平成18年3月31日
厚生労働省

興和株式会社の産業活力再生特別措置法に基づく
事業再構築計画の認定について


.認定計画の概要
 興和株式会社(以下「興和」という。)から平成18年3月27日付けで提出された「事業再構築計画」について、産業活力再生特別措置法第3条第6項の規定に基づき審査した結果、同法第2条第2項第1号に規定する事業の構造の変更及び同条第2項第2号に規定する事業革新を行う者として、同法で定める認定要件を満たすと認められたため、本日付けで認定を行った。

 興和の連結子会社である日研化学株式会社(興和が発行済株式総数の62.2%を保有。以下「日研化学」という。)は、売上高の約3割(約150億円)を占める「テオドール」(喘息治療薬)他2品目について、三菱ウェルファーマ株式会社との独占販売契約が平成18年3月末をもって終了し、今後、大幅な売上の減少が見込まれている。興和は、同社グループにおける医療用医薬品の売上減少を、興和及び日研化学の営業を統合し、興和の主力製品である「リバロ」(高脂血症用剤)及び「オルメテック」(血圧降下剤)を中核とした販売戦略により、生産性(MR一人当たりの年間売上高)の向上を目指すのが、当該計画である。

 今回の計画の認定により、興和は、(1)合併等対価の柔軟化(金銭交付による株式交換)及び(2)登録免許税の税率の軽減の支援措置を期待している。

.事業再構築の実施時期
 開始時期 平成18年4月 〜 終了時期 平成21年3月

.申請者の概要
 名称興和株式会社
 住所名古屋市中区錦三丁目6番29号
 代表者取締役社長 三輪 芳弘
 資本金38億40百万円

本件に関する問い合わせ先
厚生労働省医政局経済課
担当:猪股、山本
電話03-5253-1111
(内線2530、2531)



様式第三

認定事業再構築計画の内容の公表


1.認定した年月日 平成18年3月31日

2.認定事業者名 興和株式会社

.認定事業再構築計画の目標
(1) 事業再構築に係る事業の目標
 興和株式会社(以下「興和」という。)は、明治27年の創業以来「堅実と進取」を社是に世界的規模で事業を多角展開し、平成16年度連結総売上高2,138億円、連結子会社46社、従業員総数は4,128名を擁するグループに発展してまいりました。興和は、メーカー機能と商社機能を併せ持ち、その事業領域は、医薬品事業、繊維事業、非繊維事業、電機光学事業、情報通信事業、ライフサイエンス事業と極めて多岐に亘っております。
 中でも、医療用医薬品事業は、昭和22年に医薬品部門を設立以来、一般用医薬品・ヘルスケア品に並ぶ興和の最重要事業と位置付け、新薬開発型の医薬品メーカーとして、今後、大きな市場が期待できる(1)「生活習慣病領域」、(2)「免疫、アレルギー領域」を開発重点領域と捉え、取り組んでおります。現在、研究開発面では、徹底した開発管理体制とターゲッティングされた効率的研究体制により有望なパイプラインを構築しつつあり、販売面でも、高コレステロール血症治療薬「リバロ錠」が発売となり、医薬事業部を挙げて、その販売に注力しております。
 昨今の医薬品業界のトレンドは、世界規模での競争の激化に伴い、研究・開発・製造・販売体制のグローバル化への対応が必要不可欠となっており、また、国内でも医療費の抑制を柱とした医療制度改革の実施や製薬企業間の合従連衡による市場シェア獲得競争が激化するなど、厳しい環境が続いております。
 興和と日研化学株式会社(以下「日研化学」といい、総称して「両社」という。)は、平成15年11月20日付で資本・業務提携を実施して以来、販売面においては、高コレステロール血症治療剤「リバロ錠」、血圧降下剤「オルメテック錠」のコ・プロモーション、研究開発面においては、医薬品の共同開発に向けた協働作業、生産面においては、医薬品原材料の共同購入の検討を行い、さらに、全社的な人材交流を通じて、広範な協力関係を構築してまいりました。
 周知のとおり、興和の主力商品である生活習慣病領域は、大手メーカーが凌ぎを削る競合の激しい領域であり、興和の医療用医薬品担当MR数の約600名は、競合他社の擁するMR1,000名以上の販売体制と比較し、十分とはいえず、その強化および販売ルートの更なる拡大が大きな課題となっております。
 また、日研化学は、平成17年11月10日開催の取締役会において、昭和59年以来販売を受託しておりました三菱ウェルファーマ株式会社の喘息治療薬「テオドール」を含む医療用医薬品3品目の独占販売契約を平成18年3月末日をもって終了し、同社へ販売承継することを決議いたしました。この結果、平成18年4月1日以降、本件に伴う売上高の減少額は約150億円弱(平成18年3月期見込み)、実に総売上高の約3割強にあたり、日研化学においても、事業構造の抜本的な改革を迫られている状況にあります。
 これらの状況に鑑み、興和は、日研化学との積極的な戦略的提携を通じて、更なる事業規模の拡大及び確固たる事業基盤の構築が必要と考えております。
 今般、興和は、両社のシナジーを最大限に発揮するため、興和の医療用医薬品の販売事業を日研化学へ事業譲渡し、また、スピードある経営と中長期的な視野に立った経営を目的とする日研化学の完全子会社化を行うことで、医療用医薬品担当MR1,000名体制を基盤とする顧客カバー率の増加、営業システム統一化による顧客サービスの向上に伴うMR1名当たりの売上高の増加等による販売力強化、並びに、乳糖や各種アミノ酸原料等の主要な医薬品原材料の共同購入、両社で重複あるいは隣接する販売拠点及び物流拠点の統廃合及び共同利用等によるコスト競争力強化に取り組むことを決定いたしました。

