厚生労働省大臣官房統計情報部
  担当係:雇用統計課雇用第一係
  電  話:03-5253-1111 内線7616
03-3595-3145(ダイヤルイン)

厚生労働省発表
平成19年8月

−平成18年転職者実態調査結果の概況−

目        次

調査の概要
利用上の注意
主な用語の説明

結果の概要

【事業所調査】
1 転職者の状況
2 一般正社員の転職者の状況
3 一般正社員の転職者の採用状況
4 一般正社員の転職者の採用時の研修の実施状況
5 今後3年間の一般正社員の転職者の採用予定等
6 行政への要望
【個人調査】
1 前の会社及び今の会社の状況
2 離職理由
3 転職について
4 転職に必要な支援の要望

調 査 の 概 要

1 調査の目的

本調査は、転職者の就業実態を把握することによって、円滑な労働移動を促進し、労働力需給のミスマッチの解消を図るための雇用対策に資することを目的とする。

2 調査の範囲及び対象

(1) 地域

日本国全域とする。ただし、一部地域を除く。

(2)事業所調査

日本標準産業分類に基づく14大産業〔鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食店,宿泊業、医療,福祉、教育,学習支援業、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの。ただし、その他の生活関連サービス業のうち家事サービス業及び外国公務を除く。)〕に属する常用労働者30人以上を雇用する民営事業所のうちから、一定の方法によって抽出した約6,700事業所

(3)個人調査

上記(2)に属する事業所に就業している一般正社員の転職者のうち、一定の方法によって抽出された転職者

3 調査の実施時期

平成18年9月1日現在の状況について、平成18年9月1日から9月30日までの間に調査した。

4 主な調査事項

(1)  事業所調査

性・職業・年齢階級別一般正社員の転職者数、一般正社員の転職者の職業別採用理由、一般正社員の転職者の募集方法、一般正社員の転職者の処遇決定の際に考慮した事項、一般正社員の転職者の採用の際の問題点、今後の一般正社員の転職者の採用予定等

(2)  個人調査

前の会社及び今の会社における仕事の状況、離職理由、求職活動、転職のための準備期間と転職活動期間、今の会社を選んだ理由、今の会社の満足度とその理由、転職に必要な支援等

5 調査機関

(1)  事業所調査

厚生労働省大臣官房統計情報部 ― 都道府県労働局 ― 公共職業安定所 ― 統計調査員 ― 報告者

(2) 個人調査

厚生労働省大臣官房統計情報部 ― 都道府県労働局 ― 公共職業安定所 ― 統計調査員 ― 報告者

6 調査方法

(1)  事業所調査

事業所票は、厚生労働省大臣官房統計情報部から直接、調査対象事業所へ郵送し、調査対象事業所において記入した後、統計調査員がこれを回収

(2)  個人調査

個人票は、統計調査員が調査対象事業所において調査対象者を抽出し、調査対象事業所に配布を依頼、調査対象者が記入して、直接、厚生労働省大臣官房統計情報部に郵送

7 調査対象数、有効回答数及び有効回答率

事業所調査:調査対象数 6,721事業所個人調査: 調査対象数 6,637人
 有効回答数 4,632事業所 有効回答数 4,319人
 有効回答率 68.9% 有効回答率 65.1%

利用上の注意

(1)  統計表中の数値は、表章単位未満を四捨五入した結果である。このため、項目の和が計の数値とは必ずしも一致しないことがある。

(2) 統計表中の「0.0」は、該当数値はあるが四捨五入の結果、表章単位に満たないものを示す。

(3) 統計表中の「−」は、該当数値がないことを示す。

(4) 統計表中の「*」はサンプル数の少ないものであるので注意を要する。個人調査では構成比の分母となる標本数が10以下の場合、分母に付記してある。


主な用語の説明

「常用労働者」

次の(1)又は(2)に該当する者をいう。労働者派遣事業を行う業者から派遣された派遣労働者は含まない。

(1) 期間を定めずに、又は1か月を超える期間を定めて雇われている者

(2) 日々又は1か月以内の期間を定めて雇われている者であって、調査日前2か月の各月に18日以上雇われている者

「一般正社員」

次の(1)又は(2)に該当する労働者をいう(ただし、パートタイム労働者は除く)。

(1) 雇用期間を定めずに雇われている者

(2) 1年を超える期間を定めて雇われている者
(ただし、1年ごとに契約を更新して契約期間を延長している場合は除く。)

