大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
厚生労働省では、成人に対してカルシウムに富む食品の摂取量の増加を目標に掲げ、豆類、牛乳・乳製品、緑黄色野菜に該当する食品の摂取量を増やすように勧めています。
特に大豆及び大豆由来食品は、良質のたんぱく質源であるだけでなく、カルシウム等にも富む重要な栄養源ですので、食生活の中で他の食品とともにバランスよく食べることをお勧めします。
今回、食品安全委員会における大豆イソフラボンの安全性評価は、これまでの長い食経験を有する大豆あるいは、大豆由来食品を問題とするのでは無く、特定保健用食品として大豆イソフラボンのみを通常の食生活に上乗せして摂取する場合の安全性について検討がされたものです。
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【大豆に関するもの】
【大豆イソフラボンに関するもの】
【「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針」に関するもの】
【指針のうち特定保健用食品に関するもの】
【指針のうちいわゆる健康食品に関するもの】
【大豆に関するもの】
問1: | 大豆を使った加工食品にはどのようなものがありますか。 |
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日本には「伝統的な大豆食品」として、豆腐、豆腐加工品、ゆば、納豆、きな粉、おから、煮豆など、また大豆を原料とする調味料としてみそ、醤油などがあります。
最近は、豆乳、豆乳飲料、調製豆乳などの消費も増えています。
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大豆には、主要な成分としてたんぱく質、炭水化物、脂質のほか、ミネラル、ビタミン、カルシウムなどが含まれています。また、微量成分として、サポニン、レシチン、大豆イソフラボンなどが含まれています。
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たんぱく質 |
炭水化物 |
脂質 |
水分 |
灰分 |
国産大豆 |
35% |
28% |
19% |
13% |
5% |
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5訂日本食品標準成分表に記載されている乾燥大豆の可食部100g当たりの比率。
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【大豆イソフラボンに関するもの】
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大豆イソフラボンは、大豆、特に大豆胚芽に多く含まれる成分です。
大豆イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)と分子構造が似ていることから、植物性エストロゲンとも呼ばれます。
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問4: | 大豆イソフラボンの働きはどのようなものですか。 |
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大豆イソフラボンは通常は糖が結合した構造をしていますが、糖がはずれた構造のものを大豆イソフラボンアグリコンといいます。
大豆イソフラボンアグリコンは、分子構造がヒトのエストロゲン(女性ホルモン)に似ているため、エストロゲンに似た作用を生じることが知られています。
エストロゲンは、第二次性徴の発現や月経周期の調節などの重要な働きを担っています。
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問5: | 大豆イソフラボンは、どのような食品にどのくらい含まれていますか。 |
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(1) | 大豆イソフラボンは、大豆を原料とする加工食品のほとんどに含まれていますが、原料大豆の種類や食品の製造方法などによってその含有量は異なります。 | |
(2) | 食品安全委員会の評価書によると、食品100g中の大豆イソフラボン(アグリコンとして)の含有量は以下のとおりとなっています。
(mg/100g) |
食品名(検体数) |
含有量 |
平均含有量 |
大豆(11検体) |
88.3〜207.7 |
140.4 |
煮大豆(3検体) |
69.0〜74.7 |
72.1 |
揚げ大豆(1検体) |
200.7 |
200.7 |
黄粉(2検体) |
211.1〜321.4 |
266.2 |
豆腐(4検体) |
17.1〜24.3 |
20.3 |
凍り豆腐(1検体) |
88.5 |
88.5 |
おから(1検体) |
10.5 |
10.5 |
金山寺みそ(1検体) |
12.8 |
12.8 |
油揚げ類(3検体) |
28.8〜53.4 |
39.2 |
納豆(2検体) |
65.6〜81.3 |
73.5 |
味噌(8検体) |
12.8〜81.4 |
49.7 |
醤油(8検体) |
1.0〜1.7 |
0.9 |
豆乳(3検体) |
7.6 〜59.4 |
24.8 |
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厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに 関する調査研究(1998)より |
例えば、豆腐1丁は350g、納豆1食は45g程度になります。
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問6: | 日本人の大豆イソフラボンアグリコンの摂取量はどのくらいですか。 |
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平成14年国民栄養調査(厚生労働省)による大豆・大豆製品、醤油、みそなどの食品摂取量から試算した大豆イソフラボンアグリコン(問4参照)の摂取量は、16〜22mg/日とされています。
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問8: | 豆腐や納豆等の大豆由来食品を食べても問題はないのですか。 |
