第3 平成18年度地方労働行政の重点施策
 地方労働行政展開に当たっての基本的対応
(1) 総合的労働行政機関としての機能(総合性)の発揮
 都道府県労働局における労働基準行政、職業安定行政及び雇用均等行政がそれぞれの専門性を一層発揮しつつ、労働条件の確保、雇用の安定等三行政が連携して取り組む必要のある課題や、少子・高齢化の下での働き方の見直しや仕事と子育ての両立支援等それぞれの行政分野の枠組みを超えて一体となった対応が必要となる課題も増加していることから、こうした課題について、三行政の連携をより一層密にし、労働保険適用徴収業務や総合労働相談業務も含め、総合労働行政機関としての機能を発揮していく必要がある。
 複数の行政分野による対応が求められている課題について、都道府県労働局内関係部室の連携、労働基準監督署内又は公共職業安定所内の関係部門間の連携を図り、局署所が一体となって機動的かつ的確な対応を図る。
 また、それぞれの重点課題への対応に当たっては、他の行政分野において実施される集団指導、説明会など事業主や労働者が一堂に会する場を積極的に活用し、合同開催とするなど効果的・効率的な方策を講ずるものとする。
 こうした取組を推進するため、都道府県労働局内の各部室並びに管内の労働基準監督署及び公共職業安定所で実施を予定している行事等についての情報を相互に共有し活用するとともに、部局内の会議について、創意工夫をこらした業務展開の在り方、行政間連携方策等を検討する場として機能するよう活用する。

(2) 計画的・効率的な行政運営
 計画的な行政運営
 都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所における行政運営に当たって、各行政分野ごとの課題及び分野横断的な課題について的確に対応していくため、各地域の実情を踏まえた重点施策を盛り込んだ行政運営方針を策定し、これに基づいて計画的な行政運営に努める。
 また、行政運営方針等に基づき、業務運営の進捗状況を定期的に分析し、当初の目標に沿った実施状況となっているかフォローアップを行うよう努める。
 事務の簡素合理化と業務運営の重点化
 国の行政組織等の簡素・効率化については、中央省庁等改革以来の行政の構造改革を着実に推進することが求められており、地方労働行政もこうした趣旨を踏まえて、行政事務の簡素合理化や行政需要の変化に対応した業務運営の見直しを図る必要がある。このため、
 第一に、都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所において、これまでにも増して独自の工夫をこらして事務の簡素合理化を進める。
 第二に、経済社会の構造的な変化に伴い、労働行政における課題が増大するとともに複雑困難化する中で、都道府県労働局を中心として時々の地方労働行政における重要かつ困難な課題へ対応するため、限りある行政資源を集中的に投入するなどそれぞれの行政分野に応じて業務運営の重点化を強力に推進する。
 第三に、庶務関係業務等の都道府県労働局への集中化について着実に推進することにより、事務の効率化を図る。
 既存の業務執行体制の在り方の見直し
 都道府県労働局において、地域経済の動向も分析した上で、行政需要の変化を具体的な指標に基づいて把握し、その結果を踏まえて署所も含めた業務の運営方法や職員の配置等の業務執行体制について積極的に見直しを進めることはもとより、行政需要に的確に対応するための行政体制のあるべき姿についても検討し、可能なものから逐次実施する。
 行政事務の情報化への対応
 都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所の情報化については、労働局総務情報システム(雇用均等行政情報システムを含む。以下同じ。)、労働基準行政情報システム及び職業安定行政システム等を積極的に活用して行政事務の情報化を推進する。
 また、官庁会計事務データ通信システム(ADAMS)及び電子入札システムを活用して、会計事務及び入・開札事務の適正化、効率化を図るとともに、労働局総務情報システムのサブシステムであるりん議・決裁システム及び電子公文書発行システムの活用により、都道府県労働局の行政事務の一層の効率化を図る。
 申請・届出等手続の電子化への対応に関しては、都道府県労働局が所掌する申請・届出等手続について、インターネットを利用してオンラインで行えることを踏まえ、その手続の周知に努めるとともに、その的確な受付・審査により、国民の利便性・サービスの向上を図る。
 情報セキュリティに関しては、厚生労働省情報セキュリティポリシー及び「都道府県労働局・労働基準監督署・公共職業安定所における厚生労働省情報セキュリティポリシーの運用指針」(平成15年9月19日付け地発第0919004号・基総発第0919001号・職総発第0919009号・雇児雇発第0919001号「情報セキュリティの確保等の徹底について」別添)に十分留意の上、職員研修の的確な実施並びに本省システム及び都道府県労働局独自システムに係る各情報セキュリティ実施手順等に従った情報セキュリティの確保対策の徹底を図る。
 また、情報セキュリティ実施手順が未整備の情報システムについては、早急に情報セキュリティ実施手順を策定する。

(3) 地域に密着した行政の展開
 地域の経済社会の実情の的確な把握
 地方労働行政を取り巻く情勢及び課題を適切に踏まえた施策を企画、実施し、地域における行政ニーズに的確に応えていくため、都道府県労働局においては、総合労働相談コーナーに寄せられた相談をはじめ各部で得られた情報の活用に努める。また、関係行政機関及び関係団体等との連携を密にしつつ、地域経済情勢、地域における主要産業・企業の動向等を逐次、綿密に把握し、その的確な分析の上に立って適切な行政課題を設定し、それに対し、的確な行政運営に努める。
 地方公共団体等との連携
 雇用施策を始めとする労働施策について、国と地方公共団体はそれぞれが行う施策が密接な連携の下に円滑かつ効果的に実施されるよう相互に連絡・協力することが重要である。このため、業務執行面で恒常的に窓口同士の接触が不可欠となる業務の円滑化を一層進めるとともに、都道府県労働局長と知事等都道府県幹部が労働施策全般にわたり意見交換する労働関係連絡会議の開催や職業安定部長を連絡責任者とする連絡窓口を活用する等により相互の連携基盤を強化する。
 また、地域の実情に即した雇用施策の推進に係る具体的な連絡調整、情報交換 等を行う場として、引き続き、雇用対策連絡調整会議を開催する。
 さらに、市町村、他の地方支分部局等との連携にも十分配意する。
 労使団体等関係団体との連携
 地域における行政ニーズに即応した地方労働行政を展開するためには、労使団体の要望を適切に把握し、これを業務運営に的確に反映するとともに、都道府県労働局から労使団体に対して必要な働きかけを適時適切に行っていくことが必要である。このため、都道府県労働局長以下局の幹部が地域を代表する労使団体の幹部から労働行政全般にわたって率直な意見や要望を聞くとともに、幅広い闊達な意見交換を行う場である地域産業労働懇談会の開催や日常的な意見交換を通じて、労使団体との連携を図る。
 また、地域の実情に応じた施策の効果的な推進を図るため、地方労働審議会において、公労使の意見をきめ細かく把握し、行政運営に的確に反映するよう努めるとともに、関係団体、有識者及び調査研究機関等とも緊密な連携を図る。
 積極的な広報の実施
 広報活動は、労使はもとより国民全体の労働行政に対する理解と信頼を高めるために重要であることから、適切な時期・手段により、必要に応じ関係団体等との連携を図りつつ、創意工夫を凝らした広報活動を積極的に推進する。
 特に、都道府県労働局において、局幹部とマスコミ関係者との定期的な懇談の場を設けるとともに、各行政における重要施策、法制度の改正等の動向及び主要な統計資料等を分かりやすく適時適切に提供すること等を通じて、マスコミとの日常的な接触に努める。
 また、重要施策等の周知に当たっては、都道府県・市町村や労使団体の広報誌等を活用し、幅広くかつ効果的な広報活動を推進する。

(4) 保有情報の厳正な管理及び情報公開制度・個人情報保護制度への適切な対応
 保有個人情報の厳正な管理
 各労働局において定めている都道府県労働局保有個人情報管理規程に基づき、労働局で保有する個人情報の適切な管理を徹底する。
 また、労働行政で保有している個人情報は、個々人に密着した秘匿性の高い情報であり、厳格な保持が求められることを職員に十分理解させるため、研修等による意識啓発・注意喚起を行いつつ、必要に応じ事務処理の見直しにも積極的に取り組む。
 情報公開制度の適切かつ円滑な実施
 「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」に基づく行政文書開示請求に対する事務処理に当たっては、適切な処理に努めることにより、適正かつ円滑な運用を図る。
 特に、対象文書の特定及び具体的な不開示理由の付記について、その適切な処理に留意する。
 また、都道府県労働局文書管理規程に基づく適切な文書管理に努め、行政文書ファイル管理簿及び同管理簿に記載する行政文書の管理の一層の適正化を図る。
 個人情報保護制度に基づく開示請求等への適切な対応
 行政機関の保有する個人情報に対する開示、訂正及び利用停止請求に対しては、「行政機関個人情報保護法開示請求等の事務処理の手引」(平成17年4月付け厚生労働省大臣官房総務課情報公開文書室)に基づき、適切な処理に努めることにより、適正かつ円滑な運用を図る。
 特に、請求対象となる文書の特定について、企画室と文書所管課との間で十分な調整を行い、補正処理・開示決定通知等適切な処理を徹底する。
 雇用管理に関する個人情報の適切な取扱いに係る周知徹底
 個人情報保護法及び「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成16年7月1日付け厚生労働省告示第259号)に基づき、個人情報取扱事業者が保有個人情報の適切な取扱いを行うよう周知・啓発の徹底を図るとともに、雇用管理に関する個人情報の取扱に係る苦情・相談への適切な対応、個人情報取扱い事業者に対する助言・指導等行政指導を的確に実施する。

(5) 綱紀の保持と行政サービスの向上
 綱紀の保持
 労働行政は、労使を始め国民全体の信頼を得て初めて業務が円滑に施行されるものであり、その有する権限も大きいことから、国民の信頼と期待を裏切ることがないよう、管理者はもとよりすべての職員が綱紀の厳正な保持と徹底を図るよう、特に以下の点に万全を期する。
(ア) 国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程等を踏まえ、一層の綱紀の保持に努める。
(イ) 会計経理事務、徴収事務等金銭に関わる業務については、定められた事務処理手順の徹底、責任体制の明確化、職員相互の内部牽制体制の確立等による適正な事務処理の徹底を図る。特に、会計経理事務については、多くの労働局において会計法令に違背した不適切な会計処理が行われていた事実が確認されていることから、契約事務の適正化、支払事務の一層の厳格化等を徹底し、再発防止に努める。
 行政サービスの向上
 国民から信頼される行政を実現するためには、利用者の立場に立った親切でわかりやすい窓口対応、事務処理の迅速化等行政サービスの向上に努める必要がある。平成14年度から平成16年度まで、「さわやか行政サービス推進委員会点検計画」を実施してきたところであるが、同計画の期間終了後も、引き続き、都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所の窓口を中心に、職員の応接態度や事務処理の迅速化等行政サービスの改善に努める。

 労働基準行政の重点施策
 企業を取り巻く環境の変化や働き方の多様化が進む中、労働者を取り巻く環境は大きく変化してきているが、労働基準行政は、いかなる経済・雇用情勢の下にあっても、適正な労働条件の下で安全に安心して働くことができるようにしていくことを使命とするものである。
 他方、最近における行財政改革の中で国家公務員を5%以上純減させるとの政府方針の下にあって、労働基準行政が期待される役割を的確に果たしていくためには、今まで以上に監督・安全衛生・労災補償の三行政部門が一体となって取り組んでいくことが重要である。行政運営に当たっては、使用者の遵法意識をより高める観点も踏まえ、労働基準関係法令違反に対しては厳正に対処し、特に重大・悪質な事案に対しては司法処分を含め厳正に対処することとし、同時に、適正な労働条件の確保・改善を図るには、労使の自主的な取組みを促進することが極めて重要であることから、労使団体との連携を強化することなどの工夫を行う等、一層、効率的・効果的な行政展開を積極的に図っていく必要がある。
 また、昨年夏以来、アスベストによる健康障害が社会問題となり、これを契機として、労働基準行政としても、監督・安全衛生・労災補償の三行政部門が一体となって対策を講じてきたところであるが、今後とも、飛散・ばく露の防止、早期全面禁止、健康管理、労災補償等について迅速かつ的確な取組みを行うとともに、被害者を隙間無く救済するためのアスベスト救済法の円滑な施行を図るものとする。
(1) 労働条件の確保・改善等
 一般労働条件の確保・改善対策の推進
(ア) 法定労働条件の確保
 企業を取り巻く環境の変化や働き方の多様化が進む中、地域の産業動向等を敏感にとらえ、的確な行政展開を図ることが求められている。このため、管内の実情を踏まえつつ、基本的な労働条件の枠組みの確立、労働時間管理の適正化、健康管理の徹底に関する事項の履行確保を中心とした一般労働条件の確保・改善対策を一層積極的に推進する。
 また、労働基準関係法令違反に対しては、厳正に対処する。
(イ) 労働時間管理の適正化の徹底
 賃金不払残業の解消を図るため、これに係る申告・相談が依然として認められる状況について使用者の理解を得させた上で「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日付け基発第339号)の遵守を重点とした監督指導等を引き続き実施するとともに、「賃金不払残業総合対策要綱」に基づき「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」の周知を図り、労使の自主的な改善を促すなど総合的な対策を推進する。
 また、重大・悪質な事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処する。
(ウ) 時間外労働協定の適正化
 長時間にわたる時間外労働の実効ある抑制を図り、また過重労働による健康障害を防止するため、使用者、労働組合等の労使当事者が時間外労働協定を適正に締結し届け出るよう、引き続き周知・指導を行うとともに、特に、労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準について、特別条項付き協定を締結する場合の「特別の事情」の趣旨を十分に踏まえつつ、遵守の徹底を図る。
(エ) 有期労働契約に係るルールの明確化の推進
 有期労働契約について、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」に関し、必要な助言及び指導を行うことにより、引き続きその遵守の徹底を図るとともに、有期契約労働者の就労環境の改善を図るため、「有期契約労働者就業環境改善プロジェクト」を実施する。
(オ) 企業倒産に伴う解雇等に伴う労働条件の履行確保
 企業倒産に伴う解雇、賃金不払等の法定労働条件の履行確保上問題が発生するおそれがある企業に関する情報の早期かつ的確な把握に努めるとともに、適切な監督指導を実施し、賃金不払事案等の発生の防止及びその早期解決に努める。
 未払賃金立替払制度の迅速かつ適正な運営
 企業の倒産件数は減少しているものの、本制度の利用がなお高水準であることを踏まえ、不正受給防止にも留意しつつ、企業倒産により賃金の支払を受けられない労働者の救済を図るため、引き続き迅速かつ適正な対応を図る。
 最低賃金制度の適正な運営
 最低賃金制度については、我が国経済の動向、地域の実情を踏まえ適正な運営を図る。
 また、最低賃金法の履行確保を図るため、最低賃金の一層の周知徹底を図るとともに、問題のある地域、業種等を的確に把握し、監督指導等を行い、その遵守の徹底を図る。
 特定の労働分野における労働条件確保対策の推進
(ア) 自動車運転者
 長時間労働を原因とする重大な交通労働災害が増加していることから、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」等の周知及び遵守を徹底するとともに、過労運転事案については、関係行政機関とも連携を図り、引き続き自動車運転者の労働条件の改善を図る。
 また、タクシー業に対しては、地方運輸機関と合同により監督・監査を実施するなど連携の強化を図る。
(イ) 派遣業及び業務請負業における労働者
 請負等を偽装した労働者派遣が依然として認められることから、事業場の構内に他の事業場の労働者が混在している場合には、事業場間の契約関係や当該労働者に対する実際の指揮命令等の就労実態を確認した上で、その実態に応じて、労働基準法等関係法令に係る使用者の責任区分に従って必要な指導を行い、法令違反に対しては司法処分も含め厳正に対処する。
 また、事業場間の契約関係、労働者の就労実態等から判断して請負等を偽装した労働者派遣事業と疑われる事案等を確認した場合には、相互に情報提供することにより情報の共有化を図るなど、職業安定行政と連携しつつ、的確に対処する。
 さらに、依然として派遣労働者に係る労働災害も発生していることから、引き続き派遣労働者に係る労働災害防止対策を推進する。
(ウ) 外国人労働者、技能実習生
 国際化の進展等により我が国で就労する外国人労働者が増加している状況を踏まえ、外国人労働者にも労働基準関係法令が当然に適用されることについて周知徹底を図るとともに、「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」に基づく啓発・指導により、引き続き外国人労働者の適正な労働条件確保対策を推進する。重大悪質な労働基準関係法令違反において、資格外活動、不法残留等出入国管理及び難民認定法違反に当たると思われる事案が認められた場合には、職業安定行政との連携を図りつつ、出入国管理機関にその旨情報提供する。
 技能実習生については、依然として、法定労働条件確保上の問題が認められることから、労働契約締結時の労働条件の書面による明示、賃金支払の適正化等労働基準関係法令の遵守の徹底を図る。
(エ) 介護労働者
 介護事業に使用される労働者の法定労働条件の履行確保を図るため、介護事業へ新規に参入する事業者が増加している状況を踏まえ、事業の許可権限を有する都道府県等と連携し、引き続き労働基準関係法令の適用について周知するとともに、その遵守の徹底を図る。
(オ) 短時間労働者
 「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下「パートタイム労働法」という。)並びに「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」(以下「パートタイム労働指針」という。)の趣旨及び内容についての周知、啓発を重点とした対策を推進し、事業主による自主的な取組を促進する。
(カ) 障害者である労働者
 障害者である労働者の労働環境の整備が求められている中で、引き続き法定労働条件の履行確保を図るため、職業安定行政との連携の下、これら労働者を使用する事業主に対する啓発・指導に努めるとともに、的確な情報の把握を行い、問題事案の発生の防止及び早期是正に努める。
(キ) 出稼労働者
 出稼労働者に対する適正な賃金の支払の確保、有給休暇制度の普及促進、労働災害の防止、健康管理の充実等、引き続き労働条件確保対策を推進する。
 また、建設業附属寄宿舎を設置する使用者に対して寄宿舎における労働基準関係法令の遵守を図る。

