II 調査結果の概要

< 骨 子 >

1 採用状況

− 新規学卒者の「技術系」では「男性のみ採用」した企業割合が高い −

(1) 新規学卒者を正社員・正職員として採用した企業の状況を採用区分別にみると、「四年制大学卒(大学院卒を含む)」の「事務・営業系」では、いずれの職種・コースとも「男女とも採用」した企業の割合が37.9%(平成15年度45.4%)と最も高かった。一方、「技術系」については「四年制大学卒(大学院卒を含む)」、「短大・高専卒」、「専門学校・専修学校卒」及び「高校卒」のいずれの採用区分においても「男性のみ採用」した企業割合が最も高く、それぞれ62.8%、53.6%、69.4%、65.6%であった(図表1)。
 新規学卒採用を行った企業全体について女性の採用状況をみると、「女性の採用なし(男性のみ採用)」が36.9%で最も高く、次いで「女性採用100%(女性のみ採用)」が17.4%、「女性採用80〜100%未満」が12.5%、「女性採用40〜60%未満」が11.1%となっている(図表2)。

(2) 正社員・正職員を中途採用した企業の状況をみると、いずれの職種・コースとも「男女とも採用」した企業の割合が50.6%(平成15年度53.0%)と、最も高かった(図表1)。中途採用を行った企業のうち、子どものいる子育て年代(25〜44歳)の女性を採用した企業割合は38.6%となっている(図表4)。

2 コース別雇用管理制度 − コース別雇用管理制度導入企業割合は上昇 −

(1) コース別雇用管理制度「あり」とする企業割合は11.1%で、調査を開始した平成元年度(2.9%)以降、上昇し続けており、かつ、前回調査と比べるとすべての企業規模で上昇している(図表5)。

(2) コース別雇用管理制度のある企業のコースごとの新規学卒者採用状況をみると、いわゆる「総合職」の「全国的規模の転勤のあるコース」で採用のあった企業のうち、「男女とも採用」した企業割合は51.9%(平成15年度54.4%)、「男性のみ採用」は44.1%(同45.0%)、「女性のみ採用」は4.0%(同0.6%)となっている。同じ「総合職」の「転居を伴う転勤がない又は一定地域内のみの転勤があるコース」では、「男女とも採用」53.3%、「男性のみ採用」29.4%、「女性のみ採用」17.3%であった。また、いわゆる「一般職」(定型的業務に従事し、転居を伴う転勤のないコース)の採用があった企業のうち、「男女とも採用」した企業割合は30.1%(同42.7%)、「女性のみ採用」は64.0%(同52.0%)、「男性のみ採用」は5.8%(同5.3%)となっている(図表7)。

3 配置状況 − 3年前に比べて女性の職域が拡大した企業は約3割 −

(1) 3年前に比べて、女性を新たに配置又は女性の数が増えた業務があった企業は全体で29.9%であった。これをポジティブ・アクションの取組状況別にみると、「取り組んでいる」企業では45.0%と最も高く、「今後取り組むこととしている」企業では34.6%となっている(図表10)。

4 管理職への登用状況 − 管理職に占める女性割合は大企業を中心に上昇 −

(1) 係長相当職以上の女性管理職(役員を含む。)を有する企業割合は66.6%(平成15年度62.5%)で、男女雇用機会均等法施行から3年経過時点の平成元年度から、15.0%ポイント上昇している。役職別に女性管理職を有する企業割合をみると、部長相当職は8.8%(平成15年度6.7%)、課長相当職は21.1%(同20.2%)、係長相当職は32.0%(同32.0%)となっている(図表11)。

(2) 係長相当職以上の管理職(役員を含む。)全体に占める女性の割合(以下、「女性管理職割合」という。)は6.9%(平成15年度5.8%)と、前回調査に比べ1.1%ポイント上昇した。役職別にみると、部長相当職は2.0%(同1.8%)、課長相当職は3.6%(同3.0%)、係長相当職は10.5%(同8.2%)といずれも前回調査に比べ上昇し(図表14)、規模別にみると、特に5,000人以上規模(3.3%→6.1%)で大きく上昇している(図表12)。