「パートタイム労働者」「パート」

一般正社員より1日の所定労働時間が短いか、1週の所定労働日数が少ない者

「契約社員」

特定職種に従事し、専門的能力の発揮を目的として雇用期間を定めて契約する者(ただし、パートタイム労働者を除く。)1年ごとに契約を更新して契約期間を延長している場合は「契約社員」に含むが、1年を超える契約の場合は、本調査では「一般正社員」に含める。

「派遣労働者」

労働者派遣法に基づく派遣元事業所から派遣されている者

「転職者」

次の(1)と(2)の両方に該当する常用労働者をいう。

(1) 直近1年間(平成17年9月1日から平成18年8月31日まで)に当該事業所に勤めることになった者
(なお、「移籍出向」(出向元との雇用関係を終了させて出向先に雇用される形の出向)により当該事業所に在籍する者は、この調査では転職者としている。)

(2) 当該事業所に勤める前の1年間に他企業に雇われた経験のある者(「学生アルバイト」や雇用期間が1か月以内の「臨時・日雇」の場合は除く。)

「職業分類」
・「専門的・技術的な仕事」

高度の専門的水準において、科学的知識を応用した技術的な仕事に従事する人、及び医療・法律・芸術・その他の専門的性質の仕事に従事する人をいう。(例えば、科学研究者、鉱工業技術者、医師、薬剤師、看護師、准看護師、弁護士、税理士、記者など。)

・「管理的な仕事」

課(課相当を含む)以上の組織の管理に従事する人をいう。(例えば、部長、課長、工場長、支店長、駅長など。) 

・「事務の仕事」

一般に課長(課長相当職を含む)以上の職務にあるものの監督を受けて、庶務・人事・会計・調査等の仕事、運輸・通信・生産関連・営業販売・外勤に関する事務及び事務用機械の操作の仕事に従事する人をいう。(例えば、事務員、レジスター係(精算のみ)、集金人、検針員、出札・改札係、速記者、ワード・プロセッサー操作員、キーパンチャーなど。)

・「販売の仕事」

商品、不動産、証券などの売買、保険外交など取引上の勧誘・交渉・受注の仕事に従事する人をいう。(例えば、販売店員、仲介人、保険外交員など。)

・「サービスの仕事」

理容・美容・クリーニング・調理・接客・娯楽など個人に対するサービス、居住施設・ビルなどの管理サービス及びその他のサービスの仕事に従事する人をいう。(例えば、理容師、美容師、クリーニング工、調理師、給仕人、キャディー、ビル管理人、観光ガイドなど。)

・「保安の仕事」

個人・財産の保護、工場・病院・事務所・その他の施設での火災・破損・盗難の予防などの仕事に従事する人をいう。(例えば、警備員、守衛、建設現場誘導員など。)

・「運輸・通信の仕事」

機関車・電車・自動車・船舶・航空機の運転・操縦作業、通信機の操作及びその他の関連作業に従事する人をいう。(例えば、電車運転士、バス運転者、航空機関士、車掌、無線技術士、郵便・電報外務員など。)

・「生産工程・労務の仕事」

機械・器具・手道具等を用いて原料・材料を加工する仕事、各種の機械器具を組立・調整・修理する仕事、製版・印刷・製本の作業、その他の生産工程の仕事、定置機関・機械及び建設機械を操作する仕事、鉱物の探査・試掘・採掘・採取・選鉱、ダム・トンネルの掘削などの仕事及びこれらに関連する仕事、建設の仕事、並びに機械の掃除、資材の管理、商店・会社、病院などの雑務、及び他に分類されない運搬・清掃など労務的作業に従事する人をいう。(例えば、製銑工、鋳物工、溶接工、旋盤工、機械組立工、板金工、自動車整備工、修理工、パン・菓子製造工、紡績工、運転工、電気工事作業者、掘削工、鉄筋工、大工、屋根ふき工、左官、畳工、配管工、土木工、配達員、荷造工、清掃員、倉庫雑役人、皿洗い人など。)


