I  調査の概要
 調査の目的
 この調査は、主要産業における女性労働者の雇用管理の実態等を総合的に把握 することを目的とし、平成16年度は、労働基準法中の母性保護規定並びに男女雇用機会均等法の妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置に加え、仕事と育児の両立に関する事項についても併せて調査を行った。

 調査の範囲
(1)  地域 日本国全域
(2)  産業 日本標準産業分類による次に掲げる産業
 ア 鉱業  イ 建設業  ウ 製造業  エ 電気・ガス・熱供給・水道業
 オ 情報通信業  カ 運輸業  キ 卸売・小売業  ク 金融・保険業
 ケ 不動産業  コ 飲食店,宿泊業  サ 医療,福祉
 シ 教育,学習支援業  ス 複合サービス事業
 セ サービス業(他に分類されないもの)〈家事サービス業、外国公務を除く〉
(3)  事業所
 上記(2)の産業に属し、常用労働者5人以上を雇用している民営事業所のうちから産業・規模別に層化して抽出した10,089事業所

 調査事項
 母性健康管理等の制度及びその実施状況並びに仕事と育児の両立に関する事項

 調査の実施期間
 平成16年10月1日から10月31日

 調査機関
 厚生労働省雇用均等・児童家庭局―都道府県労働局雇用均等室―事業所

 調査の方法
(1)  調査票  「平成16年度女性雇用管理基本調査票」
(2)  調査の方法  自計式郵送調査

 集計方法
 厚生労働省雇用均等・児童家庭局において集計
 有効回収率は77.0%

 調査対象事業所の抽出
 平成13年事業所・企業統計調査により把握された事業所名簿に基づき、一定の方法により抽出


II  調査結果の概要

 労働基準法に基づく母性保護制度等の規定状況

(1)  産前産後休業
 休業期間
 休業期間については、単胎妊娠(以下「単胎」という。)の場合は「法定どおり」(産前6週間産後8週間)とする事業所は95.7%(平成9年度82.6%)、「法律を上回る規定あり」とする事業所は4.0%(同4.5%)となっている。
 産業別にみると、「法律を上回る規定あり」とする事業所の割合は、医療、福祉(16.5%)、金融・保険業(13.1%)、教育、学習支援業(11.9%)で高く、事業所規模別にみると、「法律を上回る規定あり」とする事業所割合は、規模が大きくなるほど高くなっている(500人以上規模で27.3%、100〜499人規模で11.7%、30〜99人規模で6.3%、5〜29人規模で3.5%)。
 また、多胎妊娠(以下「多胎」という。)の場合は「法定どおり」(産前14週間(注)産後8週間)とする事業所は97.7%(平成9年度86.7%)、「法律を上回る規定あり」とする事業所は2.0%(同1.3%)となっている(付属統計表第1表)。
(注) 平成9年の労働基準法改正(平成10年4月施行)により多胎妊娠の場合の産前休業は産前10週間から14週間へ延長している。したがって、前回調査の平成9年時点では法定産前休業は10週間であった点に注意する必要がある。

 休業中の賃金
 産前産後休業期間中の賃金を「有給」とする事業所の割合は28.1%と前回調査(平成9年度)の20.8%に比べ上昇したが、そのうち「全期間100%支給」する事業所は52.8%(平成9年度64.0%)とやや低下した。産業別にみると、金融・保険業(64.2%)、電気・ガス・熱供給・水道業(64.0%)で「有給」とする事業所割合が高い。事業所規模別にみると、500人以上規模事業所(33.4%)で有給とする事業所割合が高くなっているが、前回調査との比較では99人以下規模事業所で「有給」とする割合が上昇している(30〜99人規模で26.3%(平成9年度24.9%)、5〜29人規模で28.5%(同20.0%))(図表1、付属統計表第1表)。