(2) 多様な働き方が可能となる労働環境の整備
 仕事と生活の調和のとれた働き方を可能とする環境整備
(ア) 労働時間等設定改善法の円滑な施行
 近年の労働時間の動向等を踏まえ、「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」を個々の労働者の健康や生活に配慮した労働時間、休日及び休暇の設定に向けた労使の自主的な取組を促進することを目的とする「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(以下「労働時間等設定改善法」という。)に改正する内容を含む「労働安全衛生法等の一部を改正する法律」が第163回特別国会において成立し、一部の規定を除き、平成18年4月1日から施行されるところである。
 労働時間等設定改善法の施行に当たっては、事業主及びその団体が労働時間等の設定の改善に適切に対処することが必要であることから、労働時間等の設定の改善を行う事業主及びその団体が留意すべき事項について定めた労働時間等設定改善指針の周知啓発を図る。また、事業場における労働時間等設定改善委員会の設置等の体制整備及び労働時間等設定改善実施計画の作成についての普及啓発を図る。
 また、国において平成18年度から新たに労働時間の設定の改善の促進(計画年休制度の導入又は連続休暇の取得促進等)に向けて(1)仕事の内容や進め方にまで踏み込んだ助言・相談を行う労働時間設定改善アドバイザーを地域の主要な事業主団体に配置し、個々の会員事業場の実情を踏まえた指導、援助、(2)労働時間等の設定の改善に取り組む中小企業団体に対しての助成、(3)特に時間外労働が長い事業場の事業主に対して時間外労働の削減に向けて自主的点検等の実施の要請、(4)都道府県労働局に労働時間設定改善コンサルタントを配置し、相談対応や助言・指導を行うこととしており、事業主等に対してこれらの積極的な活用を勧奨する。
 さらに、仕事と生活の調和に関する周知啓発活動を「仕事と生活の調和キャンペーン」と位置付けて展開することとし、社会的気運の醸成を図ることとする。具体的には、(1)全国を7つのブロックに分けて、ブロック局において「仕事と生活の調和推進会議」を開催し、企業及び労働者が参考にしうるプログラムを作成し、その周知広報を通じた各企業の自主的な取組の促進、(2)仕事と生活の調和に係る社会的気運の醸成を図るためのシンポジウムの開催等を行うところであり、各事業の円滑な実施に努めるものとする。
(イ) 年次有給休暇の取得促進
 計画的付与制度の積極的な活用について周知及び指導を行うこと等により、年次有給休暇の一層の取得促進を図る。
(ウ) 所定外労働の削減のための啓発
 「所定外労働削減要綱」の周知啓発により、休日労働を含めた所定外労働の削減に向けた労使の取組を促進する。
 裁量労働制の適正な実施の確保
 裁量労働制については、業務遂行に当たっての裁量性を確保するとともに業務量が過大になることを防ぐ観点から、同制度の趣旨に適合した上で導入・運用されるよう、周知・指導を行う。特に企画業務型裁量労働制については、対象となる業務の範囲等を含め、制度が適正に実施されるよう「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」の趣旨及び内容について周知を行う。
 また、健康・福祉確保措置や苦情処理措置の実施が十分でないなどの実態もあることから、実効ある健康・福祉確保措置等が実施されるよう周知の徹底を図る。
 在宅勤務の普及促進
 在宅勤務に関する適正な就業環境を確保するため、在宅勤務の労働基準関係法令上の取扱い等を明確にした在宅勤務に係るガイドラインについて、事業主等への周知を図る。
 また、在宅勤務の意義やメリットを広く浸透させるため、本省で実施した、在宅勤務の健康面への影響等を調査する実証実験の結果について、事業主等への周知を図る。
 賃金・退職金制度の改善の推進
 賃金・退職金制度整備・改定事例及び賃金・退職金セミナー等を活用して賃金・退職金制度に関する相談・援助等の充実を図るとともに、併せて、中小企業賃金制度支援事業の効果的な実施に努める。
 勤労者生活の基盤の整備・充実
 勤労者財産形成促進制度については、引き続き本省において勤労者を取り巻く状況に対応した制度改善の検討を行う。中小企業退職金共済制度については、退職金制度がいまだ整備されていない中小企業も多いことから、それらの企業の加入促進に努めるとともに、適格退職年金制度からの移行を進めるために、制度の周知を図る。
 勤労者のボランティア活動については、勤労者マルチライフ支援事業の実施状況の把握等により、その参加の促進に努める。

(3) 労働者の安全と健康を確保するための施策の展開
 アスベストによる健康障害防止対策
(ア) 建築物等の解体時等のアスベストばく露防止対策
 アスベスト使用建築物の解体作業等におけるアスベストばく露防止対策について、計画届、作業届のほか、関係行政機関等からの情報を収集し、監督指導等や、必要に応じて労働災害防止団体と連携して現場パトロールを実施する等により、石綿障害予防規則の遵守を図る。その際に、併せて、ばく露防止対策等の実施内容の掲示についても、必要な指導を行う。
(イ) アスベストの早期全面禁止
 「石綿製品の全面禁止に向けた石綿代替化等検討会」の報告(平成18年1月)を踏まえ、アスベスト製品の製造等を禁止することとし、新設の設備についてアスベスト製品の使用を認めないこと、ただし国民の安全の確保上実証試験等が必要なものについては例外的に禁止を除外することについて、関係政令の整備を18年度中に実施することとしており、その内容の周知を図る。また、アスベスト製品の製造・使用等を行っている事業者に対し、全面禁止の法令整備を待つまでもなくアスベスト製品の製造等を中止するよう指導を行う。
(ウ) 健康管理対策の推進
 アスベストに係る労働者の健康管理の充実を図るため、アスベストばく露リスクが高いと考えられる業種を重点として、石綿障害予防規則に基づく健康診断の実施等の徹底を図るとともに、その際に、併せて、すでに退職した者についてもアスベスト健康診断を実施するよう事業者に対して要請を行う。また、リーフレット等を活用し、アスベストに係る健康管理手帳制度の周知を図る。
 さらに、アスベスト取扱い作業等に従事していた退職者であって、事業場の廃業等で健康診断を受けることができない者を対象として行われる特別健康診断の推進を図る。
 労働災害を減少させるための施策の展開
 重大災害を防止し、労働災害の大幅な減少を図るため、労働安全衛生法の改正を踏まえて、安全衛生管理体制の強化、リスクアセスメント及び労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進を図るとともに、業種等の特性に応じた労働災害防止対策を推進する。
(ア) 安全衛生管理体制の強化等
 労働災害防止を進めるためには、まず、経営トップ等が率先して対策に取り組むことが重要であることから、局署の幹部が、様々な機会を活用し、経営トップ等に対して直接指導を行う。
 また、企業の自主的な安全衛生管理活動を促進するため、総括安全衛生管理者の職務の追加、安全衛生委員会の調査審議事項の拡充、安全管理者の選任時の資格要件の追加、職長等の教育カリキュラムの拡充を内容とする規則改正の周知徹底を図る。
(イ) リスクアセスメント、労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進等
 事業場における危険性・有害性が多様化している中、事業場の安全衛生水準の向上を図り労働災害を減少させるためには、リスクアセスメントを行うことが必要であることから、今般の労働安全衛生法の改正によりリスクアセスメントの実施が努力義務とされたところであり、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成18年3月10日付け危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第1号)に基づき、その実施が図られるよう、計画的に周知、集団指導及び個別指導を行う。
 さらに、労働安全衛生マネジメントシステムについても、業種別団体等を通じた支援、本システムの普及のための協議会を発足させる等により、事業者、事業者団体等による自主的な取組の促進を図る。また、新設された計画届の免除制度について、上記協議会等を活用した周知を行うとともに、別途示すところにより制度の適切な運用を図る。
 なお、リスクアセスメントは事業場規模に関わらず労働災害防止上有効であることを踏まえ、中小規模事業場に対しても、計画的に周知、集団指導及び個別指導を行う。また、安全管理特別指導事業場等の安全衛生改善計画についても、別途示すところにより、リスクアセスメントを含めるなど、効果的な改善措置の実施を図る。さらに、重篤な労働災害を発生させた中小規模事業場等に対しては、リスクアセスメント等を主な内容とする安全衛生診断等の対象とするなどにより自主的な安全衛生管理活動の推進を図る。
(ウ) 製造業等における労働災害防止対策の推進
 改正労働安全衛生法において義務付けられた製造業の元方事業者による連絡調整等の措置について、監督指導等による徹底を図るとともに、製造業の元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針について、周知を行う。
 また、増加する派遣労働者の労働災害を防止するため、派遣元・派遣先双方に対して、職業安定行政と連携しつつ集団指導等により労働安全衛生法上の義務の周知徹底を行うとともに、災害発生状況の的確な把握及び派遣元・派遣先の責任区分に応じた再発防止対策の徹底について指導を行う。
 特に、中規模製造業に対しては、平成17年度に実施した自主点検に基づく取り組み状況等を踏まえ、個別指導等を実施する。
 また、あらゆる機会を捉え、小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業の周知を図る。
(エ) 爆発・火災災害防止対策の推進
 爆発、火災災害が頻発している鉄鋼関連施設、石油関連施設等に対しては、設備の定期自主検査やリスクアセスメントを的確に実施するよう、労働安全衛生法第78条に基づく安全衛生改善計画の作成を指示するなど、監督指導等を行う。また、改正労働安全衛生法において新たに設けた、注文者による請負人への危険有害情報の提供義務についても、併せて、周知、集団指導及び個別指導を行う。
(オ) 交通労働災害防止対策等の推進
 関係災害防止団体と連携し、交通労働災害防止ガイドラインの周知徹底を図るとともに、好事例の収集、モデル事業場の育成等の支援を行う。
 また、陸上貨物運送事業では、荷役作業中の墜落・転落災害が多発していること等から、リスクアセスメントの実施等について、計画的に周知、集団指導及び個別指導を行う。
 さらに、多発している高速道路の料金収受員のETCレーン横断中の災害を防止するため、関係通達に基づき、高速道路会社等に対し、計画的な安全対策の実施等について個別指導を行う。
 また、全国の鉄道事業者に対して、昨年4月のJR西日本福知山線脱線事故を受けて実施した自主点検の結果を踏まえ、安全衛生管理体制の適切な構築等について個別指導等を行う。
(カ) 建設業における労働災害防止対策の推進
 建設業総合対策に基づく指導等を実施するとともに、リスクアセスメント等の普及促進を図るため、計画的に、周知、集団指導及び個別指導を行う。また、建設業においては店社と現場とが一体となった管理が必要であることを踏まえ、店社に対する重点的な働きかけとそれを踏まえた現場に対する指導を行う。
 また、関係業界団体と連携の上、中小総合工事業者、専門工事業者等に対する支援を行う。
 さらに、建設業における死亡災害において、依然として木造家屋等低層住宅建築工事やビル建築工事における墜落災害の占める割合が高いこと等から、足場先行工法について、様々な機会を活用し徹底を図るとともに、手すり先行工法について、労働災害防止団体と連携するなどにより、周知を行う。
 その他、上下水道等工事における土砂崩壊災害を防止するため、土止め先行工法に関するガイドラインについて、発注機関等との連絡協議会等を活用し周知を行う。
(キ) 機械設備の安全化の促進
 機械設備の使用事業者等に対して、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」及び「機械の包括的な安全基準に関する指針」に基づく取組を促進するため、計画的に周知及び集団指導を行う。
 また、プレス機械災害については、近年増加傾向にあることから、管内における災害発生状況、機械設置状況等を踏まえ、プレス災害防止総合対策に基づき、的確な指導等を実施するとともに、別途送付するプレス機械災害防止対策をまとめたマニュアルを活用しリスクアセスメントについて指導するなど、プレス機械災害防止対策の徹底を図る。
(ク) 第三次産業における労働災害防止対策の推進等
 第三次産業における業種別の労働災害防止のためのガイドラインについて、様々な機会を活用し周知徹底を図る。
 特に、第三次産業での死傷災害の約3割を占める卸売・小売業等について、当該業界団体等に対して、努力義務対象業種へのリスクアセスメントに係る指導を含む労働災害防止対策の推進のための指導を実施する。
 労働者の健康を確保するための施策の展開
(ア) 過重労働による健康障害防止のための対策の推進
 過重労働による健康障害を防止するため、改正労働安全衛生法において新たに設けた面接指導制度の周知徹底を図るとともに、「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月17日付け基発第0317008号)に基づき、労働時間管理、健康管理等に関する法令の遵守徹底のための監督指導等を実施し、過重労働による業務上の疾病を発生させた事業場に対しては再発防止の徹底等の指導を行う。
(イ) メンタルヘルス対策の推進
 改正労働安全衛生法において新たに設けた面接指導制度において、医師による面接を行う際にはメンタルヘルス面にも留意することとしており、面接指導制度の周知や指導を行う際には併せてその周知徹底を図る。また、改定し新たに示した「事業場における労働者の心の健康の保持増進のための指針」について、あらゆる機会を捉えて効果的な周知を図るとともに、事業場に対するメンタルヘルス対策支援事業や「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」についても、併せて、周知を図る。
 また、産業保健推進センター、地域産業保健センター及び労災病院におけるメンタルヘルスに関する相談の利用促進を図るとともに、地域産業保健センターにおいて実施されている働き盛り層のメンタルヘルスケア支援事業について、都道府県等との連携を図りつつ適切な実施を促進する。
 さらに、自殺予防マニュアル等を活用し、労働者の自殺予防に必要な知識の普及・啓発を図るとともに、産業医等と精神科医等のネットワークの形成を図るため、地域における精神科医等を対象として行う産業保健研修の周知を図る。
(ウ) 職場における着実な健康確保対策の推進
 労働安全衛生法が改正され、過重労働・メンタルヘルス対策の充実強化が図られたことを踏まえ、面接指導制度の趣旨の徹底、新たに示した指針に基づくメンタルヘルス対策の推進体制の整備、衛生委員会等を活用した事業場の自主的な過重労働・メンタルヘルス対策への取組みの推進等を図るため、集団指導等を実施する。その際、産業医や衛生管理者の適正な選任や活動の活性化についても指導を行う。
 小規模事業場に対しては、地域産業保健センター事業、産業医共同選任事業、小規模企業の経営者のための産業保健マニュアル等の一層の利用促進について、指導を行う。特に、地域産業保健センターについては、平成20年4月の面接指導制度の小規模事業場への適用に向けて、あらゆる機会を捉えて、その周知に努めるとともに、郡市区医師会に対して適切な支援を行い、小規模事業場における面接指導の実施体制の整備を図る。
 新たに義務付けられた特殊健康診断結果の労働者への通知とともに、健康診断の実施及びその結果に基づく事後措置の徹底を図る。また、事業場において労働者の健康情報の取扱いが適切に行われるよう、「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」の周知を図る。
(エ) 職業性疾病予防対策等の推進
 粉じん障害防止対策については、第6次粉じん障害防止総合対策及び「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」に基づく対策の徹底を図るための監督指導等を実施するとともに、その際に、併せて、新規格に基づく防じん、防毒マスクの適正な選択、使用等について周知を図る。
 屋外作業のある事業場において監督指導等を実施する際には、新たに策定した「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドライン」の周知を図る。
 介護福祉事業等において腰痛が増加していることから、「職場における腰痛予防対策指針」について、集団指導により周知を図るとともに、介護事業場に対する監督指導等の機会を捉えて効果的な周知を図る。
 電離放射線障害防止対策については、特に原子力施設に対し、下請事業場を含めた総合的な安全衛生管理体制の確立、被ばく低減化の徹底等を図るための監督指導等を実施する。
(オ) 化学物質による健康障害防止対策の推進
 改正労働安全衛生法において新たに設けた化学物質の表示・文書交付制度、「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成18年3月30日付け危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第2号)及び有害物ばく露作業報告制度について、管内の実態に応じ、局において、化学物質を製造し又は取り扱っている事業者を対象とした説明会を開催することなどにより周知及び指導を図る。
 また、必要に応じ、併せて、ダイオキシン類対策、眼・皮膚障害防止対策、塩素中毒災害防止対策、造船業における有機溶剤中毒予防対策、一酸化炭素中毒災害防止対策等についても周知を図る。
(カ) 職場環境の快適化の推進
 喫煙対策ガイドライン等に基づき、受動喫煙防止対策について指導等を行い、特に、喫煙室の設置等喫煙場所の確保が困難な場合などは、事業場を全面禁煙とするよう事業者に対して勧奨する。
 また、快適職場推進計画の認定制度の周知を図る。
 登録教習機関等に対する監査指導の徹底
 登録教習機関等については、依然として重大悪質な不正事案が相次いで発覚していることから、監査指導を適正かつ迅速に実施し、不正事案を把握した場合には、司法処分も含め厳正に対処する。

