平成18年7月28日
厚生労働省医薬食品局
監視指導・麻薬対策課 飯村(内線2766)
児玉(内線2762)


違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)を植物標本、お香等
と称して輸入販売等を行っていた業者に対する立入検査等について


 無承認無許可医薬品である違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)(以下「違法ドラッグ」という。)を輸入し、植物標本、お香等と称して販売等していた販売業者に対して、下記のとおり厚生労働省及び東京都が合同で、薬事法に基づく立入検査等を行い、必要な措置を採りましたので、お知らせします。


1. 概要
 青少年の通行が多い渋谷センター街周辺(東京都渋谷区)において、「2.」に掲げる販売業者が店舗内で違法ドラッグを販売しているとの情報を入手したため、6月16日、薬事法第69条第3項に基づく立入検査を実施した。
 立入検査により、違法ドラッグを無許可で輸入し、販売等している事実が判明したため、「4.」に掲げる措置を講じた。
 なお、違反製品については、今後、必要に応じて成分分析を実施する予定である。

2. 販売業者
(1)
店舗の名称BOOTY(ブーティ)渋谷店
所在地東京都渋谷区宇田川町4−10 2F
営業者株式会社アンビエント
本社所在地神奈川県川崎市中原区新丸子東1−830−12 2F

(2)
店舗の名称オンエア渋谷店
所在地東京都渋谷区宇田川町26−9 5F
営業者有限会社オンエア
本社所在地東京都品川区上大崎3−3−1 2F

3. 違反の事実
(1)株式会社アンビエント
(1)当該販売業者は、BOOTY渋谷店及び下北沢店において、無承認無許可医薬品である違法ドラッグ(以下「無承認無許可医薬品」という。)を販売業の許可なく、不特定多数の者に対して販売していた。
(2)当該販売業者は、無承認無許可医薬品の原料をアメリカ及びカナダから輸入し、川崎市内の本社において、製造業の許可なく小分け、包装等を行い、当該無承認無許可医薬品を他の店舗に販売していた。
(3)当該販売業者は、川崎市内の本社において無承認無許可医薬品に関するインターネット広告を行い、当該無承認無許可医薬品を、販売業の許可なく不特定多数の者に対して販売していた。

 薬事法第12条第1項違反(医薬品の無許可製造販売)
 薬事法第13条第1項違反(医薬品の無許可製造)
 薬事法第14条第1項違反(無承認医薬品の製造販売)
 薬事法第24条第1項違反(医薬品の無許可販売)
 薬事法第55条第2項違反(無承認無許可医薬品の販売)
 薬事法第68条違反(未承認医薬品の広告)

(2)有限会社オンエア
(1)当該販売業者は、オンエア渋谷店、新橋店及び目黒店において、無承認無許可医薬品を、販売業の許可なく不特定多数の者に対して販売していた。
(2)当該販売業者は、無承認無許可医薬品をアメリカから輸入し、他の店舗に販売していた。

 薬事法第12条第1項違反(医薬品の無許可製造販売)
 薬事法第14条第1項違反(無承認医薬品の製造販売)
 薬事法第24条第1項違反(医薬品の無許可販売)
 薬事法第55条第2項違反(無承認無許可医薬品の販売)

4. 講じた措置(厚生労働省にて実施)
(1)株式会社アンビエント
(1)店舗内にあった違法ドラッグの廃棄を指導(別紙1記載の40製品、966個)
(2)違法ドラッグの製造、販売、広告等の中止及び自主回収を指導

(2)有限会社オンエア
(1)店舗内にあった違法ドラッグの廃棄を指導(別紙2記載の18製品、235個)
(2)違法ドラッグの販売等の中止及び自主回収を指導



(参考)

 違法ドラッグについて
 違法ドラッグとは、麻薬等と同様に多幸感、快感等を高めるものとして販売されている製品であるが、乱用者自身の健康被害の発生にとどまらず、麻薬や覚せい剤等の乱用の契機(ゲートウェイ)となることも懸念されるとともに、犯罪等に悪用されるおそれもあるものである。
 平成17年2月25日付け厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知「いわゆる「脱法ドラッグ」に対する指導取締りの強化について」において、違法ドラッグについては、使用目的に係る標榜ぶり如何に関わらず、事実上、人体への摂取を目的として販売されていると判断される場合には、薬事法上の無承認無許可医薬品に該当し、取締りの対象になる旨を各都道府県等に通知している。
 なお、違法ドラッグ対策を盛り込んだ改正薬事法については、平成18年6月14日に公布されている。(施行は公布後1年以内。)