5 ポジティブ・アクションの推進状況

− 取組企業割合・取組予定なし企業割合ともに低下 −

(1) 女性の能力発揮促進のための企業の積極的取組(ポジティブ・アクション)に「取り組んでいる」企業割合は20.7%、「今のところ取り組む予定はない」とする企業割合は22.3%といずれも前回調査に比べそれぞれ8.8%ポイント、6.4%ポイント低下した(図表15)。

(2) ポジティブ・アクションに「取り組んでいる」企業の取組事項をみると(複数回答)、「人事考課基準を明確に定める(性別により評価することがないように)」が68.3%(平成15年度64.1%)と最も高く、次いで「パート・アルバイトなどを対象とする教育訓練、正社員・正職員への登用等の実施」が47.3%、「女性がいない又は少ない職務・役職について、意欲と能力のある女性を積極的に採用」が42.9%(同44.3%)、「出産や育児等による休業等がハンディとならないような人事管理制度(教育訓練を含む)、能力評価制度等の導入」が41.4%等となっている(図表18)。

(3) ポジティブ・アクションに「今のところ取り組む予定はない」とした企業の、ポジティブ・アクションに取り組まない理由としては、「既に十分に女性が能力発揮し、活躍しているため」が56.7%と最も高く、前回調査に比べ12.5%ポイント上昇している(図表20)。

6 セクシュアルハラスメントの防止のための取組

−半数近くの企業が男性に対するセクシュアルハラスメントの防止にも取り組む−

(1) セクシュアルハラスメント防止方針を従業員に周知するための取組内容をみると(複数回答)、「就業規則、労働協約等の書面でセクシュアルハラスメント防止についての方針を明確化し、周知した」とする企業割合が40.1%と最も高く、前回調査に比べ7.6%ポイント上昇している(図表24)。

(2) セクシュアルハラスメントの防止のための相談・苦情対応窓口の設置内容をみると(複数回答)、「人事担当者や職場の管理職を相談担当者に決めている」が60.4%と最も多く、前回調査に比べ5.1%ポイント上昇している(図表25)。

(3) 男性に対するセクシュアルハラスメントも対象とした、防止のための取組状況をみると、男性に対するセクシュアルハラスメントも「対象としている」が42.9%、「一部対象としている」が5.7%で、半数近くの企業が男性に対するセクシュアルハラスメントも対象とした取組を行っている(図表26)。

7 仕事と育児の両立について − 女性の育児休業取得率が上昇−

(1) 在職中に出産した者又は配偶者が出産した者に占める育児休業取得者の割合(育児休業取得率)は、女性は88.5%(平成15年度73.1%)、男性は0.57%(同0.44%)と、それぞれ前回調査に比べ15.4%ポイント、0.13%ポイント上昇した。
 平成17年4月から全面施行されている次世代育成支援対策推進法により、次世代育成支援対策のための行動計画の策定が義務となっている301人以上と、努力義務である300人以下の企業規模別に育児休業取得率をみると、女性については、301人以上規模は94.1%(同80.4%)、30〜300人規模は80.2%(同64.1%)と、全体的に育児休業取得率が上昇している。一方、男性の取得率は30〜300人規模が0.80%と前回調査(0.83%)と比べ横ばいであるのに対し、301人以上規模では、0.13%から0.43%に上昇している(図表30)。

(2) 育児のための勤務時間短縮等の措置の制度がある企業割合は51.7%(平成15年度45.3%)で、6.4%ポイント上昇した。また、制度のある企業を100とした場合、最長で子が「小学校就学の始期に達するまで」以上の期間利用できる制度のある企業割合をみると、34.8%(同22.5%)と、12.3%ポイント上昇した(図表31


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