(4) 労災補償対策の推進
 労災保険給付の迅速・適正な処理
 労災保険給付の請求については、引き続き、標準処理期間内の迅速な事務処理に努める。このため、署管理者の進行管理の徹底を行うとともに、長期未決事案の多い署の管理者に対する局の個別指導により迅速かつ適正な処理の推進を図る。
 また、事業主を始めとする関係者から十分な協力が得られない場合等には、労災保険法に基づく権限を適切に行使する等迅速かつ適正な調査を実施する。
 労災診療費については、会計検査院による指摘が多い項目について重点的に審査を行うなど、引き続き適正な審査を実施することはもとより、平成18年度の労災診療費算定基準の改正についての医療機関への周知の徹底、誤請求の多い医療機関への指導等により、診療費の適正払いの一層の推進を図る。
 制度改正事項の的確な実施
 平成18年4月1日から施行される新たな通勤災害保護制度について、また、同じく平成18年4月1日に改正される障害(補償)給付に係る障害等級表及び障害等級認定基準に基づき適正な事務処理に努めるとともに、労働者、事業主、医療関係者等に対して十分な周知を行い、新制度の円滑な実施を図る。
 労災かくしの排除の徹底
 労災かくしについては、第163回特別会の衆議院厚生労働委員会及び参議院厚生労働委員会において附帯決議がなされているところであり、対策について6月を目途に周知・広報等の方策を含めた通達を別途発出する予定であるが、それまでの間、引き続き、労災かくしの排除を徹底するため、労災担当部署や安全衛生担当部署において、労災請求の相談等を通じて労災かくしの疑いのある事案を把握した場合や、虚偽の死傷病報告が発覚した場合などは、速やかに監督担当部署へ情報提供するなど、各部署の密接な連携を図る。
 また、労災かくしの排除を期すため、引き続き、的確な監督指導等を実施するとともに、その存在が明らかとなった場合には、司法処分を含め厳正に対処する。
 アスベストによる健康被害者の救済等
(ア) アスベスト救済法の円滑な施行
 中皮腫、肺がん等により死亡した労働者の遺族であって時効により労災保険法に基づく遺族補償給付を受ける権利が消滅した者に対し、新たに特別遺族給付金を支給すること等を内容とするアスベスト救済法について、広く周知を図るとともに、効率的な事務処理体制等の整備を図る。
(イ) 改正認定基準の運用等
 今後も増加が見込まれるアスベスト疾患に係る労災請求については、改正認定基準に基づき迅速・適正な事務処理に努める。
 また、労働者、事業主、医療関係者等に対して、改正認定基準及び労災補償制度に関するリーフレットを配布すること等により、アスベスト疾患に係る労災補償制度の周知を図る。
 労災認定等を踏まえた労働災害再発防止対策の推進
 労災担当部署においては、労災請求・認定事案について、必要に応じ監督担当部署及び安全衛生担当部署に情報を提供し、各部署においては事案の内容に応じて当該事業場に対して再発防止のための指導等を実施するなど、労働災害防止対策の推進のため、監督担当部署、安全衛生担当部署及び労災担当部署の密接な連携を図る。
 行政争訟に対する迅速・的確な対応
 審査請求の処理に当たっては、的確かつ計画的な審理を行うとともに局管理者の適切な進行管理を徹底することにより、3か月以内の処理を図る。
 訴訟追行については、事案に応じて的確に事実関係を立証するための証拠収集等を迅速に行うとともに、法務当局との密接な連携の下、医学的経験則、認定した事実に基づいた論理的かつ分かりやすい主張・立証を行う等的確な対応に努める。
 労災年金相談所の活用等
 重度被災労働者に対する介護施策を推進するため、労災特別介護施設(ケアプラザ)入居に係る広報活動を強化するとともに、労災年金相談所とのより一層の連携を図り、積極的な利用を促す。
 また、労災年金受給者等からの相談及び援護についても引き続き、労災年金相談所の活用を図る。

 職業安定行政の重点施策
(1) 職業安定行政における数値目標の設定
 職業安定行政における数値目標の設定については、平成16年度より実施してきたところであるが、平成18年度からは、PDCAサイクルによる目標管理を行うことにより、(1)安定所職員の参画に基づく、職員の自主性を発揮した業務運営を実現するとともに、(2)本省−労働局間、労働局−安定所間及び安定所内部の活発なコミュニケーションを通じた安定所の機能強化を図ることとした。
 このため、目標を設定する項目の一部(「地方計画策定項目」)について、労働局及び公共職業安定所ごとの目標値を設定することとし、これを踏まえて厚生労働省としての目標設定を行うこととする。
 なお、それ以外の項目(「目標設定項目」)については、平成17年度同様に、定期的な実績把握を行いつつ、適宜、必要な対応をとるものとする。  具体的な目標項目は以下のとおりである。
地方計画策定項目…労働局・安定所ごとに計画を策定し、PDCAサイクルによる管理を行うもの
 就職率
 公共職業安定所の紹介により就職した者の新規求職者に対する比率について、32%以上を目指す。
 雇用保険受給者の早期再就職割合
 基本手当の支給残日数を所定給付日数の3分の2以上残して早期に再就職する者の割合を16%程度に引き上げることを目指す。
 障害者の就職件数 
 平成17年度の就職件数と比較して2,500件の増加を目指す。
 フリーターの常用雇用者数
 フリーター25万人常用雇用化プランの達成を目指すべく、公共職業安定所において、同プラン対象者につき12.7万人(トライアル雇用によるものを除く。)の常用雇用化を目指す。
目標設定項目…労働局・安定所ごとに計画を策定することは求めないが、本省としての目標値を示し、実績を把握したうえで必要に応じて指導するもの
 再就職支援プログラム開始件数、就職率
 再就職支援プログラム開始件数8万件以上、就職率70%以上の確保を目指す。
 就職実現プラン作成件数、就職率
 就職実現プラン作成件数12万件以上、就職率50%以上の確保を目指す。
 新規高卒者内定率
 平成17年度以上の確保を目指す。
 若年・中高年・障害トライアル開始者数、常用移行率
 若年者等試行雇用(トライアル)事業について、開始者数66,000人以上、常用雇用移行率80%以上を目指す。
 中高年齢者試行雇用(トライアル)事業について、開始者数5,600人以上、常用雇用移行率75%以上を目指す。
 障害者試行雇用(トライアル)事業について、開始者数6,000人以上、常用雇用移行率80%以上を目指す。
 年齢不問求人割合
 平成19年度に50%以上とすることを目指す。
 未充足求人フォローアップ
 求人受理後3週間を経過しても応募者がいない求人すべてについてフォローアップ実施を目指す。
 雇用形態が正規労働者(正社員)である求人(※)の充足率
 前年度以上の割合の確保を目指す。
 (※:一般職業紹介要領(平成16年11月)127頁参照)
 300人以上規模企業のうち、65歳以上の高年齢者雇用確保措置を講じている企業の割合
 平成19年4月1日時点で40%以上を目指す。
 障害者雇用率達成企業数割合
 平成20年の障害者雇用状況報告において、50%を超えることを目指す。
 それに向け、平成18年の障害者雇用状況報告においては、前年を上回ることを最低限確保する。
 平成19年の障害者雇用状況報告においては、平成17年と比較して5%ポイント(障害者雇用数が1人不足している企業の15%削減に相当)の上昇を目指す。

(2) 雇用情勢が厳しい地域に重点化した雇用対策の実施
 雇用情勢の地域差に対応するためには、地域が自発的に、創意工夫を活かしながら、雇用創造に取り組んでいくことが必要であるが、特に、雇用の改善の動きが弱い北海道、青森県、秋田県、高知県、長崎県、鹿児島県、沖縄県の7道県に対して、地域の雇用創造に自発的に取り組む市町村等の取組を支援する「地域雇用創造支援事業」等について重点的・集中的に実施し、地域の取組を支援することとしている。
 地域雇用開発活性化事業の重点的配慮
 地域における雇用の改善、2007年問題の対応等のため、中小事業主団体等による地域の実情を踏まえた高年齢者の活用、後継者の確保等を図る取組を支援する。(7道県の配分比率を30%とする。また、地域の意向・ニーズを踏まえた柔軟な運用を行う。)
 地域の雇用創造に自発的に取り組む市町村等の取組を支援する「地域雇用創 造支援事業」について、7道県に重点的に配慮
(ア)地域雇用創造バックアップ事業の実施
 雇用創造のための構想を策定しようとする市町村等に対して、その企画段階において、専門家による助言や参考となる成功事例の紹介等の支援を行う。(7道県の配分比率を50%に引き上げる。)
(イ)地域提案型雇用創造促進事業の実施
 雇用機会の少ない地域において、地域の雇用創造に自発的に取り組む市町村等の取組を促進するため、コンテスト方式により選抜された雇用創造効果の高い事業に取り組む市町村等に対しその事業の実施を委託する。(7道県の配分比率を50%に引き上げる。)
(ウ)地域創業助成金
 サービス分野及び市町村等が自ら選択した重点分野において創業する者に対して、創業及び雇入れに係る助成を行う。
(7道県について、助成率を50%に引き上げる。)
 受給資格者創業支援助成金及び中小企業基盤人材確保助成金
 雇用保険の受給資格者の自立を促進する受給資格者創業支援助成金及び独立行政法人雇用・能力開発機構が支給を行う中小企業基盤人材確保助成金を拡充し、雇用情勢が厳しい地域(地域雇用開発促進法に基づく雇用機会増大促進地域)において、重点的に雇用の受け皿作りを推進する。