結 果 の 概 要

【事業所調査】

1 転職者の状況

(1) 転職者のいる事業所の割合

平成18年9月1日現在で転職者のいる事業所割合は71.7%となっている。また、一般正社員のいる事業所で一般正社員の転職者のいる事業所割合は54.3%となっている。

これを事業所規模別にみると、規模が大きくなるほど一般正社員の転職者のいる事業所割合が高くなっている。(表1) 

表1 転職者及び一般正社員の転職者のいる事業所割合

注)1) 〔  〕内は、産業、事業所規模別の構成比である。
2) (  )内は、一般正社員のいる事業所を100とした構成比である。 

(2) 転職者の割合

平成18年9月1日現在で在籍する常用労働者に占める転職者割合は8.2%、一般正社員に占める転職者割合は5.4%となっている。

一般正社員に占める転職者割合を産業別にみると、「不動産業」(11.7%)、「医療,福祉」(9.4%)で一般正社員の転職者割合が高くなっている。また、事業所規模別にみると、事業所規模が小さくなるほど、転職者割合が高くなっている。(表2)

表2 転職者及び一般正社員の転職者割合

注)1)  〔  〕内は、性、産業、事業所規模別の構成比である。
2)  (  )内は、一般正社員を100とした構成比である。

2 一般正社員の転職者の状況

(1)  職業別一般正社員の転職者の状況

職業別に一般正社員の転職者割合をみると、男は、「専門的・技術的な仕事」(28.3%)、「生産工程・労務の仕事」(24.9%)、「運輸・通信の仕事」(14.5%)が多くなっている。

女は、「専門的・技術的な仕事」(44.0%)、「事務の仕事」(22.7%)、「生産工程・労務の仕事」(12.3%)が多くなっている。(図1)

図1 職業別一般正社員の転職者割合

注)職業別に記入のあった一般正社員の転職者を100とした構成比である。

(2) 年齢階級別一般正社員の転職者の状況

年齢階級別に一般正社員の転職者割合をみると、25〜29歳(21.3%)、30〜34歳(17.9%)と比較的若い年齢層で多くなっている。特に25〜34歳の年齢階級については、事業所規模が大きくなるほど、一般正社員の転職者割合が高くなっている。(表3)

表3 年齢階級別一般正社員の転職者割合

注)計は年齢階級別に記入のあった一般正社員の転職者。

3 一般正社員の転職者の採用状況

(1) 一般正社員の転職者の採用理由

一般正社員の転職者の職業別採用状況をみると、「採用あり」が「専門的・技術的、管理的な仕事」では48.4%、「事務、販売、サービスの仕事」では58.5%、「保安、運輸・通信、生産工程・労務の仕事」では37.4%となっている。

「採用あり」と回答した事業所の採用理由(3つまでの複数回答)をみると、「専門的・技術的、管理的な仕事」では、「経験を活かし即戦力になるから」(68.6%)、「専門的知識・能力があるから」(66.5%)、「退・転職者の補充のため」(48.7%)で事業所割合が高くなっている。特に、事業所規模1,000人以上では、「専門的知識・能力があるから」と「経験を活かし即戦力になるから」がともに8割を超えて高くなっている。

また、「事務、販売、サービスの仕事」と「保安、運輸・通信、生産工程・労務の仕事」では、「退・転職者の補充のため」(60.4%、66.7%)の事業所割合が最も高くなっている。(表4)

表4 一般正社員の転職者の採用の有無及び採用理由別事業所割合

(2) 一般正社員の転職者の募集方法

一般正社員の転職者の募集方法(複数回答)をみると、「公共職業安定所(ハローワーク)等の公的機関」(67.3%)が最も多く、次いで「求人情報専門誌・新聞・チラシ等」(48.8%)、「縁故(知人・友人等)」(37.4%)の順になっている。

事業所規模別にみると、「インターネット」は事業所規模が大きいほど事業所割合が高くなっている。(表5)

表5 一般正社員の転職者の募集方法別事業所割合

(3) 一般正社員の転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に考慮した項目

一般正社員の転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に考慮した項目(複数回答)をみると、「これまでの経験」(73.2%)が最も多く、次いで「年齢」(55.2%)、「免許・資格」(34.4%)の順になっている。事業所規模別にみると、事業所規模が大きくなるにつれて「年齢」、「学歴」を考慮する事業所割合が高くなっている。(表6)

