資料1

労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書の概要


 国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係る
 リスク評価の考え方及び方法
 有害性の高い化学物質を取り扱い、ばく露レベルが高いと想定される作業について当該物質の有害性の種類及び程度の特定、ばく露レベルに応じて生ずるおそれのある健康障害の可能性及びその程度(量―反応関係)、労働者の当該物質へのばく露レベルについて把握(ばく露評価)することにより、リスクの判定を行う。

有害性の種類及び
程度の特定
取り扱われる化学物質の有害性情報を文献等から入手し、有害性の種類及び程度を特定する。
量―反応関係の把握 ばく露レベルに応じて引き起こされる健康障害の可能性及びその程度について、ばく露限界等の有害性データを把握する。
ばく露評価 化学物質等の取扱い作業等に従事する労働者のばく露レベルを、作業環境における空気中の濃度の測定結果等から把握する。
↓
リスクの判定 ばく露レベルと許容濃度等を比較し、MOE(無毒性量/ばく露レベル)を算定し、リスクを判定する。
詳細な検証等 リスクが高い(許容濃度 ばく露レベル、MOE 1)と判定された作業等については、有害性データ、測定結果等を再検証し、再度リスクの判定を行う。


 リスク評価の結果に基づき国が講ずべき健康障害防止措置
 リスク評価の結果、リスクがあると判定された作業等については有害性の区分に応じて、国による健康障害防止措置としての製造等の禁止、特別規則による規制等を行う。この場合には、次の事項を考慮する。
(1)  当該物質の有害性の程度、揮発性の程度、取扱量、従事労働者数等
(2)  健康障害の発生状況、規制以外では健康障害防止が困難と考えられる状況にあるか、当該物質の社会的有用性の程度

(有害性の区分に応じた健康障害防止措置の内容)
発がん性 「人に対する発がん性が知られている物質」については、禁止、許可又は特別規則による規制
「人に対しておそらく発がん性がある物質」については、禁止、許可、特別規則による規制又は行政指導
「人に対する発がん性が疑われる物質」については、行政指導
臓器毒性・全身毒性
又は生殖毒性
「ばく露量が多く、重度の健康障害を生ずる物、または重度の健康障害を生ずるおそれのある物」については、禁止、許可又は特別規則による規制
「ばく露量が多く、健康障害を生ずるおそれのある物」については、特別規則による規制、労働安全衛生規則第3編の衛生基準の適用又は行政指導
急性毒性等 急性毒性については、特別規則による規制、労働安全衛生規則第3編の衛生基準の適用又は行政指導
皮膚腐食性・刺激性、眼に対する損傷性・眼刺激性又は感作性については、通達に基づく措置又は行政指導
変異原性が強いと判断された物質については、行政指導
 注) 労働安全衛生法に基づく特別規則には、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質等障害予防規則等がある。


 ばく露関係情報の届出

 国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評価に必要とされるばく露をうける作業の内容、ばく露をうける労働者数、換気設備の設置状況等のばく露関係情報を収集するために、その内容や当該情報の届出に係る仕組みについて検討した(別紙参照)。

ばく露関係情報の届出の仕組み(例)

対象物質 労働安全衛生法施行令別表第9に掲げる物質等
(通知対象物)
ただし、特化則等特別規則で規制している一定の物質を除く。
↓
届出の対象となる事業場
届出物質名の公表
定期的に届出の対象となる 物質名の公表
公表
→
対象物質の中から選択された届出物質
製造又は使用
→
前年度1年間に、個々の届出物質を0.5トン以上、製造又は消費等した一定の業種に属する事業場が主要な対象
No
→
届出不要
↓ Yes
届出先
各労働基準監督署
届出
←



公表後
一定期間
内に届出



←
届出項目 ばく露関係情報
化学物質の名称
化学物質を含有する製剤等の名称
含有率
製造量又は消費量等
用途
ばく露を受ける作業の内容
ばく露を受ける労働者数
取り扱う化学物質の性状
取扱い時の化学物質の温度
10 換気設備の設置状況
11 保護具の使用状況
12 作業時間
情報の取扱い
ばく露状況の把握、リスク評価に活用
講ずべき措置において考慮
指導、支援、関連情報の提供
     



 リスク評価の進め方

リスク評価の対象物質(通知対象物)
↓ ←
ばく露関係情報の届出
第一種衛生管理者免を選任すべき業種等一定の業種が主要な対象
0.5トン以上取り扱い事業者による届出
用途
ばく露を受ける作業の内容
ばく露を受ける労働者数
取り扱う化学物質の性状
換気設備の設置状況等
リスク評価の実施
有害性の種類及び程度の特定
量−反応関係の把握
ばく露評価
 
↓
リスクの判定
↓
リスク
評価の
結果に
基づく
健康障害
防止措置
有害性の程度、ばく露の程度に応じた健康障害防止措置
禁止
許可
特別規則等による規制
通達等による指導
←
行政措置を講ずるにあたって有害性の種類及び程度、ばく露の程度、健康障害発生状況等について考慮

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