図表1  産前産後休業期間中の賃金支給あり事業所割合

図表1 産前産後休業期間中の賃金支給あり事業所割合

(2)  育児時間
 育児時間について、「女性のみが請求できる」事業所は61.1%(平成9年度75.4%)で、「男女とも請求できる」事業所は38.5%(同24.3%)と男女とも請求できる事業所割合が上昇している。これを事業所規模別にみると、いずれの規模でも「男女とも請求できる」事業所割合が上昇している(500人以上規模で46.2%(同29.2%)、100〜499人規模で44.1%(同33.7%)、30〜99人規模で46.0%(同27.4%)、5〜29人規模で37.3%(同23.5%))(図表2)。
 育児時間中の賃金を「有給」とする事業所は40.2%(平成9年度33.1%)と産前産後休業同様、有給とする事業所割合が上昇したが、「全期間100%支給」とする事業所割合は62.8%(同89.6%)となっている。「有給」とする事業所について産業別にみると、金融・保険業(66.4%)、電気・ガス・熱供給・水道業(65.1%)が高くなっている。事業所規模別にみると、500人以上規模事業所において、約半数(49.2%)が「有給」としているが、「有給」とする事業所割合が上昇したのは5〜29人規模事業所のみとなっている(500人以上規模で49.2%(平成9年度57.7%)、100〜499人規模で38.4%(同45.7%)、30〜99人規模で38.8%(同39.4%)、5〜29人規模で40.5%(同31.8%))(付属統計表第2表)。

図表2  育児時間の適用範囲の内訳別事業所割合

図表2 育児時間の適用範囲の内訳別事業所割合

(3)  生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置
 生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置(以下「生理休暇」という。)について、その休暇中の賃金を「有給」とする事業所は44.7%(平成9年度41.4%)であった。産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(82.1%)、金融・保険業(80.3%)で高くなっている。事業所規模500人以上規模の事業所の約7割(71.4%)が「有給」としている(付属統計表第3表)。


 労働基準法に基づく母性保護制度等の利用状況

(1)  産前産後休業の取得
 産前休業
 単胎で産前休業を取得した女性労働者の1人当たりの平均休業日数は38.2日(平成9年度37.3日)であった。産業別にみると、運輸業(51.4日)、情報通信業(45.0日)、飲食店、宿泊業(44.0日)で比較的長くなっている。また、事業所規模別にみると、規模が大きいほど平均休業日数がやや長くなっている。
 休業日数別に産前休業取得者の割合をみると、休業日数が法定の「42日以内」の者が 76.6%(平成9年度74.9%)、「43日以上」の者が23.4%(同24.9%)であった。産業別にみると、複合サービス業(93.9%)、卸売・小売業(92.6%)、飲食店、宿泊業(91.7%)、建設業(91.2%)で、休業日数が「42日以内」の者が多く、運輸業(69.6%)で「43日以上」の者が比較的多くなっている。
 多胎の場合は、平成9年の労働基準法改正により平成10年から法定が産前10週間から14週間へ延長しており、1人当たり平均休業日数は80.1日(平成9年度45.5日)と増加している(図表3、付属統計表第表)。

図表3  平均産前休業日数の変化(単胎、多胎別)

図表3 平均産前休業日数の変化(単胎、多胎別)

 産後休業
 単胎で産後休業を取得した女性労働者の1人当たり平均休業日数は57.9日(平成9年度58.7日)であった。産業別にみると、建設業(63.1日)、卸売・小売業(61.8日)、運輸業(60.3日)で長くなっている。事業所規模別にみると、30人以上規模事業所では57日前後であるが、5〜29人規模事業所で、平均休業日数(59.5日)が他の規模の事業所より若干長くなっている。
 休業日数別に産後休業取得者の割合をみると、休業日数が法定の「56日以内」の者が89.6%(平成9年度76.1%)、「57日以上」の者が10.3%(同16.6%)であった。産業別にみると、飲食店、宿泊業(99.5%)、建設業(97.2%)で休業日数が「56日以内」の者が多く、運輸業(56.3%)で「57日以上」の者が多くなっている(付属統計表第6表)。
 多胎の場合の1人当たり平均休業日数は法定の56日をやや上回る57.5日(平成9年度76.3日)であった(付属統計表第7表)。