(2) 生産性の向上を示す数値目標
 生産性の向上としては、平成20年度には平成16年度に比べて、自己資本当期純利益率を8.2%ポイント向上させることを目標とします。

.認定事業再構築計画の内容
(1) 事業再構築に係る事業の内容
(1)中核的事業
医療用医薬品の製造、販売

(2)選定理由
 興和は、昭和22年に医薬品部門を設立以来、「キャベジンコーワ」、「バンテリンコーワ」等の一般用医薬品・ヘルスケア品に加え、医療用医薬品事業を最重要事業と位置付け、新薬開発型のメーカーとして取り組んでおります。現在、研究開発面では、徹底した開発管理体制とターゲッティングされた効率的研究体制により有望なパイプラインを構築しつつあり、販売面でも、高コレステロール血症治療薬「リバロ錠」が発売となり、医薬事業部を挙げて、その販売に注力しております。
 また、平成17年3月期の連結売上高における医薬品事業のウエイトはおよそ50%を占めており、中でも医療用医薬品事業の比率は70%に達しております。今後も、医療用医薬品事業は興和の収益の柱であること、関係事業者である日研化学は医療用医薬品の製造販売を手掛ける医薬品専門メーカーであることから、医療用医薬品事業を中核的事業として選定いたしました。

(3)事業再構築に係る事業の内容
 興和は、MR1,000名体制による販売力強化、並びに、医薬品原材料の共同購入、販売拠点及び物流拠点の統廃合等によるコスト競争力強化を目的とし、平成18年10月を目処に興和の医療用医薬品の販売事業を日研化学に事業譲渡し、日研化学は、事業統合に伴い生じる費用を平成18年4月を目処に興和が引受ける第三者割当増資により賄う予定です。併せて、平成18年8月を目処に金銭を対価とする株式交換により興和が日研化学を完全子会社化し、スピードある経営と中長期的な視野に立った経営を目指します。

(事業の構造の変更:増資、事業譲渡、株式交換)
 ・増資
日研化学は興和に対し、第三者割当増資を行う。
 増資額3,570百万円(うち1,790百万円を資本金へ組み入れ)
 増資前の資本金6,775百万円
 増資後の資本金8,565百万円
 増資の方法興和に対する第三者割当増資
 増資予定日平成18年4月10日

 ・事業譲渡
興和は日研化学に対し、医療用医薬品の販売事業を事業譲渡する。
<事業譲渡をする会社>
 名称興和株式会社
 住所名古屋市中区錦三丁目6番29号
 代表者の氏名取締役社長 三輪 芳弘
 資本金3,840百万円