(3) 雇用のミスマッチ縮小等のための雇用対策の推進
 公共職業安定所における的確な求人・求職のマッチング
 公共職業安定所において、地域の労働市場の状況、求人者や求職者のニーズなどを踏まえつつ、的確に求人・求職のマッチングを図ることとし、公共職業安定所の求職者の就職率(公共職業安定所の紹介により就職した者の新規求職者に対する比率)について目標を設定し、その達成を目指す。
 とりわけ、雇用保険受給者の早期再就職の促進に努め、受給資格者のうち早期に就職した者の比率(基本手当の支給残日数を所定給付日数の3分の2以上残して再就職手当を受給した者の受給資格決定件数に対する比率)に係る目標を設定し、その達成を目指す。
 また、多くの求職者が正社員としての就職を希望していることを踏まえ、特に雇用形態が正規労働者(正社員)となっている求人について、積極的な求人開拓やマッチングの実施により、その充足率(公共職業安定所により充足した者の新規求人数に対する比率)の向上に努める。
(ア) 公共職業安定所の特性、ノウハウを活かした職業相談・紹介の実施
 求職者に対しては、職業相談を通じて希望する雇用形態をはじめとする求職者のニーズや状況の変化を十分に把握し、適時適切な職業紹介等の就職支援を実施する。また、求人者に対しては、求人内容を詳細かつ的確に把握し、適切な求職者の紹介に努めるとともに、条件の緩和指導等により充足を図る。さらに、必要に応じ、事業所説明会の開催等求人者と求職者との相互理解を深める場を設けるなど、きめ細かな職業紹介等を通じ、積極的に、的確な求人・求職のマッチングを図る。
(イ) 労働市場の的確な分析及び情報の提供
 それぞれの労働市場における職種、能力、経験等のミスマッチの状況を的確に分析し、円滑なマッチングにつなげるよう、求人者及び求職者に対して、求人賃金の水準をはじめとして、地域の実情にあった効果的な情報提供を徹底する。
(ウ) 効果的な求人開拓の実施
 求職者のニーズに比べて相対的に不足している職種や正社員求人などの就職に資する求人に重点を置いた求人開拓や個別の求職者の希望に応じた個別求人開拓を効果的・効率的に実施するとともに、開拓した求人のフォローアップを徹底する。
(エ) 雇用保険受給者に対する就職支援セミナー等の実施
 雇用保険受給者の早期再就職を促進するため、公共職業安定所等において、雇用保険受給者の就職意欲の喚起・維持を図るとともに、早期再就職のために必要な求職活動に当たっての心構えの確立や労働市場情報の理解の促進等を図るための就職支援セミナーを効果的に開催する。
 また、雇用保険受給者を対象とする初回講習においては、冒頭に当該講習の趣旨を必ず説明するとともに、求職活動の流れや労働市場の状況等の説明には、資料や映像を活用するなど効果的な実施を図る。
(オ) 労働市場圏を踏まえた関係局・所の連携の強化
 労働市場圏の拡大、変化に対応し、労働局、公共職業安定所の管轄を越えた求人・求職の適切なマッチングを図るため、関係局・所間の連携を強化する。
 求職者の個々の状況に的確に対応した公共職業安定所の就職支援
(ア) 個々の求職者の状況に応じた個別総合的なサービスの提供
 早期再就職の緊要度が高い求職者に対して、企業の人事労務管理に関する知識・経験を有する者等からなる就職支援ナビゲーターによる体系的かつ計画的できめ細かな就職支援を行う再就職支援プログラムを実施する。
 また、就職意欲が高い求職者に対して、再就職に向けた求職活動計画(就職実現プラン)を作成して個別総合的な相談援助を実施する。
 さらに、長期失業化を未然に防止するべく、担当制によるきめ細かな支援を実施する。
(イ) 子育てする女性に対する再就職支援の充実
 マザーズハローワーク(全国12都市)において、子供連れで相談しやすい環境を整備し、地方公共団体等との連携による子育て情報の提供、個々の求職者の置かれている状況に応じた就職実現プランを策定するとともに担当者制による一貫した支援を行う。
 また、地方公共団体や雇用均等行政等子育て女性の就職支援に取り組む関係者による協議会を開催し、就職支援や子育て支援に関する各種情報の共有を図るとともに、就職支援に係る具体的な連携の在り方を協議し、地域の関係機関の連携の下、子育てをしながら就職を希望する者に対する総合的な支援を実施する。
 的確な公共職業訓練の活用
(ア) 公共職業訓練に関する情報提供
 能力のミスマッチを解消するためには、能力開発が必要な求職者に対し、人材ニーズに基づいて職業訓練を活用するよう、公共職業訓練情報を積極的に提供する。
(イ) 的確・早期の受講あっせん
 職業訓練の受講が有効な求職者に対して、求職活動期間のなるべく早期に受講のあっせんを行うよう努める。訓練コースの選定に当たっては、求職者の意思を尊重しつつも、十分な職業相談を行い、本人の適性・能力・職業経験等を的確に把握した上で、各訓練コースの内容・水準、地域の労働力需給動向等を総合的に勘案し、当該求職者が適職に就くために必要と判断される場合に、当該職業訓練の受講をあっせんする。
 その際、公共職業安定所に配置されている能力開発支援アドバイザーと連携してキャリア・コンサルティングを実施する。
(ウ) 求人セット型訓練の活用
 求人企業に委託する求人セット型訓練は、再就職促進効果が高いことを踏まえ、求人開拓や求人受理に当たって、積極的な活用を勧奨する。求人セット型訓練の設定については、(独)雇用・能力開発機構都道府県センターの能力要件明確化アドバイザーと連携して、求人企業の求める能力要件の明確化及びそれに基づく効果的な訓練コースの設定に努める。
(エ) 複数回受講指示の活用
 訓練受講修了者については、キャリア・コンサルティング等を踏まえ、更なる能力開発が必要な場合は複数回受講指示等を行う。
(オ) 求職から就職に至るまでの一貫した支援
 求職者の早期再就職を促進するため、求職から、相談、訓練受講、職業紹介、就職に至るまでの一貫した支援を実施する。
 このため、(独)雇用・能力開発機構都道府県センター及び都道府県職業能力開発校に配置されている巡回就職支援指導員と連携し、委託訓練受講中の者に対する就職支援を実施するとともに、個別求人開拓の実施、合同就職面接会等を行い訓練受講者や修了者の早期就職を図る。
 未充足求人のフォローアップの徹底等求人者サービスの充実
 求人受理後3週間を経過しても応募者がいない求人を提出しているすべての事業主に対し、何らかの接触を行うとともに、必要に応じ、その求人が未充足となっている原因を分析の上、求職者情報の提供、求人条件の緩和指導、事業所見学会等の積極的関与を行う。
 その際、多くの求職者が正社員としての就職を希望していることを踏まえ、未充足の正社員求人については、原因を分析の上、積極的なマッチングに努めるとともに、未充足の主たる原因が非正社員求人であることと考えられる求人については、可能な限り正社員求人となるよう求人条件の変更を促す。
 また、労働市場の動向や求職者ニーズを踏まえた、就職に結びつきやすい求人条件を提案するなど求人充足の緊要度の高い求人事業主に対するコンサルティングを実施する。
 業種・職種間ミスマッチ対策の充実
 希望する求人の範囲が極端に狭い、又は範囲が特定できない等の理由により有効適切な求職活動ができずにいる求職者に対し、効果的な求職活動のノウハウや留意事項の提供、求人が多く就職可能性の高い業種や職種への求職活動の方針転換の促進等のため、業界別アドバイザーを活用してセミナーの開催等の集団指導や適職選択支援員による個別具体的な助言・相談を行うことにより求人と求職のミスマッチの解消を図る。
 求人年齢制限緩和の推進
 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けて、公共職業安定所における年齢不問求人の割合を高めるべく、求人開拓や求人受理の際に、個別企業に対して制度の説明、指導等を行う。
 また、労働者の募集及び採用の際、事業主が年齢制限をする場合には、その理由を提示するよう徹底を図る。
 失業者向けのサービスの提供
(ア) 生活関連情報の一元的な提供
 失業に直面した際に生ずる社会保険、税制、住宅、教育、育児、心の悩み等の生活関連情報について、相談及び助言を行う生活関連情報相談コーナーを大都市圏の公共職業安定所に引き続き設置するとともに、ハローワークインターネットサービスを活用し、生活関連情報の提供を行う。
(イ) 就職支援アドバイザーによるコンサルティング
 失業による心理的不安を解消するため、公共職業安定所のコンサルティングコーナーにおいて、就職支援アドバイザーによるコンサルティングを実施する。
 雇用調整に対する的確な対応
(ア) 成長分野を中心とした円滑な労働移動の支援
 雇用調整を予定している企業の動向の把握に努め、大量雇用変動届又は再就職援助計画の作成及び労働移動支援助成金の活用を含め、離職を余儀なくされる労働者の再就職促進のための支援の実施が適切に行われるよう指導する。
 また、人口減少社会の下で、今後の成長産業や発展分野に労働者が雇用されていくことが求められていることから、今後の国民経済の発展にとって望ましいと考えられる分野(新規・成長15分野)への円滑な労働移動の推進を図る。
(イ) 雇用再生集中支援事業の実施
 不良債権処理については目途がつきつつあるが、不良債権処理の多くが民事再生等の「再建型」によって行われる中で、雇用調整が今後行われるおそれがあることから、平成18年度においても雇用面への影響について管内状況の的確な把握に努め、不良債権処理の影響により雇用調整を行う事業主に対しては雇用調整方針の作成・届出を積極的に働きかけるとともに、雇用調整方針対象者に対しては求職活動に対する個別のニーズを把握し、(財)産業雇用安定センター等関係機関との連携の下、体系的な再就職支援策の円滑かつ適切な実施を図る。
(ウ) 雇用の維持確保に対する支援
 雇用調整助成金の活用を通じ、景気の変動等、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされ一時的に休業等又は出向を行うことにより雇用の維持確保を図る事業主を支援する。
 青年海外協力隊員に対する就職支援
 職業安定機関と国際協力機構の連携を強化し、国際協力機構が帰国3ヶ月前の隊員に対して行う進路希望票等を活用した就労支援の実施、隊員向け合同就職面接会の実施、隊員向けハローワーク利用の手引きの作成・配布等を行い、隊員に対する就労支援を強化することとする。

(4) 民間や地方公共団体との共同・連携による就職支援
 成果に対する評価に基づく民間委託による長期失業者の就職支援
 長期失業者について、11都道府県(北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、奈良及び福岡)において、緊急雇用創出特別基金を活用して就職支援から就職後の定着指導までを民間事業者に包括的に委託しているが、新たに、宮城、広島を加え13都道府県において実施することとする。
 労働分野における国と地方公共団体との連絡窓口について
 都道府県労働局に設置している地方公共団体との連絡窓口について、職業安定部長は連絡責任者として、地方公共団体との連携・協力に努め、雇用対策をはじめとする国の労働政策との連携・協力について、地方公共団体における要望や検討状況の的確な把握に努める。また、雇用対策における労働局との連携・協力についての要望等を把握した場合には、その実現可能性について検討し、可能な範囲で実施するとともに、雇用対策以外の労働分野についての要望等についても、労働局内の関係課室において適切に検討が行われるよう関係課室に確実に伝達するなど、迅速かつ円滑に対応する。
 地域職業相談室等の設置による市町村と連携した職業紹介・相談
(ア) 地域職業相談室
 市区町村の要望や公共職業安定所の設置状況を勘案し、公共職業安定所と市区町村が共同で運営する地域職業相談室を設置し、市区町村の相談・情報提供業務と連携した職業相談、紹介を実施する。
(イ) 高年齢者職業相談室
 市区町村と共同で運営している高年齢者職業相談室について、その運営状況を踏まえて、配置の見直しを進める。
 地方公共団体が行う職業紹介との連携・協力
 地方公共団体の行う無料職業紹介事業について、地方公共団体の要請がある場合には、求人者が公開に同意している求人情報の提供等の連携、協力を行う。
 また、地方公共団体が、官民共同窓口の設置を希望する場合には、公共職業安定所の体制等を勘案した上で、可能な範囲で対応を検討する。
 都道府県の企画・立案による求職活動の支援
 求職活動援助地域において、都道府県の企画・立案による実施方式によって、求職活動を支援するための事業を事業主団体等に委託して実施する。
 地域の労使による就職支援事業の推進
 民間の労使が相協力して地域の雇用の改善のための事業を行う「地域労使就職支援機構」に、地域における失業者等の再就職の促進に資すると認められる事業などを委託する。
 雇用関連事業ワンストップサービスについて
 雇用関連情報コーナーを活用し、地方公共団体、独立行政法人、公益法人等が実施している雇用関連事業について、引き続き利用者の立場に立ったワンストップサービスを推進する。さらに、ハローワークインターネット上での雇用関連情報インターネット検索について周知に努めるとともに、各機関より関連情報を積極的に収集し、雇用関連情報データの充実を図る。
 雇用関係情報の積極的提供
 官民連携した雇用情報システムである「しごと情報ネット」については、引き続き利用者にとってよりみやすく、使いやすいサイトにするための改善を進めるとともに、民間の労働力需給調整機関や地方公共団体等に対し積極的に参加及び求人情報の提供の働きかけを行う。
 また、引き続き、ハローワークインターネットサービスによる求人情報の提供を的確に実施していくこととする。
 国・地方公共団体・民間職業紹介機関による官民交流会の実施
 国・地方公共団体・民間職業紹介機関が一堂に会して、職業相談・職業紹介の技法等の向上、地域の労働力需給に関する情報交換等を行う官民交流会を実施する。
 市場化テストのモデル事業の実施
 市場化テストのモデル事業として、キャリア交流プラザ(5カ所)及び若年者版キャリア交流プラザ(1カ所)の公設民営、各地域の求人求職動向を踏まえた求人開拓の民間委託(3地域)を引き続き実施する。

(5) 良好な雇用機会の創出・確保
 地域における雇用創造の支援
(ア) 地域再生雇用支援ネットワーク事業の実施
 自ら主体的に地域再生に取り組む市町村等を雇用面から総合的に支援する「地域再生雇用支援ネットワーク事業」を、関係機関と連携して推進する。特に、地域再生に取り組む市町村等に対するワンストップ窓口での対応、市町村等と公共職業安定所による情報・意見交換等を踏まえたニーズに対応した就職支援の実施などに積極的に取り組む。
(イ) 地域雇用創造バックアップ事業の実施(再掲)
 雇用創造のための構想を策定しようとする市町村等に対して、その企画段階において、専門家による助言や参考となる成功事例の紹介等の支援を行う。
(ウ) 地域提案型雇用創造促進事業の実施(再掲)
 雇用機会が少ない地域において、地域の雇用創造に自発的に取り組む市町村等の取組を促進するため、コンテスト方式により選抜された雇用創造効果の高い事業に取り組む市町村等に対しその事業の実施を委託する。
(エ) 地域創業助成金(再掲)
ービス分野及び市町村が選択した重点分野において創業する者に対して、創業及び雇入れに係る助成を行う。
(オ) 地域雇用開発活性化事業の実施(再掲)
 地域における雇用の改善、2007年問題の対応等のため、中小事業主団 体等による地域の実情を踏まえた高年齢者の活用、後継者の確保等を図る取 組を支援する。
 地域に密着した産業雇用の再生・強化
(ア) 総合的な建設労働対策の推進
 建設投資額の減少等により厳しい状況が続いている建設業について、労働者の就業・就労機会の確保を図るため、建設業界、独立行政法人雇用・能力開発機構等と密接な連携を図る。
 建設業界の情報を収集し、実態を把握するために、建設雇用改善推進員を積極的に活用し、その報告を踏まえ、建設雇用に係る各種情報提供等を建設業界に行うとともに、「建設雇用改善推進員都道府県連絡会議」を定期的に開催し、建設事業の雇用管理の実態、建設労働問題に関連する重要事項について把握し、建設雇用の改善の推進を図る。
 また、建設雇用に係る問題などに対応するため、「建設雇用改善推進会議」などを積極的に活用し、関係行政機関、独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センター、建設事業主団体等と連携を深める。
 労働力の需給調整機能の強化等を目的として昨年10月から施行された改正建設労働者雇用改善法に基づく建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業については、その周知を積極的に図るとともに、事業主団体等からこれら事業の活用の相談等があった場合には、事業が活用できるよう情報提供、援助等を行う。
 また、独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センターと定期的に会議や研修を行うことにより、都道府県労働局及び公共職業安定所において独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センターが支給する建設関係助成金業務等についても熟知し、各都道府県労働局及び公共職業安定所に対する建設事業主からの相談に対応できる体制を整える。
(イ) 林業労働力の確保対策の強化
 我が国林業を取り巻く環境の変化に対応するとともに、林業労働力の確保を図るため、林野庁等との連携の下、林業事業体の雇用管理の改善のための林業事業体に対する研修等を実施する。
 また、林業を希望する求職者が林業作業の体験等により林業への就業意識の明確化を図り、積極的に林業就業を選択し、定着することを支援する「林業就業支援事業」を実施する。
 さらに、林業振動障害軽快者の再就職促進対策を実施する。
(ウ) 「農林業をやってみよう」プログラムの推進
 就農等支援コーナー等により、農林業等への多様な就業希望に応えるべく、地方農政局、都道府県農林水産業主管部課及び関係団体等との連携のもとに求人情報の提供、職業相談・紹介、農林業等関連各種情報の提供等を行う。
(エ) 若者に対する農業就業の支援
 フリーター等の若者に対して、農業に関する就業支援情報を提供し、就農等支援コーナーでの職業指導を通じて、職業選択の幅を広げ農業で働くことについての意識の明確化を図るとともに地方農政局、都道府県農林水産業主管部課及び関係団体等との連携の下、多様な農業就業支援を実施する。
 良好な雇用機会の創出
 良好な雇用機会の創出を図るため、関係省庁、関係団体、都道府県、市町村、経済団体等と共同あるいは連携して、創業支援についての広報、相談、援助を行う。また、都道府県労働局が中心となって、関係団体との連携協力を図り、雇用関係助成金の一体的な周知、積極的な活用を図る。
(ア) 中小企業における雇用機会の積極的な創出(再掲)
 創業・異業種進出を行う中小企業が経営基盤の強化に資する人材を雇い入れる場合の助成等を行う独立行政法人雇用・能力開発機構と連携するなど、雇用機会の創出の担い手である中小企業の人材確保・育成、魅力ある職場づくりを推進する。
(イ) 雇用保険受給資格者の創業に対する支援(再掲)
 雇用保険の受給資格者の創業に係る助成を行うことを通じ、その自立を促進する。
 また、当該助成を拡充し、雇用情勢が厳しい地域(地域雇用開発促進法に基づく雇用機会増大促進地域)において、重点的に雇用の受け皿作りを推進する。
(ウ) 高年齢者等の共同による創業に対する支援
 高年齢者等共同就業機会創出助成金を活用し、45歳以上の高年齢者等が共同して事業を開始し、継続的な雇用就業機会を創出した場合、当該事業主を支援する。
(エ) 地域創業助成金(再掲)
ービス分野及び市町村が選択した重点分野において創業する者に対して地域創業助成金を支給して支援する。
(オ) 地域雇用開発促進助成金
 同意雇用機会増大促進地域等において事業所を設置・整備し、求職者を雇い入れた事業主又は同意高度技能活用雇用安定地域において高度技能労働者を受け入れた事業主に対し、地域雇用開発促進助成金を支給することにより、これら地域の雇用構造の改善を図る
(カ) 子育て女性起業支援助成金
 末子が12歳以下の子育て期にあり、かつ、雇用情勢の厳しい地域(有効求人倍率が全国平均を下回る都道府県)に住所を有している女性の起業に係る助成金を創設し、子育て期にある女性の起業を促進する。

