平成17年11月18日
(照会先)
医薬食品局審査管理課
化学物質安全対策室 江原
03(5253)1111(内線2426)


化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質に該当しうる
化学物質の毒性についての三省合同審議会の審議等について

(お知らせ)


.本日の3省合同審議会の審議(概要)

 本日開催された平成17年度第7回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、化学物質審議会第49回審査部会及び第50回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会合同会合(以下「三省合同審議会」という。)において、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号。以下「化学物質審査規制法」という。)に基づく化学物質の長期毒性に係る審議が行われたところ、2-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール(CAS No.3846-71-7)に関し「継続的に摂取される場合には、人の健康を損なうおそれがある」可能性が示された。
(注1)当該物質は、既に平成16年に化学物質審査規制法の第一種監視化学物質に指定されており、製造・輸入量の届出制、必要な場合の有害性の調査の指示等の規制の対象となっている。
(注2)現在、22物質が第一種監視化学物質に指定されている。

.厚生労働省、経済産業省及び環境省の対応

 厚生労働省、経済産業省及び環境省は、三省合同審議会における当該物質の長期毒性に係る審議を踏まえ、当該物質による環境汚染の進行を防止する観点から、当該物質による長期毒性について結論が示されるまでの間は、当該物質の試験研究用途以外の用途での製造、輸入及び使用(以下「製造等」という。)が行われるべきではないと考えている。このため、製造事業者及び輸入事業者に対して、当該物質の今後の取扱いについて照会を行うとともに、当該物質の販売先等に関する情報の提供について要請を行い、当該物質を化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質として指定することも視野に入れた対応を図ることとしている。
 化学物質審査規制法第41条第1項の規定に基づき、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会等に対し、当該物質を化学物質審査規制法に基づく第一種特定化学物質として指定することの可否について意見を求め、その結果に応じ必要があれば当該指定の手続を進める。
(注1)第一種特定化学物質に指定されると、製造・輸入の許可制、特定の用途以外での使用禁止、政令で指定した製品の輸入禁止等の規制の対象となる。
(注2)現在、15物質が第一種特定化学物質に指定されている。



別紙

今般、三省合同審議会で長期毒性に係る審議が行われた物質の概要
(参考)


(1)名称
2-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール

(2)化学物質審査規制法における扱い(現状)
 当該物質は、自然的作用による化学的変化を生じにくいものであり、かつ、生物の体内に蓄積されやすいものであることが既に判明しており、平成16年に化学物質審査規制法に基づく第一種監視化学物質に指定され、毎年度の製造・輸入量の届出制、必要な場合の有害性の調査の指示等の規制の対象となっている。

(3)製造・輸入及び使用の状況
 平成16年度における製造・輸入量は、約120トン。
 当該物質は、主に紫外線吸収剤として樹脂等に混合して用いられている。当該物質が使用されている可能性がある製品は、プラスチック建材や昇華転写型写真のコーティング樹脂であるが、樹脂を硬化させる前に、樹脂の原料にあらかじめ混合されるため、当該物質はプラスチック樹脂中に取り込まれた状態で存在する。また、各樹脂内に含まれる当該物質の量は1%未満程度である。

(4)今回明らかとなった長期毒性
 当該物質の長期毒性としては、ラットを用いた1年間の反復投与毒性試験により、肝臓等において重篤な所見が見られ、無影響量(NOEL)は0.1mg/kg/dayであった。

(5)その他安全性に関する情報 これまでに実施された試験等により判明した当該物質の安全性に関する情報は以下のとおりである。
 これまで当該物質による人の健康被害は確認されていない。
 本物質の急性毒性は低く、ラットに体重1kg当たり1gを単回投与しても特段の異常は見られておらず、人に対して毒性影響を生じるとは考えにくい。
 当該物質を含有するプラスチック建材からは通常の使用条件においては当該物質の溶出はないと考えられるが、当該物質の用途についての調査の結果を踏まえて製品の溶出試験を行い、必要に応じて安全性評価等を実施する予定である。

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