(2)  産後休業取得者の配置
 平成15年度中に「出産者あり」とした事業所のうち、産後休業後直ちに復帰した女性労働者があった事業所は24.3%であり、そのうち、その女性労働者を「原職」に配置した事業所は98.4%であり、「原職相当職」に配置した事業所は0.6%、「原職又は原職相当職以外」に配置した事業所は1.0%であった(付属統計表第8表)。
 原職以外(「原職相当職」又は「原職又は原職相当職以外」)に配置した事業所のうち、「全員、本人の希望」であった事業所は43.6%であるが、「本人の希望でなかった者もいた」事業所は56.4%であった。また、「本人の希望でなかった者もいた」事業所のうち、その理由で高い割合を示したものは、「既に代替要員が補充されていた」(64.8%)、「通常の人事の一環」(36.0%)であった(付属統計表第9表)。
 産後休業を取得した女性労働者の割合でみると、産後休業後直ちに復帰した女性労働者は18.2%であり、そのうち、「原職」に復帰した女性労働者は96.8%、「原職相当職」に復帰した女性労働者は1.8%と両者で大半を占めている(付属統計表第10表)。

(3)  育児時間の請求
 出産後も引き続き勤務している女性労働者のいた事業所のうち、育児時間の請求者のあった事業所は12.3%であり、事業所規模別にみると、規模が大きいほど、請求者のあった事業所の割合が高くなっている。
 また、出産後も引き続き勤務している者のうち、育児時間を請求した者の割合は10.8%(平成9年度14.7%)である。
 育児時間を請求した者について請求時間をみると、「1日2回各30分」の者が39.0%と最も多く、次いで「1日1回60分」の者が33.6%となっている(図表4、付属統計表第11表)。

図表4  育児時間の請求状況別女性労働者割合

図表4 育児時間の請求状況別女性労働者割合

(4)  生理休暇の請求
 女性労働者のいる事業所のうち、生理休暇の請求者のあった事業所は5.5%(平成9年度8.1%)であり、産業別にみると、情報通信業(17.3%)、電気・ガス・熱供給・水道業(16.7%)が、比較的多く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど請求した者のあった事業所の割合が高いが、いずれの規模でも低下している。
 また、女性常用労働者総数のうち生理休暇を請求した者の割合は1.6%(平成9年度3.3%)であった(付属統計表第12表)。


 男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置の規定状況

(1)  妊産婦の通院休暇制度
 妊産婦の通院休暇制度に関する規定を有している事業所は37.7%(平成9年度17.2%(注))であった(図表5)。産業別にみると、金融・保険業(75.2%)でその割合が高く、事業所規模別にみると規模が大きいほど規定を有している事業所の割合が高く、500人以上規模事業所で76.2%となっている。
 通院休暇制度に関する規定を有している事業所について休暇付与単位をみると、「必要に応じて」が59.3%と最も多くなっている(付属統計表第13表)。
 通院休暇制度の規定を有している事業所のうち、賃金を「有給」とする事業所は46.7%(平成9年度68.0%)で、そのうち60.5%(同81.2%)が「全期間100%支給」としている。

(注) 平成9年度においては、制度又は慣行として確立していると回答した事業所割合。以下、「4」において同じ。

図表5  男女雇用機会均等法に基づく措置等の規定状況

図表5 男女雇用機会均等法に基づく措置等の規定状況

(※) 「症状に対応する措置」について平成9年度は調査していない。

(2)  妊娠中の通勤緩和の措置
 妊娠中の通勤緩和の措置に関する規定を有している事業所は28.5%(平成9年度11.8%)であった(図表5)。産業別にみると、金融・保険業(68.6%)、電気・ガス・熱供給・水道業(61.9%)で規定を有している事業所の割合が高く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど規定を有している事業所の割合が高く、500人以上規模事業所では67.3%となっている。
 妊娠中の通勤緩和措置の規定を有している事業所についてその内容をみると、「勤務時間の短縮」の規定がある事業所は77.1%(平成9年度74.4%)であり、短縮時間は「必要な時間」とする事業所が50.8%と最も多く、これに「30〜60分」の34.3%が続いている(付属統計表第14表)。
 通勤緩和のための勤務時間短縮の措置の規定がある事業所のうち、賃金を「有給」とする事業所は42.7%(平成9年度53.0%)で、そのうち58.1%(同70.7%)が「全期間100%支給」としている。