<事業を譲り受ける会社>
 名称日研化学株式会社
 住所東京都中央区築地一丁目12番6号
 代表者の氏名取締役社長 田村 滋
 資本金6,775百万円

 事業譲渡日平成18年10月1日(予定)

 ・株式交換
興和を完全親会社とし、日研化学を完全子会社化とする株式交換を行う。
<完全親会社>
 名称興和株式会社
 住所名古屋市中区錦三丁目6番29号
 代表者の氏名取締役社長 三輪 芳弘
 資本金3,840百万円

<完全子会社>
 名称日研化学株式会社
 住所東京都中央区築地一丁目12番6号
 代表者の氏名取締役社長 田村 滋
 資本金6,775百万円

 株式交換の日平成18年8月1日(予定)

事業革新)
 興和は、興和の医療用医薬品の販売事業を日研化学に事業譲渡するとともに、興和の医療用医薬品の独占的販売の地位を日研化学に許諾し、日研化学は両社製品を販売します。
 興和は、営業部門および営業関連部門の人員730名(MR約600名)が日研化学に出向することによって、MR1,000名体制を確立し、互いに重複する顧客カバーの見直しによる顧客カバー率の増加、営業支援システムの統一化による顧客サービスの向上に伴うMR1名当たりの売上高の増加等により、両社製品の販売活動の効率化による収益拡大を図ります。
 さらに、乳糖や各種アミノ酸原料等の主要な医薬品原材料の共同購入、両社で重複あるいは隣接する販売拠点及び物流拠点の統廃合及び共同利用等によるコスト削減にも取り組み、平成20年度には平成16年度に比べて、医療用医薬品の販売費及び一般管理費を8.1%低減します。

(2) 事業再構築を行う場所の住所
【興和の主な事業所】
 本社 愛知県名古屋市中区錦三丁目6番29号
 札幌支店 北海道札幌市中央区北一条西5−2札幌興銀ビル2F
 仙台支店 宮城県仙台市青葉区木町通1−1−26
 関東支店 群馬県高崎市問屋町西1−6−7
 東京支店 東京都中央区日本橋本町3−4−14
 横浜支店 神奈川県横浜市神奈川区三ツ沢上町30−15
 名古屋支店 愛知県名古屋市中区錦三丁目6番29号
 大阪支店 大阪府大阪市中央区淡路町2−3−59
 広島支店 広島県広島市中区上幟町8−20
 福岡支店 福岡県福岡市博多区店屋町4−15
 富士配送センター 静岡県富士市大野新田332−1
 大阪物流センター 大阪府茨木市清水1−17−8
 富士工場 静岡県富士市大野新田332−1
 名古屋工場 愛知県名古屋市北区鳩岡2−18−57
 東京創薬第一・第二研究所 東京都東村山市野口町2−17−43
 富士研究所 静岡県富士市大野新田332−1
 その他営業所23ヶ所、分室4ヶ所

【日研化学の主な事業所】
 本社 東京都中央区築地一丁目12番6号
 札幌支店 北海道札幌市中央区南七条西1−13−73
 仙台支店 宮城県仙台市青葉区一番町2−10−17
 関東支店 埼玉県さいたま市北区宮原町3−297−2
 東京支店 東京都中央区銀座7−16−14
 横浜支店 神奈川県横浜市中区本町3−30−7
 名古屋支店 愛知県名古屋市東区葵3−15−31
 京都支店 京都府京都市中京区烏丸通錦小路上ル手洗水町659
 大阪支店 大阪府大阪市中央区南本町2−6−2
 広島支店 広島県広島市中区大手町2−7−10
 高松支店 香川県高松市中野町29−7
 福岡支店 福岡県福岡市博多区綱場町2−21
 東京物流センター 埼玉県さいたま市浦和区上木崎2−163−1
 (富士倉庫運輸KK内)
 大阪物流センター 大阪府東大阪市水走5−5−6
 (八興運輸倉庫KK東大阪第二営業所内)
 大宮工場 埼玉県さいたま市大宮区北袋町1−346
 真岡工場 栃木県真岡市松山町21−1
 医薬研究所 埼玉県さいたま市大宮区北袋町1−346
 その他営業所35ヶ所、オフィス40ヶ所