(6) 雇用保険制度の安定的運営
 適正な業務の運営
 雇用のセーフティネットとしての雇用保険制度の安定的運営を確保しつつ、その十分な機能発揮を図るため、改正業務取扱要領の施行及び早期再就職の一層の促進のための取組等を踏まえ、求職活動実績に基づく失業の認定、給付制限、職業紹介部門との連携等の一層的確な運用を行う。
 私立学校教員に対する確実な適用
 雇用保険の被保険者となるべき私立学校の教員について、平成18年度の労働保険の年度更新の申告納付期限までに、確実に資格取得届を提出させる。
 不正受給の防止
 不正受給防止を徹底するため、基本手当初回受給者のうち一定割合を抽出する等の方法により不正受給防止のための調査を行う。
 情報漏洩の防止
 雇用保険業務に係る保有個人情報の管理徹底や職員の意識啓発、各局ごとに策定している保有個人情報管理規程の周知徹底を図ること等により、雇用保険業務に係る保有個人情報の漏洩を防止する。

(7) 民間等の労働力需給調整事業の適正な運営の促進
 民間や地方公共団体による職業紹介事業や労働者派遣事業が、法令を遵守し、その機能と役割を十分に発揮させるよう、労働局における許可・届出及び指導監督等の需給調整事業関係業務の効果的かつ効率的な実施に努め、職業安定法及び労働者派遣法の円滑な施行を図る。
 その際、物の製造業務への労働者派遣と製造請負の区分の明確化、労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間に係る派遣先の労働者の過半数代表からの意見聴取の適切かつ確実な実施、派遣労働者の雇用の安定等について周知を図るとともに、労働基準行政との連携を図りつつ的確かつ厳正な指導監督を実施する。
 また、公共職業安定所においては、引き続き派遣労働者や求職者等からの苦情、相談への適切な対応等に努める。

(8) 若年者雇用対策の推進
 平成18年度までに若年失業者等の増加傾向を転換することを目標とした「若者自立・挑戦プラン」に基づく施策を着実に実施するとともに、「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン(改訂版)」を推進する。
 「フリーター25万人常用雇用化プラン」の推進
(ア) フリーター常用就職支援事業の実施
 常用雇用での就職を目指すフリーターに対して、公共職業安定所において、担当制により、利用者一人ひとりの課題等を踏まえた常用雇用就職プランを策定するとともに、若年者ジョブサポーターも活用しつつ、利用者のニーズに応じた就職支援を積極的に実施し、常用就職の促進を図る。
(イ) ヤングワークプラザにおける就職支援の実施
 フリーターや若年失業者の就職を支援するため、東京、神奈川、愛知、大阪及び兵庫に設置しているヤングワークプラザにおいて、専門的な相談、職業紹介等の就職支援を実施し、就職の促進を図る。
(ウ) 地域との連携及び協力による若年者就職支援対策の展開
 若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)等に対し、企業説明会や各種セミナーの開催等に、新たに、フリーター向けのセミナー等を加えた若年者地域連携事業を委託するとともに、併設する公共職業安定所においては、ジョブカフェを運営する団体等との密接な連携を図り、利用者の視点に立って、職業紹介の実施など地域との連携及び協力による効果的な若者の就職支援対策を推進する。
(エ) 若年者試行雇用事業の実施
 フリーターや学卒未就職者等の若年失業者の実践的な能力を取得させての常用雇用の実現を推進するため、短期間の試行雇用事業を拡充実施する。また、新たに長期若年無業者等を対象に、働く自信と意欲を高めつつ、段階的に常用雇用への移行を促進するため、短時間勤務による試行雇用事業を実施する。
 また、中小企業が有する高度な技能等を円滑に継承するため、若年者試行雇用事業を拡充し、中小企業労働力確保法に基づく実践的な職業能力の開発及び向上を図ることが必要な青少年に良好な雇用の機会の創出に資する改善計画について都道府県知事の認定を受けた事業協同組合等の構成中小企業者又は個別中小企業者が技能継承の受け手となる若者に対して試行雇用を実施した場合に奨励金を支給するなど、中小企業の技能継承の受け手となる若者の確保を支援することとする。(平成18年10月施行予定)。
(オ) 若者に対する農業就業の支援(再掲)
 フリーター等の若者に対して、農業に関する就業支援情報を提供し、就農等支援コーナーでの職業指導を通じて、職業選択の幅を広げ農業で働くことについての意識の明確化を図るとともに地方農政局、都道府県農林水産業主管部課及び関係団体等との連携の下、多様な農業就業支援を実施する。
 職業意識形成支援の積極的推進
 平成17年度より文部科学省で推進されている「キャリア教育実践プロジェクト」と有機的に連携を図りつつ、中高生を対象としてキャリア探索プログラムを積極的に実施する。これら事業については、各地域でより実行ある取組が推進されるよう、教育委員会、経済産業局、経済団体等の関係機関による協議の場を設けるなど、各地域内において密接な連携を図る。
 また、大学等と連携し、学生に対する各種セミナーや適職相談を実施するとともに、各都道府県単位で事業主団体に委託して実施するインターンシップ受入企業開拓事業の推進により、インターンシップの普及・効果的な実施を図る。
 無償の労働体験等を通じての就職力強化事業(ジョブパスポート事業)の普及
 学生やフリーター等の若者がボランティア活動など労働体験等を重ねることを通じて得られる就職力を強化するため、「ジョブパスポート」の普及を図る。特に、中学・高校において行われている職場体験やボランティア活動の振り返りのためのツールとして、ジョブパスポートが活用されるよう、学校に対して積極的に働きかけるとともに、ボランティア団体等の情報の提供やジョブパスポートの記入を支援する「ジョブパスポート支援システム(仮称)」の活用・普及を図る。
 また、労働体験等の活動実績が企業の採用選考に反映されるよう企業に働きかけるとともに、公共職業安定所、ジョブカフェ等の就職支援窓口においてもジョブパスポートを活用する若者と求人企業の積極的マッチングに努める。
 新規学卒者に対する就職支援策の推進
(ア) 新規高卒者に対する就職支援策の実施
 新規高卒者の就職促進を図るため、地域の状況も勘案しつつ、求人開拓、就職面接会を実施するとともに、若年者ジョブサポーターを活用し、在学中の早い段階から就職後の職場定着までの各段階を通じてマンツーマンの就職支援を実施する。
(イ) 新規大卒者に対する就職支援策の実施
 大学等就職担当職員を対象とした講習の実施、就職支援マニュアルを活用した就職支援ノウハウの提供等により、大学等の就職支援機能の強化を図る。
 また、大学等新卒者に対して、学生職業センター及び学生職業相談室において、各地域の大学等と連携しつつ、未内定学生の把握、積極的な就職支援を行い、就職の促進を図る。
 若年失業者等の就職支援、職場定着の推進
(ア) 就職実現プランの作成による個別総合的な支援の充実
 就職意欲が高い求職者に対して、再就職に向けた求職活動計画(就職実現プラン)を作成して個別総合的な相談援助を実施する。(再掲)
(イ) 職場定着を推進する施策の推進
 公共職業安定所における職場適応指導、雇用管理指導等とともに、引き続き地域の業界団体等による若年労働者の相互交流や企業人事管理者の講習等の取組の促進、民間委託によるインターネット等を通じ働くことに関わる幅広い相談に身近に応ずる体制の整備に取り組む。
(ウ) 臨床心理士等専門的な人材を活用した就職支援
 離職等による挫折感や対人関係に係る不安等を有する若年求職者を対象として、臨床心理士等専門的人材を活用し、個々人の課題に応じた心理面も含む相談サービスを提供し、その就職促進を図る。
 若者の人間力を高めるための国民運動の推進
 「若者の人間力を高めるための国民運動」が展開される中で、経済界、労働界、教育界、マスメディア、地域社会等の各界が地域において国民運動の趣旨を踏まえた取組が行われるよう、各種会議等を通じ促すとともに、それぞれの取組を相互に連携させ、協力体制が構築されるよう、地域の関係行政機関、学校、経済団体等の橋渡しを行う。
 また、「若者の人間力を高めるための国民会議」が主催する広報啓発事業に協力を行う。さらに各界において国民運動のシンボルマーク及びキャッチフレーズが定着するよう、労働局、ハローワークにおける若年者支援に関するセミナー、面接会等において、積極的に活用するとともに、事業主、関係機関におけるその活用を促す。
 職業能力開発施策との連携
 若者の職業能力を開発し就職を促進する施策として、10日間程度で就職に必要とされる基礎的な能力の習得を行う「就職基礎能力速成講座」を実施するほか、「日本版デュアルシステム」については、若年失業者やフリーター等を対象に必要な見直しを行いつつ推進するとともに、新たに新規学校卒業者を対象として、現場の中核となる職業人を育成するため、企業が主体となって、教育訓練期間における理論面での基礎教育と企業において一定期間雇用する形で行う実習を効果的に組み合わせる「実践型人材養成システム」を新たな制度として立ち上げ、推進することとしている。
 ニート等の若者の自立支援については、地域の若者支援機関のネットワークを活用して、基本的な能力(人間力)等の養成だけにとどまらない、包括的な支援を個別的・継続的に行う「地域若者サポートステーション(仮称)」を設置することとしているほか、合宿形式による生活訓練、労働体験等を通じて若者に働く意欲と自信を付与する「若者自立塾」や、若者に集いの場を提供し若者同士の交流等により職業意識の向上を図る「ヤングジョブスポット」において職業意識形成・就労意欲向上を図ることとしている。
 さらに、就職に当たって必要とされる基礎的な能力を身につけていることを証明する「YES−プログラム」の実施や、「私のしごと館」において若年者を中心としたキャリア形成を総合的に支援している。
 こうした施策が実施されていることを踏まえ、公共職業安定所を利用する若者に対し、職業意識・職業能力の段階に応じた施策の紹介や地域の学校、企業等に対する積極的な広報・周知を行うとともに、これらの事業の実施主体と連携した円滑な就職支援の実施など、若者の就職に向けた総合的な支援を実施する。

(9) 高齢者雇用対策の推進
 知識・経験を活用した65歳までの雇用の確保
(ア) 高年齢者雇用確保措置に関する事業主に対する指導・援助の推進
 改正高年齢者雇用安定法に基づき、62歳までの高年齢者雇用確保措置を講じていない事業主に対し、適切に指導・助言を行い、なお改善がみられない事業主については勧告を行う。公共職業安定所における求人受理に際して、62歳までの高年齢者雇用確保措置を講じていない事業主を把握した場合にも、必要な指導・助言等を行う。
 また、高年齢者雇用確保措置の義務化年齢が平成19年度より63歳に引き上げられることから、平成19年4月1日にはすべての企業において63歳以上の高年齢者雇用確保措置が講じられるよう、集団指導・個別指導を通じて、周知啓発の徹底を図る。
 さらに、平成25年度にかけて義務化年齢が段階的に65歳まで引き上げられていくことから、65歳未満の高年齢者雇用確保措置を導入している事業主に対し、義務化年齢を超えて65歳までの高年齢者雇用確保措置を導入するよう、継続雇用定着促進助成金の活用等により指導・援助等を行う。
(イ) 65歳雇用導入プロジェクトの推進
 労働局に設置している65歳雇用導入ワーキンググループで策定した「賃金・人事処遇制度の見直しや継続雇用制度の導入等に係る方針」の下、委託した事業主団体において、すべての傘下企業を対象として集団的に指導、助言を行う。事業終了時において、事業実施企業のうち65歳まで働ける場を確保する企業の割合が80%(平成15年において少なくとも65歳まで働ける場を確保する企業の割合を10%上回る水準)以上となることを目指す。
 また、傘下企業の制度導入の支援を図るため、高年齢者雇用アドバイザーを活用して助言、指導を行う。
 中高年齢者の再就職の援助・促進
(ア) 中高年齢者試行雇用事業の推進
 対象者の要件の見直しも踏まえ、試行雇用が必要な中高年求職者を、適切、確実に事業の対象とするとともに、試行雇用後の常用雇用移行についてのフォローアップを適切に実施する業務運営体制を各公共職業安定所において確立し、積極的な事業の推進を図ること。
(イ) 求職活動支援書制度の普及、活用の促進及び再就職支援コンサルタントとの連携
 事業主に対し、定年、解雇等により離職する高年齢者等に再就職援助措置を講じるよう努力する義務があること、解雇等により離職する高年齢者等(以下「高年齢離職予定者」という。)が希望した場合には求職活動支援書を作成・交付する義務があることについて周知・啓発を行うとともに、高年齢離職予定者が希望したにもかかわらず求職活動支援書を作成しない事業主に対して指導等を行う。
 また、必要に応じて、都道府県高年齢者雇用開発協会に設置されている再就職支援コンサルタントを活用し、求職活動支援書の作成支援や再就職援助措置の内容等について相談・援助を実施する。
 さらに、中高年齢労働者の職業生活設計及びキャリアの棚卸しに関する支援を行うため、高齢期雇用就業支援コーナーとの連携を図る。
 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた取組
 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた基盤づくり事業の実施に当たる高年齢者雇用アドバイザーの活用を図りつつ、募集・採用時の年齢制限是正等に係る相談・援助等の支援を行う。
 高齢者の多様な就業・社会参加の促進
(ア) シルバー人材センター事業等の推進
 都道府県、市区町村等との連携の下に高年齢退職者等のニーズに対応した就業機会を確保・提供し、地域に密着した就業機会や団塊の世代等に対する就業体験の提供を行うシルバー人材センター事業を引き続き推進するとともに、事業の趣旨を踏まえた適正就業が確保されるよう指導を行う。
 また、シルバー人材センター連合が実施する技能講習と合同面接会等を一体的に行うシニアワークプログラム事業に連携・協力する。
(イ) 高年齢者等の共同による創業に対する支援(再掲)
 高年齢者等の就業機会の確保、就業意欲等の多様化に対応するため、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構において高年齢者等共同就業機会創出助成金を支給し、高年齢者等が共同して事業を開始することを支援している。都道府県労働局、公共職業安定所においても、高年齢者等に対し、積極的に本助成金の周知・情報提供を行う。
(ウ) 定年退職者等再就職支援事業の実施
 65歳を超えても働くことができる社会の実現に向けた環境整備の一環として、特に定年退職者等の多い地域において、事業主に対して高年齢者を雇用することの利点を啓発するとともに、高年齢者の多様なニーズに対応した求人開拓や面接会を実施する。

