厚生労働省発表
平成18年10月16日
担当 厚生労働省労働基準局安全衛生部
 化学物質対策課長 平野 良雄
 化学物質情報管理官 和田 訓
  電話 03−5253−1111 内線5515
  夜間直通 03−3502−6756


タルクへの石綿含有可能性調査結果について


1. 厚生労働省においては、9月1日以降においても石綿を含有するタルクが製造されている可能性があるとの情報を受け、下記のとおり、タルクの製造を行っている33事業場に対し、緊急調査を行いました。
 その結果、1事業場において、石綿を含有するタルクが製造されていたことが判明しました。
 残る32事業場については、法令で禁止されている石綿を含有するタルクの製造は確認されませんでした。

2. この結果を受け、厚生労働省においては、本日付けで都道府県労働局に対し、別添1のとおり関係事業者に対して指導を徹底するよう指示するとともに、関係事業者団体に対しても、別添2のとおり法令の遵守の徹底について要請しました。

※1 労働安全衛生法施行令等の改正により、本年9月1日から、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物の製造、輸入、譲渡、提供又は使用することは禁止されています。
※2 タルクとは、粘土鉱物の1つで細粉としてセラミックス原料等に用いられます。



1. 調査の内容
 関係事業者団体等からの情報により、タルクを製造しているとされる33事業場 に対して9月下旬から10月上旬にかけて都道府県労働局の立ち入り等により、石綿 を含有しているタルクの製造の有無について調査しました。

2. 調査結果
(1) 33事業場に対する調査の結果、1事業場(松村産業(株)大阪工場(住所:大阪市西淀川区佃7−3−8))において、石綿を含有するタルク製品(製品名:ハイフィラー岫岩しゅうえん5000PJ)が9月以降も製造されていたことが確認されました。
 なお、本年9月14日以降は、当該タルク製品は製造されていないことを確認 しています
(2) その他の事業場では、法令で禁止されている石綿を含有するタルクの製造は行っていませんでした。

3. その他
 2の調査結果で判明した松村産業(株)大阪工場で製造された石綿を含有するタルク製品は、商社である岩谷産業(株)(住所:大阪市中央区本町3−4−8)を通じて、京セラ(株)鹿児島国分工場(住所:鹿児島県霧島市国分山下町1−1)及び同鹿児島川内工場(住所:鹿児島県薩摩川内市高城町1810)に出荷され、セラミック製品の原料として使用されていましたが、本年9月13日以降、当該タルク製品は使用されていないことを確認しています。



(参考)

 タルクとは、
 「滑石、理想化学組成Mg3(Si4O10)(OH)2。粘土鉱物の1つ。層状ケイ酸塩で、雲母属鉱物に似ているが、層の単位が雲母のAlSi3O10に対してSi4O10である。葉片状あるいは鱗状。最もやわらかい鉱物で曲げることが容易。モース硬さ1の標準鉱物。密度2.82g/cm3。2次的変質鉱物として塩基性岩・変成岩中に産する。細粉として減摩剤、化粧品、製紙、セラミックス原料に用いる。」(岩波理化学事典より)


関連条文

労働安全衛生法(抄)
 第55条(製造等の禁止)
 黄りんマッチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。
 (以下略)
労働安全衛生法施行令(抄)
 第16条(製造等が禁止される有害物等)
 法第55条の政令で定める物は、次のとおりとする。
  石綿
  第2号、第3号若しくは第5号から第7号までに掲げる物をその重量の1%を超えて含有し、又は第4号に掲げる物をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物



別添1

基監発第1016001号
基安化発第1016001号
平成18年10月16日

都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局
     監督課長
     安全衛生部化学物質対策課長


