今後の労働時間制度に関する研究会報告書(概要)


現状認識と今後の展望

サービス産業の成長等により、ホワイトカラー労働者の比率が高まる。


いわゆる「ホワイトカラー労働者」は2,954万人(全体の55.2%)(平成16年)
特に30歳代の男性を中心に、週60時間以上働く者の割合が増加し、年次有給休暇の取得率の低下や取得日数も減少。
30歳代男性は、4人に1人(23.8%)が週60時間以上働いている(平成16年)。
企業間競争の激化等により、技術革新のスピードが加速し、製品開発のスピード・質が求められている。
高付加価値かつ創造的な仕事の比重が高まり、企業組織も見直す(スタッフ職の活用等)。
個々の労働者に対する目標管理制度を導入し、賃金制度も年俸制や成果主義賃金が浸透。

年俸制導入企業は全企業のうち13.7%(平成16年)
ホワイトカラー労働者の増加と働き方の多様化が進み、その中でも、自律的に働き、かつ、労働時間の長短ではなくその成果や能力などにより評価されることがふさわしい労働者が増加


 (1) 所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進を図ることが必要
 (2) 労働者個人の事情に即した働き方の選択ができるよう、現行制度の見直しとともに、新たな労働時間の管理の在り方を検討
 (3) その際、心身の健康への影響を未然に防ぐための措置が必要


見直しの方向性

すべての労働者が、個人の選択によって、生活時間を確保しつつ、仕事と生活を調和させて働くことを実現するという観点からの検討を行うとともに、その中でも「自律的に働き、かつ、労働時間の長短ではなく、成果や能力などにより評価されることがふさわしい労働者」について現行の労働時間制度では十分に対応できていない部分を検証した上で、労働時間制度全般について、運用や制度そのものの見直しを行うことが必要
↑
見直しに当たっては、当面対応すべき課題と中長期的観点に立って対応すべき課題に区別するなどした上で、制度の活用状況等を含めた実態について考慮の上、検討を進めることが適当
 
心身が健康であることは全ての労働者にとってその能力発揮の大前提であることから、
(1)所定外労働の削減
(2)年次有給休暇の取得促進
(3)新たな労働時間管理の在り方の検討に当たっては、心身の健康確保を図るために必要な措置を十分に検討すること
等が求められる
 
企業の実態に応じて制度を設計する場合には、企業における労使自治による制度の設計が可能となるようにすべきであり、その前提として、各事業場において、労使が実質的に対等な立場で議論できるようになっていることが必要


新たな労働時間制度の在り方

生活時間を確保しつつ仕事と生活を調和させて働くことを実現するための見直し
【年次有給休暇】
取得率が低下し、計画付与制度の利用も低い
7割の労働者が取得にためらいを感じる
【時間外・休日労働】
本来臨時的なものであることを周知徹底
時間外労働をさせることができる限度基準が定められている
【その他】
フレックスタイム制は中小企業をはじめ導入が進んでいない
事業場外みなし制の見直しを求められている
使用者が労働者の時季指定を補充する仕組みを検討
時間単位の取得などの取得促進策の検討 等
一定の時間数を超える時間外労働については、
割増賃金に加え、代償休日等の義務付け
通常よりも高い割増率を義務付け
を検討 等
フレックスタイム制は、中小企業における好事例の収集・提供 等
事業場外みなし制は、みなし労働時間の計算方法を見直し
 
自律的に働き、かつ、労働時間の長短ではなく成果や能力などにより評価されることがふさわしい労働者のための制度
【裁量労働制】
業務の遂行手段や時間配分について裁量性の高い業務について、労使であらかじめ定めた時間を働いたものとする制度
【管理監督者】
企業経営上の必要から事業経営の管理者的立場等にある者は、労働時間規制を適用除外している制度(深夜業に関する規定は適用)
【新しい自律的な労働時間制度】
より自由で弾力的に働くことにより、自らの能力を十分に発揮できると納得する場合に、労働時間規制に関わらず、働くことができることを選択することができる制度
裁量労働制は制度及び運用の改善を検討
管理監督者については要件の明確化や適正化を図るとともに、深夜業に関する規定の適用除外の可否も検討
    
【対象者の具体的なイメージ】
(1) 中堅の幹部候補者で管理監督者の手前に位置する者
(2) 研究開発部門のプロジェクトチームのリーダー

トップへ