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日本人は、豆腐、納豆、煮豆、みそなどの「伝統的な大豆食品」について、日常の食生活における長い食経験があり、これらの大豆食品を食べることによる大豆イソフラボンの健康への有害な影響が提起されたことはなく、心配する必要はありません。
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問9: | 特定保健用食品として大豆イソフラボンを摂取しても大丈夫ですか。 |
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詳しくは、食品安全委員会の評価書をご覧下さい。(問7参照)
なお、大豆及び大豆由来食品は、良質のたんぱく質源であるだけでなく、カルシウム等にも富む重要な栄養源ですので、食生活の中で他の食品とともにバランスよく食べることをお勧めします。
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問10: | 子どもに大豆イソフラボンを含む食品を食べさせても大丈夫ですか。 また、妊婦についてはどうですか。 |
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(1) | 子どもについてはどのくらいの大豆イソフラボンの摂取であれば心配がないのか、妊婦についてはどのくらいの大豆イソフラボンの摂取であれば胎児に影響がないのか、現時点では科学的に明らかになっていません。
そのため、子どもや妊婦が、日常の食生活で食べている「伝統的な大豆食品」に加えて、特定保健用食品などにより、日常的な食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂取することは、推奨されていません。 |
(2) | 豆腐、納豆、煮豆、みそなどの「伝統的な大豆食品」については、大人と同様に、日常の食生活の中で他の食品とともにバランスよく食べることに気をつければ、心配する必要はありません。 |
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問11: | 乳糖不耐症や牛乳アレルギーなどの乳幼児に豆乳を飲ませても良いですか。 |
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アレルギーの状態などにより個人差がありますので、医師に相談し、その指示に従ってください。
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【「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針」に関するもの】
【指針のうち特定保健用食品に関するもの】
問13: | 大豆イソフラボンを関与成分に含有する特定保健用食品のうち、錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の形状ではない食品もこの指針の対象となりますか。 |
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この指針の対象となります。大豆イソフラボンを関与成分とする、あるいは関与成分中に大豆イソフラボンを含有する特定保健用食品は、形状にかかわらずこの指針の対象となります。
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問14: | 製品に大豆イソフラボン配糖体を加えているのですが、成分名の表示は「大豆イソフラボンアグリコン」とするのですか。 |
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大豆イソフラボンアグリコンに換算した「大豆イソフラボンアグリコンとして」の値を表示することとします(例1)。
換算の仕方については、指針別添の「試験方法」を参照してください。
なお、大豆イソフラボンアグリコンそのものを加えた場合は、「大豆イソフラボンアグリコン」と表示しても差し支えありません(例2)。
例1: | 大豆イソフラボンアグリコンとして | ○mg |
例2: | 大豆イソフラボンアグリコン | ○mg |
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問15: | 長い食経験を有する大豆食品(大豆イソフラボンを含む食品)に、関与成分として大豆イソフラボンを加えた場合(指針2(1))、大豆イソフラボンアグリコンの上限値は、どのようになりますか。また、含有量の表示はどのようになりますか。 |
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関与成分として追加的に加えた量が大豆イソフラボンアグリコンとして30mg以内になるように設定することとなります。含有量表示については、食品全体に含まれる大豆イソフラボンアグリコン量を記載することになります。
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問16: | 長い食経験を有する大豆食品(大豆イソフラボンを含む食品)に、大豆たんぱく等大豆イソフラボンを含有する関与成分を加えた特定保健用食品(指針2(2))の表示はどのようになりますか。 |
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含有量表示については、食品全体に含まれる大豆イソフラボンアグリコンとしての量を記載することになります。
なお、摂取をする上での注意事項の表示はしなくても差し支えありません。
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問17: | 大豆たんぱく等大豆イソフラボンを含有する関与成分を加えた特定保健用食品(指針2(2))についても、大豆イソフラボンアグリコン量を表示することとなっていますが、摂取をする上での注意事項も表示する必要がありますか。 |
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摂取をする上での注意事項は表示しなくても差し支えありません。
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問18: | 長い食経験を有する大豆食品(大豆イソフラボンを含む食品)に食物繊維等大豆イソフラボンを含有しない関与成分を加えた食品は、この指針の対象となりますか。 |
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この指針の対象とはなりません。従って含有量表示や摂取をする上での注意事項の表示はしなくても差し支えありません。
