると、入職率、転職入職率、離職率の上半期・下半期ともおおむね前年同期を下回った。 (表11)
表11 上半期・下半期別労働移動の状況

注:1) 産業区分の「その他」は、鉱業、電気・ガス・熱供給・水道業である。
2) 企業規模別には、官公営を含まない。