(10) 障害者雇用対策の推進
 雇用率達成指導の厳正な実施等
(ア) 指導基準に基づいた厳正な指導
 民間企業の実雇用率は前年より上昇したものの、中小企業の実雇用率が引き続き低い水準にあり、また、大企業の雇用率達成企業の割合が低いことから、これを踏まえて必要な見直しを行った新指導基準に基づいて、厳正な指導を行う。
 また、雇用率未達成企業のうち58.1%を占める1人不足企業の解消、65.1%を占める0人雇用企業における障害者雇用の推進等、重点指導対象を明確化して取り組む。なお、1人不足企業、0人雇用企業の多くは中小企業であることから、中小企業の事業主団体と連携して、中小企業事業主の障害者雇用に関する理解を促すための取組を促進する。
 公的機関については、民間企業に率先垂範して障害者の雇入れに努めるべき立場であることにかんがみ、法定雇用率が未達成である機関については、障害者採用計画が適正に実施されていない場合には勧告を行うなど、強力に計画の適正実施を求める。
 併せて、法改正に係る国会審議における附帯決議を踏まえ、各機関における雇用状況を自ら公表するよう要請を行う。
(イ) 適正な雇用率制度の適用
 平成18年4月に施行される改正障害者雇用促進法により、精神障害者が実雇用率に算定されることから法改正の円滑な施行を図るとともに、精神障害者をはじめ、身体障害者及び知的障害者の把握・確認に当たっては、障害者本人の意に反した雇用率制度の適用等が行われないよう、事業主に対し「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」を周知し、適正な雇用率制度の適用を図る。
 職業紹介業務及び支援策の充実
(ア) 障害の態様や適性に応じた相談・支援機能の充実・強化
 専門的な知識・経験を有する者を障害者専門支援員等として公共職業安定所に配置すること等により、障害者に対する相談支援体制の充実・強化を図り、障害の種類及び程度等障害者個々人の状況に応じた的確できめ細かな職業指導・職業紹介の実施、求人開拓の強力な推進等により、障害者の一層の就職促進を図る。
(イ) 障害者試行雇用事業の推進
 障害者試行雇用事業については、障害者雇用のきっかけを与えるものとの趣旨を踏まえたメリハリのある活用を図る。
(ウ) 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援の推進
 地域障害者職業センターが実施するジョブコーチ支援事業について、公共職業安定所は、支援ニーズの把握に努め、支援を必要とする障害者及び事業主を適切につなぐとともに、受入事業所の開拓を行い、円滑な職場適応を促進する。また、福祉施設や事業所が、地域障害者職業センターとの連携の下、職場適応援助者助成金を活用したジョブコーチ支援を行う場合についても、効果的な支援が行われるよう配慮する。
(エ) 養護学校等の生徒の就職の促進
 盲・聾・養護学校の3年生の職場実習に係る助成金が新設されたことから、盲・聾・養護学校及び事業主に対して周知を行うことにより、その活用を図るとともに、学校等との連携を緊密にして、就職を希望する盲・聾・養護学校の生徒の卒業後の就職を促進する。
 精神障害者に対する雇用対策の強化
(ア) 公共職業安定所における雇用支援の強化
 精神障害者の新規求職申込件数は年間1万件を超え、ここ数年、連続して高い伸びを示す等就業に対するニーズが高まっていることから、精神障害者ジョブコンサルタントの活用等による相談・支援機能の充実等、公共職業安定所における精神障害者に対する支援を強化する。
(イ) 医療機関等と連携した精神障害者のジョブガイダンス事業の実施
 ジョブガイダンス事業については、引き続き、医療機関等との連携により着実に実施するとともに、公共職業安定所は、医療機関等との連携を深め、医療・生活支援から就職支援まで含めた円滑な支援活動を展開できる環境整備に努める。
(ウ) 精神障害者に対する総合雇用支援の推進
 地域障害者職業センターが実施する「精神障害者総合雇用支援」について、公共職業安定所は、周知や支援ニーズの把握に努め、支援を必要とする精神障害者及び事業主を地域障害者職業センターに適切につなぎ、効果的な支援が行われるよう配慮する。
 雇用と福祉の連携による支援の充実強化
 障害者雇用施策を推進するに当たっては、雇用施策だけでなく障害者施策全般について理解を深め、その方向性を見据えて、業務に当たることとする。
 特に、改正障害者雇用促進法及び障害者自立支援法の施行を踏まえ、障害者福祉施策等との有機的な連携を一層図ることとし、福祉的就労から一般就労への移行の促進、就業と生活の両面にわたる支援等を行う。
(ア) 地域における福祉的就労から一般就労への移行の促進
 昨年度から地域障害者就労支援事業を実施している公共職業安定所においては、一般就労に向けた総合的な支援を実施し、引き続き支援ノウハウの蓄積に努める。
 その他の公共職業安定所においても、福祉施設との連携を密にし、福祉的就労から一般就労への移行の促進に努める。
(イ) 企業ノウハウを活用した福祉施設における就労支援の促進
 福祉施設における就労支援の取組を強化することにより、福祉施設で就労している障害者の一般就労への移行を促進するため、都道府県労働局は、企業関係者の知識・経験や就労支援の実績がある施設の取組事例を活用して、福祉施設等における一般就労についての理解の促進、就労支援に関する理解・ノウハウの向上を図る。
(ウ) 就業面と生活面における一体的な支援の拡充
 障害者就業・生活支援センター事業について、都道府県労働局においては、都道府県の関係部局と連携し、障害者就業・生活支援センターの効果的な運営のための協力を行うとともに、公共職業安定所においては、同センターとの連携を深め、就業と生活の両面にわたる支援が必要な障害者に対して効果的な就労支援を行う。
(エ) 発達障害者に対する適切な対応
 発達障害者支援センターや地域障害者職業センター等との連携を図りながら、発達障害に対する理解を深め、相談窓口における適切な対応を図るとともに、障害者試行雇用事業やジョブコーチ支援事業等の活用により雇用促進を図る。
 また、平成18年度より、発達障害者に対する就労支援及び雇用管理ノウハウの普及等を目的として開始される「発達障害者の雇用促進のための就労支援者育成事業」について、委託先である発達障害者支援センターと連携・協力し、円滑な実施を図る。
 在宅就業障害者に対する支援
 平成18年4月に施行される改正障害者雇用促進法により創設される在宅就業障害者に対する支援制度について、企業や在宅就業を支援する団体に対し、制度の周知に努める。
 また、都道府県労働局においては、在宅就業支援団体の登録関係業務を円滑に実施するとともに、在宅就業支援団体との連携を図り、在宅就業支援制度の活用を促進する。
 障害者の職業能力開発の推進
 障害者職業能力開発校における訓練、一般校を活用した訓練及び障害者委託訓練などについて、障害者の雇用促進の支援策として積極的かつ効果的な受講あっせん等に努めるとともに、求職障害者や事業主に対するこれらの周知を図る。
 特に、障害者職業能力開発プロモート事業を実施する政令指定都市との連携を図り、障害者委託訓練の効果的な活用について、周知・啓発を図る。

(11) 外国人雇用対策の推進
 外国人労働者の就労環境の整備の推進
(ア) 外国人求職者への職業紹介機能の推進
 外国人来所者に適切に対応するため、「外国人雇用サービスコーナー」における外国人求職者等に対する職業相談・紹介の一層の推進を図るほか、本省においても、求職者向けパンフレットを英語・中国語・ポルトガル語等で作成・配布する。
(イ) 日系人の適正な就労の推進のための情報提供の推進
 「外国人雇用サービスコーナー」や「日系人雇用サービスセンター」を拠点として、職業相談・紹介を行う。また、日系人が集住している地域に設置している「日系人職業生活相談室」において、職業選択、求職活動、労働条件等に関する日系人等に対する相談・情報提供を行うとともに、職業紹介あるいは事業主担当窓口等との連携により、日系人の雇用の安定と適正な雇用管理の確保を図る。さらに、「日伯雇用サービスセンター(ブラジル国サンパウロ市)」を拠点として現地日系人団体とも連携して、来日を希望する日系人に対して適切な情報を提供し、日系人の適正な就労を図る。
 さらに、日系人が多く集住している地域においては、不就学・不就労の日系人青少年及び日系人失業者に対し、キャリア形成など職業生活に関する意識を啓発するとともに日本の労働慣行や日本で生活していく上で必要となる知識を身につけ、就職に資するため、就業支援ガイダンス、個別の指導・相談による支援を実施する。
 専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れ・定着の促進
 専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れを積極的に推進するため、「外国人雇用サービスセンター」が主体となって、各都道府県労働局・公共職業安定所と連携を図りつつ、専門的、技術的分野の外国人に対する職業相談・紹介を行う。卒業後の就職を希望する留学生に対しては、より効果的な就職支援を実施するため、外国人雇用サービスセンター及び名古屋外国人ジョブセンターを中心に在留資格等に留意した留学生向け求人の積極的な開拓、大学等の留学生受入機関と連携した大学等での就職ガイダンス、求人情報の提供等の各種支援の実施、さらには、就職効果の大きい集団面接会の実施等の各種支援を積極的に行う。また、外国人雇用サービスコーナー等においては、留学生の採用が可能と思われる企業、求人情報の外国人雇用サービスセンターへの情報提供、就職ガイダンスの開催等の支援を実施する。
 事業主等に対する指導・援助等の推進
 外国人雇用状況報告制度による雇用状況の把握、「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」に基づく事業主への指導・援助、外国人雇用管理アドバイザーによる援助及び外国人雇用管理セミナーの開催により、外国人労働者の失業の予防や再就職の促進、雇用管理の改善を図る。また、6月の「外国人労働者問題啓発月間」を中心として、外国人労働者の適正な雇用及び労働条件の確保等に関する周知啓発に努める。
 適正就労の推進等
 警察庁、法務省等関係行政機関との連携を図りつつ、事業主等への啓発・指導による不法就労の防止並びに事業主への是正指導及び必要に応じた関係行政機関への情報提供による不法就労の解消に努める。

(12) 安心して働ける雇用環境の整備
 生活保護受給者及び児童扶養手当受給者に対する就労支援
 生活保護受給者及び児童扶養手当受給者の就労による自立の促進を図るため、公共職業安定所と福祉事務所等との連携の強化を図りつつ、支援対象者に対して就労支援の事業の周知を徹底し、就労支援コーディネーターによる支援メニューの選定、就職支援ナビゲーターによる就職支援等きめ細かな就労支援を積極的に推進する。また、職業訓練が必要とされた者については、「準備講習付職業訓練」等を活用し、積極的かつ効果的な受講あっせん等に努める。
 刑務所出所者等に対する就労支援
 釈放期の近づいた刑務所受刑者及び少年院在院者に対して、刑務所及び少年院と連携して、職業講話、求人・雇用情報の提供、職業相談・職業紹介等就労支援を行う。
 また、保護観察対象者及び更生緊急保護対象者に対して、保護観察所等と連携して、公共職業安定所において、適切な就労支援メニューの選定、担当者制による職業相談、職業紹介等きめ細かな就労支援を行う。
 さらに、職場体験講習の実施、試行雇用奨励金の支給、セミナー・事業所見学会の実施を更生保護法人に委託し、当該法人を通じた就労支援策を講じる。
 ホームレスの雇用対策の推進
(ア) 自立支援事業職業相談員の配置
 地方公共団体が行うホームレス自立支援事業との連携の下で、公共職業安定所の自立支援事業職業相談員によるきめ細かな職業相談を行うことにより、就業機会の確保を図るとともに、職場定着に向けての指導を行う。
(イ) ホームレス就業開拓推進員の配置
 ホームレス就業開拓推進員を配置し、ホームレスの就業ニーズに応じた求人開拓や地方公共団体等と連携を図りながら求人情報等の収集・提供を行うほか、事業主に対する啓発活動を行うことにより、就業機会の確保を図る。
(ウ) 技能講習事業の促進
 自立支援センター等に入所しているホームレスに対して、職場で必要とされる資格・免許の取得等を目的とした技能講習を実施することにより、就業機会の確保を図る。公共職業安定所においては、事業の委託団体に対する事業の実施に必要な助言、協力その他の業務を行う。
(エ) 試行雇用事業の促進
 自立支援センターに入所しているホームレス等に対して、一定期間の試行雇用により、円滑に新たな職場への適応を進め、常用雇用への移行を図る。
(オ) ホームレス就業支援事業の拡充
 全国でもホームレスが多数存在する地域において、就業意欲のあるホームレスを対象に、個別相談、軽易な作業の開拓・提供による就業意欲・能力の見極めや基礎的な労働習慣等の体得の促進、キャリアカウンセリングの実施、職場体験講習等の就職支援メニューを活用した個別の求職支援を、民間団体等で構成される協議会への委託により実施する。関係労働局においては、本事業が円滑かつ効果的に運営されるよう、協議会に対する助言その他事業に関し必要な協力を行う。
 母子家庭の母等の雇用対策の推進
 児童等を扶養する母子家庭の母等について、家庭環境等に配慮した職業相談・紹介の実施、特定求職者雇用開発助成金や訓練手当、試行雇用事業の活用等により、早期就職の促進を図る。
 また、職業訓練が必要とされた者に対しては、積極的かつ効果的な受講あっせん等に努める。
 駐留軍関係離職者対策の推進
 駐留軍関係離職者について、駐留軍関係離職者等臨時措置法等に基づき、公共職業安定所において職業相談・紹介、職業訓練の推進と職業転換給付金の活用等により、生活の安定と早期再就職の促進を図る。
 漁業離職者対策の推進
 国際協定の締結に伴う漁業離職者について、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法等に基づき、公共職業安定所において職業相談・紹介、職業訓練の推進と職業転換給付金の活用等により、生活の安定と早期再就職の促進を図る。
 多様な状況に応じた各種雇用対策の推進
(ア) 沖縄県における雇用対策の推進
 沖縄県の雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあり、沖縄県の雇用失業情勢の改善を図る観点から、「沖縄振興特別措置法」に基づく政府全体の沖縄振興等と連携しつつ、沖縄県内の特別の対策を実施する。
(イ) 日雇労働者対策の推進
 求人の開拓を積極的に行うことにより、日雇労働者の就業機会の確保を図る。
 さらに、東京、神奈川、愛知、大阪などの日雇労働者が集中する特別地区の日雇労働者に対して、技能講習事業を実施し、日雇労働者の就業機会の確保を図るとともに、試行雇用事業の実施を通じ、常用雇用への移行を図る。公共職業安定所においては、技能講習事業の委託団体に対し、事業の実施に必要な助言、協力その他の業務を行う。
(ウ) アイヌ地区住民の雇用対策の推進
 アイヌ地区住民については、各種就職援護措置の活用を図るとともに、職業相談員経験交流会議を開催し、この成果を職業相談に役立て、きめ細やかな職業指導、職業相談を実施するとともに、事業主説明会を開催し、地域住民の雇用の安定を図る。
(エ) 中国残留邦人等永住帰国者の雇用対策の推進
 中国残留邦人等永住帰国者について、公共職業安定所において、職業相談・紹介の実施及び職業転換給付金制度の活用等により、雇用の促進を図る。
 また、職業相談等の一部の業務については、財団法人中国残留孤児援護基金に委託し、中国帰国者定着促進センター等において実施する。
(オ) 難民の雇用対策の推進
 難民については、国際救援センターに代わる通所式の定住支援施設において、職業相談・紹介、職場適応訓練その他就職を促進するための各種援護措置の実施に係る業務を財団法人アジア福祉教育財団に委託して実施し、その雇用の促進を図る。
 また、公共職業安定所においては、難民に係る求人の取次ぎ、求人開拓、職場定着指導等の業務について、同財団と綿密な連携をとりながら協力する。
(カ) 在日韓国・朝鮮人の就職の機会均等の確保対策の推進
 在日韓国・朝鮮人について、就職の機会均等が確保されるよう、事業主等啓発説明会、ポスター等の広報活動、不適正事象への改善指導等により、事業主等に対し積極的な指導・啓発を行う。
(キ) 北朝鮮帰国被害者等に対する雇用対策の推進
 帰国した被害者及び帰国し、又は入国した被害者の配偶者等の雇用の機会の確保を図るため、職業訓練の実施、就職のあっせん等により、早期就職の促進を図る。
(ク) 犯罪被害者等の雇用の安定の推進
 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族(犯罪被害者等)の雇用の安定を図るため、公共職業安定所等において犯罪被害者等が置かれている状況について事業主の理解を深める等必要な施策を講じるとともに、求職者に対するきめ細かな就職支援の適正な実施に努める。
 就職困難者に対する雇用対策の推進
 就職が特に困難な者を継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して支給される特定求職者雇用開発助成金等を活用し、これら就職困難者の雇用の促進を図る。
 公正な採用選考の推進
 公正な採用選考システムの確立を図るための雇用主に対する指導、啓発については、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成14年3月閣議決定)の中で厚生労働省が行うこととして策定されているところである。これに基づき、就職の機会均等を保障することが同和問題などの人権問題の中心的課題であるとの認識に立って、公正採用選考人権啓発推進員未設置事業所に対する設置勧奨及び同推進員制度が効果的に機能するような制度・運営面での充実や、企業トップクラスに対する研修会の充実に努めるとともに、小規模事業所に対する啓発・指導を実施する。
 また、全国高等学校統一応募用紙等の適正な応募書類の周知徹底と公正な採用選考についての各種啓発資料の作成・配付等により、雇用主に対する啓発・指導を実施する。
 職場における肝炎ウイルス感染に対する適切な対応の促進
 「職場における肝炎ウイルス感染に関する留意事項」(平成16年12月8日付け基発第1208002号、職発第1208002号)に基づき、事業主が応募者の適性・能力を判断する上で真に合理的かつ客観的必要性がある場合を除き肝炎ウイルス検査を行わないよう、各種啓発資料を活用するなどにより、あらゆる機会を捉え事業主等への周知徹底を図る。
 多様な雇用管理改善対策の推進
(ア) 介護分野における雇用管理改善の推進
 (財)介護労働安定センターにおいて、介護労働者のきめ細やかな実態調査、健康確保に関する相談も含めた雇用管理の改善等についての相談、雇用管理者講習等を実施するとともに、各労働局・公共職業安定所においては、事業主に対する助成金の周知や(財)介護労働安定センター都道府県支部への相談の奨励、介護基盤人材確保助成金の支給、雇用管理モデル検討会(地域ブロック別)を開催する等、介護労働者の雇用管理改善のための施策の推進に当たり、関係団体とも必要な連携を図りつつ、介護分野における雇用管理の改善等を促進する。
(イ) 港湾労働対策の推進
 港湾労働法及び港湾雇用安定等計画に基づき、港湾労働者派遣制度の有効活用の促進等による雇用秩序維持対策の一層の推進等港湾労働者の雇用の安定及び福祉の増進のための施策を推進する。
(ウ) 季節労働者対策の推進
 季節労働者の雇用の安定を図るために、通年雇用安定給付金制度の活用により通年雇用の促進に努める
(エ) 出稼労働者対策の推進
 出稼労働者に対して、出稼労働者手帳の交付や、送出地及び受入地における就職相談及び指導等を実施するとともに主な送出地を管轄する都道府県労働局が、出稼労働者相談員の配置や安全就労推進集会等の実施などの出稼労働者援護事業を行う道県と連携し、安定就労対策を実施する。

