平成19年8月10日

(照会先)
厚生労働省医薬食品局
監視指導・麻薬対策課  熊 内(内線2762)
横 田(内線2763)

平成18年度無承認無許可医薬品等買上調査の結果について

医薬品成分の含有事例が報告されているいわゆる健康食品及び最近乱用が問題となっている違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)を対象として実施した平成18年度無承認無許可医薬品等買上調査の結果を別添のとおりとりまとめましたので、公表いたします。


別 添

平成18年度無承認無許可医薬品等買上調査の結果について

平成18年度無承認無許可医薬品等買上調査については、いわゆる健康食品のうち、強壮効果を標榜する製品(以下「強壮用健康食品」という。)、痩身効果を標榜する製品(以下「痩身用健康食品」という。)及び最近乱用が問題となっている違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)を対象として実施した。

調査方法、調査結果等は以下のとおりである。

1 調査方法等

1) 参加都道府県

平成18年度無承認無許可医薬品等買上調査に参加希望のあった全47都道府県にいわゆる健康食品及び違法ドラッグの買上業務を委託した。

2) 買上時期

平成18年9月〜平成19年3月

3) 買上対象品目

強壮用健康食品、痩身用健康食品及び違法ドラッグ

4) 医薬品成分の分析

強壮用健康食品、痩身用健康食品及び違法ドラッグに配合されていることが疑われる医薬品成分について分析を行った。

2 調査結果の概要

各都道府県において、いわゆる健康食品等239製品(重複を除くと229製品)を購入し、国立医薬品食品衛生研究所において医薬品成分の分析を行った。(医薬品成分が検出された製品の詳細は別紙参照。)

1)強壮用健康食品については、144製品(重複を除くと135製品)のうち31製品(重複を除くと29製品)から、シルデナフィル等の医薬品成分を検出した。この中でもニトロデナフィル及びウデナフィルは国内で初めて検出された成分である。

2)痩身用健康食品については、62製品(重複を除くと61製品)のうち医薬品成分の検出されたものはなかった。

3)違法ドラッグについては、33製品のうち9製品から、bk-MBDB等の医薬品成分を検出した。

3 対応状況

医薬品成分が検出された製品については、無承認無許可医薬品に該当することから、関係都道府県において、当該製品を取り扱う業者等に対し、販売中止、回収等の必要な措置を行っているところである。


別 紙

1. 医薬品成分が検出された強壮用健康食品

No. 製品名 検出された医薬品成分 製品の形状 国内発売元 備考 買上都道府県
1 どぉョ!? ヒドロキシホンデナフィル カプセル 不明   宮城県
2 昇龍 シルデナフィル 不明 12とは外箱、中身、販売会社が異なる製品 栃木県
3 Love2 キサントアントラフィル カプセル アトラスコーポレーション 29と同一名製品(外箱値段表示なし) 群馬県
4 トナカイパワーGOD キサントアントラフィル、
ウデナフィル(※)
液体 栄新薬(株) (※)国内で初めて検出された成分 埼玉県
5 オプティマス ホモシルデナフィル、
アミノタダラフィル
カプセル 不明   千葉県
6 バズーグラ ニトロデナフィル 不明 国内外で初めて検出された成分 千葉県
7 パワフルPF シルデナフィル、タダラフィル カプセル (株)ワールドビジネス   東京都
8 硬功夫 バルデナフィル、
ホモシルデナフィル
カプセル ジェイビーコーポレーション   東京都
9 福潤寶 タダラフィル カプセル 不明   神奈川県
10 アクセロング タダラフィル カプセル 不明   山梨県
11 エクステンド ヨヒンビン カプセル 不明   山梨県
12 昇龍 シルデナフィル カプセル 不明 2とは外箱、中身、販売会社が異なる製品 長野県
13 速勃新武器 シルデナフィル カプセル 藤光国際貿易(株)   岐阜県
14 サンダー☆パワー シルデナフィル 不明   愛知県
15 男人生 活火山! タダラフィル カプセル 不明   愛知県
16 参茸腎宝 シルデナフィル カプセル 不明   愛知県
17 グレート シルデナフィル カプセル (株)ベルロ商行 31と同一製品 愛知県
18 威哥王三鞭粒(2006年新包装) シルデナフィル 不明   愛知県
19 馬心筋ナイトパワーゴールド ホモシルデナフィル カプセル (株)クリプトメリアYSH   愛知県
20 Proud Extra シルデナフィル スリースター   京都府
21 やったるでぇ〜 シルデナフィル カプセル さぶろう商店 30と同一製品 奈良県
22 金威哥 シルデナフィル 不明   奈良県
23 美国 バルデナフィル、シルデナフィル、
ホモシルデナフィル
不明   奈良県
24 パルミナ ヒドロキシホモシルデナフィル、
アミノタダラフィル
カプセル アデックス製薬(株) 27とは外箱及び中身が異なる製品(販売会社同じ) 和歌山県
25 狼1号 シルデナフィル 不明   和歌山県
26 TALLOS プソイドバルデナフィル 丸剤 (株)カミクリスタル   広島県
27 Palmina(パルミナ) タダラフィル カプセル アデックス製薬(株) 24とは外箱及び中身が異なる製品(販売会社同じ) 香川県
28 Love  Souce 愛源 ホモシルデナフィル、
ヒドロキシホモシルデナフィル
カプセル (株)リーベ   香川県
29 ラブラブ(LOVE2) バルデナフィル カプセル アトラスコーポレーション 3と同一名製品(外箱値段表示あり) 香川県
30 やったるでぇ〜 シルデナフィル カプセル さぶろう商店 21と同一製品 香川県
31 グレート シルデナフィル カプセル (株)ベルロ商行 17と同一製品 熊本県

