平成17年5月
〜人材による成長を導くために〜
職業能力開発の今後の在り方に関する研究会報告書(概要)
現状と課題
<職業能力開発の現状>
 企業の人材育成への投資が大幅に減少、Off-JTやOJTの実施も低下傾向
 企業は能力開発を労働者主体と考える傾向
 労働者自身が能力開発を行うにあたっては、時間的・金銭的問題が存在

<踏まえるべき社会・経済情勢の変化>
労働力の供給面の変化
 総人口は長期的に減少することが予測
 「団塊の世代」の定年時期の到来(「2007年問題」)
 ニート、フリーターの増加
 労働者の就業意識の多様化
 職業生涯の長期化
労働力の需要面の変化
 技術革新の進展、経済のグローバル化
 サービス産業化
 雇用形態の多様化
 短期的な成果主義や即戦力志向の高まり
 事業変化の激しさ
→
<基本的考え方>
(1)  人口減少下における社会の活力の維持・向上
(2)  経済活力の活性化・雇用機会の創出への対応、2007年問題を踏まえた円滑な技能継承
(3)  企業における労働生産性の向上や現場力の低下への対応
(4)  個人の職業生活の長期化への対応、社会変化に的確に対応した能力開発の推進
(5)  企業による能力開発だけでは十分な教育訓練機会を得られない者への対応
(6)  若年期からの職業意識の形成、職業能力開発の推進
(7)  能力開発分野における国際協力
<社会的必要性、意義>
 ○ 個人
雇用可能性の向上、職業の安定/能力の発揮・充実した職業生活・働くことを通じた自己実現
 ○ 企業
企業内の人材の質の向上、労働生産性の向上による競争力の強化、優れた人材の確保、労働者のモチベーションや適応力の向上による業務の効率化
 ○ 社会
経済社会の活力の維持・向上・雇用機会の創出、社会的な公正・公平の実現
<関係者に求められる役割・課題>
個人
個人の主体的な能力開発
職業生涯を通じた中長期的かつ継続的な取組
企業
長期的な視点からの雇用労働者への能力開発
労働者に求める能力、評価等について提示
労働者の能力開発推進のための環境の整備
若年者などに対する職業訓練機会の提供
上司等への役割の明示等
教育訓練機関
個人や企業の多様なニーズに沿った教育訓練機会の提供
インターネット等も活用し、身近な場での教育訓練機会の提供
行政
中長期的な人材育成方針の提示
職業能力開発のための社会的インフラ整備
個人や企業の取組に対する積極的支援
企業ニーズに応じた離職者訓練の推進
地方公共団体の積極的な取組に対する支援
↓
今後の施策の方向性
(上記の課題等に対し、国等が取り組むべき施策の方向性)
 教育訓練の実施及びその機会の提供に関する支援
企業の行う能力開発の環境整備
 ・ 企業に対し、能力開発の意義を示す、好事例、具体的な取組事例に関する情報提供
 ・ 能力開発に積極的な企業が社会的に評価される仕組みの整備
 ・ 企業における能力開発の担い手の養成
個人の能力開発の支援
 ・ 労働者の中長期的な能力開発の取組支援(機会の提供、相談・情報提供等)
 ・ 非正規労働者、女性、高齢者、障害者等が能力を十分発揮しつつ就労できるような多様な能力開発の推進
 ・ 若年者、主婦等十分に教育訓練機会が得られない者への配慮
その他
 ・ 国と地方公共団体の連携・役割分担による十分な教育訓練機会の提供
 ・ 民間教育訓練機関の積極的活用、コーディネート強化
 ・ 教育訓練へのアクセス確保などのインフラ整備の推進

 職業能力評価制度
 ・ 職業能力に関し、個人、企業の双方が明確かつ客観的に識別でき、かつ、社会全体で通用する共通の基準となる体系の整備
 ・ 若年者が早期から明確な能力開発のための目標を定め、達成するための道筋が示した仕組みの整備
 ・ 職業能力評価制度を軸とした職業能力開発の体系の再構築
 職業能力開発を行うに当たっての相談・情報提供
 ・ ユーザーの視点に立った情報提供の仕組みの継続的な整備
 ・ キャリア・コンサルタント等の専門家による適切な支援
 ・ 公的機関によるキャリア・コンサルティング体制の整備
 ・ キャリア・コンサルタントの資質確保

 その他
若年者の職業能力開発の充実
 ・ 企業、学校、家庭、行政などが連携したきめ細かな支援・地域の創意工夫
 ・ 企業による体験講習や教育訓練の受け入れなど積極的な取組の推進
生涯を通じた職業能力開発の取組の推進
 ・ 職業生活の長期化に対応した、職業生活設計と能力開発
 ・ 職業能力開発のための労働時間面の配慮、休暇取得の促進、雰囲気づくり
 ・ 多様な働き方に対応した能力開発
技能継承への対応
国際協力

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