厚生労働省労働基準局安全衛生部
 化学物質対策課長 平野 良雄
 化学物質評価室長 春日 健二
 室長補佐 永野 和則
  電話 03−5253−1111 内線5511
   夜間直通 03−3502−6756
厚生労働省発表
平成19年4月6日

平成18年度化学物質による労働者の健康障害防止に係る
リスク評価検討会報告書及びそれに基づく行政措置について

 化学物質による労働者の健康障害の防止について、国は、有害化学物質についてリスク評価を行い、健康障害発生のリスクが高い作業等については、リスクの程度等に応じて、特別規則による規制等を行うこととし、平成18年1月に労働安全衛生規則を改正し、新たに労働者の化学物質のばく露実態を把握するための有害物ばく露作業報告制度を創設しました。この報告の対象となる化学物質による労働者の健康に及ぼすリスクを専門的に評価・検討するため、平成18年9月から「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会」(座長:櫻井治彦中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長)を開催し、エピクロロヒドリン、塩化ベンジル、1,3−ブタジエン、ホルムアルデヒド及び硫酸ジエチルの5物質について、リスクの評価を行い、またそれに応じた対策の方向性について検討を行ってきました。
 今般、本検討会の報告書が取りまとめられたので、別添1(1〜29ページ(PDF:495KB)、30〜45ページ(PDF:390KB)、46〜53ページ(PDF:416KB)、全体版(PDF:674KB))のとおり公表します。
 厚生労働省においては、本報告書を踏まえ、関係政省令の整備を予定しており、既にアクションプログラムの手続きを開始したところです。
 また、リスク評価を行った5物質について、速やかに本報告書を踏まえた対策を行うことを、別添2(PDF:204KB)、のとおり関係事業主団体等に対し要請しました。

−報告書の概要−

〔リスク評価の手法の概要〕

リスク評価に当たっては、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第95条の6に基づく有害物ばく露作業報告をもとに抽出した一定の作業場について、作業従事者に対する個人ばく露量の測定等を行い、これらの測定の結果を、日本産業衛生学会又はACGIH(米国産業衛生専門家会議)が勧告した許容濃度等(大多数の労働者がその濃度に毎日繰り返しばく露されながら働いても、その勤労生涯を通じて健康に悪影響を受けることがないと考えられる条件)を踏まえて設定した評価値と比較することにより行った。

〔リスク評価の結果と対策の方向性の概要〕

1 ホルムアルデヒドについて

塗装、配合、サンプリング等の作業について、評価値を超える個人ばく露量が測定された。このため、事業者は、設備の密閉化又は局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置、作業環境測定の実施等を行うべきである。国は、そのための労働安全衛生関係法令の整備(労働安全衛生法施行令別表第3の第2類物質とすること)を検討すべきである。

また、ホルムアルデヒドが原因で、まれにヒトに対して鼻咽頭がんが見られるとの指摘があることから、国は、一般健康診断を年に2回実施する等の措置を事業者が徹底するよう、引き続き指導すべきである。

2 1,3−ブタジエンについて

1,3−ブタジエンの製造工程及び合成ゴム製造工程におけるサンプリング、保守、点検、分解、組み立て、修理等の作業において、評価値を超える個人ばく露量が測定された。このため、事業者はこれらの作業における設備の密閉化又は呼吸用保護具の使用等を行うべきであり、 国は、そのための労働安全衛生関係法令の整備を検討すべきである。

3 硫酸ジエチルについて

硫酸ジエチルを、樹脂の製造工程における触媒として使用する混合、撹拌、混練、加熱等の作業において、評価値を超える個人ばく露量が測定された。このため、事業者はこれらの作業における設備の密閉化又は局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置を行うべきであり、国は、そのための労働安全衛生関係法令の整備を検討すべきである。

4 エピクロロヒドリンについて

評価値を超える個人ばく露量は測定されなかったが、有害性の高い物質であるため、事業者は、既に労働安全衛生関係法令に定められている労働者の健康障害を予防するための措置を徹底するべきである。国は、そのための 指導を引き続き行うべきである。

5 塩化ベンジルについて

評価値を超える個人ばく露量は測定されなかったが、有害性の高い物質であるため、事業者は、既に労働安全衛生関係法令に定められている労働者の健康障害を予防するための措置を徹底するべきである。国は、そのための指導を引き続き行うべきである。

参考(PDF:75KB)

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