2. 医薬品成分が検出された痩身用健康食品

該当なし

3. 医薬品成分が検出された違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)

No. 製品名 検出された医薬品成分 製品の種類 販売店の種類 備考 買上都道府県
1 エクスタシーボール 1-(2,3-dimethylphenyl)piperazine お香 アダルトショップ   新潟県
2 FORCE エフェドリン、プソイドエフェドリン、
メチルエフェドリン
カプセル 雑貨店 いずれも覚せい剤原料規定未満の含量 大阪府
3 HENPER ブフォテニン、アトロピン 粉末 雑貨店   大阪府
4 KRATOM PREMIUM ミトラギニン 粉末 雑貨店   大阪府
5 Salvia Divinorum Extract 15 サルビノリン A 粉末 アダルトショップ   福岡県
6 Coconut Flavour 4-Fluoromethamphetamine 液体 アダルトショップ   福岡県
7 Almond Flavour TMA-6、4-OH-DIPT、4-AcO-DIPT 液体(透明) アダルトショップ   佐賀県
TMA-6、5-MeO-DPT 液体(褐色)
8 cherry blossoms Flavour 4-OH-DIPT、4-AcO-DIPT、
5-MeO−DALT
液体 アダルトショップ   佐賀県
9 スーパーメチロン bk-MBDB 粉末 インターネット販売   厚生労働省

※ Salvinorin A、TMA-6、4-OH-DIPT、4-AcO-DIPT、5-MeO-DPT、5-MeO−DALTについては、平成19年4月から指定薬物


参考資料

(1)強壮用健康食品から検出された医薬品成分について

○  シルデナフィル(sildenafil)

国内ではクエン酸シルデナフィルが医薬品として承認されている。
適応:勃起不全
副作用:頭痛、ほてり、視覚障害等

化学構造式

○  タダラフィル(tadalafil)

国内でタダラフィルが医薬品として平成19年7月に承認されている。
適応:勃起不全
副作用:頭痛、潮紅、ほてり、消化不良等

化学構造式

○  ウデナフィル(udenafil)

海外では医薬品として承認されている。(国内では未承認)今回、国内で初めて検出された物質である。
適応:勃起不全
副作用:頭痛、ほてり等

化学構造式

○  ニトロデナフィル(nitrodenafil)

国内外のいずれにおいても医薬品として承認されていないが、 シルデナフィルと類似の化学構造を有する物質であり、類似の作用を有することが考えられることから、健康被害が発生するおそれがある。今回、国内外で初めて検出された物質である。

化学構造式

○  バルデナフィル(vardenafil)
○  プソイドバルデナフィル(pseudovardenafil)
○  ホモシルデナフィル(homosildenafil)
○  ヒドロキシホモシルデナフィル(hydroxyhomosildenafil)
○  ヒドロキシホンデナフィル(hydroxyhongdenafil)
○  アミノタダラフィル(aminotadalafil)
○  キサントアントラフィル(xanthoanthrafil)
○  ヨヒンビン

(2)違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)から検出された医薬品成分について

違法ドラッグについて

違法ドラッグとは、麻薬等と同様に多幸感、快感等を高めるものとして販売されている製品であるが、乱用者自身の健康被害の発生にとどまらず、麻薬や覚せい剤等の乱用の契機(ゲートウェイ)となることも懸念されるとともに、犯罪等に悪用されるおそれもあるものである。

平成17年2月25日付け厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知「いわゆる「脱法ドラッグ」に対する指導取締りの強化について」において、違法ドラッグについては、使用目的に係る標榜ぶり如何に関わらず、事実上、人体への摂取を目的として販売されていると判断される場合には、薬事法上の無承認無許可医薬品に該当し、取締りの対象になる旨を各都道府県等に通知している。

また、平成19年4月1日には、違法ドラッグ対策を盛り込んだ改正薬事法が施行され、新たに31品目が指定薬物に指定され販売等に関しての規制がなされた。

なお、本買上調査は、薬事法の改正前に実施したものである。

<検出された医薬品成分>

○  トリプタミン系化合物

・N,N-Diallyl-5-methoxytryptamine (5-MeO-DALT)(指定薬物:H19.4以降)

・N,N-Dipropyl-5-methoxytryptamine (5-MeO-DPT) (指定薬物:H19.4以降)

・N,N-Diisopropyl-4-hydroxytryptamine (4-OH-DIPT) (指定薬物:H19.4以降)

・4-Acetoxy-N,N-diisopropyltryptamine (4-Aco-DIPT) (指定薬物:H19.4以降)

・ブフォテニン

○  フェネチルアミン系化合物

・2,4,6-Trimethoxyamphetamine (TMA-6) (指定薬物:H19.4以降)

・4-Fluoromethamphetamine

・2-Methylamino-1-(3,4-methylenedioxyphenyl)butane-1-one (bk-MBDB)

○  ピペラジン系化合物

・1-(2,3-dimethylphenyl)piperazine

○  エフェドリン系

・エフェドリン(Ephedrine)

・プソイドエフェドリン(Psuedoephedrine)

・メチルエフェドリン(Methylephedrine)

○  その他

・サルビノリン A(指定薬物:H19.4以降)

・ミトラギニン

・アトロピン


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