石綿を含有する粉状のタルクの製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について


 労働安全衛生法施行令等の一部が改正され、平成18年9月1日から、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物の製造、輸入、譲渡、提供又は使用(以下「製造等」という。)が禁止されたところであり、その周知及び指導に係る留意点については、平成18年9月1日付け基監発第0901002号・基安労発第0901001号・基安化発第0901001号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の周知及び指導に係る留意点について」(以下「指導通達」という。)により「製造等が禁止されることについては幅広く対象をとらえて周知する」よう指示しているところである。
 しかしながら、今般、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する粉状のタルクが製造、使用等されたという事案が明らかになったところである。
 ついては、各局におかれては、指導通達の記の1(2)の「周知及び指導の対象」として、改めて粉状のタルクを製造、使用等している可能性のある関係事業者、関係事業者団体をとらえ、監督指導、個別指導、集団指導等を実施するなどにより、特に下記の事項についてその周知徹底に遺漏なきを期されたい。
 なお、別添のとおり粉状のタルクを製造、使用等している可能性のある関係事業者団体に対して、下記の事項について周知徹底するよう要請したので、了知されたい。
 おって、粉状のタルクを製造している可能性のある33事業場に対して、所轄の都道府県労働局を通じ、個別調査を行ったところ、今回明らかになった事案以外に、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する粉状のタルクを製造しているものは確認されなかったことを申し添える。


 粉状のタルクを製造、輸入、譲渡又は提供する事業者においては、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する粉状のタルクを製造、輸入、譲渡又は提供することは労働安全衛生法第55条により禁止されていることから、自らが取り扱う粉状のタルクについての石綿の含有率を確実に確認し、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する粉状のタルクを流通させないこと。
 なお、タルク中の石綿含有率の分析方法として、平成18年8月28日付け基安化発第0828001号「天然鉱物中の石綿含有率の分析方法について」があること。

 粉状のタルクを原料等として使用する事業者においては、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する粉状のタルクを使用することは労働安全衛生法第55条により禁止されていることから、上記1の事業者等から粉状のタルクの譲渡を受けるときには、石綿がその重量の0.1%を超えて含有していないことを確認すること。



別添2

基安化発第1016002号
平成18年10月16日

全国タルク協議会会長
社団法人日本化学工業協会会長
社団法人日本化学工業品輸入協会会長
日本化粧品工業連合会会長
日本製紙連合会会長
日本製薬団体連合会会長
社団法人日本セラミックス協会会長
社団法人日本塗料工業会会長
農薬工業会会長




  >殿




厚生労働省労働基準局安全衛生部
     安全衛生部化学物質対策課長


石綿を含有する粉状のタルクの製造、輸入、譲渡、提供又は使用の禁止の徹底について


 労働安全衛生法施行令等の一部が改正され、平成18年9月1日から、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物の製造、輸入、譲渡、提供又は使用が禁止されたところであり、その周知については、平成18年8月23日付け基発第0823003号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の周知について」をもって既に通知しているところですが、今般、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する粉状のタルクが製造、使用等されている事案が明らかになったところです。
 つきましては、貴会におかれては、貴会会員事業場に対し、法令の遵守の徹底について引き続き指導していただくとともに、今回の事案等を踏まえ、下記の事項について周知徹底していただきますようお願いいたします。


 粉状のタルクを製造、輸入、譲渡又は提供する事業者においては、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する粉状のタルクを製造、輸入、譲渡又は提供することは労働安全衛生法第55条により禁止されていることから、自らが取り扱う粉状のタルクについての石綿の含有率を確実に確認し、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する粉状のタルクを流通させないこと。
 なお、タルク中の石綿含有率の分析方法として、平成18年8月28日付け基安化発第0828001号「天然鉱物中の石綿含有率の分析方法について」があること。

 粉状のタルクを原料等として使用する事業者においては、石綿をその重量の0.1%を超えて含有する粉状のタルクを使用することは労働安全衛生法第55条により禁止されていることから、上記1の事業者等から粉状のタルクの譲渡を受けるときには、石綿がその重量の0.1%を超えて含有していないことを確認すること。

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