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厚生労働省発表
平成16年12月15日
 
職業能力開発局能力評価課
能力 評価課長  井上 真
課長補佐  山本 浩司
電話  03(5253)1111(内線5969)
夜間直通  03(3502)6958


スーパーマーケット業の能力評価基準が完成

〜スーパーマーケット業界では、業界内の資格試験の見直しや
教材開発に活用し人材育成につなげたい考え〜


(ポイント)
 現在、厚生労働省では職業能力が適正に評価される社会基盤づくりを進めており、労働者の能力を客観的に評価する仕組みとして、能力評価基準の策定に取り組んでいる。これまで、経理・人事等の事務系職務や、電気機械器具製造業、ホテル業等の能力評価基準が策定されたところである。

 スーパーマーケット業の能力評価基準は、(社)全国スーパーマーケット協会(理事長・原 信一)との連携のもと、企業実務家や学識者からなる職業能力評価制度整備委員会において策定作業が進められ、今般報告書が取りまとめられた。
 同委員会報告書においては、業界の職業能力や人材育成に関する状況が分析され、その結果を踏まえて能力評価基準が定められた。

 能力評価基準は業界内のニーズが高い「販売」、「店舗運営」、「商品開発・仕入れ」、「営業企画」について策定され、職務遂行に必要な職業能力や知識に関し、担当者に必要とされる能力水準から組織・部門の責任者に必要とされる能力水準まで4つのレベルを設定している。
 また、能力評価基準は、単に知識があるということにとどまらず、職務を確実に遂行できるか否かの判断基準となるよう、典型的なビジネスシーンにおける行動例を記述している。

 (社)全国スーパーマーケット協会では、今般策定されたスーパーマーケット業の能力評価基準を活用し、既存の業界内資格(スーパーマーケット検定)について等級の見直しを行い、実際の職階やキャリアルートに即応した実践的な検定制度として再構築する。併せて同検定の学習用教材を整備し、企業内研修や個人の学習に利用できるようにする。

 また、現在、自動車製造業、アパレル産業等幅広い業種において能力評価基準の策定を進めているところである。

 なお、上記の報告書及び能力評価基準は、中央職業能力開発協会のホームページから入手可能である。
[中央職業能力開発協会 http://www.hyouka.javada.or.jp


 能力評価基準の策定までの経緯
(1)  スーパーマーケット業については、(社)全国スーパーマーケット協会(理事長 ・原 信一)との連携のもと、職業能力評価制度整備委員会(座長・大村 博(株)エム・デー・アイ代表取締役)を設置し、検討を行った。
(2)  同委員会は、スーパーマーケット業に特徴的であり、能力評価基準の策定ニーズの高い職種として、4つの職種を選定し、能力評価基準の策定を行った(図1参照)。
 具体的には、店舗での商品販売や加工、チェッカー業務を行う「販売」、店舗の経営指導・監督、陳列・販売の指導などを行う「店舗運営」、商品開発、仕入れ、売価管理等、商品の仕入れから販売までの責任を担う「商品開発・仕入れ」、販売戦略を策定し販売の仕組みづくりや販売促進を実施する「営業企画」について能力評価基準の策定を行った。
(3)  スーパーマーケット業では、業界が直面する消費者ニーズへの対応、食の安全・安心の提供、顧客サービスの充実、店舗運営の効率化といった課題に対応する能力が必要とされており、こうした現状を踏まえて能力評価基準が策定され、同委員会の報告書が取りまとめられた。

図1.スーパーマーケット業の能力評価基準の全体構成

図1.スーパーマーケット業の能力評価基準の全体構成

 レベルの設定
 能力評価基準の策定に当たっては、これが職業能力を評価する基準であると同時に、労働者にとってキャリア形成上の指針となるように、役職等とそれに必要とされる職業能力の関係の実態に照らし、担当者に必要とされる能力水準(レベル1)から組織・部門の責任者に必要とされる能力水準(レベル4)まで4つのレベルを設定した(図2参照)。

図2.レベル区分の目安
レベル4
広範かつ統合的な判断及び意思決定を行い、企業利益を先導・創造し遂行するために必要な能力水準。
レベル3
方針を踏まえて管理運営・計画作成等を行い、企業利益を創出し遂行するために必要な能力水準。
レベル2
グループやチームの中心メンバーとして、創意工夫を凝らして自主的な判断、改善、提案を行い遂行するために必要な能力水準。
レベル1
担当者として、上司の指示・助言を踏まえて定例的業務を確実に遂行するために必要な能力水準。


 能力評価の基準の記述内容
 能力評価基準の具体的な記述に当たっては、単に知識があるということにとどまらず、当該職務を確実に遂行できるか否かの判断基準となるように典型的なビジネスシーンにおける行動例を記述している(図3参照)。


 スーパーマーケット業における実際の活用について
 (社)全国スーパーマーケット協会では、業界内資格試験としてスーパーマーケット検定を実施しているところであるが、同試験の内容が客観的なものさしに基づいておらず、受験者の対象が絞り込めていないこと等により、必ずしも業界内で広く通用する制度となっていない現状がある。
 このことから、同協会は今般策定された能力評価基準を活用し、部門担当者、チーフ、店長等同基準で設定されたレベルに対応した等級をスーパーマーケット検定に導入することとし、実際の職階やキャリアルートに即応した実践的な検定制度として再構築し、業界内の人材育成につなげる考えである。併せて、同協会ではスーパーマーケット検定の学習教材を整備し、企業内研修や個人の学習に利用できるようにすることとしている。

スーパーマーケット検定に関する問い合わせ先
 (社)全国スーパーマーケット協会
 http://www.super.or.jp/ E-mail info@super.or.jp


 能力評価基準を活用するメリット
 能力評価基準が明らかになることによって、的確なキャリア形成を図ることができる環境が整備され、また、職業能力に関するミスマッチが縮小することが期待される。
(1)  求職者・労働者にとっては、職業選択やキャリア形成の目標を立てる際に、(1)自らの能力の客観的な把握、(2)企業が必要とする能力の把握が可能となり、職業能力の向上に向けた取組みにつなげることができる。
(2)  企業にとっては、人材に関する企業戦略を立てる際に、採用すべき人材の明確化、人材育成への効果的な投資、能力に基づいた人事評価・処遇等の導入・定着に関する新しいスタンダードとして活用できる。
(3)  ハローワーク等の労働力需給調整機関にとっては、労働者、企業の双方が職業能力を明確に示すことにより、雇用のミスマッチ解消につなげることができる。
(4)  教育訓練実施機関にとっては、職業訓練の対象者の能力レベル表示や修了時の能力評価を適切に行うことができる。


 今後の事業の取組み
 現在、自動車製造業、アパレル産業等について、能力評価基準の策定作業を進めているところである。今後も引き続き、幅広い分野について能力評価基準の整備を行うこととしている(図4参照)。
 なお、現在、ハローワーク等で活用できる能力評価ツールの開発を進めている。


 「職業能力評価制度整備委員会活動報告書」及び「能力評価基準」の入手先
中央職業能力開発協会 能力評価部
〒112-8503 東京都文京区小石川1-4-1 住友不動産後楽園ビル
http://www.hyouka.javada.or.jp (こちらよりダウンロードできます)
E-mail hyouka@javada.or.jp TEL 03-5800-3689


(図3)スーパーマーケット業の能力評価基準の例

(図3)スーパーマーケット業の能力評価基準の例


(図4)能力評価基準の策定取組み状況

(図4)能力評価基準の策定取組み状況


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