また、考慮した項目の中で最も重視した項目についても、「これまでの経験」(49.6%)が約5割と最も多く、次いで「年齢」(17.6%)、「免許・資格」(12.1%)の順となっている(図2)。

表6 一般正社員の転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に考慮した項目別事業所割合

図2 一般正社員の転職者の処遇(賃金、役職等)決定の際に最も重視した項目別事業所割合
(一般正社員の転職者のいる事業所=100%)

(4) 一般正社員の転職者を採用する際の問題点

一般正社員の転職者を採用する際の問題の有無をみると、「問題がある」が84.5%となっており、問題点(複数回答)をみると、「必要な職種に求職してくる人が少ないこと」(58.8%)、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」(48.6%)、「求職者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」(41.2%)が多くなっている(表7)。

表7 一般正社員の転職者を採用する際の問題点別事業所割合

注) (  )内は、「問題がある」事業所を100とした構成比である。

4 一般正社員の転職者の採用時の研修の実施状況

一般正社員の転職者の採用時1〜2年以内に研修を実施しているかをみると、「研修を実施している」が52.5%となっている。産業別にみると、「金融・保険業」(74.9%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(69.0%)、「医療,福祉」(62.9%)、「複合サービス事業」(62.9%)で高くなっている。事業所規模別にみると、規模が大きくなるほど一般正社員の転職者に「研修を実施している」事業所割合が高くなっている。

また、研修を実施している事業所について研修の内容をみると、「一般正社員の転職者向けの研修を実施する」が52.9%、「新規学卒の社員とほぼ同様の内容の研修を実施する」が47.1%となっている。

産業別にみると、「一般正社員の転職者向けの研修を実施する」では、「サービス業」(74.7%)、「不動産業」(65.7%)、「情報通信業」(62.6%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(61.9%)、「金融・保険業」(61.5%)で6割を超えて高くなっている。一方、「新規学卒の社員とほぼ同様の内容の研修を実施する」では「複合サービス事業」(82.1%)、「医療,福祉」(70.5%)、「教育,学習支援業」(62.1%)、「飲食店,宿泊業」(61.2%)で同じく6割を超えて高くなっている。(表8)

表8 一般正社員の転職者への研修の有無及び研修の内容別事業所割合

注) (  )内は、研修を実施している事業所を100とした構成比である。

5 今後3年間の一般正社員の転職者の採用予定等

(1) 今後3年間の採用予定

今後3年間の一般正社員の転職者の採用予定をみると、「今後採用する予定がある」が53.8%となっている。また、事業所規模別にみると、規模が大きくなるにつれて、一般正社員の転職者を「今後採用する予定がある」事業所割合が高くなっている。

「今後採用する予定がある」事業所について採用の内容をみると、「積極的に一般正社員の転職者を採用したい」が42.8%、「新規学卒者より一般正社員の転職者を優先して採用したい」が17.4%となっている。

産業別にみると、「積極的に一般正社員の転職者を採用したい」は、「運輸業」(77.0%)、「飲食店,宿泊業」(61.2%)、「金融・保険業」(58.3%)で高くなっており、「新規学卒者より一般正社員の転職者を優先して採用したい」は、「鉱業」(46.6%)、「サービス業」(24.6%)、「教育,学習支援業」(24.4%)で高くなっている。(表9)

表9 今後3年間の一般正社員の転職者の採用予定別事業所割合

注) (  )内は、今後採用する予定がある事業所を100とした構成比である。

(2) 一般正社員の転職者を優先して採用する理由

今後、一般正社員の転職者を優先して採用する事業所(「積極的に一般正社員の転職者を採用したい」又は「新規学卒者より一般正社員の転職者を優先して採用したい」と回答した事業所)の採用理由(複数回答)をみると、「特定の能力を持つ人材が欲しいから」(67.9%)が最も多く、次いで「正社員の育成の手間を省くため」(29.2%)、「一般正社員の転職者の方が定着率が高いため」(22.2%)の順となっている(表10)。

表10 一般正社員の転職者を優先して採用する理由別事業所割合

注1) 「転職者を優先して採用する事業所」とは、「積極的に一般正社員の転職者を採用したい」又は「新規学卒者より一般正社員の転職者を優先して採用したい」と回答した事業所。
2) 「団塊の世代」とは、昭和22年(1947年)から昭和24年(1949年)頃までに生まれた人々。

