(1) | 若者の職業意識啓発と就労支援
働く意欲が不十分な若者の増加が指摘されているが、若者が意欲を持って働き、経済的にも自立できるようにすることが喫緊の課題となっている。このため、経済界、労働界、教育界、マスメディア、地域社会等関係者が一体となって若者の雇用問題に取り組む「若者の人間力を高めるための国民運動」を展開しており、各界が連携・協力しつつ、国民運動の趣旨を踏まえた具体的取組が行われるよう、都道府県労働局が積極的に働きかけていくことが必要である。
また、「若者自立・挑戦プラン」に基づく各施策を着実に実施するとともに、平成18年1月に関係府省により策定された「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」(改訂版)を推進することにより、若者の職業的自立を促進することが重要である。 |
(2) | 仕事と家庭の両立支援
出産を機に働く女性の約7割が退職する等、出産・子育て等と仕事との両立が困難であり、また、一旦退職すると、再就職・再就業が困難となっているが、就業継続を希望する女性は増加しており、子育てで離職した者の再就業希望も多い。
このため、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」という。)及び「次世代育成支援対策推進法」(以下「次世代法」という。)について、引き続きその実効を確保していくとともに、出産・子育て等により離職した女性について、その能力を活かした再就職・再就業を支援していくことが必要である。 |
(3) | 高齢者の雇用の確保
少子高齢化の急速な進行により、今後、労働力人口の減少が見込まれる中で、我が国経済社会の活力を維持していくためには、高齢者の高い就業意欲が活かされ、その有する能力が十分に発揮されることが不可欠となる。このため、平成16年6月に改正高年齢者雇用安定法が成立し、平成18年4月から段階的に65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置が義務付けられることから、これを踏まえ、当面は65歳までの雇用の確保に取り組みつつ、将来的には意欲と能力のある限り働くことができる社会の実現に向けた環境整備を進めることが重要である。また、高齢期には、個々の労働者の意欲、体力等の個人差が拡大することから、労働者の多様なニーズに対応した雇用・就業機会を確保することも併せて重要である。 |
(4) | 障害者の雇用の確保
障害者の就業意欲が高まる中、雇用支援策の充実強化を図りながら、障害者雇用の一層の促進を図っていくことが必要となっている。具体的には、平成17年6月に成立した改正障害者雇用促進法や、10月に成立した障害者自立支援法を踏まえ、福祉施策との連携の強化を図るとともに、障害の種類及び程度等に応じたきめ細かな支援を充実していくことが重要である。
また、改正障害者雇用促進法施行に伴い、在宅就業支援制度等により多様な就業の選択肢を提供し、就業機会の拡大を図ることが重要である。 |
(5) | 多様な働き方への対応
急速な少子・高齢化、労働者の意識やニーズの多様化が進む中で、多様な働き方の選択肢の整備を図るとともに、その担い手である労働者が生涯を通じて職業に意欲と能力を十分発揮できるようにしていくことが必要である。
これを踏まえ、多様な働き方の選択肢の整備を図るため、ワークシェアリングの普及・啓発を進めるとともに、雇用・就業形態の多様化に伴う課題に対応するため、パートタイム労働者と通常の労働者との均衡等を考慮した適正な処遇の推進、派遣労働者の就業条件の整備、在宅ワークの健全な発展のための施策を推進していくことが必要である。
また、「労働力調査」により労働時間の動向をみると、雇用者全体に占める週労働時間60時間以上の雇用者と35時間未満の雇用者の割合が同時に高まる「労働時間分布の長短二極化」が近年進展する傾向にある。さらに、年次有給休暇の取得率の低下も続いている。こうした中で、労働時間、休日及び休暇が個々の労働者の健康や生活に配慮して定められるよう、所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進等これまでの取組も踏まえつつ、事業場ごとの労使の自主的取組を一層促進していくことが必要である。 |
(6) | 2007年問題への対応
2007年(平成19年)以降、「団塊の世代」が引退過程に入る中、今後とも我が国産業が競争力を維持しさらに発展していくためには、熟練技能者の優れた技能を失うことなく、いかに次の世代へ円滑に継承していくかが重要であり、このことが「2007年問題」として喫緊の課題となっている。このため、技能継承・現場力強化に取り組む中小企業等への支援や、若者を現場に誘導・育成するための取組が必要である。 |