平成18年8月7日(月)
厚生労働省医薬食品局安全対策課
 (担当)渡邊、井上(内線2748,2753)


医薬品又は医薬部外品たるいわゆるドリンク剤等中のベンゼンについて


1.経緯
 ○ 本年春以降、英国等諸外国で、食品たる清涼飲料水中の安息香酸(保存料)とアスコルビン酸(ビタミンC、酸味料、酸化防止剤)が、ある条件下で反応しベンゼンが生成する可能性があること、市販製品中にベンゼンが低濃度検出されること等が公表され、英国等ではベンゼン10 ppbを超える製品の自主回収が要請された。
 ※公表日:英国3/31、米国5/19、豪6/12 等

 ○ 我が国では、食品たる清涼飲料水の市販品についての分析結果等が7月28日付で公表されたところである。
(参考) 「清涼飲料水中のベンゼンについて」
 (https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/07/h0728-4.html
 「清涼飲料水中のベンゼンに関するQ&A」
 (https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/07/dl/h0728-4a.pdf

2.医薬品又は医薬部外品たるいわゆるドリンク剤等についての分析結果
 ○ 安息香酸とアスコルビン酸の双方を含有する医薬品又は医薬部外品たる内用液剤は、21製品(一般用医薬品8製品、医薬部外品13製品)が流通しており、いずれもいわゆるドリンク剤であった(本年7月4日現在)。
 これら全製品について、ベンゼン含有量の分析検査を国立医薬品食品衛生研究所(以下「国衛研」という。)において実施した。その結果は、下表に示すとおりである。

  
製品数(件)内訳(件)検出値(ppb)
2120
<1(定量限界未満)〜3.1
15.4
   ※定量限界:1ppb

 ○ 国衛研における分析検査にあわせて、念のため各製品の製造販売業者においてもベンゼン含有量の測定を行ったが、いずれも国衛研の結果とほぼ同様の結果が報告されている。


 (参考)
  医療用注射剤であって安息香酸の誘導体(パラオキシ安息香酸メチル)及びアスコルビン酸を含有する全製品(6製品)を対象にベンゼンの含有量について分析検査を国衛研において実施したところ、ベンゼンはいずれの製品からも検出されなかった。

3.今後の対応
 ○ 我が国では、いわゆるドリンク剤中のベンゼンに関する基準値はないが、「WHO飲料水ガイドライン(第3版)」のベンゼンに関するガイドライン値及び我が国の水道法に基づく水道水のベンゼンに関する基準値である10ppbを超えてベンゼンが検出された一般用医薬品が、次のとおり1品目あった。
 当該製品については、直ちに健康への影響が懸念されるものではないと考えられるが、当該製造販売業者から、本日から自主的に回収を行う旨の報告を受けている。

 製品名:新ベッセンアイ
 製造販売業者:小林薬学工業株式会社
 検出されたベンゼン濃度:15.4 ppb(3ロット平均)

 ○ 厚生労働省としては、現段階で把握したすべてのドリンク剤等について分析し、必要な対応を講じたところであるが、今後とも国内外の関連情報の収集等に努めてまいりたい。


【用語説明】
ベンゼン:
 ベンゼンは、染料、合成ゴム、合成洗剤等の製造時に使用される化学物質で、常温では無色の液体です。環境中に広く存在しており、自動車の排気、石炭や石油の燃焼で空気中に排泄されており、呼吸によって摂取されています。また、喫煙による摂取についても指摘されています。
 ベンゼンの健康影響に関しては、IARC(国際がん研究所)が、「ヒトに対して発がん性がある」(グループ1)として分類しています。

安息香酸:
 1608年に発見され、静菌作用があることから、古くから保存料として用いられているものです。我が国では、食品や医薬品の添加物としても用いられています。

アスコルビン酸:
 アスコルビン酸(ビタミンC)は、果実などに含まれる必須栄養素の一つで、我が国では、食品や医薬品の添加物としても用いられています。

ppb:10億分の1の分率のこと。1ppbは1μg/l。

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