6 行政への要望

一般正社員の転職者の採用を円滑に行っていくうえで行政に望むこと(複数回答)についてみると、「公的な求職情報の提供機能の拡充」(44.5%)、「個人の職業能力開発に対する公的援助」(23.6%)、「能力評価の客観的基準の整備」(19.6%)が多くなっている(図3)。

図3 行政への要望別事業所割合
(全事業所=100%)

【個人調査】

1 前の会社及び今の会社の状況

(1) 前の会社での雇用形態

一般正社員の転職者の前の会社での雇用形態をみると、「一般正社員」が76.0%、「パート」が7.1%、「契約社員」が7.8%、「派遣労働者」が4.5%となっている。男女別にみると、男女とも「一般正社員」が最も多くなっているが、女は「パート」(17.1%)、「契約社員」(11.9%)も多くなっている。(表11)

表11 前の会社での雇用形態別一般正社員の転職者割合

(2) 前の会社の勤務期間

一般正社員の転職者が前の会社に勤めていた期間をみると、「2〜5年未満」が28.4%、「10年以上」が19.6%、「5〜10年未満」が17.4%となっている。5年未満の勤務期間では女の方が男に比べて転職者割合が高くなっている。(表12)

表12 前の会社に勤めていた期間別一般正社員の転職者割合

(3) 一般正社員の転職者の労働条件(賃金・労働時間)の変化

一般正社員の転職者の労働条件が、転職によりどのように変化したかを賃金についてみると、賃金が「増加した」が38.9%、「減少した」が37.0%、「変わらない」が23.7%となっている。D.I.(「賃金が増加した労働者割合」−「賃金が減少した労働者割合」)をみると、年齢階級が若年層ほどD.I.が高くなっており、40歳以上ではマイナスとなっている。また、事業所規模別にみると、規模によりばらつきがみられるものの、「1,000人以上」の規模でD.I.が29.5ポイントと非常に高くなっている。(表13)

表13 転職による労働条件の変化(賃金)別一般正社員の転職者割合

一般正社員の転職者の労働条件が、転職によりどのように変化したかを労働時間についてみると、労働時間が「増加した」が36.0%、「変わらない」が34.7%、「減少した」が28.8%となっている。D.I.(「労働時間が増加した労働者割合」−「労働時間が減少した労働者割合」)をみると、女が15.0ポイント、男が3.4ポイントとなっており、女の「増加」超過幅が大きくなっている。(表14)

表14 転職による労働条件の変化(労働時間)別一般正社員の転職者割合

2 離職理由

一般正社員の転職者が前の会社を離職した理由をみると、男女ともに「自己都合」(「男」77.8%、「女」83.4%)が最も多くなっている(表15)。

「自己都合」による離職理由(3つまでの複数回答)をみると、男は「会社の将来に不安を感じたから」(36.8%)、女は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」(28.7%)が最も多くなっている

(表16)。

表15  離職理由別一般正社員の転職者割合

表16 自己都合による離職の理由別一般正社員の転職者割合

注) 「計」は「自己都合により前の会社を辞めた」一般正社員の転職者。

3 転職について

(1) 求職活動の手段

一般正社員の転職者が今の会社へ就職するためにどのような手段で求職活動をしたか(複数回答)をみると、「公共職業安定所(ハローワーク)等の公的機関」が42.5%、「縁故(知人、友人等)」が29.8%、「求人情報専門誌・新聞・チラシ等」が27.8%となっている。学歴別にみると、「民間の職業紹介機関」、「企業のホームページ」については学歴が高いほど利用した転職者割合が高くなっている。(表17)

表17 求職活動の手段別一般正社員の転職者割合

(2) 準備活動の内容

転職するにあたってどのような準備活動をしたかをみると、「特に何もしていない」が57.4%、「何か準備活動を行った」が41.9%となっている。準備活動の内容(複数回答)の中では、「産業・職業に関する情報等の収集をした」が42.5%、「今の会社で役立つ資格・免許を取得した」が21.5%と多くなっている。

学歴別にみると、学歴が高くなるほど「特に何もしていない」とする転職者割合が低くなっている。

一方、何か準備活動を行ったものについての準備活動の内容(複数回答)をみると、「産業・職業に関する情報等の収集をした」とする転職者割合が高くなっており、特に「大学院」(69.2%)でほぼ7割と高くなっている。(表18)