(13) その他
 雇用促進住宅の入居促進
 雇用促進住宅は、できるだけ早期に譲渡・廃止することとしているが、既に廃止決定している住宅を除き、廃止までの間は、入居率を向上させ、家賃等収入による独立採算を確保することとしている。
 入居率向上に向けた取り組みとして、都道府県労働局及び公共職業安定所において、ホームページ、広報誌等による周知を積極的に行う。特に、公共職業安定所において、利用者に対し雇用促進住宅担当を明確にし、ポスターの掲示、パンフレットの提供等の方法を工夫するとともに、住宅の空戸情報の提供、求人開拓・就職面接会・相談会などの際の入居勧奨など、積極的な入居促進を図る。
 また、独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センター及び財団法人雇用振興協会各支所に対して、都道府県労働局及び公共職業安定所長は、情報提供など必要な協力を行う。

 雇用均等行政の重点施策
(1) 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保対策の推進
 適切な指導等の実施及び個別紛争解決の援助
(ア) 均等取扱いのための指導等
 女性労働者が性別により差別されることなく安心して働くことができるよう積極的な指導等により均等取扱いの徹底を図る。
 このため、男女雇用機会均等法第25条に基づく報告徴収では、制度面のみならず非正規労働者も含めた実際の取扱いを具体的に聴取することとし、特に女性労働者等からの相談を端緒として行う報告徴収については、相談者の立場に留意しつつも、具体的な問題の有無の把握に努めることとする。この場合、必要に応じ女性労働者や事業場の労働組合の代表者等から事情を聴取することも検討することとする。
 女性に対する差別的な取扱いの事実が認められる企業に対しては、都道府県労働局長の助言、指導、勧告により、また状況に応じ企業名公表制度についても説明しつつ、迅速かつ厳正に法違反の是正を図る。また、男女労働者の間で採用、配置、昇進等において、事実上の格差が大きい企業に対しては、その理由を具体的に把握し、当該企業が自社の問題点を踏まえ、女性の採用拡大、職域拡大及び管理職への登用等に向け、積極的かつ具体的な取組を行うことができるよう問題解決に必要な助言・好事例を含めた情報提供を行う。
 コース等で区分した雇用管理制度を導入している企業に対しては、「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」の周知徹底を図るとともに、法違反企業に対しては、裁判例等を示しつつ是正指導等を行う。
(イ) 均等取扱いに関する個別紛争解決の援助
 均等取扱いに関し相談がなされた場合には、問題の把握を十分に行い、紛争解決援助制度の活用を図る。特に妊娠・出産を理由とする解雇等に関する個別紛争については、機会均等調停会議による調停を積極的に運用するとともに、引き続き都道府県労働局長による助言、指導、勧告により円滑かつ迅速な解決を図る。
 また、個別紛争解決援助の事例等を紹介し、機会均等調停会議の役割や機能、個別紛争解決援助に係る都道府県労働局長の援助について、女性労働者等に積極的に周知する。
(ウ) 男女雇用機会均等法の周知
 男女雇用機会均等法の履行確保及びポジティブ・アクションの推進について、労使を始め関係者に対し、第21回目を迎える「男女雇用機会均等月間」(6月)における広報をはじめとして効果的な周知活動を実施する。
(エ) 女子学生等の就職に関する均等な機会の確保
 採用選考過程における女性に対する差別的取扱いが依然としてみられることから、企業の採用担当者等を対象に、男女雇用機会均等法に沿った男女均等な選考ルールを周知するとともに、採用実績について男女差の大きい企業に対し、同法第25条に基づく報告徴収を行い、法違反企業に対しては助言、指導等を実施する。
 女子学生、女子生徒等が的確な職業選択を行えるよう、ガイドブック等の情報提供により意識啓発を図る。
(オ) 男女間賃金格差解消のために労使が自主的に取り組むためのガイドラインの普及
 男女間の賃金格差解消のために労使が自主的に取り組むための賃金管理及び雇用管理の改善方策に係るガイドラインを、使用者団体を通じる等により企業に対し周知徹底を図るとともに、労働団体に対しても周知する。
 改正男女雇用機会均等法等の周知
 男女雇用機会均等法等の改正法案を今通常国会に提出したところであり、その成立後においては、事業主、労働者をはじめ関係者に対し、改正法の周知徹底を図ることが必要となる。改正法案には、(1)男女双方に対する差別の禁止、(2)間接差別の禁止、(3)妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止、(4)セクシュアルハラスメント対策の強化等が盛り込まれているところであるが、具体的内容は、改正法案の成立後、別途指示することとする。
 女性の能力発揮のためのポジティブ・アクションの推進
(ア) 企業に対する啓発指導
 企業が自ら女性労働者の活躍状況、ポジティブ・アクションの取組状況を把握し、ポジティブ・アクション着手へのきっかけとなるよう各種啓発資料を積極的に提供し、その活用を促す。また、本省において経営者団体と連携し「女性の活躍推進協議会」を開催しているが、その状況を踏まえつつ、都道府県労働局においても管内の経営者団体等への働きかけ等により、ポジティブ・アクションの取組の必要性や意義、効果等の理解の促進を通じ、ポジティブ・アクションの普及に努める。
 さらに(財)21世紀職業財団(以下「財団」という。)が実施するベンチマーク(自社の状況を測ることのできるものさしとなる値)を活用した中小企業女性の能力発揮診断事業等に係る情報提供を必要に応じて適切に行う。
(イ) 「均等推進企業表彰」の実施
 女性労働者の能力発揮促進を図るため、ポジティブ・アクションを推進している企業を公募し、「均等推進企業表彰」を実施する。
 職場におけるセクシュアルハラスメント防止対策の推進
(ア) 実効ある防止対策が行われるための指導等の徹底
 企業における実効ある防止対策の徹底を図るとともに、セクシュアルハラスメント事案が生じた企業に対し、適切な事後の対応及び再発防止のための取組について指導を行う。併せて、必要に応じて、財団に委託して作成した各種資料に係る情報提供を行う。
(イ) セクシュアルハラスメントカウンセラーの活用
 職場におけるセクシュアルハラスメントによって精神的苦痛を感じている女性労働者からの相談に対しては、セクシュアルハラスメントカウンセラーを積極的に活用し、適切に対応する。
 母性健康管理対策の推進
 女性労働者が妊娠中及び出産後も安心して健康に働くことができるよう、事業主等に対し母性保護及び母性健康管理の必要性について、一層の周知徹底を図るとともに、「母性健康管理指導事項連絡カード」の活用を促進する。

(2) 職業生活と家庭生活の両立支援対策の推進
 育児・介護休業法の施行
 育児・介護休業法の周知徹底を図るとともに、企業において育児休業等の規定が適切に整備され、制度として定着するよう、個別指導及び集団指導を効果的に組み合わせた計画的な指導等を実施する。
 また、育児休業及び介護休業の申出又は取得を理由とした不利益取扱いなど、育児・介護休業法に基づく労働者の権利が侵害されている事案について、労働者からの相談があった場合は、的確に対応し、法違反がある場合その他必要な場合には、事業主に対する適切な指導を行う。
 さらに、育児休業の取得等が立ち後れている中小企業については、「中小企業子育て支援助成金」を活用しつつ、仕事と家庭を両立しやすい環境の整備を図り、育児休業等の取得を促進する。
 次世代法の施行
 次世代法に基づく次世代育成支援対策の推進に当たっては、事業主による一般事業主行動計画の策定・実施を通じた、仕事と子育ての両立支援の推進が重要な柱となっており、今年度においては、300人以下の事業主に対して、次世代育成支援対策推進センターとの連携にも留意しつつ、できるだけ多くの一般事業主行動計画の策定・届出が行われるよう、効率的に啓発、指導を行う。
 また、できるだけ多くの事業主が認定を目指して取組を行うよう周知、啓発を行う。
 職業生活と家庭生活との両立の推進に関する周知啓発活動の実施
 「子ども・子育て応援プラン」を踏まえつつ、あらゆる機会をとらえ、育児休業の取得促進、子育て期間中の勤務時間短縮等の措置の普及促進、男性が子育て参加できる働き方の啓発等の職業生活と家庭生活の両立を図りやすくするための雇用環境の整備に関する周知啓発活動を効果的に実施する。
 ファミリー・フレンドリー企業の普及促進
 企業における仕事と家庭の両立のしやすさを示す「両立指標」について、インターネット上でその進展度を診断できるファミリー・フレンドリー・サイトの利用等による活用を進め、ファミリー・フレンドリー企業に向けた事業主の自主的な取組を促進するとともに、ファミリー・フレンドリー企業表彰の実施により、その一層の普及促進を図る。

(3) パートタイム労働対策の推進
 パートタイム労働法及びパートタイム労働指針について、説明会・相談会の開催や使用者団体・労働組合を含めた各種団体が主催する会合の活用等により、企業トップ層を含めた事業主及び労働組合に対して、浸透・定着を図る。
 また、短時間雇用管理者の選任等について、パートタイム労働法第10条に基づく事業主に対する助言等を行うとともに、使用者団体の会合の機会を活用すること等により選任の促進を図り、選任された短時間雇用管理者に対しては必要な知識に関する講習会を実施する。
 さらに、パートタイム労働者を多く活用する事業所を中心に個別訪問を行いパートタイム労働法第10条に基づく報告徴収を行うことにより、均衡処遇等への取組の実態把握に努めるとともに、必要に応じて助言等を行い、事業主の自主的取組を促す。
 説明会・相談会の開催、パートタイム労働法第10条に基づく事業主への助言等を行う際には、均衡処遇に関する好事例や「多様就業型ワークシェアリング制度導入マニュアル」に示された短時間正社員などの導入例を紹介すること等により、均衡処遇の考え方の重点的な周知を行う。また、効果的な周知を図るため、本省においては、都道府県労働局に対して均衡処遇の考え方の浸透・定着に役立つような関連情報を提供するとともに、都道府県労働局においても好事例等の収集と適宜その本省への提供を行うことにより、情報の共有・活用を図る。
 均衡処遇に取り組む事業主を支援するため、短時間労働援助センターが支給業務を行う短時間労働者雇用管理改善等助成金や事業主が取組状況を自己診断できるシステムの提供など短時間労働援助センターが実施する均衡処遇推進事業について、事業主に積極的に情報提供すること等によりその実施に協力する。
 パートタイム労働者及びパートタイム労働を希望する求職者に対しては、パンフレット等各種資料の活用等により、働く上で必要となる知識が身に付くよう関係法令等関係諸制度に関する情報提供を行う。

(4) 家内労働及び在宅ワーク対策の推進
 家内労働対策の推進
(ア) 最低工賃の新設・改正の計画的推進及び周知の徹底
 「第8次最低工賃新設・改正計画」に基づき計画的に最低工賃の改正等を行うとともに、決定した最低工賃については、委託者、家内労働者、関係団体等に対して周知徹底を図る。
(イ) 家内労働法の適正な施行
 委託条件の明確化、工賃支払いの適正化を図るため、家内労働手帳の交付の徹底等必要な指導を行うとともに、家内労働安全衛生指導員を活用しつつ、特殊健康診断の受診の勧奨及び家内労働者の労災保険特別加入制度の周知徹底等により家内労働者の安全及び衛生の確保を図る。
 また、いわゆる「インチキ内職」の被害防止に向けた意識啓発に努める。
 在宅ワーク対策の推進
 在宅ワークの健全な発展に向けて、契約条件の文書明示やその適正化等を図るため、発注者、仲介業者及び在宅ワーカー等に対し「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」等の周知啓発等を図る。

 労働保険適用徴収業務等の重点施策
(1) 労働保険の未手続事業一掃対策の推進
 労働保険の未手続事業の一掃については、手続指導にとどまらず、職権を行使する措置を講じる。
 具体的には、引き続き都道府県労働局及び労働基準監督署と公共職業安定所が緊密に連携するなど、適用徴収担当部署以外の部署との連携による未手続事業の積極的かつ的確な把握・加入勧奨を行うとともに、把握した未手続事業に対しては適用徴収担当部署において強力な手続指導を行う。また、労働保険の適用促進に係る委託業務についての全国労働保険事務組合連合会都道府県支部との連携については、一層緊密・確実に実施する。さらに、10月に実施する労働保険適用促進月間の広報活動については、未手続事業一掃対策の一環と位置付け、労働保険制度の一層の理解・周知を図る。
 局、署、所及び労働保険事務組合(以下「事務組合」という。)の適用促進活動(加入勧奨、手続指導)によっても、自主的に保険関係の成立手続を取らない事業主については、職権により成立手続を行い、保険料を認定決定する。

(2) 労働保険料の適正徴収
 労働保険料の適正徴収のためには、事業主が労働保険制度を理解した上で、正しく申告し、適正に納付することが重要であり、そのため以下について適正に業務を実施する。
 年度更新の的確かつ円滑な実施
 年度更新の実施に当たっては、「平成18年度の年度更新等業務について」を踏まえるほか、労働保険徴収主務課室、労働基準部、職業安定部及び需給調整事業部の連携を密にし、都道府県労働局全体として、体制の整備を図る。
 効率的な算定基礎調査の実施
 労働保険料算定基礎調査(以下「算調」という。)については、適正な業務量の投入に配慮しつつ、効率的な算調実施計画を策定し、適正かつ実効ある実施を図る。
 実効ある滞納整理の実施
 労働保険料の滞納整理については、効果的な滞納整理実施計画を策定して取り組むこととし、とりわけ多額の滞納事業主及び多年度にわたり滞納を繰り返している事業主に対し、重点的に滞納整理を実施する。
 社会保険及び労働保険に係る徴収事務の一元化への適切な取組
 平成18年度における徴収事務の更なる一元化として、事業所説明会、算調及び滞納整理については、徴収事務の一元化に当たって社会保険・労働保険徴収事務センターとして実施する事務でもあることから、研修を行うほか連絡協議会等の場で調整するなど適切に実施する。

(3) 事務組合の一層の活用、育成、指導等
 労働保険事務組合制度は、中小零細事業における労働保険事務について大きな役割を果たしていることにかんがみ、その一層の活用を図る。また、事務組合の育成を行うに当たっては、その母体団体の性格、事務処理能力等を考慮し、委託事業数の増大を通じ事務組合の自立が図られるよう努める。
 また、事務組合が適正に業務運営を行えるよう、事務組合への定期的な監督・指導等に努める。

(4) アスベスト救済法に基づく一般拠出金の徴収
 平成19年度から労働保険徴収システムを活用して行うアスベスト救済法に基づく一般拠出金の徴収については、その円滑かつ適切な施行のため、平成18年度は事業主等に対する周知を行う。