 植物系違法ドラッグについて
 今般、販売中止等の措置を指示した違法ドラッグのほとんどが、幻覚作用等を有する成分を含有する植物の加工品であり、経口摂取や喫煙することで乱用されている。違法ドラッグの起源となっている植物は、以下のとおり。

 サルビア
 学名 Salvia divinorum サルビア・ディヴィノルム
 幻覚作用等を有するサルビノリンA(Salvinorin A)を含有しており、古代メキシコで、呪術的な儀式に使用されていた植物。サルビアとして花壇等で広く栽培されている「ヒゴロモソウ」(学名Salvia splendensサルビア・スプレンデンス)や「コモンセージ」(学名Salvia officinalis サルビア・オフィシナリス)とは、別の植物。一部の国では法規制がなされている。

 サンペドロ
 学名 Trichocereus pachanoi トリコセレウス・パチャノイ
 幻覚作用等を有するメスカリンを含有する中南米原産のサボテンの一種。

 ベニテングダケ
 学名 Amanita Muscaria アマニタ・ムスカリア
 イボテン酸やムシモールを含有する幻覚作用等を有する毒キノコ。ただし、化学合成された違法ドラッグ成分を後から添加した製品も多い。

 アヤワスカ関連植物
 南米アマゾン川流域地方の原住民が古くより宗教儀式に用いた植物。ジメチルトリプタミン(DMT)含有植物とβ-カルボリン系化合物(ハルミン、ハルマリン等)を含有する植物を組み合わせて摂取する。原住民は、この調合飲料をアヤワスカと呼ぶ。同化合物を含有する植物を同時に摂取すると向精神作用が長時間にわたることになる。
 DMT含有植物としては、アカネ科のPsychotria viridis(プシコトリア・ビリディス、植物名チャクルーナ)が著名である。β-カルボリン系化合物含有植物としては、キントラノオ科のBanisteriopsis caapi(バニステリオプシス・カーピ、植物名カーピ、ヤへー等、樹皮を用いる)や、ハマビシ科のハルマラ(Peganum harmala、ペガヌム・ハルマラ、種子を用いる)が著名である。なお、β-カルボリン系化合物にも向精神作用があるものと考えられている。



(別紙1)
薬事法違反製品((株)アンビエント)
番号 品名 数量
1 サルビアエクストラクト×5 44
2 サルビアエクストラクト×10 58
3 サルビアエクストラクト×15 25
4 サルビアエクストラクト×20 25
5 ドリームハーブ 6
6 ブルーロータス 8
7 スカルカップ 5
8 パッションフラワー 4
9 ハルマラ 16
10 コーラナッツ 13
11 ベテルナッツ 15
12 ハワイアンウッドローズ 7
13 DOPE 5
14 TCヘブン 34
15 TCスカンク 30
16 TCグリーン 30
17 TCブラック 29
18 TCブラックベリー 38
19 TCアフリカン 38
20 TCパッション 33
21 TCドリーム 30
22 ダミアナ 14
23 クラートン 27
24 アヤワスカ 1
25 サンペドロ 25
26 ハイブリッドサンペドロ 43
27 スーパーサンペドロ 46
28 アマニタムスカリア 9
29 サルビア 14
30 JUNKYSEVEN 3
31 JalboroMENTHOL 7
32 リベリアコリンボサシード 47
33 フライアガリックエクストラクト 23
34 ボガンガEX 20
35 コーラナッツEX 20
36 ダミアナEX 18
37 ブルーロータスEX 18
38 ワイルドダッガEX 18
39 クラートンEX 60
40 パッションフラワーEX 60
  合計 966
1〜40まで全て植物系違法ドラッグ

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(別紙2)
薬事法違反製品((有)オンエア)
番号 品名 数量
1 SalviaDivinorum10×Blueberry 1
2 SalviaDivinorum10×Peppermint 27
3 SalviaDivinorum10×Spearmint 25
4 SalviaDivinorum20×Blueberry 2
5 SalviaDivinorum20×Grape 5
6 SalviaDivinorum20×Peach 6
9 SalviaDivinorum20×Peppermint 11
7 SalviaDivinorum20×Spearmint 22
8 SalviaDivinorum20×Strawberry 6
10 SalviaDivinorum40×Blueberry 6
11 SalviaDivinorum40×Spearmint 4
12 SALVIAREVOLUTION10×BLUEBERRY 12
13 SALVIAREVOLUTION20×BLUEBERRY 7
14 PURPLESTICKYSALVIA 7
15 SPICE 17
16 Hyper-M 52
17 CoconutFlavour 8
18 RoseWaterFlavour 17
  合計 235
1〜15は植物系違法ドラッグ、16〜18は芳香剤を偽装したケミカル系違法ドラッグ

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