表18 転職の準備活動の内容別一般正社員の転職者割合

注) (  )内は「何か準備活動を行った」一般正社員の転職者を100とした構成比である。

(3) 具体的に転職活動を始めてから辞めるまでの期間

一般正社員の転職者が具体的に転職活動を始めてから辞めるまでの期間をみると、「転職活動なし」が26.8%、「1〜3か月未満」が25.8%、「1か月未満」が20.8%となっており、比較的短期間が多くなっている。年齢階級別にみると、45歳以上の中高年層で「転職活動なし」の転職者割合が高くなっている。(表19)

表19 具体的に転職活動を始めてから辞めるまでの期間別一般正社員の転職者割合

(4) 前の会社を辞めてから今の会社に勤めるまでの期間

一般正社員の転職者が前の会社を辞めてから今の会社に勤めるまでの期間についてみると、「1か月未満」が35.8%で最も多く、次いで「離職期間なし」が18.7%、「1〜2か月未満」が13.7%となっている。年齢階級別にみると「19歳以下」で「2〜4か月未満」が多くなっているが、それ以外のほとんどの年齢階級では「離職期間なし」と「1か月未満」が多くなっており、比較的短期間で転職している。(表20)

表20 辞めてから今の会社に勤めるまでの期間別一般正社員の転職者割合

(5) 今の会社を選んだ理由

一般正社員の転職者が今の会社を選んだ理由(3つまでの複数回答)をみると、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が44.2%、「自分の技術・能力が活かせるから」が42.8%と多くなっている。男女別にみると、男は「会社に将来性があるから」(23.8%)、女は「転勤が少ない、通勤が便利だから」(26.0%)がそれぞれ多くなっている。(表21−1)

選んだ理由のうちで最も重視した項目についてみると、「仕事の内容・職種に満足がいくから」は「大学院」(32.2%)、「大学」(27.6%)の学歴の高い方で転職者割合が高くなっている。(表21−2)

表21−1 今の会社を選んだ理由別一般正社員の転職者割合

表21−2 今の会社を選んだ理由のうち最も重視した項目別一般正社員の転職者割合

(6) 満足度
ア 総合的な満足度

一般正社員の転職者の総合的な満足度をみると、「満足」が22.9%、「やや満足」が36.3%、「どちらでもない」が21.5%、「やや不満」が13.2%、「不満」が5.5%となっている。D.I.(「満足」(1)−「不満足」(2))をみると、すべての年齢層でプラスとなっている。特に、「大学院」で74.3ポイント、「大学」で50.0ポイントとプラス幅が大きくなっている。(表22−1)  

一般正社員の転職者の総合的な満足度と就業経験の活用状況との関係についてみると、転職前の就業経験の活用の程度が高いほど総合的な満足度が高くなる傾向になっている(表22−2)。

表22−1 総合的な満足度別一般正社員の転職者割合

表22−2 就業経験の活用状況と総合的な満足度別一般正社員の転職者割合

イ 「満足」と「不満足」の理由

総合的な満足度で「満足」または「やや満足」と回答(表22−1の「満足」(1))した一般正社員の転職者の理由についてみると、「仕事の内容・職種」が53.4%と最も多く、次いで「労働時間・休日」(16.0%)や「賃金」(11.1%)の順となっている(表23−1)。

一方、総合的な満足度で「不満」または「やや不満」と回答(表22−1の「不満足」(2))した一般正社員の転職者の理由についてみると、「賃金」が5割近くと圧倒的に多くなっている(表23−2)。

表23−1 満足の理由別一般正社員の転職者割合

注) 「満足計」は表22−1の満足(1)(「満足」または「やや満足」と回答した転職者)。

表23−2 不満足の理由別一般正社員の転職者割合

注) 「不満足計」は表22−1の不満足(2)(「不満」または「やや不満」と回答した転職者)。

4 転職に必要な支援の要望

転職に必要な支援の要望(2つまでの複数回答)についてみると、「より多くの求人情報の提供」が41.7%、「企業年金・退職金が不利にならないような制度の改善」が31.5%、「職業紹介サービスの充実」が27.8%となっている(図4)。

図4 転職支援の要望別一般正社員の転職者割合


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