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【指針のうちいわゆる健康食品に関するもの】
問19: | 大豆イソフラボンを濃縮・強化した食品とはどのような食品をいうのですか。 |
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大豆イソフラボンを濃縮・強化した食品とは、大豆のイソフラボンとそれ以外の成分(たんぱく質、カルシウム等)とのバランスが、長い食経験を有する大豆食品とは異なっており、食経験がない食品のことをいいます。
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問20: | 「いわゆる健康食品」のうち、この指針の対象となる食品の形状を詳しく教えてください。 |
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錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の形状の食品のうち、大豆イソフラボンを濃縮、強化した食品が対象です。詳しい形状については、以下の問に一部の例をお示ししますが、事業者の方は、一律に食品の形状のみでとらえるのではなく、「適切な情報提供を行うことを促すことにより、大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の過剰摂取を防止し国民の健康保持増進に資する」という本指針の目的を考慮し、製品を購入する方への情報提供が推進されるよう適切な表示をしてください。
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問21: | 「いわゆる健康食品」の中で錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の形状の食品を除いた「明らか食品」の形状のものは、この指針の対象となりますか。例えば、大豆イソフラボンを強化したみそ、しょう油、ヨーグルトなどはどうでしょうか。 |
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今回この指針が対象としているのは、錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の形状の食品ですので「明らか食品」の形状のものはこの指針の対象外ですが、厚生労働省としては、その他の大豆イソフラボンを濃縮、強化した食品についても、本指針の考え方を参考に、当該製品を製造、加工、販売及び輸入する事業者等により安全性の確保と消費者への情報提供が推進されるよう事業者等への普及啓発等に努めて参ります。
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問22: | 豆腐、豆乳、納豆等の大豆食品や、例えばおからを加えたクッキー等大豆を加えた食品もこの指針の対象となりますか。 |
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今回この指針が対象としているのは、錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等のうち大豆イソフラボンを濃縮、強化した大豆イソフラボンを摂取することを目的とした「いわゆる健康食品」のみです。単に大豆素材を利用しただけのものについては、この指針の対象とはなりません。
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問23: | 粉末スープや粉末味噌汁、きなこ等は粉末剤に該当しますか。 |
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今回この指針が対象としているのは、大豆イソフラボンを濃縮、強化した大豆イソフラボンを摂取することを目的とした「いわゆる健康食品」のみです。これらの食品は大豆イソフラボンを摂取することを目的として粉末状にしているものではないので、この指針でいう粉末剤には該当しません。
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問24: | スポーツ飲料、ゼリー飲料等は液剤に該当しますか。 |
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今回この指針が対象としているのは、大豆イソフラボンを濃縮、強化した大豆イソフラボンを摂取することを目的とした「いわゆる健康食品」ですので、大豆イソフラボンを濃縮・強化している場合はこの指針の対象となりますが、単に大豆素材を利用しただけのものについては、この指針の対象とはなりません。
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問25: | 大豆イソフラボンの含有量について、指針で示された試験方法以外の方法で定量した値を表示してもよいですか。 |
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指針に示した試験方法に代わる方法で、それが指針に示した方法以上の精度のある場合は、その方法を用いることができます。ただし、その結果について疑いのある場合は、指針に示した試験方法で最終の判定を行います。
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(参考)
農林水産省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」ホームページ:
http://www.maff.go.jp/syohi_anzen/isoflavon_qa.html
食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」ホームページ:
http://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html
なお、以上のような状況について、正確なご理解をお願いするとともに、報道等に当たっては、正確な情報提供をしていただきますようお願いします。
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<Q&A作成経緯>
平成18年2月2日作成
平成18年5月12日更新
平成18年8月23日更新