(3)  妊娠中の休憩に関する措置
 通常の休憩時間とは別に妊婦が補食や休養をとるための休憩に関する措置の規定を有している事業所は28.2%(平成9年度6.3%)であった(図表5)。産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(57.7%)、金融・保険業(56.5%)で規定を有している事業所の割合が高く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど制度を有している事業所の割合が高く、500人以上規模事業所で56.8%となっている(付属統計表第15表)。
 妊娠中の休憩に関する措置の規定がある事業所のうち、賃金を「有給」とする事業所は55.9%で、そのうち60.3%が「全期間100%支給」としている。
 また、妊婦が休憩することができる環境整備のための設備を設けている事業所は44.9%(平成9年度21.1%)で、設備の内容としては、「休養室がある」(64.8%)が最も多くなっている。産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業(66.8%)、医療、福祉(62.3%)、金融・保険業(61.9%)で妊婦が休憩することができる環境整備のための設備を設けている事業所の割合が高くなっている。事業所規模別には、規模が大きいほど設備を有している事業所の割合が高くなっている(付属統計表第15表)。

(4)  妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置
 妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置に関する規定を有している事業所は37.0%であり、「規定あり」の事業所のうち、「勤務時間の短縮」は70.8%、「休業」は55.7%、「作業の制限」は46.7%であった。全体の事業所に占める割合では、「勤務時間の短縮」は26.2%、「休業」は20.6%、「作業の制限」は17.3%となる。ちなみに前回調査において「休業」制度ありとした事業所は7.7%であった(図表5)。
 このうち、「勤務時間の短縮」の措置の規定を有している事業所においては、1日の短縮時間について「必要とされる時間」(61.9%)が最も多く、これに「30〜60分」(21.7%)が続いている。また、「休業」の規定を有している事業所のうち、休業日数については、「必要とされる日数」(73.5%)が最も多くなっている(付属統計表第16表)。
 「勤務時間の短縮」の措置の規定を有している事業所のうち、賃金を「有給」とする事業所は44.4%で、そのうち48.7%が「全期間100%支給」としている。また、「休業」の規定を有している事業所のうち、休業中の賃金を「有給」とする事業所は31.7%で、そのうち50.4%が「全期間100%支給」としている。


 男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置の利用状況

(1)  妊産婦の通院休暇制度の請求
 妊産婦のいた事業所のうち、請求者のあった事業所は15.3%(平成9年度4.8%)であり、産業別にみると、運輸業(34.8%)、建設業(27.9%)で割合が高い。事業所規模別にみると、500人以上規模の事業所(26.1%)において割合が高くなっている。
 妊産婦のうち、通院休暇を請求した者は12.7%(平成9年度9.2%)であり、そのうち付与単位を「1日単位」で請求した者は46.8%、「必要に応じて」請求した者は31.3%であった。
 請求した者1人あたりの平均請求回数は、4.1回となっている(付属統計表第17表)。

(2)  妊娠中の通勤緩和の措置の請求
 妊産婦のいた事業所のうち、請求者のあった事業所は3.9%(平成9年度4.6%)であり、産業別にみると、情報通信業(20.6%)で割合が高くなっている。事業所規模別にみると500人以上規模事業所(8.6%)において、比較的割合が高くなっている。
 妊産婦のうち、通勤緩和の措置を請求した者は3.1%(平成9年度3.8%)であり、そのうち「勤務時間の短縮」を請求した者は46.6%で最も多く、次いで「時差通勤」(38.8%)を請求した者が多くなっている。
 また、「勤務時間の短縮」を請求した者のうち、「60分を超える」短縮を請求した者が47.0%と最も多い(付属統計表第18表)。

