照会先厚生労働省健康局結核感染症課
課長三宅
担当者三木(内線2376)
杉江(内線2373)
電話03-5253-1111
平成18年11月16日


フィリピンからの帰国後に狂犬病を発症した患者(輸入感染症例)について


 今般、フィリピンより帰国した男性が、現地で狂犬病ウイルスに感染し、国内で発症したことが確認されましたので、その経過等についてお知らせします。

1.患者に関する情報
(1) 年齢・性別 60歳代 男性
(2) 経過
 11月 9日 風邪様症状を呈しA病院を受診。
 11月12日 水が飲みにくく風が不快との症状によりB病院を受診。脱水症状が認められたことから、点滴を受け帰宅。
 11月13日 幻覚症状を呈し、再度B病院を受診。恐水及び恐風症状が確認され入院。
 11月14日 人工心肺で処置中。現在に至る。
(3) 感染原因
 当該患者は、フィリピンに渡航中(8月末)、犬に手を咬まれており、これにより狂犬病に罹患したと判断される。なお、現地における暴露後のワクチン接種は受けていないもよう。

2. 検査に関する情報
 国立感染症研究所において、PCR法による病原体の遺伝子の検出を試みたところ、狂犬病ウイルス遺伝子を確認。

 以上の検査結果及び臨床症状等を踏まえ、担当医師により狂犬病と診断され、本日、管轄保健所に感染症法に基づく届出がなされたものである。

3. 厚生労働省の対応
 本日、検疫所、自治体及び日本医師会に対し、狂犬病の流行地域に渡航する者に対して感染防止のための注意喚起を行うとともに、流行地域で動物に咬まれた者への暴露後ワクチン接種等の対応について、周知徹底を通知。(別紙参照)

(注)狂犬病は、通常、ヒト−ヒト感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。



狂犬病について(参考)


1 病原体:狂犬病ウイルスrabies virus
2 感染動物:全ての哺乳類(アジアでは犬が主な感染源)
3 感染経路:通常は罹患動物による咬傷の部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。通常、ヒトからヒトに感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。

4 発生状況:日本、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除いて、全世界に分布
  (1)世界の発生状況(WHO、2004年)
年間の死亡者数推計 55,000人
(うち、アジア地域31,000人、アフリカ地域24,000人)
年間の暴露後ワクチン接種者数推計 1千万人
  (2)フィリピンにおける発生状況(WHO、2000年から2004年)
  2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
死亡者数 359人 293人 269人 258人 248人
犬の発生数 不明 2,550頭 2,365頭 1,901頭 1,546頭
  (3)我が国における発生状況
  1953年 1954年 1955年 1956年 1957年以降
死亡者数 3人 1人 0人 0人 発生なし(※)
犬の発生数 176頭 98頭 23頭 6頭 発生なし
1970年に狂犬病発生地(ネパール)を旅行中犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例が1例あり。

5 潜伏期:1〜3ヶ月程度

 診断と治療
  (1)臨床症状
前駆期;発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
急性神経症状期;不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状
昏睡期;昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)
  (2)病原体診断
(1)PCR法による病原体の遺伝子の検出(唾液等)
(2)蛍光抗体法(FA)によるウイルス抗原の検出(皮膚、角膜等)
(3)間接蛍光抗体法(IFA)又はELISA法による抗ウイルス抗体の検出(脳脊髄液)
(4)分離・同定による病原体の検出(唾液)
  (3)治療:発病後の有効な治療法はない。

7 発症予防:罹患動物に咬まれた場合の治療として、ワクチン接種などにより行う。



別紙

狂犬病予防に関する周知状況

結核感染症課


 通知による周知

(1) 渡航者向け周知
渡航中に動物と不用意に触れあわないこと
万が一渡航中に流行地域で犬等に咬まれた場合には現地医療機関を受診すること
現地医療機関への受診の有無にかかわらず帰国時に検疫所(健康相談室)に相談すること

(2) 医療機関向け周知
狂犬病の流行地域滞在期間中に犬等に咬まれるなど、狂犬病に感染したおそれがある者への適切な対応

 その他

(1) ホームページ
 以下のホームページにおいて狂犬病に関する周知を実施。
(1)渡航者向け感染症情報ホームページ(http://www.forth.go.jp/
(2)「動物由来感染症を知っていますか?」
http://www.forth.go.jp/mhlw/animal/page_e/e03.html
(3)国立感染症研究所ホームページ
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_18/k03_18.html

(2) 配布物
 国際空港においてリーフレットなどを配布。

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