(3) 関係事業者
 日研化学株式会社
 興和が発行済株式総数の62.2%を保有しているため、関係事業者に該当する。

(4) 事業再構築を実施するための措置の内容
 別表のとおり

(5) 事業再構築の開始時期及び終了時期
 開始時期平成18年4月
 終了時期平成21年3月

(6) 事業再構築に伴う労務に関する事項
(1)事業再構築の開始時期の従業員数
 興和 2,581名
 日研化学 953名

(2)事業再構築の終了時期の従業員数
 興和 1,867名
 日研化学 1,652名

(3)事業再構築に充てる予定の従業員数
 興和 730名
 日研化学 1,652名

(4)(3)中、新規に採用される従業員数
 興和 36名
 日研化学 259名

(5)事業再構築に伴い出向または解雇される従業員数
 出向予定人員数 興和から日研化学 730人
 転籍予定人員数 なし
 解雇予定人員数 なし

(7) その他
 該当なし



別表

事業再構築の措置の内容
 
措置事項 実施する措置の内容及びその実施する時期 期待する支援措置
事業の構造の変更    
  営業又は事業に必要な資産の譲受けによる中核的事業の開始、拡大又は能率の向上
(1)譲渡会社
名称 興和株式会社
住所 名古屋市中区錦三丁目6番29号
代表者の氏名 三輪 芳弘
資本金 3,840百万円

(2)譲受会社
名称 日研化学株式会社
住所 東京都中央区築地1丁目12番6号
代表者の氏名 田村 滋
資本金 6,775百万円

(3)譲り受ける営業又は資産の内容
当社の医療用医薬品の販売事業に係る資産 (詳細未定)

(4)譲り受ける営業又は資産の価額
未定

(5)事業譲渡期日
平成18年10月1日(予定)

 なお、譲り受ける営業又は資産の内容及び価額については、今後、興和と日研化学にて協議の上、両社で締結する事業譲渡契約書において決定する予定です。
 
株式交換による中核的事業の開始、拡大又は能率の向上
(1)完全親会社
名称 興和株式会社
住所 名古屋市中区錦三丁目6番29号
代表者の氏名 三輪 芳弘
資本金 3,840百万円

(2)完全子会社
名称 日研化学株式会社
住所 東京都中央区築地1丁目12番6号
代表者の氏名 田村 滋
資本金 6,775百万円

(3)株式交換の日
平成18年8月1日(予定)

 なお、株式交換に際しては、日研化学株式を保有する株主へ金銭を交付することとし、一株当たりの交付金の額については第三者機関により算定する予定です。
法第12条の9
(合併等に際してする特定金銭等の交付に関する特例)
資本の相当程度の増加による中核的事業の開始、拡大又は能率の向上 増加前資本金:6,775百万円
増加する資本金:1,790百万円
増資の方法:興和に対する第三者割当増資
増資の時期:平成18年4月10日(予定)
租税特別措置法第80条の2(認定事業再構築計画等に基づき行う登記の税率の軽減)

事業革新    
  第2条第2項第2号ハ  興和は、興和の医療用医薬品の販売事業を日研化学に事業譲渡するとともに、興和の医療用医薬品の独占的販売の地位を日研化学に許諾し、日研化学は両社製品を販売します。
 興和は営業部門および営業関連部門の人員730名(MR約600名)が日研化学に出向することによって、MR1,000名体制を確立し、互いに重複する顧客カバーの見直しによる顧客カバー率の増加、営業支援システムの統一化による顧客サービスの向上に伴うMR1名当たりの売上高の増加等により、両社製品の販売活動の効率化による収益拡大を図ります。
 さらに、乳糖や各種アミノ酸原料等の主要な医薬品原材料の共同購入、両社で重複あるいは隣接する販売拠点及び物流拠点の統廃合及び共同利用等によるコスト削減にも取り組み、平成20年度には平成16年度に比べて、医療用医薬品の販売費及び一般管理費を8.1%低減します。
租税特別措置法第80条の2(認定事業再構築計画等に基づき行う登記の税率の軽減)

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