(3)  妊娠中の休憩に関する措置の請求
 妊産婦のいた事業所のうち、請求者のあった事業所は3.7%であり、産業別にみると、教育、学習支援業(17.9%)、金融・保険業(13.8%)で割合が高くなっている。事業所規模別にみると、30〜99人規模事業所において割合が高くなっている。
 また、妊産婦のうち、休憩を請求した者は2.8%であった(付属統計表第19表)。

(4)  妊娠中又は出産後の症状等に対応する措置の請求
 作業の制限
 妊産婦のいた事業所のうち、請求者のあった事業所は5.8%(平成9年度5.0%)であり、産業別にみると、医療、福祉(17.8%)、金融・保険業(12.5%)で割合が高くなっている。事業所規模別には、30人以上規模事業所において9%前後となっている。
 また、妊産婦のうち、作業の制限を請求した者は6.0%であり、請求した者のうち制限内容として、「業務負担の軽減」(75.1%)を請求した者の割合が高くなっている(付属統計表第20表)。

 勤務時間の短縮
 妊産婦のいた事業所のうち、請求者のあった事業所は10.1%であり、産業別にみると、情報通信業(33.4%)で割合が高くなっている。
 妊産婦のうち、勤務時間の短縮を請求した者は8.3%であり、請求した者のうち「60分を超える」短縮を請求した者が74.3%と最も多かった(付属統計表第21表)。

 休業
 妊産婦のいた事業所のうち、請求者のあった事業所は6.6%であった。
 また、妊産婦のうち、休業を請求した者は5.9%であり、平均休業日数は29.2日であった(付属統計表第22表)。

(5)  母性健康管理指導事項連絡カードの利用状況
 妊産婦のいた事業所のうち、母性健康管理指導事項連絡カードを利用申請者のいた事業所は1.9%で、事業所規模別には500人以上規模事業所で15.2%であった(付属統計表第23表)。
 また、妊産婦総数のうち、母性健康管理指導事項カードを利用した者の割合は2.1%であった。


 産前産後休業の取得等による不就業期間の取扱い

(1)  産前産後休業
 「昇進・昇格の決定」「昇給の決定」「退職金の算定」(退職金制度がある事業所のみ)について産前産後休業による不就業期間の取扱いを「特に決めていない」とする事業所割合はそれぞれ51.9%、50.2%、46.4%と半数前後を占めている。労働者の出勤状況を「考慮している」事業所割合はそれぞれ32.0%、34.4%、38.9%といずれも3割程度であるが、そのうち「不就業期間を就業したものとみなす」事業所はそれぞれ51.2%、51.7%、52.9%と最も多い。この他、「出勤状況を考慮していない」とする事業所はそれぞれ15.9%、15.2%、14.6%となっている(図表6)。

(2)  育児時間
 「昇進・昇格の決定」「昇給の決定」「退職金の算定」(退職金制度がある事業所のみ)について育児時間による不就業期間の取扱いを「特に決めていない」とする事業所割合はそれぞれ53.9%、52.7%、50.2%と半数以上を占め、産前産後休業よりも多い。労働者の出勤状況を「考慮している」事業所割合はそれぞれ30.0%、31.8%、35.0%といずれも3割程度であるが、そのうち「不就業期間を就業したものとみなす」事業所はそれぞれ53.7%、54.7%、59.9%と最も多く、かつ産前産後休業より若干多い。この他、「出勤状況を考慮していない」とする事業所割合はそれぞれ15.9%、15.2%、14.6%となっている(図表6)。

(3)  妊娠中及び出産後の症状等に対応する休業
 「昇進・昇格の決定」「昇給の決定」「退職金の算定」(退職金制度がある事業所のみ)について妊娠中及び出産後の症状等に対応する休業による不就業期間の取扱いを「特に決めていない」とする事業所割合はそれぞれ55.8%、54.9%、51.2%と産前産後休業よりも多くなっている。労働者の出勤状況を「考慮している」事業所割合はそれぞれ28.0%、29.6%、34.0%と約3割程度であり、「不就業期間を就業したものとみなす」事業所はそれぞれ42.8%、41.3%、46.1%と最も多いものの産前産後休業に比べ低くなっている。この他、「出勤状況を考慮していない」とする事業所はそれぞれ15.9%、15.2%、14.6%となっている(図表6)。