 個別労働紛争解決制度の積極的な運用
(1) 個別労働紛争解決制度の周知・自主的な紛争解決の促進
 管内の運用状況等を踏まえ、ホームページ、市町村広報紙(誌)の活用等あらゆる機会を捉えた個別労働紛争解決制度の効果的な周知・広報に取り組む。 また、企業内での紛争の自主的解決の促進に向け、事業主等に対する紛争自主解決支援セミナーの効果的な実施に努める。
(2) 総合労働相談コーナーにおけるワンストップサービスの提供
 総合労働相談コーナーにおいては、労働問題に関するあらゆる分野の相談に適切に対応することとし、内容に応じて、関連する法令・裁判例等の情報提供、適切なアドバイスによる当事者間の自主的な解決の促進、他の処理機関等についての情報提供等のワンストップサービスを提供する。
 相談の過程において個別労働紛争を把握した場合には、個別労働紛争解決制度を教示し、必要な場合には、助言・指導の申出やあっせんの申請を受け付ける等相談者のニーズを踏まえた対応をする。
 総合労働相談員(以下「相談員」という。)の資質向上に向けて、個別労働紛争解決制度のみならず、労働行政全般について幅広い知識を付与する等積極的かつ効果的な研修の実施に努め、相談員の的確な活用を図る。
 また、総合労働相談コーナーの設置されていない労働基準監督署、公共職業安定所等においても、当該制度の積極的な説明を行うことによりその活用促進を図る。

(3) 助言・指導及びあっせん制度の的確な運用
 助言・指導及びあっせんについては、それぞれ紛争の実情に即した迅速・適正な解決に向けた適切な事務処理を行う。その際、相談員等の積極的な活用に留意する。

(4) 関係機関との連携
 管内における個別労働紛争解決のための取組を効果的に機能させるため、個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会の開催等を通じ、都道府県労働主管部局、都道府県労働委員会をはじめ紛争解決に係る取組を行う関係機関・団体との緊密な連携を図る。なお、労働審判制度の施行を踏まえた地方裁判所との連携にも留意する。

 各行政間の連携の下に推進する重点施策
(1) 労働条件の確保、雇用の安定等を図るための総合的施策の実施
 都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所の連携の下、企業倒産、雇用調整等に係る情報収集を積極的に行うとともに、地域に影響を及ぼす企業倒産、雇用調整が発生した場合、離職を余儀なくされた労働者を対象に、賃金不払、解雇手続、解雇についての女性差別、失業等給付、再就職支援などの一連の手続き等について総合的かつ機動的な対応を図る。
 また、情報の共有化の観点から、総合労働相談コーナーに対しても情報の提供を行う。

(2) 各分野ごとの連携した対策の推進
 「子ども・子育て応援プラン」の実施
 「子ども・子育て応援プラン」に掲げられた若年者の就労支援、仕事と家庭の両立支援、働き方の見直しなど、平成21年度までに講ずる具体的な施策内容について、引き続き各都道府県労働局子ども・子育て応援プラン推進本部を中心に、各行政が連携して取組を進める。
 次世代育成支援対策の推進
 次世代法の周知啓発、一般事業主行動計画の策定・届出の義務の履行確保について、都道府県労働局雇用均等室が中心となり、都道府県労働局内各部が連携しつつ、地方公共団体との連携にも留意しながら取り組む。
 出産・育児により離職した女性に対する再就職・再就業支援の推進
 出産・育児により離職した女性に対する再就職の推進に当たっては、管内にマザーズハローワーク(全国12都市)がある雇用均等室は職業安定部に両立支援に積極的に取り組む企業の情報を提供する等の連携に努める。また、再就業の推進に当たっては、雇用均等室においても労働者等へ関係資料を提供する等により、職業安定部との連携に努める。
 パートタイム労働対策の推進
 パートタイム労働者を雇用する事業主に対する説明会・相談会の開催等により、雇用均等行政のみならず労働基準行政及び職業安定行政が十分連携し、パートタイム労働法及びパートタイム労働指針の周知等の業務を推進することにより、均衡処遇の考え方の浸透・定着を図る。
 パートタイム労働者に対しては、働く上で必要となる知識が身に付くよう関係法令等関係諸制度に関する情報提供を行う。
 ワークシェアリングの推進
 各都道府県労働局ワークシェアリング推進本部を中心とし、都道府県労働局が一体となって、地方公共団体、労使団体などとも連携を図りつつ、ワークシェアリングの導入促進のための支援等に取り組む。その際、ワークシェアリングについての知識・ノウハウを有する者をアドバイザーとして登録し、ワークシェアリング導入に関心を持つ事業所に対する相談等を行う「ワークシェアリングアドバイザー」が配置される都道府県労働局においては、これを積極的に活用する。
 さらに、「多様就業型ワークシェアリング制度導入マニュアル」に示された短時間正社員の導入方法等について、事業主団体の会合等のあらゆる機会を活用し事業主等に対して積極的に周知する。
 育児・介護休業法に基づく事業主指導に関する連携の推進
 育児・介護休業法の周知並びに個別相談への対応について、都道府県労働局雇用均等室は労働基準監督署及び公共職業安定所との連携を密にして取り組む。
 また、育児・介護休業法に関して、法違反の疑いがある事業所等に係る情報を、労働基準監督署又は公共職業安定所が把握した場合には、都道府県労働局雇用均等室に提供を行うことにより連携を図る。
 男女雇用機会均等確保対策の推進
 男女雇用機会均等法及び同法に基づく指針の内容について、労働基準監督署における就業規則の受理時及び公共職業安定所における求人の受理時等に、その周知を図る。
 また、妊娠・出産等を理由とした解雇等、均等取扱いの個別紛争等に関する相談や、法違反事業所に係る情報を労働基準監督署又は公共職業安定所で把握した場合には、都道府県労働局雇用均等室へ提供等を行うことにより連携を図る。
 併せて、女子生徒等の意識啓発について、都道府県労働局雇用均等室が実施する取組と職業安定部が実施する高校における職業意識形成支援との連携を図る。
 派遣労働者の保護及び就業条件の確保対策等の推進
 派遣対象業務の物の製造の業務への拡大に伴い、特に請負と労働者派遣の混在が予想される製造現場について、指導監督に万全を期す必要がある。このため、違反事案があった場合は相互に情報提供するなど職業安定行政と労働基準行政との連携を一層強化する。また、派遣元事業主、請負事業者、派遣先等の事業主に対して法令の遵守の徹底を図るため、必要に応じ、労働者派遣法に係る説明会等において、都道府県労働局の労働基準部、雇用均等室等の職員による説明の機会を確保するなど、引き続き各行政間で適切な連携を図る。
 外国人労働者対策の推進
 人身取引対策行動計画に基づき、都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所においては、労働基準法・職業安定法等関係法令違反が認められる事案において、人身取引事犯が認められた場合は、関係機関と連携の上、適切に対処する。
 また、労働基準行政、職業安定行政及び雇用均等行政において、外国人労働者等からの相談等への対応及びこれらの者に対する支援や、「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」等に基づく事業主等に対する啓発指導、個別指導等に当たっては、必要に応じて相互に連携して行うとともに、職業安定行政において「外国人労働者問題啓発月間」(6月)を中心に各地で開催する講演会等についても、必要に応じて労働基準行政及び雇用均等行政との連携を図る。
 障害者の労働条件確保・雇用対策の推進
 障害者である労働者の法定労働条件の履行確保、雇用管理の改善等を図るため、障害者雇用連絡会議などの開催を通じ、職業安定行政、労働基準行政及び福祉行政を始め関係行政が連携の下、これら労働者を使用する事業主に対する啓発・指導を推進するとともに、的確な情報の把握及び提供等を行い、問題事案の発生の防止及び早期是正に努める。
 また、障害者雇用に関し、都道府県労働局が都道府県の関係部局との連携を図るとともに、必要に応じ関係団体等と連絡・調整を行うための障害者雇用連絡協議会を開催する。
 労働保険の未手続事業の積極的かつ的確な把握等
 労働保険の未手続事業の一掃については、これまでの取組以上に都道府県労働局、労働基準監督署と公共職業安定所が緊密に連携するなど、行政間で連携した未手続事業の積極的かつ的確な把握・加入勧奨を行う。

(3) 職業能力開発行政との連携
 適切な訓練コース開発への協力
 能力のミスマッチを解消するために人材ニーズに基づいた職業訓練の活用が必要であることから、職業能力開発機関に対し、未充足求人の分析や求職相談等を通じて把握した訓練ニーズ等具体的な訓練コース設定・見直しに資する情報の提供・提案・協力等を実施する。
 障害者の職業能力開発対策の連携
 福祉から雇用・就労へという障害者支援の流れの中で、職業能力開発は障害者の雇用促進策として効果的であることから、障害者職業能力開発校における職業訓練のほか、平成16年度から障害者委託訓練及び一般の職業能力開発校を活用した職業訓練を実施し、職業能力開発機会を大幅に拡充しているところである。さらに、平成18年度からは政令指定都市における障害者職業能力開発基盤を確立し、障害者職業能力開発指導人材の育成を図る障害者職業能力開発プロモート事業(仮称)を政令指定都市3カ所において実施することとしている。
 都道府県労働局及び公共職業職業安定所においては、都道府県等と連携し、障害者及び企業双方に対する雇用促進支援策として障害者職業訓練を位置付けて、これら施策の周知・広報を図り、障害者委託訓練の委託先の開拓に配慮するとともに、訓練修了者の就職支援のための求人確保に努める。
 創業に向けた職業能力開発支援の推進
 再就職支援に加え、離職者の創業を支援することは、雇用創出の実現や、雇用の安定を図るために重要である。
 (独)雇用・能力開発機構においては、「創業サポートセンター」を東京、大阪に設置し、創業や新分野展開に関する相談、訓練を実施しているところであり、平成18年度には、そのノウハウを活用した相談コーナーを北海道及び福岡に設置することとしている。その他にも機構では開業に向けた教育訓練機関での座学の訓練や開業希望分野の事業所に委託した実習形式の職業訓練を実施しているところである。
 また、地域における創業を支援するため、平成17年度からは、創業に必要な基本的な知識等の講習と、事業計画策定、事業計画に係る分野での企業内実習訓練を内容とした事業を都道府県に委託して実施しているところである。
 都道府県労働局及び公共職業安定所においては、これら施策の周知に努めるとともに、職業安定機関で実施している助成金、産業政策として実施されている開業支援施策等と相まって効果的かつ総合的な支援が図られるよう配慮する。
 「地域若者サポートステーション(仮称)」との連携
 ニート等の若者の自立を支援するためには、基本的な能力(人間力)等の養成だけにとどまらない、包括的な支援を個別的・継続的に行うことが必要であり、国は、地方自治体との協働により、「地域若者サポートステーション(仮称)」を設置することとしている。そこでは、若者の置かれた状況に応じた専門的な相談を行うとともに、地域の若者支援機関のネットワークの中核として各機関のサービスが効果的に受けられるようにすることにより、ニート等の自立を支援することとしている。
 都道府県労働局、及び公共職業安定所においては、当該事業の周知・普及に努めるとともに、職業安定機関で実施している就労支援施策と当該事業との連携により、効果的・総合的な支援が図られるよう配慮する。
 「私のしごと館」の活用
 (独)雇用・能力開発機構が設置する「私のしごと館」(関西文化学術研究都市(京都府精華・西木津地区))は、(1)展示・体験設備等による職業体験機会の提供、(2)総合的な職業情報の提供(インターネットによる館外への提供を含む)、(3)キャリア形成に関する相談・援助、(4)キャリア形成に関する研修・セミナー、(5)若年者のキャリア形成支援に関するプログラム・ツールの開発といった事業を実施しており、若年者を中心としたキャリア形成を総合的に支援する中核的な拠点である。
 都道府県労働局及び公共職業安定所においては、同館を若年者に対する職業相談や求人説明会、集団面接会等各種イベントの場として活用するほか、若年者を支援する立場にある教師、家庭、企業の雇用管理担当者及び関係行政機関の担当者等に対してその利用について積極的に勧奨を行う。
 「キャリア情報ナビ」の活用
 「キャリア情報ナビ」(URL:http://hrd.mhlw.go.jp)は、人材ニーズ情報をはじめとする厚生労働省が所有する情報や、関係府省、都道府県職業能力開発主管課、(独)雇用・能力開発機構、(独)労働政策研究・研修機構、中央職業能力開発協会等が提供している職業能力開発に資する情報を総合的・体系的に提供するシステムである。
 都道府県労働局及び公共職業安定所においては、職業能力開発情報の提供に当たっては、キャリア情報ナビの活用を配慮する。
 キャリア・コンサルタントの活用
 個人の主体的なキャリア形成の促進や求人・求職の的確な結合を図るため、キャリア・コンサルタントを平成14年度以降、民間機関と公的機関をあわせ、5年間で5万人を目標として養成を推進しているところである。また、キャリア・コンサルティングの技法については、就職支援等に有効な知識・技能であることから、公共職業安定所の職員や相談員が積極的にキャリア・コンサルティング養成講座を受講及び指定試験を受験することを奨励するとともに、相談員等の採用については、指定試験の合格者等について配慮しつつ、経験、資質、技能等総合的に判断する。
 人材育成地域協議会との連携
 労働者が多様な教育訓練を受けることができるシステム等を構築していくために中央に「人材育成会議」を設置し、総合的な教育システムの整備等に向けた取組を推進しているところである。また、都道府県ごとに「人材育成地域協議会」を設置(事務局は(独)雇用・能力開発機構の各都道府県センター)し、若年者雇用問題検討会議との合同開催の下、地域の教育・訓練の資源を効果的に活用し、地域における教育訓練を実践的に推進していくための具体的な協議を行っているところである。
 都道府県労働局においては、これらの会議等を活用し、都道府県労働局において把握している企業の人材ニーズ等の情報提供、訓練コース設定に関する提案等を積極的に行い、今後とも人材育成と雇用の促進に努める。
 勤労青少年福祉対策の推進
 従来は、国、都道府県及び市町村の連携の下で在職青少年を対象に有意義な職業生活の実現のための余暇活動の充実に重点を置いた施策を推進してきたが、地域の実情に応じた若年者対策を実施することが重要となってきていることを踏まえ、平成16年度より職業意識啓発、職業的自立支援を推進しているところである。
 平成18年度から5年間を期間とする第8次勤労青少年福祉対策基本方針を策定することとなっており、同方針に基づいた勤労青少年福祉対策が行われるよう、都道府県労働局においては、勤労青少年ホーム設置市町村をはじめとする地域のニーズを把握しつつ、必要な場合には当該市町村事業への協力を行うなど適切な行政の推進に努める。
 若年者就職基礎能力支援事業(YES-プログラム)について
 若年者の能力、適性に応じた自立的なキャリア選択が可能となるためには、若年者が早期から明確なキャリア目標を定めることができ、かつ、目標達成のための道筋が示される仕組みが必要である。
 このため、中央職業能力開発協会と連携して平成16年度より若年者就職基礎能力支援事業(YES-プログラム)を実施しているところである。
 若年者と企業の間で就職基礎能力に関する共通の物差しとして同プログラムが定着するよう、職業紹介の場面や都道府県労働局及び公共職業安定所の主催する合同就職説明会等において、資料の配付等により同プログラムの一層の普及促進に努める。
 2007年問題への対応
 2007年問題が喫緊の課題となっていることを踏まえ、平成18年度から、各都道府県職業能力開発協会に、技能継承に関する情報提供・相談窓口として「技能継承等支援センター」を設け総合的な相談援助を行うこととしている。また、中小企業の人材確保・技能継承を図る観点から、中小企業人材確保推進事業助成金の活用を図るほか、平成18年度中に中小企業雇用創出等能力開発助成金の拡充を図り、技能継承に関する計画の認定を受けた中小企業者が行う能力開発の取組に対して助成することとしている。
 都道府県労働局及び公共職業安定所においては、事業主のニーズを把握しつつ、雇用促進施策と併せて必要な施策の周知・活用促進に努め、円滑な技能継承が図られるよう配慮する。

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