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参考4

労働政策審議会意見書の概要

平成16年12月15日

1.精神障害者に対する雇用対策の強化
(1)障害者雇用率制度の適用
 精神障害者も将来的には雇用義務制度の対象とすることが考えられる。しかし、現段階では法定雇用率(現行:1.8%)はそのままに、各企業の実雇用率に精神障害者を算定することとする等により、企業の雇用の努力を評価し、雇用の促進を図ることが必要。
 また、疲れやすく長時間働くことが困難な精神障害者も少なくないことから、短時間労働(週20時間以上30時間未満)も各企業の実雇用率において0.5とカウントすることが適当。

 対象者の把握・確認方法は、精神障害者保健福祉手帳の所持をもって行うことが適当であり、プライバシーに配慮した対象者の把握・確認の在り方について、企業にとって参考となるものを示すことが必要。

 なお、上記の制度改正後は、その適用状況を踏まえ、精神障害者を雇用義務制度の対象とすることについて、具体的に検討を進めていくことが適当。

(2)雇用支援策の充実
(1)休職から復職に至る過程の支援
 休職から復職に至る過程やその後の雇用継続支援も含めた総合的な支援を全国の地域障害者職業センターで実施するとともに、企業内で復職支援を行うスタッフの配置に支援を行うことが適当。
(2)新規雇用の促進
 企業等への委託訓練の活用や障害者試行雇用事業のさらなる拡充に努める必要。また、週15時間労働からの雇用支援策や常用雇用への移行等を条件にグループ就労支援を講じることが適当。
(3)雇用を継続するための支援
 周囲とのコミュニケーションをはじめとする環境調整や労働時間への配慮等を行う必要があり、(1)の企業内の支援スタッフが中心となって主治医等の外部の専門機関等の活用を進めていくことが適当。

2.多様な形態による障害者の就業機会の拡大
(1)障害者の在宅での就業に対する支援の充実
(1)在宅勤務の普及促進
 企業が在宅勤務障害者の雇用管理や業務管理、社内・社外の連絡調整を行うコーディネーターを配置することについて支援を行うことが適当。
(2)在宅就業に対する発注の奨励
 障害者の在宅就業に発注した場合、発注元企業の障害者雇用納付金の減額又は調整金・報奨金の加算を行うことが適当。
(3)在宅就業を支援する団体の育成
 一定の要件等を満たす在宅就業支援団体を通じて仕事を発注した場合にも、(2)の取扱いができるよう検討。また、在宅就業支援団体に対する支援策を充実していくことが適当。

(2)雇用形態の多様化と障害者雇用
(1)短時間労働
 重度以外の身体障害者・知的障害者の短時間労働についても雇用率制度の対象とし、法定雇用率の算定において短時間労働を反映させることが考えられるが、短時間労働の位置付け等について、今後とも検討を行うことが適当。
(2)派遣労働
 派遣労働者としての障害者の雇用はほとんど進んでいないことから、派遣労働と障害者雇用との関係においてどのような対応をしていくことによって、障害者雇用の促進を図っていくことができるか、今後検討を行うことが適当。

3.地域における協働による障害者雇用の促進
(1)福祉的就労から一般雇用への移行の促進
 ハローワークが中心となって、本人、福祉施設等の関係者からなる就労支援チームを設置し、個別的な支援計画を作成、総合的な支援を行うことなどにより、一般雇用への移行を促進することが適当。

(2)職場適応援助のニーズの広がりと担い手の育成
 福祉施設によるジョブコーチ支援をより効果的なものとするとともに、事業主自らジョブコーチを配置することを可能するため、障害者雇用納付金制度に基づく助成制度として実施することが適当。
 また、発達障害者に対する支援技法の開発等に力を入れることが適当。

(3)企業等の協働による障害者雇用の創出
 地域的に近接している企業どうしが協働して障害者の雇用の場を創出する等の取組を推奨していくことが適当。

4.その他の諸課題
(1)特例子会社に対する障害者雇用調整金・報奨金の支給
 調整金・報奨金は、親事業主だけでなく、親事業主又は特例子会社のいずれかが受給することができるような仕組みとしていくことが適当。

(2)企業グループに対する障害者雇用率の算定
 特例子会社を保有すること以外に、企業グループに対する雇用率の包括適用の特例を認める条件が考えられるか、引き続き検討を行うことが適当。

(3)除外率の縮小による障害者雇用の促進
 平成16年4月より、除外率の一律10%ポイント引き下げ等が行われたところであるが、今後とも、段階的な縮小に向けて準備を進める必要。

(4)障害者雇用に関する助成金の整理等
 障害者雇用を進める企業にとって利用しやすい制度となるよう、既存の助成金制度の整理統合等、所要の見直しを行うことが適当。 また、アビリンピックは、障害者全体を対象とした障害者雇用納付金に基づく普及啓発事業とすることが適当。


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