図表6  産前産後休業の取得等による不就業期間の取扱い別事業所割合

図表6 産前産後休業の取得等による不就業期間の取扱い別事業所割合

 妊産婦からの健康管理に関する相談体制

(1)  妊産婦からの相談担当者
 妊産婦からの相談担当者については、「所属先の上司」とする事業所が最も多く48.4%(平成9年度26.9%)となっており、次いで「人事管理部門の担当者」が34.8%(同20.4%)、「特になし」は34.2%(同32.0%)となっている(図表7)。

図表7  妊産婦の相談担当者別事業所割合(M.A.)

図表7 妊産婦の相談担当者別事業所割合(M.A.)

(2)  事業主が相談する者又は機関
 事業主が相談する者又は機関は、「特になし」とする事業所が45.3%と最も多いが、 「産業医」(28.2%、平成9年度は19.0%)、「妊産婦本人の主治医」(20.1%、同16.3%)に相談する事業所が比較的多くなっている(図表8)。

図表8  事業主が相談する者(機関)別事業割合(M.A.)

図表8 事業主が相談する者(機関)別事業割合(M.A.)

 仕事と育児の両立に関する事項について

(1)  育児休業取得者の状況
 出産者又は配偶者が出産した者に占める育児休業取得者(平成15年4月1日から平成16年3月31日までの1年間の出産者又は配偶者が出産した者のうち、平成16年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)をいう。以下同じ。)の割合(以下育児休業取得率という。以下同じ。)を男女別にみると、女性は70.6%と前回(平成14年度64.0%)より6.6%ポイント上昇し、男性は0.56%と前回(同0.33%)と同様取得率は低かった。
 事業所規模別の育児休業取得率を女性についてみると規模が大きいほど取得率が高く(500人以上規模で83.2%(同77.2%)、100〜499人規模で83.0%(同75.9%)、30〜99人規模で69.5%(同64.2%)、5〜29人規模で60.2%(同55.6%))、また、全ての規模で上昇した(図表9、付属統計表第24表)。

図表9  女性の育児休業取得率

図表9 女性の育児休業取得率

(2)  育児のための勤務時間の短縮等の措置の導入状況
 勤務時間の短縮等の措置((1)短時間勤務制度、(2)フレックスタイム制、(3)始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、(4)所定外労働の免除、(5)事業所内託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与、(6)育児休業に準ずる措置)を導入している事業所は41.9%となっており、産業別にみると、電気・ガス・熱供給・水道業で83.8%、金融・保険業で74.4%と導入している事業所の割合が高く、事業所規模別にみると、規模が大きいほど導入している事業所の割合が高くなっている。
 当該措置を導入している事業所において、最長で子が何歳になるまで利用できるかについてみると、「小学校就学の始期に達するまで」以上としている事業所割合は、25.0%(平成14年度18.9%)であり、全事業所に対する割合では10.5%(同9.6%)となっている。これを事業所規模別にみると、規模が大きいほど高く、500人以上規模で31.9%、100〜499人規模で22.0%、30〜99人規模で12.2%、5〜29人規模で9.9%となっている(付属統計表第25表)。

(3)  子の看護休暇制度の導入状況
 子の看護休暇制度がある事業所は26.5%と、前回(平成14年度10.3%)より16.2%ポイント上昇した。事業所規模別にみると、規模が大きいほど高く、500人以上規模で59.7%(同20.8%)、100〜499人規模で39.8%(同14.5%)、30〜99人規模で32.9%(同8.6%)、5〜29人規模で25.2%(同10.4%)といずれの規模においても大きく上昇している(図表10、付属統計表第26表)。

図表10  子の看護休暇制度あり事業所割合

図表10 子の看護休暇制度あり事業所割合

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